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風名13日目・No.3

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












 すっかり誰もいなくなった劇場の舞台の上で、私は目をつぶって今日一日を思い返していた。

 脚本担当の人達に風名君は怒られていたけど、それでもあの時の風名君の演技は見事だった。すごく感情がこもっていて、オデットを愛しているという想いが伝わって来た。愛する人を死なせたくないという気持ちが、言葉の一つ一つに乗せられていた。


「――滅びるのは僕一人でいい、あなたは、例えどんな姿であろうと生き続けなくてはいけません……」


 風名君が膝を折って両手を着いていた辺りにしゃがみ込んで、私は風名君が言った台本には無い台詞を小さく復唱する。

 本当に風名玲という人物はすごいと改めて感じた。

 アドリブであんな演技が出来るんだもんね。私みたいな何の取り柄も無い女じゃ、つり合うはずが無いよ。

 キュッと床を踏み鳴らす音が聞こえ、私は立ち上がった。


「……風名君―――?」


 見る見る瞳が開いて行く。

 驚きを通り越して何の感情も湧いて来なかった。

 舞台袖から現れた風名君は、少し困ったような顔でゆっくりと私の前までやって来ると、舞台から客席を見下ろしてため息を吐いた。


「全部、終わったな」

「うん……」


 どうして風名君がここにいるんだろう? もう片付けも全部終わって皆帰ったはずなのに。

 私は忘れ物をしたのを取る為に、真壁先生にお願いして少しの時間だけ入る許可を貰っていたのだ。


「佐和山に小日向はどこにいるのか聞いたら、忘れ物取りに劇場に行ったって教えてもらったからさ」

「そうなんだ」


 考えてる事が分かったのか、そう言って私を見て風名君は今度は肩をすくめる。


「今日の劇、俺は最高に楽しかった……小日向は?」

「私も――最高に楽しかった」

「最後は勝手に変えちゃったけどな」

「ふふ、でも皆すごく感動したって言ってくれてたじゃない」

「あの時さ……本当は凄く迷った。勝手に台詞変えたりして、もし全部台無しになったらどうしようって――」


 不安そうな顔の風名君に私は戸惑った。そうだ、どうしてアドリブなんかにしたんだろう。


「俺、本番前にすっごい緊張してただろ?」

「うん」


 早鐘を打つような風名君の心臓の感覚が、まだ手のひらに残ってる。


「実は最後のアドリブの事考えてたから緊張してたんだ」

「えっ、そうだったの?」

「そ……やっぱりいくら劇でも桜を選ぶなんて出来なかったから―――」

「どういう事?」


 首を傾げる私に、風名君は私と正面から向き合うと、目の前で片膝を着いて屈んだ。














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