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三島・後日談

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












〜後日談〜






「小日向君、これを」


 そう言うと三島君は私に一冊の大学ノートを手渡した。


「有難う!」


 私は笑顔でそれを受け取ると、中も見ないでサッと鞄に忍ばせた。


「それでは」

「うん!」


 それだけの言葉を交わすと、三島君は自分の席へと戻って行った。

 そんな私達の様子を肩越しに見ていたさなぎが、鞄に視線をやったまま私の背中にもたれかかって、いつもの元気な調子で尋ねてきた。


「何なに~? 美羽、最近三島っちとちょーノート交換してんじゃん? 受験に向けて最後の追い込み?」

「うん、まぁそんなトコ」

「いいなぁ~~。成績優秀の三島っちのノート! お願いだから私にも見せて~~!」

「だぁめ! さなぎには私が教えるから」

「うぅ~~、でもそれでも有難い~~!」


 さなぎは泣きつくふりをしながら私の肩に顔をうずめた。まったくもう、さなぎったら。



 大成功を収めた演劇祭も終わり、季節は冬――

 私達三年生は受験を間近に控え、独特の空気の中で過ごしている。

 私と三島君は毎日のようにノートを交換しているのだけど、これはいくらさなぎの頼みとはいえ見せるわけにはいかないのだ。

 だって――――


「おー、お前ら授業始めるぞー、席つけーー」


 元気に教室に入ってきた真壁先生の声で、私は脳みそを授業モードに切り替えた。

 このノートは家に帰ってからの楽しみにしよう。

 国語の教科書を開きながら、自然に笑みがこぼれていった。
















 今日も何事も無く一日が終わった。

 お風呂から上がると、私は三島君から受け取ったノートを鞄から取り出す。

 一見すると何の変哲もないただの大学ノート。

 でもこれはね――――








 ――――演劇祭が終わり、三島君に告白された次の日。

 放課後の人気のない教室で、三島君に一冊のノートを手渡された。


「三島君、これは?」

「その……清い交際は交換日記からだと思うのだが……どうだろうか?」


 そう言って赤面した三島君。

 私はそのノートを笑顔で受取り、それ以来私と三島君は毎日交換日記を続けている―――


 このノートも実はもう三冊目なのだ。


「今日はどんな事が書いてあるかな?」


 ワクワクしながらページをめくる。


『もうすぐ冬休みだな。受験生には休みなど無い、最後の山場となるだろう。だが』


 その後は何度も書き直したのが伺える。


『だが――もし迷惑でなければ、クリスマスは一緒に過ごせないだろうか?』


 三島君らしい整った字でそう綴られているのを見ると、私の心臓は一気に高鳴り始めた。

 三島君と一緒にクリスマスが過ごせたら、こんなに嬉しい事ないよ!

 私はカラーペンを取り出すと、大きなハートマークと共に思いを書きだす。


『もちろん! OKだよ! 三島君と過ごせるなんて嬉しい!』


 三島君の綺麗な黒い文字と、私の少し丸みを帯びたカラーペンの文字が交互に綴られた大学ノート。

 なんの変哲もなさそうなこのノートは、私と三島君の宝物なの。

 この交換日記が五冊終わったら、次は交換メールに挑戦したいな。

 そしてその次は――――

 そんな風に三島君の事を思いながら、私は今日も眠りにつく。

 あなたの事を毎日思う事が、こんなに幸せだなんて思わなかった。

 三島君、ずっとずっと大好き。










 私のやんごとなき王子様 ――三島編――   了





迷惑でなければ、読んでやってくださいwやん王『あとがき』




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