! 人食表現
銃を握った彼の手が滑らかに動くのを、少し離れたところから眺めている。
指先が引き金を引く。弾が放たれ、スライドが引かれる。
スライドが完全に引かれると、側のマガジンをグリップに押し込む。
撃鉄を下ろす、引き金を引く、一連の動作に迷いは微塵も感じられない。普段は黒手袋の下に隠した手を晒して、その目はただひたすら、目の前の的だけを見つめている。
彼の指先が銃に触れるたび、無骨な鉛の塊が彼のための「武器」になっているような錯覚すら覚えるようだ。
スライドが完全に引かれると、側のマガジンをグリップに押し込む。
撃鉄を下ろす、引き金を引く、一連の動作に迷いは微塵も感じられない。普段は黒手袋の下に隠した手を晒して、その目はただひたすら、目の前の的だけを見つめている。
彼の指先が銃に触れるたび、無骨な鉛の塊が彼のための「武器」になっているような錯覚すら覚えるようだ。
二人の間におちた沈黙を破る、定期的な発砲音。
綺麗に並び続けたその音が、不意に止んだ。
綺麗に並び続けたその音が、不意に止んだ。
「あ、えっとー…退屈だったか?」
「いや、続けてもらって構わない。俺が好きで見ている。」
「なら良いんだけど、そうまじまじ見つめられると緊張するっていうか」
「いや、続けてもらって構わない。俺が好きで見ている。」
「なら良いんだけど、そうまじまじ見つめられると緊張するっていうか」
鳴らない音に不審を感じて顔を上げると、防音用のイヤーマフを外した相手がこちらの側まで来ていた。
「いや…お前の撃ち方は財団に教わったものと少し違うのだな、と」
銃を撃つ手を見ていたなんて言ったら、あらぬ誤解を受けかねない。少しだけ後ろめたさを感じながら言葉を濁した俺に、相手はそれでも納得したような顔を見せた。
「最初に訓練を受けた所のが癖になってて…機動部隊員とか他のエージェントとかから、注意を受ける事もある」
「なんて言われるんだ?」
「『お前の射撃は人殺しの撃ち方だ』」
「…」
「なんて言われるんだ?」
「『お前の射撃は人殺しの撃ち方だ』」
「…」
なんて反応をすれば彼の自尊心を傷つけずに済むか、脳内で慣れない言葉選びを始め黙り込んだ俺に、相手はからからと愉快げに笑った。
「お前がそう気に病む事じゃない。実際、どれだけ相手より早く先手を取れるか、かつ高出力を叩き込めるかを念頭に訓練されてきたから、あながち間違っちゃいないんだ。」
「…俺はお前の銃が嫌いではない」
「そうか」
「…俺はお前の銃が嫌いではない」
「そうか」
いつもの温度のない笑顔で感謝されたとて、そこまで灌漑は沸かない。