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チェンジ・ザ・ワールド☆
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act.30(明月院)

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streetpoint

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就職難民 黙って俺についてこい!










 ピアノが置いてある広い楽屋に通されると、弟さんはいなくなってしまった。


「遅かったね」

「あ、すみません。ちょっと仕事が押してしまって」

「そう」


 ―――沈黙。どうしよう、急いで来たし、まさか楽屋に入れるなんて思ってなかったからプレゼントとか用意してないよ。見れば楽屋の中はお花とかケーキとかで溢れてるし。

 なんて思ってると、明月院さんが壁の時計を見た。


「もうすぐ始まる」

「はい、楽しみにしてます。頑張ってくださいね」


 でもまた沈黙。

 なんか、いつもよりも会話が成立しない感じなんですけど……。


「あんたに、一つ確認したい事がある」

「はあ」

「これから俺はもっと上を目ざしたい。だから、あまり構ってやれないかもしれない……それでも、着いてきてくれるか?」

「はあ」

「そう。それならいい。今日のコンサートが終わったら、正式に婚約発表をするから」

「はあ」

「それまでにそこに用意してある服に着替えといて」

「はあ……って……えっ? な、何の話しですかっ!? 着替える? どうして? 全然意味が分からないんですけど!?」

「うるさい。今言った通り、婚約発表をする」

「だ、だから、誰と婚約するんですかっ!?」


 何? もう混乱しちゃって意味が分からないどころか訳が分かんないよっ!!!


「俺と結婚してくれるんだろ?」

「―――はあっ!?」


 ちょちょちょちょちょ、何ですか? ドッキリ? どっかに隠しカメラがあるとか!? ……にしては、何だか明月院さん怒ってるっぽい。

 てことは、まさか……本気?

 私は背筋に寒気が走った。

 いや、本来なら好きな人にプロポーズ? された訳だし、嬉しい! はずなんだけど―――


「あ、あのですね、まず一つお聞きしたいんですけど、大前提を忘れてませんか?」

「何?」

「なに……って、そもそも私たちお付き合いもしていないんですよ? それを飛ばして、いきなりけっ、結婚だなんて言われてもですね……」

「―――じゃあ付き合おう」

「はいいっ!!??」

「付き合ったら結婚してもいいんだろ?」

「いやっ、そういう訳でもなくってですねえ」

「じゃあどうしたらいい?」


 ほっ、本気の目をしてる……。どうしよう? 本当に私と結婚したいの?


「あの、明月院さんは、わっ、私の事、好き……なんですか?」


 うわー。すっごい顔になった! 怒ってるよ! 本当に本気で怒ってる!!

 明月院さんは私の前まで近づいて来ると、ため息を吐いた。


「ふう……。そうか、俺はそういう一般常識をどうやら良く知らないらしい。どう言えばいい? 葉月が好きだ。結婚してくれ?」


 浮世離れしてるのは分かってたつもりだけど、ここまでとは知らなかった。これもまた明月院さんの新しい顔って事なのかな? しかも語尾が疑問系だし。

 何だか色々慌てたり考えたりしてるのが馬鹿らしくなってきちゃった。

 思わず吹き出した私に、明月院さんは戸惑っている。


「ぷっ……」

「どうした? 何がおかしいのか分からないけど、俺はどうすればいいのか教えてくれ」

「いいえ、私事です。えっと……あの、私も好きです。これから、よろしくお願いします」

「―――そうか」


 うわ……明月院さんがこんなに嬉しそうに笑うの、初めて見た。本当に、この人は不思議な人だな。

 でも、この人に出会えて良かった。新しい発見が、まだまだたくさんありそう! 

 キュッと握られた手の温もりに微笑みながら、私は目の前の明月院さんへの想いを強めた。




END






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