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チェンジ・ザ・ワールド☆
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act.26(明月院)

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streetpoint

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就職難民 黙って俺についてこい!










 モデルさんたちによるデモンストレーションが終わり、次は各メーカーによる商品説明が始まろうとしていた。

 本当に明月院さんの演奏は素晴らしかった。会場中が明月院さんの演奏に聞き入っているのが分かったもの。でも、次は私の出番―――


「情けない顔をするな、堂々とプレゼンすればいいんだ」

「そんな事言うなら社長が説明してください!」

「バカか? 俺がそれをやったらお前を連れてきた意味がなくなるだろう? なあ、明月院」

「え?」


 私の後ろを見ている社長の視線を辿って振り返ると、そこには明月院さんが立っていた。


「お、お疲れ様です、明月院さん」

「別に、疲れてない」

「そうですか……。あの、とっても素敵な演奏でした」

「社長、さっきそこであいつに会った」


 私の言葉は完全に無視されちゃってるみたいだけど、あいつって誰だろ?


「あいつ?」

「それはもしかして、僕のことかな?」


 社長も同じ事を思ったみたいだけど、その後に聞こえてきた声。この声、どこかで……


「―――なんだ、お前か白波瀬」

「……えっ!?」


 えっ!? 嘘、白波瀬さんっ!?


 私は慌てて白波瀬さんに顔を向けた。


「しっ、白波瀬さんっ!!」

「こんばんは、葉月さん」


 やっぱり白波瀬さんだ!

 驚きと嬉しさで白波瀬さんに近寄ろうとした私の腕を、社長が掴んで引っ張られてしまった。


「痛っ」

「―――おい、どういう事だ? 何故白波瀬がうちの葉月を知っている?」

「まだお前の所の社員じゃないだろ? 葉月さんとは、偶然知り合ったんだ。何度も食事に行ったし、美成堂の新製品についても教えてもらった。本当にありがとう、葉月さん。とっても助かったよ」

「えっ? えっ?」


 一体どういうこと? 白波瀬さんは何を言っているの?


「おい、葉月!」

「はいっ!?」

「お前、この男にグロスの話しをしたのか!?」

「は、い……」

「っ……。どういうつもりだ? お前、そこまでしてうちに勝ちたいのか?」

「そこまでして? 別に僕は卑怯な事をした覚えはないけど? 勝手に勘違いしてペラペラとしゃべったのは葉月さんだ。僕達はその情報を活用させてもらっただけ。それなのに御影山、お前が怒るのは筋違いだろう?」

「はっ! そう言う事か、うちの情報が秀麗に漏れてたのは、葉月からだった。という事か」

「ええええっっっっ!?」


 何で!? どうして!? 私の所為? 私の所為なの!?


「葉月さん、ごめんね。別に騙すつもりじゃなかったんだけど」

「こいつは秀麗の社長、白波瀬陽だ」

「しゅっ、秀麗の社長っ!?」


 嘘よ! だって、白波瀬さん、美成堂より弱小だって……あれって、私から情報を聞き出す為の嘘? 優しくしてくれたり励ましてくれたりしたのも、全部嘘だったの?

 どうしよう。もう、全然頭が追いつかないよ―――


「僕も会社の為に色々とやらなきゃいけなくてね。利用出来るものを利用した。キミだって今までそうしてきただろう? それをそんなに怒るなんて、御影山らしくないな」

「何とでも言え、今回、うちはどこにも負けるつもりは無い。もう商品説明が始まる、お前の顔など見たくない、どこかへ行け」

「―――もしかして、僕が葉月さんを利用したのがそんなに気に入らなかったのかな?」

「黙れ……」


 茶化すように言った白波瀬さんの言葉に、御影山社長は今まで見た事もないほどの鋭い視線で睨みつけ、低い声で凄んだ。

 それを受けて、白波瀬さんは肩をすくめ、


「まあ、どうでもいいさ。これ以上綾人をからかうと殴られそうだからそろそろお邪魔しよう。明月院くん、とても素晴らしい演奏だったよ。今度はうちも生演奏を取り入れようかな。それじゃあね、葉月さん」

「えっ……あ……」


 私は何も言えなかった。

 だって、私を励ましてくれて優しくしてくれていたあの白波瀬さんが秀麗の社長で、知らなかったとはいえ、私はその秀麗にグロスの情報を流していたんだもの。

 ガクガクと膝が震え出した。


「葉月……」

「っ!?」


 あまりの出来事に混乱して私の目は涙が溢れそうになっていた。呼ばれて顔を上げると、明月院さんが私をじっと見ている。その隣りで社長も困ったように私を見ていた。

 もう、駄目だ……入社試験以前の問題だよ。私、絶対に採用なんてしてもらえない。


「悔しいか?」


 明月院さんの静かな声に、私はびくりと反応する。そして、無言で頷く。


「だったらやる事は一つしか無い」


 私ははっとして社長を見上げた。


「―――私、やります。精一杯頑張らせてください!」

「気合いを入れろ。秀麗に一泡吹かせてやれ」

『それでは、商品説明を始めたいと思います!』


 会場内にアナウンスが響き、私は気合いを入れた。


「はい!」


 社長は私にチャンスをくれた。それに答えなくちゃ!





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