ガソリン価格暴騰で、ブラジルのバイオ燃料戦略の勝ち(2)
http://www.msnbc.msn.com/id/8262015/
米国は輸入エタノールに厳重な関税を割り当てている。しかし過去12ヶ月の間で、ブラジルから1億6,000万ガロンのガソリンが輸入された。米国第3位のエタノール精製業者であるカーギル社は、ブラジル産エタノールをエルサルバドルで精製し、カリブ海構想の下、税金を免除された形で米国へ輸出する計画を昨年発表した。
同関税はブラジル農業大臣のロドリゲス氏にとっては、痛い問題である。1948年にロドリゲスの父は、サン・マルチーニョ製糖工場に程近く、サンパウロ州から車で3時間ほどの場所にある破産に追い込まれたコーヒー農園を買い上げた。現在同氏は7平方マイルの農地でサトウキビを生産している。
「米国とブラジルが市場を開放すれば、民主主義と平和に大きな貢献となるだろう。」とロドリゲス氏は、農園に訪れた人々に向かって話した。
ブラジルは1970年代に蒸留業者や、エタノールだけで稼動する車両を製造する自動車製造業者に補助手当を支給する、「エタノール支援」政策を実施した。しかし1989年に、エタノール不足から価格が高騰したことで、ドライバーらはそのような車両から離れていった。
1990年代には一部の蒸留業者は破産し、多くの精製業者とサトウキビ農家は困難に直面した。しかし政府は、買い手のないエタノールを買い上げ、エタノールを利用するタクシー運転手に対し優遇税制措置を施すなど、代替燃料を活性化させるための方針を貫いた。
ブラジルの米農業大使によると、同国は1996年からサトウキビ作付面積を240万エーカー拡大してきたと言う。この作付面積拡大の傾向は、最近の世界貿易機構(WTO)の決議によって、EUによる世界市場への砂糖ダンピングが禁じられることが見込まれていることから、さらなる拡大を見せる可能性がある。
昨年を見ると、約70,000件の農家が3億8,500万トンのサトウキビを生産し、精製業者はガソリン4億6,000万トン分を置き換えることが出来る、40億ガロンのエタノールを生産した。
米国は輸入エタノールに厳重な関税を割り当てている。しかし過去12ヶ月の間で、ブラジルから1億6,000万ガロンのガソリンが輸入された。米国第3位のエタノール精製業者であるカーギル社は、ブラジル産エタノールをエルサルバドルで精製し、カリブ海構想の下、税金を免除された形で米国へ輸出する計画を昨年発表した。
同関税はブラジル農業大臣のロドリゲス氏にとっては、痛い問題である。1948年にロドリゲスの父は、サン・マルチーニョ製糖工場に程近く、サンパウロ州から車で3時間ほどの場所にある破産に追い込まれたコーヒー農園を買い上げた。現在同氏は7平方マイルの農地でサトウキビを生産している。
「米国とブラジルが市場を開放すれば、民主主義と平和に大きな貢献となるだろう。」とロドリゲス氏は、農園に訪れた人々に向かって話した。
ブラジルは1970年代に蒸留業者や、エタノールだけで稼動する車両を製造する自動車製造業者に補助手当を支給する、「エタノール支援」政策を実施した。しかし1989年に、エタノール不足から価格が高騰したことで、ドライバーらはそのような車両から離れていった。
1990年代には一部の蒸留業者は破産し、多くの精製業者とサトウキビ農家は困難に直面した。しかし政府は、買い手のないエタノールを買い上げ、エタノールを利用するタクシー運転手に対し優遇税制措置を施すなど、代替燃料を活性化させるための方針を貫いた。
ブラジルの米農業大使によると、同国は1996年からサトウキビ作付面積を240万エーカー拡大してきたと言う。この作付面積拡大の傾向は、最近の世界貿易機構(WTO)の決議によって、EUによる世界市場への砂糖ダンピングが禁じられることが見込まれていることから、さらなる拡大を見せる可能性がある。
昨年を見ると、約70,000件の農家が3億8,500万トンのサトウキビを生産し、精製業者はガソリン4億6,000万トン分を置き換えることが出来る、40億ガロンのエタノールを生産した。
ブラジルに勝てる国はない
サン・マルチーニョ製糖工場のような製糖工場の効率性は非常に高い。搾取されたサトウキビ汁は、その日の取引価格に合わせて、エタノールを生産するために巨大な発酵用の樽に入れられるか、砂糖や糖蜜を生産するために遠心分離機にかけられる。また工場のエネルギーは、バガスと呼ばれるサトウキビの外側にある茎の部分を燃やすことで供給され、自家発電の形式をとっている。
まったく同じ事柄での比較は難しいが、ブラジルの製糖工場はサトウキビから生産するエタノールを、米国のコーンから生産するエタノールの半分のコストで産出することが出来る、と工場のマネージャー、マリオ・オリッツ・ガンディーニ氏は言う。「どの国もブラジルに勝つことは出来ない。」と同氏。
「環境に優しい」燃料を生産するにあたって、砂糖の役割は大きく様変わりしてきている。大半がポルトガル人とスペイン人で構成されていた、植民地支配時代の砂糖農園主は、農地を求めるため、奴隷に鉈と火を使わせ、ブラジル北東部の密林地帯に入り込んでいった。このことは国内が開けるきっかけとはなったものの、劣悪な労働条件と、環境破壊のイメージを砂糖に植えつけることとなった。
「砂糖は劣悪な過去があり、また労働問題は完全になくなったわけではないものの、ブラジルでの現状を見る限り、砂糖のエネルギー・バランスと、環境に与える影響を考慮に入れると、将来性のあるエネルギー資源として考えることが出来る。」と米ワシントンに本部を置く環境ワーキング・グループのケネス・クック氏は言う。
家族経営の砂糖農園を父親と切り盛りしているパウロ・ロドリゲス氏は、「砂糖は劣悪な過去を持っている」ことを認めている。しかしサトウキビは牧草を除き、ほかの作物と比較し、薬品散布を殆ど必要としない、と同氏は話す。サトウキビの密な葉は、大量の二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の原因とされている温室ガスをリサイクルすることが出来る。
少し前まで、サトウキビは伐採される前に葉が焼き落とされてきたため、炭素の一部は再び大気中に戻されてきた。しかしサトウキビ技術センターのウィリアム・バーンクイスト氏によると、この農法はブラジル環境法によって段階的に廃止されてきていると言う。
この焼き落とし法は、機械的にサトウキビと葉をより分ける、「環境にやさしいサトウキビ収穫方法」に置き換えられてきている。機械による収穫が導入されることは、今まで労働者に頼っていた作業がなくなることを意味するが、「この作業は誰もがやりたがらない作業だから。」とバーンクイスト氏は付け足した。(i)
まったく同じ事柄での比較は難しいが、ブラジルの製糖工場はサトウキビから生産するエタノールを、米国のコーンから生産するエタノールの半分のコストで産出することが出来る、と工場のマネージャー、マリオ・オリッツ・ガンディーニ氏は言う。「どの国もブラジルに勝つことは出来ない。」と同氏。
「環境に優しい」燃料を生産するにあたって、砂糖の役割は大きく様変わりしてきている。大半がポルトガル人とスペイン人で構成されていた、植民地支配時代の砂糖農園主は、農地を求めるため、奴隷に鉈と火を使わせ、ブラジル北東部の密林地帯に入り込んでいった。このことは国内が開けるきっかけとはなったものの、劣悪な労働条件と、環境破壊のイメージを砂糖に植えつけることとなった。
「砂糖は劣悪な過去があり、また労働問題は完全になくなったわけではないものの、ブラジルでの現状を見る限り、砂糖のエネルギー・バランスと、環境に与える影響を考慮に入れると、将来性のあるエネルギー資源として考えることが出来る。」と米ワシントンに本部を置く環境ワーキング・グループのケネス・クック氏は言う。
家族経営の砂糖農園を父親と切り盛りしているパウロ・ロドリゲス氏は、「砂糖は劣悪な過去を持っている」ことを認めている。しかしサトウキビは牧草を除き、ほかの作物と比較し、薬品散布を殆ど必要としない、と同氏は話す。サトウキビの密な葉は、大量の二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の原因とされている温室ガスをリサイクルすることが出来る。
少し前まで、サトウキビは伐採される前に葉が焼き落とされてきたため、炭素の一部は再び大気中に戻されてきた。しかしサトウキビ技術センターのウィリアム・バーンクイスト氏によると、この農法はブラジル環境法によって段階的に廃止されてきていると言う。
この焼き落とし法は、機械的にサトウキビと葉をより分ける、「環境にやさしいサトウキビ収穫方法」に置き換えられてきている。機械による収穫が導入されることは、今まで労働者に頼っていた作業がなくなることを意味するが、「この作業は誰もがやりたがらない作業だから。」とバーンクイスト氏は付け足した。(i)
2003年9月「温暖化対策にバイオエタノール車」
サトウキビなどを原料にした「バイオエタノール」が注目を集めている。CO2を吸収して育つ植物が原料のため、燃料に使ってCO2を排出しても京都議定書では排出量はゼロとみなされるとあって、90年比で温暖化ガス6%の削減を義務づけられている日本にとっては魅力的だ。このため8月末に改正品確法を施行してエタノール3%混合ガソリン(E3)の販売を解禁。さらに、環境省は10年にエタノール10%混合ガソリン(E10)普及を目標に掲げ、準備を急いでいる。
米国では1978年から「ガソホール」と呼ばれるエタノール混合ガソリンが市販され、現在はE10が一般車両向けに流通している。消費税免除やエタノール生産への補助などもあって、02年のE10の消費量は日本のガソリン消費量に相当する6000万キロリットルに上っている。米国以外ではブラジルや欧州の一部でも使用されている。 日本でも環境省の中核的温暖化対策技術検討会がまとめた中間報告で、低濃度バイオエタノール混合ガソリンと業務用燃料へのバイオエタノール利用も対策技術として抽出。低濃度バイオエタノール混合ガソリンの普及シナリオは、まず既販車で利用可能な5%以下の混合ガソリンで普及を図りながら、E10供給体制の整備、対応車両の普及を進めるというもの。これに対し、石油業界ではガソリン製造・流通設備の大幅な変更や、供給安定性、費用対効果などの課題を指摘している。
しかし、検討会による試算では10年にE10対応車両が順調に普及すれば、90年の運輸部門のCO2排出量の2・7%の削減が可能という。このため温暖化対策につながる政策を総動員する姿勢の環境省はバイオエタノールに注目。7月には地球環境局長の諮問機関として石油、自動車業界代表、学識経験者らで構成する「再生可能燃料利用推進会議」を設置、バイオエタノール利用拡大計画の策定を急いでいる。
米国では1978年から「ガソホール」と呼ばれるエタノール混合ガソリンが市販され、現在はE10が一般車両向けに流通している。消費税免除やエタノール生産への補助などもあって、02年のE10の消費量は日本のガソリン消費量に相当する6000万キロリットルに上っている。米国以外ではブラジルや欧州の一部でも使用されている。 日本でも環境省の中核的温暖化対策技術検討会がまとめた中間報告で、低濃度バイオエタノール混合ガソリンと業務用燃料へのバイオエタノール利用も対策技術として抽出。低濃度バイオエタノール混合ガソリンの普及シナリオは、まず既販車で利用可能な5%以下の混合ガソリンで普及を図りながら、E10供給体制の整備、対応車両の普及を進めるというもの。これに対し、石油業界ではガソリン製造・流通設備の大幅な変更や、供給安定性、費用対効果などの課題を指摘している。
しかし、検討会による試算では10年にE10対応車両が順調に普及すれば、90年の運輸部門のCO2排出量の2・7%の削減が可能という。このため温暖化対策につながる政策を総動員する姿勢の環境省はバイオエタノールに注目。7月には地球環境局長の諮問機関として石油、自動車業界代表、学識経験者らで構成する「再生可能燃料利用推進会議」を設置、バイオエタノール利用拡大計画の策定を急いでいる。