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チェンジ・ザ・ワールド☆
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act.29(市来)

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streetpoint

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就職難民 黙って俺についてこい!











 「葉月さん、すみませんね。悪気はなかったんですよ」

「で、でも……」

「いや本当に感謝しているんです。あなたのおかげでとても良い商品が完成しました。美成堂を出しぬけるような、ね」


 視界がぐらぐらと揺れる。どうしよう、涙が溢れそうだ。こんな、こんな事って。私が美成堂の皆の努力を踏みつぶしていたの? 私が、私が……


「泣くな、葉月。化粧が崩れる」


 滲む世界で言葉を失っていると、頭上から市来さんの落ち着いた声が聞こえた。そうだ、泣くわけにはいかない。私はまだステージに立たなくちゃいけないんだから。


「大丈夫ですか、葉月さん。そんな状態で舞台に立てますか?」


 白波瀬さんは相変わらずの温和な態度でそう言うと、にっこりと微笑んだ。そうか、このタイミングで現れたのも全部、全部計算なんだ。

 私ってなんてバカなんだろう。とことん自分が情けなくて、悔しくて――――。


「白波瀬社長、俺のモデルにこれ以上ちょっかい出さないで貰えます?」


 悔しくて握った拳が震える私の肩を、市来さんがそっと抱き寄せた。


「君のモデル? 美成堂のモデルでしょう?」

「いえ俺の専属なんですよ、こいつ」

「へぇ、市来君が素人を専属にねぇ。これは面白い物が見れたな」

「ステージではもっと面白い物をご覧に入れますよ。契約違反なんて事を平気でするようなモデルより、素人のこいつがずっと上のパフォーマンスを見せる所をね」

「それは楽しみだ」


 そう言うと白波瀬さんは私達の前から去って行った。

 って、って、ってゆうか!


「なななな、なんて事を言うんですか!」


 市来さんと二人だけになると、言われた意味が急速に脳みそを支配して、慌てて私は抗議した。

 だけど市来さんはちっとも悪びれる様子もなく、いつも通り飄々としている。


「お前だって悔しいだろ?」

「悔しい、ですけど、でも……」


 でも私なんかが、勝てるわけない。

 そう言いそうになった私の肩を強く握る大きな手。いつの間にか肩を抱かれている事が気にならなくなってる。これが自然な事であるみたいに。


「お前は俺のモデルだ。分かるか? 俺がお前を選んだんだ」


 真っ直ぐに見詰められ、思わず私は息を飲んだ。


「お前なら出来る。この市来凱が選んだ女だ。出来ない訳がない。お前は誰よりも可愛い」

「……こういう場合って、誰よりも美しいとか綺麗とかじゃないんですか?」

「それはまだちょっとお前には早いだろ」


 そう言って笑った市来さんを見たら、私もなんだか笑みがこぼれてきた。さっきまであんなに悔しくて悲しかったのに。あんなにも怯え慄いていたのに。


 好きな人の言葉って本当に不思議――


 それだけで、どこまでも行けるような気分になる。


「私、行ってきます!」

「おう、しっかり見てるからな」

「はい!」


 市来さんに見送られ、私はステージ袖へと向かった。








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