チェンジ・ザ・ワールド☆
ビタミン剤
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ビタミン剤
「おっはよー!」
「あ、おはよう!」
「おはよ~」
朝の教室が途端に賑やかになる。顔を上げてその声の中心を探すと、向日岳人が笑顔でクラスメイト達に囲まれていた。
和葉はその様子に心が温かくなる。
向日はいつも明るくて、周囲の気持ちも明るくする。そんな向日の事が、和葉は好きだ。
ドキ……
席が向日の前であるため、和葉はクラスメイトと会話をしながらこちらへやってくる姿に胸が躍る。
「おっす」
「お、はよう」
ちょっと恥ずかしくて、毎朝向日の挨拶に引きつった顔で返事をしてしまうのが情けない。
和葉の後ろで続く会話の内容は、テニス部の事や昨日放送されていたテレビ番組の事など様々だ。
それでもチャイムが鳴れば皆それぞれの席に戻る訳で、自然と和葉の後ろの席は向日一人になる。
そうなるとちょっとした動きや息づかいが聞こえる時があって、さらに和葉の胸は騒がしくなるのだ。
HR中、担任の期末試験についての話しを聞いていると、突然髪の毛が後ろに引っ張られた。
!?
驚いて振り返ると、向日が手をこちらに伸ばした状態で笑っている。
「あ、ワリ。痛かったか?」
「ううん、痛くはないけど、びっくりしちゃって……」
そう答えると、向日はにっこり笑って指の先を和葉に見せた。
「ほら、糸くず付いてたぜ。気になったから取っちまった」
「あっ、ありがとう」
たったそれだけの事なのに嬉しくなってしまう。
「お前さぁ、結構髪柔らかいのな。さらさらしてて気持ちいい」
「そうかな? 向日君の髪の方がさらさらしてそうだけど」
目の前のおかっぱは綺麗に整えられていて、動くたびにさらさらと揺れる。
「オレ? オレの髪はキューティクルだぜ。でも、お前の髪の方が触ると気持ちいい」
「そんな事言われたの、はじめてだよ……」
どんどん恥ずかしさで顔が赤くなって行くのが分かる。
「オレ、お前の髪気に入った」
っ!?
もう、まともに向日の顔を見られないほど顔が熱くなると、担任の雷が落ちた。
「そこ二人、うるさいぞっ!!」
「すみませんっ!」
「はーい」
慌てて謝罪する和葉と、面倒臭そうに返事をする向日。
「そんな大きな声でしゃべってねーよな?」
さすがに少し遠慮したのか、向日が声を潜めて和葉の方に体を近づけて言った。
「くすっ。そうだね」
そんな向日がおかしくて、可愛くて、つい笑ってしまう。
「お前としゃべってるとなんか元気になる気がすんだよなぁ」
再び向日にドキリとさせられる。
そんな事は和葉の方がいつも思っていて、感謝しているのに。
「へへっ、お前ってビタミン剤みたい」
END 2012.03.10
=あとがき=
氷帝の向日で、お題は「ビタミン剤」でした。最後までお読み頂き、ありがとうございました!
初の向日です。ノートには落書きもつけてみましたw
でも得意のうろ覚え書きなので、誰か分かんない。
向日って元気で口が悪くてちょっといじめっ子っぽいイメージがあるんですけど、思った事をストレートに口に出すタイプだろうなー。
と思ってこのお題にしました。
それではまた~。
初の向日です。ノートには落書きもつけてみましたw
でも得意のうろ覚え書きなので、誰か分かんない。
向日って元気で口が悪くてちょっといじめっ子っぽいイメージがあるんですけど、思った事をストレートに口に出すタイプだろうなー。
と思ってこのお題にしました。
それではまた~。
お帰りの際は、窓を閉じてくださいv
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