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act.32(市来)

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就職難民 黙って俺についてこい!











 卒業後―――

 私は晴れて美成堂の社員となった。私が希望した部署は教育部。カレンの元で私もメイクの勉強をして、誰かを笑顔にしたいと思ったらだ。いつもカレンが私にしてくれていたように。


 街では私が微笑んでいる新作グロスのポスターが、あちらこちらで見られる。でも私がその前を通っても、誰もポスターの人物と同じ人間だとは気付かない。それもそのはず。だってあれは私が市来さんに撮ってもらった奇跡の一枚だもの。

 その表情は私が市来さんへの思いに気付いた、あの時のものだ。


 市来さんは相変わらず忙しそうに駆け回っている。私はもう写真部じゃないから、自然に会う時間は少なくなった。


 でも――――


 感傷に耽っていると携帯が鳴った。液晶に表示された名前を目にすると、思わず笑みが零れた。その表情は少しだけポスターの私に似ている。

 弾む気持ちで通話ボタンを押す。


「お疲れ様です」

『お疲れ。今日仕事が早く上がりそうだ。今晩空いてるか?』

「もちろん!」


 私は市来さんと新しい関係を築きはじめている。








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