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歯車が噛み合わない - (2012/03/04 (日) 06:50:42) のソース
**歯車が噛み合わない ◆hqLsjDR84w ◇ ◇ ◇ 「これも欲しいかな。ああ、それもあるだけ入れておいて。あとあれもお願いね」 思い上がった声を浴びせられ、紅煉は何度目になるか分からない舌打ちを鳴らす。 同時に、夜の闇より黒く艶のある体毛が僅かに逆立ち、血のように赤い瞳が鈍く輝く。 紅煉の計画では、すでに五人は殺して喰らっているはずであった。 殺し合いの会場が広く他の参加者と出会いづらいものの、それは人間の場合である。 妖(バケモノ)に人間のルールは適用されない。 夜中でも昼間と同じように視界は開けているし、人間の臭いを辿ることも可能だ。また、そもそもの移動速度自体が人間とは比べ物にならない。 だから、いまごろ満腹とまでは行かずとも腹八分目程度までは満たされている――つもりだった。 「ああ、ごめんごめん。二つ下の階にあったチョコレートをもう一枚持ってきてれないかな。思ったより甘さが控え目でね。気に入った」 紅煉の鋭利な牙同士がぶつかり合い、ぎちりと耳障りな音が口内に響く。 先ほどから横暴な態度で命令しているのは、秋山優。卑怯番長という異名を持つ男である。 纏っている学ランは短ランよりさらに丈が短く、鍛え抜かれた胸筋と腹筋が露になっている。 そのボディからかなりの強者であることが見て取れるが、あくまで人間の世界では強者というだけだ。 妖――それも数多の妖を奢ってきた妖殺しの妖である紅煉に、優位に立つほどの実力はない。 にもかかわらず紅煉は持っていたリュックサックを置いて床に沈みこむと、チョコレートを回収して戻って来る。 「……ほらよ」 「どうもどうも。一欠けくらい食べるかい?」 「はっ! んなもん、いるかよォ!」 「くくっ、『俺が喰いたいのはおめえだよォ!』とか言って飛びかかってこないのかい?」 「…………ちィ」 自分の口調を真似されていることが癇に障りながらも、紅煉は反論さえしない。 秋山はそんな紅煉を観察しながら、ラベルを剥がしたチョコレートを口元へと持っていく。 「思ったより早く諦めたね。楽と言えば楽だけどつまらないな」 「ふん。わざわざ人間を喜ばすようなことするかよ」 「じゃあ殺すか。天地万物の正義を」 「あわわわっ! ちょ、ちょっと待て!」 「…………はい、ちょっと待った。天地万」 「おい! 頼む! この通りだァァァ!」 秋山が何ごとかを言い終える前に、紅煉が跪くと地面に両掌を置いて掌の間に頭を押し付ける。 いわゆる土下座の体勢である。 人間を片っ端から喰らい、東西の妖怪連合を圧倒し、同族である字伏をも蹴散らした紅煉が、人間である秋山優に頭が上がらない。 そんな状況をよく表した構図が、いまここに完成した。 「いやいやまったくひどいなぁ、紅煉。そんな飽きたからなんて理由で、この僕が誰かを殺すワケがないじゃないか。 そんなふうに思われてたとしたら、さすがの僕もちょっとショック受けてしまうよ。いまのは冗談さ。じょ、う、だ、ん」 「この卑怯モンめ……あ、しまっ」 「ふふっ、また褒めてくれるとはね」 「ぐうぅぅ……ッ」 目元を隠す覆面の上からでも分かる秋山の笑顔に、紅煉は口籠るしかできない。 下手なことを言っても簡単にいなされてしまうことなど、とうに思い知らされている。 何せ、紅煉はこれまで力でもって他者を打ち負かすことしかしてこなかったのだ。 秋山の話術に対応するスキルなど持ち合わせておらず、ただただ翻弄されるばかりである。 しかしながら、今回ばかりは普段通りに力で打ちのめすワケにはいかない。 先ほど不覚にも飲み込んでしまった爆砕符は、絶対に爆発させてはならないのだ。 そうなってしまえば、紅煉は二度目の死を体感することになる。再び蘇られるかは定かではない。 いかに紅煉といえど、秋山を一瞬で殺害するというのは不可能だ。 完全に不意を突かねば対応されてしまうだろう。 出会ってからしばらく経っているが、未だ秋山は大きな隙を見せていない。 ゆえに仕方なく、まだ行動をともにせねばならない。 秋山を出し抜いて殺害し、死に脅えることなく人間どもを喰らうために。 (――とか、考えてくれているのかな) 薄い微笑みを向けたまま、秋山は――卑怯番長は胸中で冷たく笑う。 紅煉の体内に爆砕符など、存在しない。 すべて卑怯番長の吐いた嘘である。 先ほど唱えた爆砕符起爆の詠唱も、嘘だと見破られないためだ。 すべて言い切ってしまえばバレてしまうが、生に執着する紅煉が止めないはずがない。 普通の神経をしているのならば、ボロを出すのを恐れて詠唱は駆け引きに必要なときにしか行わないだろう。 されど卑怯番長は、手札(カード)の切りどころだけでなく使いどころをも心得ている。 ありもしない切り札(ジョーカー)は、必要なときにだけチラつかせてはダメなのだ。 メリットがないところでだって見せてしまう。 まるで本当に手元にあるかのように、いつでも切れるかのように。 「まあこんなものかな。その袋をくれないか」 不本意ながらといった気持ちを隠そうともせず、紅煉は床に放置していたリュックサックを持ち上げる。 紅煉に支給されたものであるが、妖が戦うのに道具など必要ない。参加者名簿を確認した時点で、不必要な物となっていた。 とはいえ捨ててしまう気もなかったのだが、いまとなっては秋山の所持品である。何せ頭が上がらないのだ。 入っていた蔵王と飲食物は奪われ、その他の道具は廃棄されてしまった。 そんなこんなで空になったリュックサックのなかには、秋山の指示で紅煉が詰め込んだ商品がたんまりと詰まっている。 「こんなに突っ込んだけど、ほんとに必要のかよ。どれもガラクタにしか見えやしねえ」 「まだ体力があるうちに、道具は回収しておいた方がいいのさ。 首輪に使われている技術が分からない以上、工具はどれも所持しておきたいしね。 ……と言っても、僕がキース・ブラックならこんなところに首輪を外せるような道具は置かないけれど」 「かっ! じゃあ無駄じゃねえか!」 「天地万物の」 「ぎゃぁぁぁぁ!」 「別に、欲しかったのは工具だけじゃない。 武器は配られているけど、万全とは言い難い。まあデパートにあるような代物では、激しい戦闘には向かないだろうが」 「ふん、やっぱり無駄じゃ」 「天地万物の正義をもちて」 「は、はええ! 悪かった、許してくれェェェ!」 「はあ……別に、僕が使うためだけじゃない。こんな状況だ。武器があれば交渉の道具にもなる」 言いながら、秋山は蔵王に袋を収納する。 一つの物しか収納できないと説明書には書かれていたが、ならば一つの袋に包んでしまえばよいだけだ。 ちなみにもともと蔵王のなかに入っていた携帯端末は、紅煉がいない間にポケットへと移してある。 チョコレートを取りに行かせたのは、そのためだったのだ。 「さて、そろそろ出ようか」 「あァ? 隠れていやがったクセに、そりゃァどういう心変わりだ」 「やるべきことは済ませたからね。状況は把握したし、商品もあらかた物色した。 別に居座ってもよかったんだけど……エントランスが派手に破壊されてちゃね。誰か来たとしても、過剰に警戒されてしまう」 瓦礫まみれのエントランスを危なげなく歩み、秋山は表へと出る。 まだ太陽こそ出ていないが、月はかなり傾いている。 戦闘からだいぶ経過しているのでデパート内で立ち込めていた埃は落ち着いていたものの、やはり外のほうが空気が澄んでいるように感じられて大きく息を吸い込んだ。 「よく、こんな汚え空気をそんなに深く吸えるな」 「そうかい? 僕が住んでいるとこよりよっぽどキレイだよ」 「うへぇ……」 秋山の後ろを浮かぶ紅煉が、唖然としたように口を開けたしたまま硬直する。 「他の参加者に会う前に行っておくよ、紅煉」 当てもなく進もうとした秋山が、数歩踏み出したところで足を止めて踵を返す。 「いまさら言うまでもないけど、僕は別に正義の味方じゃない。 どんな悪人だろうと思い切り殴ればそれで終いだとか、そういうタイプじゃない」 「ほう……」 半開きであった紅煉の口は、いつのまにやら閉ざされていた。 顔に備え付けられている三振りの霊刀が、月光を照り返す。 「だから僕は、お前に人を殺すなとか言うつもりはない。 食べたいのなら食べればいいさ――ただし、この卑怯番長にとって邪魔な存在をだ」 紅煉は何も言わず。 刀身が、微かに輝く。 「お前のように殺し合いに乗る気の参加者は少なくない、と僕は読んでいる。 そいつらは邪魔だ。家に帰るために手を尽くしたいところなのに、余計なことで体力を使いたくはない。だから――」 刃が、煌めく。 怪しく。 妖しく。 「――喰っていい」 静寂が広がりかけて、破られる。 くつくつ、と。 紅煉の低い笑い声が少しずつ漏れ出す。 「けッ。いいな、そりゃァ。 この俺に指示するヤツなんて、テメェとあの大妖くれェだぜ」 刃が小刻みに揺れ、反射した青白い光が秋山を照らす。 卑怯番長の顔面までもが、妖しく染まっていく。 「強いヤツをブッ殺すのはいいぜェ、最高だ。喰えるなら喜んで喰らってやらァ。 俺を含めた八十の参加者を全員殺そうとするようなヤツってんなら、それこそ心躍る」 大きく口角を吊り上げて、紅煉は鋭い牙を見せつける。 「だがな、忘れるなよ。 一番喰ってやりたいのは貴様だ。提案には乗ってやるが、最終的に貴様も喰らう」 紅煉は断言すると、真紅の舌を伸ばした。 「…………言われなくても、僕とお前はそういう関係だろう」 意図せず息を呑んでしまい、秋山の返答は少し遅れる。 即座に振り返り表情を隠して、歩み出す。 わざわざ紅煉は指摘などせずに、ただ低く笑うだけであった。 デパート内でのやり取りが夢であったかのように、両者の間に会話はない。 立ち込める沈黙を破ったのは、不意に打ち上がった花火であった。 方角は、向かうつもりであった繁華街のある北だ。 「どうすんだよ、オイ」 薄ら笑いを浮かべる紅煉に、秋山はしばし思考してから口を開く。 「目的地を変更するさ。好き好んで厄介ごとに巻き込まれる趣味なんてないからね」 「そうかよ」 もともと当てがあったワケでもない。 すぐに脳内の予定表を書き換えて、秋山は北側へと背を向ける。 (ま、金剛番長は向かっているだろうけど……ね。 でも、そんな『相手の誘いに真っ向から乗る』なんてのは僕のスタイルじゃない) 大切なもののためならばどこまでも卑怯になる。 それこそが、卑怯番長のスタイルにして生き方。 通すスジなのだ。 【D-5 モチノキデパート前/一日目 黎明】 【秋山優(卑怯番長)@金剛番長】 [時間軸]:最終決戦後、後日談の前 [状態]:疲労(小) [装備]:霊符(残り33枚)、ヒョウ(残り18本)、参加者名簿入り携帯端末@オリジナル(ポケット) [道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、ヒョウ(25本)&符(50枚)&十五雷正法説明書@うしおととら、 、不明支給品1(秋山は確認済)、1~3(秋山と紅煉が確認済み)、デパート内で回収したものいろいろ [基本方針]:あらゆる卑怯な手を使ってこの街から脱出し、家へ帰る。体内に爆砕符があると思い込んでいる紅煉を脅してうまく利用する。 【紅煉@うしおととら】 [時間軸]:本編にて死亡後 [状態]:ダメージ回復 [装備]:なし [道具]:なし [基本方針]:秋山優をなんとか隙を見て喰い殺す。それまでは死にたくないので従う。秋山を殺せたらあとはひたすら参加者を喰い殺す。 ※「黒炎(分身というか手下と言うか、まあセルジュニアみたいなもの)を生む能力」は制限により使用不可。 ◇ ◇ ◇ 秋山が花火の元に向かっていると推測した金剛はというと、そもそも花火を確認していなかった。 ちょうど川を渡るために水面を走っており、その水音のせいで炸裂音を聞き逃したのだ。 視線は川の向こう岸にいた男に向けられいたため、花火自体を見ることさえなかったのである。 「スッゲー……どうやったんだよ」 「片足が沈んじまう前に、もう片足を前に出しただけだ」 「人間技じゃねえ……」 あんまりにシンプルな回答に呆然とするしかないのは、オリジナルARMS『騎士(ナイト)』の適正者である新宮隼人だ。 彼のほうも、川を渡る筋骨隆々な男という突拍子もない光景に意識を奪われており、花火の存在に気付くことはなかった。 様々な能力を持つ者を見てきた隼人と言えど、沈むより先に歩く輩は見たことがない。 理屈が分かりやすいせいで余計に、超能力者や高速起動サイボーグよりもよっぽど非常識に思えた。 「えっと、金剛……晄だっけ? 俺は新宮隼人っつーんだけどよ」 キース・ブラックによる殺し合いの説明の途中で、金剛はブラックに食ってかかった。 そのせいで説明を全て聞くことなく会場へと飛ばされてしまったのだが、結果としてすべての参加者は知った。 金剛晄――金剛番長は、この殺し合いに従う気はないと。 ゆえに、隼人もまったく疑おうとせずに尋ねる。 「高槻涼ってヤツに会わなかったか? キース・ブラックに攻撃した……って、アンタは見てねえんだったな。 えーと、どう言やいいんだ? 俺と同じくれーの歳で、ボサボサした黒い髪のヤローなんだけどよ」 「見てねえな」 「もしかしたら、デッケェ鬼みたいなのになってるかも……分かりづれえな。ええと、どう説明すっかな」 「俺はまだ、変なからくり人形以外見てねえ」 「そうか……って、からくり人形?」 怪訝な顔を浮かべる隼人に、今度は金剛が問いかける。 「俺に瓜二つな男を見なかったか」 質問を頭のなかで何度も繰り返して、隼人は金剛の身体を下から眺めていく。 まずでかい。単純にでかい。 隼人は決して小柄なほうではないが、金剛と目を合わせるには見上げるしかない。身長は二メートルを優に超えている。 そして筋肉質。学ランの上からでも全身鍛え抜かれているのが分かる。 というか学ランが筋肉の形に盛り上がっている。確実にオーダーメイドだろう。 隼人はこれまで人間離れした鍛え方の人間を何人も見てきたが、金剛は少しレベルが違った。 「…………お前みてえなヤツ、他にいるかよ」 「いる。金剛猛、袂を分かった俺の兄貴だ……ッ!」 金剛が拳を強く握り締めると、全身の筋肉が呼応するように蠢いた。 思わず、隼人は言葉を呑み込んでしまう。 相手がいかなる力であろうと受け流す水の心が、勝手に乱されていく。 「じゃあな、礼を言うぜ」 用は済んだとばかりに離れようとする金剛を、隼人は呼び止める。 「なんだ」 「アンタ、殺し合いの説明聞いてねーだろ!? 教えてやるからちょっと待てよ!」 「必要ねえな。あんな野郎の言うことを聞く気はねえ」 足を止めた金剛は短く返すと、再び歩み出す。 巨大な背中が見る見る小さくなっていくのをただ見ていた隼人だったが、唐突に声を張り上げた。 「ふざッけんな! ダチ殺されたからって、強情張ってんじゃねえ! 聞いとかなかったせいで、悪矢七ってヤツの仇も取れずにむざむざ死んじまう気かよ!」 自ら話を聞こうとしなかったヤツに懇切丁寧に教えてやるほど、隼人は人がいいワケではない。少なくとも彼本人は自分をそう認識している。 ただ、許せなかっただけだ。 友人が殺されて怒るのは分かる。むかしならともかく、友ができた現在の隼人には理解できる。 だがそのために意固地になるのは、共に進んできた仲間のいる隼人には納得できなかった。 「……悪ィな。アイツのスジを通してやらなきゃならねえってのに、妙な意地張ってたぜ……ッ。頼む、聞かせてくれ」 隼人の怒声を浴びせられた金剛は、少し静止したのち引き返してきた。 バツが悪そうに、後頭部に三本の角のように逆立つ髪を擦っている。 表情も先ほどまでの険しいものでなく、落ち着いたものとなっていた。 その様子がおかしく、隼人は口元を緩めた。 「はッ、気にすんな。分かりゃあいいんだよ、分かりゃ」 「悪矢七だけじゃなくもう一人……ッ、それも番長計画と関わりのないただの高校生ッ、あまつさえ女がッ! 殺されただと!!」 隼人の説明を聞いた金剛が最も反応したのは、禁止エリアなどの己の生死に関わる点ではなかった。 赤木カツミという名の隼人と同じクラスの女子生徒が、戦う術を持たない彼女が、なにもしていないという彼女が――命を落とした。 何よりもそれに怒り悲しまなければ、金剛番長ではない。 熱くなった感情が抑えきれず、子どもの頭ほどもありそうな拳が地面に叩き付けられる。 エネルギーは地面に収まらず、川の水面に大きな波が生まれた。 「さっき言った高槻ってのは、そのカツミの幼馴染なんだよ。 カツミが死んじまったせいでアイツが暴走しちまってるなら、俺はアイツを止めなきゃなんねえ。そういうワケだ。またな」 「待て」 今度は、去ろうとする隼人を金剛が呼び止める。 金剛の脳裏に浮かぶのは、巨大な兄の姿だ。 母を喪い帰国したあの日、兄は全人類の敵となろうと決心した。 日本番長として、世界を一度破壊する想いを固めたのだ。 そのことを知らず――正確には決意の固さに気付かず、金剛番長は日本番長に敗北を喫した。 「愛する人間を喪った人間の憎悪はバカでけえ。 生半可な覚悟じゃ……返り討ちになるだけだぜ」 そんな過去があるからこその忠告に、隼人は当たり前のように返す。 「言われなくても、んなこたァ分かってるぜ。 だけど同時に、アイツなら憎悪なんかにゃ飲み込まれねえって信じてる。 ただもしも仮に飲み込まれちまったんなら、アイツを殺す。そう、約束したんだよ」 「そうか……だったら下らねえこと言っちまったな。許せ」 自嘲気味に笑みを浮かべながら告げられた隼人の言葉に、金剛はあるものを感じた。 一度決めたことは何があろうとも、たとえ死んでも貫き通さんとする意志。 すなわち、男の心に一本通ったスジ。 「気にすんなよ。アンタも、俺らとキースのいざこざに巻き込んじまって悪かったな」 「お前が謝ることはない」 「はは、ずいぶんサッパリしてるぜ。じゃあな。用が済んだらまた会おうぜ!」 「ああ!」 と別れを告げ合った両者だったが、互いにすぐ足を止めた。 川の向こう岸から迫りくる何者かの気配を察知したのだ。 金剛のように水面を走るのではなく、上空を飛んで。 「なんだ、ありゃあ!?」 二人の視界に映った接近者は、四体の化物であった。 金剛の身長をも超える体長のウナギ。 バレーボール大の白い毛の塊。 毛の塊と同サイズのトカゲ。 それら三体を乗せ、高速で宙を舞う巨大なエイ。 「止まれ」 そんな化物を前にしても、金剛の態度は変わらない。 言葉が通じるかなんて試そうともしていなかった隼人は、目を丸くする。 「止まれと言っている!!」 金剛は声を荒げるも、化物集団は反応しない。 むしろ、移動速度が上がっている エイが空中で旋回し、乗せている三体を下ろす。 そのまま回転を続け、両手をポケットに入れたままの金剛へと突っ込んでいく。 鍛え抜かれた腹筋に接触する寸前で、エイは急に方向転換して上空へと吹き飛んだ。 「話を聞けッ!!!」 いつの間にかにポケットから出ていた金剛の右腕は、大きく振りかざされている。 ギリギリまで退くのを待っていたが、それでも相手は仕掛けてきたのだ。 ならば、男として迎え撃つのみであった。 どちらもスジを通すためにぶつかった場合、金剛番長は相手に容赦をしない。 「――よそ見してんじゃねえぜ、金剛」 火花が散る音を捉え振り返ろうとした金剛の前に、隼人が出てきていた。 『騎士』の第一形態を発動させており、鉱物化した左腕から鋭利なブレードが伸びている。 その刃部でもって、ウナギが放った電撃を受け止める。 「ぬるいぜ!」 ナノマシンであるARMS最大の弱点は電気だが、ARMSは一度受けた攻撃の耐性を作ってしまう。 そして隼人の『騎士』は、一時的に機能を停止した過去がある。 とはいえ電圧次第では耐え切れない可能性もあったが、放たれた電撃はすでに『騎士』には効かない程度のものであった。 攻撃が緩まるのを待たず電撃を身に受けながら、隼人はウナギへと接近しブレードを凪ぎ下ろす。 「あぁ? どうなってやがる?」 隼人の口から、腑に落ちないといった声が零れる。 尾を貫かれたウナギが彼方へと飛んで行ったのだ。 困惑する隼人の視界の片隅に、オレンジ色の炎と針じみた毛が映った。 「よそ見するなよ、隼人」 「……言ってくれるぜ」 トカゲの吐き出した炎と毛玉の射出した毛は、どちらも隼人に届くことはなかった。 金剛が思い切り振り抜いた拳の風圧だけで、勢いを殺されてしまったのである。 状況を把握しきれていないらしく、残った二体の化物は反応が遅れる。 その隙に、どちらも金剛の拳で吹き飛んだのであった。 「ここには、奇妙な生き物がいるみてえだな。気をつけろよ」 「奇妙で片付けていいのか……?」 離れていく金剛の背を見送りながら、隼人は化物たちの姿を思い返す。 四体とも首輪をしていなかったので、参加者ではない。 ということは、あのような化物をキース・ブラックは会場に放っているのだろうか。 エグリゴリの技術をもってすれば、現実に存在しない動物を作り出すことだって難しくはないだろう。 もう一つ、別の可能性も隼人のなかに浮かぶ。 化物たちが支給品であるパターンだ。 人の指示通りに動くサイボーグを、隼人は知っている。 (…………って、あんなもんあのガキくれーじゃなきゃ操れねえか。 ちッ、やっぱブラックがここに放し飼いにしているだけかよ。なに考えてっか分かりゃしねーぜ) サイボーグを自分の肉体のように操るのは、類稀なる頭脳の持ち主でなければ無理だ。 そんなことくらい、隼人は重々承知している。 【C-5 河原東側/一日目 黎明】 【金剛晄(金剛番長)】 [時間軸]:王様番長戦直前、バンカラタワーに向かう途中。 [状態]:健康 [装備]:無し [道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式 [基本方針]:スジを通す。 【新宮隼人】 [時間軸]:15巻NO.8『要塞~フォートレス~』にて招待状を受け取って以降、同話にてカリヨンタワーに乗り込む前。 [状態]:健康、共振波を放出中 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、支給品1~3(未確認) [基本方針]:仲間たちと合流してブラックのプログラムを叩き斬る――が、その前にまず高槻を探す。 ※ある程度近づかなければ、ARMSの共振を感知できないようです。完全体となった場合は不明。 ◇ ◇ ◇ 隼人が支給品ではありえないと判断した式神は、実際のところ武器として支給されたものだ。 そしてその持ち主は、すぐ近くにいた。 川の向こう岸で、隼人を観察しているのだ。 (やれやれ。川が荒れていたけど、あれを攻撃だと判断したのかな) 白髪の老人、才賀正二――の顔を模したフェイスレスは思考を巡らせる。 四体の式神に先に花火の元まで向かわせ、自分はその後を追う。 そんな予定は、だいぶ早い段階で覆されてしまった。 しかしフェイスレスは、現状を悪くないと判断する。 まだ先行の式神と距離が離れる前だったため、計画が崩れたことをすぐに知ることができた。 失敗を知らないより、遥かにマシである。 撃退された式神をすぐ紙に戻すことができたのも幸運だ。 (さて、どうするか……だね) 少し前までは、花火が打ち上がった場所にいち早く向かうつもりであった。 にもかかわらず、フェイスレスは悩んでいる。 目的を変えないか隼人と接触するか、その二択である。 もとより、フェイスレスは決して殺し合いに乗り気ではない。 目的のために他者を殺すのに躊躇はしないだけで、最後の一人になるつもりはさらさらない。 かねてより抱き続けていた彼の夢は、エレオノールを手に入れること。 そのためには、最低でも三人は生き残らねばならない。 エレオノールを手に入れるフェイスレス自身。 手に入れるべき才賀エレオノール。 フェイスレスの器となる才賀勝。 その三人の生還こそが、殺し合いにおける最終目的なのだ。 才賀正二の悪評を広めるのは、あくまで遊びに過ぎない。 天才ゆえに目的を達成しつつ楽しむ道を選んだだけだ。 さて、三人で生還する上で最も邪魔な存在とは誰か。 考えるまでもなく、キース・ブラックである。 まず首輪を外し、キース・ブラックの元へと向かい、三人で帰る。 そのために必要なのは、情報だ。 いかに天才と言えども、ゼロから何かを作り出すことは不可能だ。 錬金術師とて、媒介もなにもないところから賢者の石を作成できるものか。 フェイスレスは夢のために、キース・ブラックの情報を求めている。 そのために接触したかったのは、五人だ。 キースという名を持つ関係者と思しき四人と、ブラックを知っているようであった高槻涼。 また、殺し合いの説明がされる前に『アザゼル』などと呟いた者も情報を持っていると思えたが、それが誰なのかは特定できなかった。 隼人は接触したかった五人ではないが、高槻涼の右腕のように左腕が変形している。 何かしら接点があるに違いないと、フェイスレスは推測した。 だからこそ悩むのだ。 花火の元にはエレオノールがいるかもしれないし、ブラックの情報を持っている参加者と次に会えるのはいつになるか分からない。 式神を向かわせようにも、撃退された四体はエネルギーを蓄えている最中だ。 熟考を重ねつつ、フェイスレスは隼人の左腕に目をやる。 鉱物のように変形し、鋭利な刃を伸ばす。 体内に収納してある武器を発現させるという点では、フェイスレスが作り出した機械人間『O』に似ているかもしれない。 もっともあくまで遠目から見た印象であり、実際は大きく異なるかもしれないが。 ふとフェイスレスは、この会場にOの旧型である『しろがね-O』がいるということを思い出す。 (ジョージくんは、僕を人形破壊者(しろがね)側のまま死んだんだと思ってるんだっけ。 旧型の自動人形(オートマータ)にすら劣る欠陥だけど、まあ味方だと信じ込んでくれてる駒があって悪いことはない) そこまで考えると、再び目の前の二択へと思考を戻す。 旧型にすぎないしろがねOのことなど、すぐにフェイスレスの脳内から消え失せてしまった。 【C-5 河原西側/一日目 黎明】 【フェイスレス】 [時間軸]:28巻、勝にゲームを申し込んだ後。 [状態]:健康、インドラ@GS美神に乗っている [装備]:エネルギー結晶@GS美神(体内)、クピラ(肩)・インドラ(乗っている)@GS美神、言霊@烈火の炎(体内) [道具]:式神十二神将の札×12(マコラ、ショウトラ、アジラ、サンチラ、シンダラ、ハイラ、他は空)@GS美神 ガッシュの魔本@金色のガッシュ、基本支給品一式×2 [基本方針]:愛しの人を手に入れるべく、エレオノールと才賀勝の捜索。才賀正二の悪評を広めるのも忘れない。 剣を出す少年と接触するか、花火の元へ向かうか……? ◇ ◇ ◇ プログラム参加者唯一のしろがね-Oであるジョージ・ラローシュは、フェイスレスの見込みと異なりフェイスレスが人形破壊者の敵だととうに知っていた。 そしてこの場においても、フェイスレスは見つけ次第殺害しようと考えている。 自動人形を陰で操っていた存在がいるのなら、倒すのは人形破壊者の定めだ。 人形破壊者として当然の行動を取ろうとしている点は、ジョージはここ数十年揺らいでいない。 ただ、なぜそうしようとするのかという点が、以前とは大きく違った。 現在のジョージは、別に『人形破壊者として』フェイスレスを殺害しようとしているワケではない。 何ごとにも飽きていた彼に、割れるような拍手と笑顔を送ってくれた。 戦う力を持たない彼らのために、彼らにまたピアノを弾くために、ジョージはフェイスレスを討たんとしているのだ。 そんなジョージは、いま全速力で市街地から離れている。 普段はロングコート状にして纏っている特殊モリブデン鋼を分解させ、十数のブレードとして高速回転。 軽々しく触れたものを容易く切り刻む『神秘の球(ボラ・ミステリオサ)』を形成して、住宅街を駆け抜けていく。 少しでも『神秘の球』が民家に触れてしまえば一たまりもないだろうが、ジョージは民家と民家の間を巧みに掻い潜る。 「ふん! この『牙(ファング)』から逃げ切れるかよ、曲芸師!」 傷一つついていなかった民家の壁を突き破り、黒い道着を身に着けた筋骨隆々の男が声を荒げた。 その手に武器などなく、素手で家屋を破壊したことが見て取れる。 先ほど、男はコウ・カルナギと名乗った。 ジョージとカルナギが出会ったのは、ほんの少し前のことである。 傷を癒やしたジョージが打ち上げられた花火を確認し、向かおうとしたところで鉢合わせた。 いち早く到着するべく『神秘の球』を展開していたのが災いした。 強者を求めていたカルナギの標的に認定されてしまったのだ。 数度攻防を繰り広げたのち、ジョージは目的地を変更を決めた。 カルナギは楽に片付けられる相手ではない。長引いた戦闘の末、花火が打ち上げられた地点まで到達してしまえば余計な被害者が出てしまう。 ならば、他に誰もいない場所にて戦うしかなかった。 (これ以上遠ざけるのは無理……だな) 高速回転するブレードの隙間から周囲を眺め、ジョージは判断する。 民家が障害物になってくれたため、これまでカルナギとの間に一定の距離を保つことができた。 しかし、すでに周囲に住宅はない。 そうと決めてしまえば、ジョージの行動は早い。 『神秘の球』の速度を緩めて振り返り、カルナギが現れるのを待つ。 「へッ! 観念したか!!」 ジョージが立ち止ったのを確認し、カルナギの口元が歪む。 走る勢いそのままに跳躍して、横にあった電柱を蹴っ飛ばしてさらに加速する。 蹴られた電柱は、衝撃に耐え切れず小枝のようにへし折れた。 (まるで魔物……だな) と考えて、ジョージは自ら否定する。 魔物など、この世には存在しない。あるのは人間と人形だけ。 人形のように他者の遺志に従うだけの者はやはり人形であり、悪魔(デモン)と名乗り子どものために怒れる男は人間だ。 ならば、自分自身はどうなのか――と、ジョージは不意に思った。 メトロノームのように楽譜に記されたとおりにしか奏でられなかったころとは違う。 完成された楽曲にアレンジを加えて奏でてしまった現在のジョージ・ラローシュは人間か人形か。 物思いにふける暇など与えないとばかりに、カルナギの飛び蹴りが『神秘の球』に叩き付けられた。 【E-3 南部路上/一日目 黎明】 【コウ・カルナギ】 [時間軸]:第五部開始時 [状態]:軽い疲労、両掌に軽い怪我、満腹 [装備]:なし [道具]:なし [基本方針]:サーチアンドデストロイ。ARMS、鬼丸を特に優先。刃も見つけ次第ブン殴る。 【ジョージ・ラローシュ】 [時間軸]:本編死亡後 [状態]:健康、疲労(小) [装備]:無し [道具]:ジードのタバコ@金色のガッシュ、ランダム支給品0~2、基本支給品一式 [基本方針]:脱出して子供たちにピアノを聞かせる。乗る気はない。 ◇ ◇ ◇ ジョージが存在を否定した魔物――蛍の化身たるルシオラもまた、花火を視界に捉えていた。 彼女の当面の目的は、他の参加者を殺害して支給品を奪うこと。 花火が打ち上げられたのならば、その真下に参加者がいるのは明白である。 にもかかわらず、彼女は花火の元へと向かおうとしなかった。 花火を美しいと思う感性の持ち主ならば、ちょっとくらい後に回してやろうと考えたのだ。 輝けるのはほんの一瞬だけで、すぐに散り散りになって闇に溶けてしまう。 そんな花火に、彼女が好きな夕陽を重ねてしまったのだ。 少しの時間しか見られない昼と夜の微かな隙間は、彼女にとってとても魅力的だった。 本当に短い時間しか存在しえないから美しい、と。 そう、ルシオラは考えていた。 あるいは、思いたかったのだろうか。 一年という短い寿命しか持たない彼女は―― (ああ、アシュ様どこにいらっしゃるのですか) 流れる川の上を飛びながら、ルシオラはこの会場のどこかにいるはずの主に思いを馳せた。 【C-2 上空/一日目 黎明】 【ルシオラ】 [時間軸]:横島と夕日を見る以前。 [状態]:負傷と疲労(自力で回復中)。 [装備]:竜の牙(勾玉状態)@GS美神極楽大作戦!! [道具]:基本支給品一式、蔵王(空)@烈火の炎、空白の才の木札@植木の法則 [基本方針]:アシュ様のために行動する。参加者を殺し支給品を奪う。花火が打ち上がった付近は後回し。 ◇ ◇ ◇ ルシオラが捜索しているアシュタロスは、花火が打ち上げられた地点へと歩んでいた。 彼にとって殺し合いなどどうでもいいものの、目的のためには全参加者を殺害せねばならない。 だからこそ、参加者が集うであろう場所を目指すことにしたのだ。 魔力を足元に集中させ、川の水面をさながら地面のように踏み締める。 その気になれば瞬く間に目的地へと辿り着くだろうが、アシュタロスはあえてそれをしない。 どちらにせよ、彼に敵う者などいない。 神族とて、魔族とて、人間とて、アシュタロスクラスの魔神を滅ぼすなど不可能だ。 また勝たねばならない。邪悪であれねばならない。踏み躙らねばならない。 空を見上げると、いつもと変わらない月が浮かんでいた。しばらくすれば沈み、太陽が顔を出すだろう。 アシュタロスは、もはやそれらと変わらないのだ。 決まった周期で同じ動きしかしない。いや、できない。 ゆえに、足取りが重くなる。 川を渡り切ったアシュタロスは、さながらただの人間であるかのようなペースで進み続ける。 (どうせなら、強者と巡り合いたいものだ) 最上級魔族である自分を殺せる存在など、この世には存在しないのだが。 胸中で付け加えて、アシュタロスは自嘲気味に笑った。 【C-3 中心部路上/一日目 黎明】 【アシュタロス】 [時間軸]:横島がエネルギー結晶体を破壊する直前 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、支給品1~3 [基本方針]:優勝し、ブラックも殺す。滅びたい。ひとまず花火のほうへと向かう。 ◇ ◇ ◇ アシュタロスが空を見上げたころ、氣法師・朧も同じように空を眺めていた。 天体から現在地を推測しようとしたのだが、いまいち掴み切れずに終わる。 この地に転送されて以来、朧は感覚が僅かに乱れているように感じていた。 どうにも奇妙な違和感があるのだ。 妖気に似たなにかが立ち込めており、人の気配を感じ取りづらくなっている。 そのため場所を特定しようとしたものの、世界の妖気の溜まり場とは合致しない。 大地に流れる気が一際強い場所なのだろうかとも考えたが、そんなところは龍脈地図でもなければ特定できまい。 やれやれと呟いて、朧は肩をすくめた。 水晶髑髏が関わっている以上、どんなオーパーツが出てきてもおかしくはないのだ。 視線を空から戻して、再び足を踏み出す。 花火が打ち上げられたのは確認していたが、来た道を戻ることになるので向かわない。 感覚の異変が結界によるものなのかを確認するべく、朧は会場の端を目指しているのだ。 それに、参加者同士の戦いで死んでいるようなら、キース・ブラックには到底勝ち目はない。 (どうせなら、強者と巡り合いたいものですね) まだ見ぬ参加者を求め、黒衣の氣法師は夕闇に溶け込んだ。 かくして―― 世界最高の氣法師と称されるまで登り詰め人間の枠を超越した仙人を目指す朧と、最上級魔族として生誕しながらも種族の枠を超えることを諦めて滅びを望むアシュタロス。 各種族の最高峰であるものの、種族に対する考えが全く異なり目指す場所もまた異なる。 そんな彼らは――出会いもしなければ、当然ながら闘いもせず、お互いを知り合うことさえもなかった。 さながら両者の目的の違いを表すかのように、まったく別の方向へと進んでいく。 少なくとも現時点においては、人間と魔族の最強同士の歯車は噛み合わなかった。 【C-4 西部路上/一日目 黎明】 【朧】 [時間軸]:不明 [状態]:健康 [装備]:無し [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、水晶髑髏@スプリガン、中性子爆弾@ARMS [基本方針]:殺し合いに乗る気はない。 *投下順で読む 前へ:[[ガキじゃいられない]] [[戻る>第一放送までの本編SS(投下順)]] 次へ:[[チェイン]] *時系列順で読む 前へ:[[ガキじゃいられない]] [[戻る>第一放送までの本編SS(時系列順)]] 次へ:[[ナビ]] *キャラを追って読む |010:[[ぐれんとゆう]]|秋山優(卑怯番長)|069:[[モーニングティーを飲みに行こう]]| |~|紅煉|~| |031:[[ホームラン]]|金剛晄(金剛番長)|083:[[エンカウント]]| |019-a:[[現在位置~Where do we come from? 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