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  • 殺したらおわり(後編)

殺したらおわり(後編)

最終更新:2013年01月27日 01:15

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殺したらおわり(後編)◆hqLsjDR84w



 ◇ ◇ ◇


 土門が吹き飛ばされたのは、さとりやバロウのすぐそばであった。
 駆け寄った高嶺清麿と横島忠夫を追うように、マシン番長もゆっくりと足を進める。
 土門の身体に埋め込んだARMSコア『グリフォン』は、彼の肉体に完全には適合しなかったのだ。
 体内すら見透かす高性能カメラアイを内蔵したマシン番長には、移植した直後に分かってしまった。
 目を覚ました土門には、偽ることなく伝えた。
 申し訳なさでいっぱいだったというのに、返ってきたのは感謝の言葉であった。

(ナゼダ……)

 エネルギー切れ寸前のボディを動かしながら、マシン番長は考える。
 彼のコンピュータをもってしても、答えは出ない。
 寿命が僅かに伸びただけで、石島土門の死は確定していた。
 にもかかわらず、彼は笑っていたのだ。
 死を約束された身体で、霧沢風子の前に立ったのだ。

 ――『死んだら終わり』のはずなのに。

 疑問が解消できぬまま、マシン番長は土門の元に辿り着く。
 清麿と横島は沈痛な面持ちを浮かべており、さとりとバロウは無言を貫いている。
 仮にマシン番長の目が体内を視られる代物でなくとも分かるほど、もはや土門の死は明確であった。
 全身に刻まれた亀裂は深く、表面は砂のように零れ落ちている。
 両脚に至っては完全にくずれてしまい、単なる灰の山でしかない。
 そんな状態でありながら、土門は歯を噛み締めている。

「クソ……もうちょっとだったのによォ!」

 死に行く身で、心底悔しそうに。

「あんなデケェ竜巻出せんのかよ!
 上から飛びこめるっつっても、アレじゃあ届くワケ……!」

 もう終わっているというのに、未だ未来を見ていた。

「そ、そうか! ようは台風だ。中心に風はない!」

 はっとしたように、清麿が玉とコピー用紙を取り出す。
 その玉の正体を、マシン番長は先ほどすでに聞いている。
 紙を操作する魔道具『式紙』だ。
 これを使用すれば上空から侵入して、風神剣を叩き落せるかもしれない。
 そう考えたのだろうが、マシン番長のカメラアイは彼らの想定外の現実を見ている。

「イヤ、違ウ。上部サエ、風デ覆ワレテイル」

 風子を中心に展開する竜巻には、一切の穴がなかった。
 完全に、四方を風で覆っているのだ。
 マシン番長の推測通り、式紙で操作されたコピー用紙は彼方に吹き飛ばされていく。
 風子の真上から侵入しようとしたというのに、近付くことさえ叶わない。

「バカな! 全方向を風で覆う竜巻なんて、存在するはずが――」
「通常ではあり得ぬものを作り出すのが、妖(バケモノ)なのさ」

 清麿の声を遮るようにして現れたのは、見知らぬ白髪の壮年男性であった。
 さとりに鋭い視線を飛ばしていたが、それ以上に警戒するべき存在に気付いたらしい。
 竜巻と中心にいる風子に視線を向けてから、彼は下唇を噛み締める。

「私は蒼月紫暮と申すもの。
 光覇明宗に属す法力僧で、あのような妖の退治を生業としている」

 真っ先に食いついたのは、土門である。
 上半身だけを起こして、勢いよく身を乗り出す。

「マジかよ、オッサン! いいとこに来てくれたぜ!
 あそこにいる風子が持ってる風神剣っていうのが、なんでも魔剣とからしくてだな!」
「ああ……分かっている」
「どうにかしてくれ!」

 端的な説明と要請ののち、土門は頭を下げる。
 紫暮のほうは、苦々しい表情を浮かべたままだ。

「アレだけの妖気を放つ相手となると、なにも持たぬ私には正直厳しい。
 私の法力を増幅させる法具さえあれば、また話は別になってくるのだが……
 このなかに、『錫杖』や『独鈷』や『札』といった法具を持っているものはいないだろうか?」

 静寂が、辺りを支配する。
 誰一人として声を上げるもののいない現状を見て、紫暮が不甲斐なさそうにほぞを噛む。
 打つ手がない現状に、土門は右拳を地面に叩き付けた。
 彼の身体に刻まれた亀裂はいっそう深くなり、右腕は肩から先が塵と化した。

「……一応、アルニハアル。法具トハ、トテモ言エナイガ……」

 自らを痛めつける土門を見て、マシン番長はためらいながらも切り出す。

「俺ノボディヲ構成スル合金ニハ、銅、錫、亜鉛トイッタ法具ノ素材トナル金属モ使ワレテイル」

 だからといって法具の代わりになるのかは、まったく定かではない。
 そもそも紫暮の話した内容自体が、マシン番長にとっては信用し難い。
 光覇明宗などという宗派は、コンピュータ内の膨大なデータにヒットしない。
 だいたい妖怪とは、人々が理解できぬ現象を説明するべく作り出した想像上の存在のはずだ。
 いままでのマシン番長ならば間違いなく、紫暮をペテン師と判断していただろう。

 しかしながら、他ならぬ土門が信じている。
 もう長くない身体で、突如現れた紫暮に一抹の望みを賭けようとしている。
 ならば、マシン番長はその判断を信じるだけだった。

 蒼月紫暮を信じるのではなく、蒼月紫暮を信じる土門を――信じようと思った。

「君は……機械なのか……?」

 紫暮は目を丸くしながら、マシン番長のボディを眺めていく。
 土門との戦闘で刻まれた傷から覗く配線を見て、どうやら納得したらしい。

「ありがたい。
 法力が体内を通る際、かなりの痛みが伴うが……やってくれるか?」
「構ワ――」
「ちょっと待ってくれ」

 すんなりと受け入れようとしたマシン番長だったが、清麿が割って入ってくる。

「あの、紫暮さん、一つ聞かせてもらいます。
 マシン番長さんに法力とやらを通すというのは理解できましたが、それで……風子さんは助かるんですか?」
「…………」

 その無言は、あまりにも雄弁すぎた。
 眉間にしわを刻みながら、清麿が深く頷く。

「……やはりか。マシン番長さんのボディにいくら法力とやらを蓄えても、風子さんには関係がない。
 蓄えた法力を風子さんに『ぶつけて』やって、その上で『解き放って』やらなきゃいけない……違いますか?」

 清麿は、己の推測をとうとうと述べていく。
 さながら、なにか心当たりでもあるかのように。

「…………ああ、そうだ」

 再び立ち込めた静寂を破ったのは、紫暮の肯定であった。
 怒りを露にして、土門が喰ってかかる。

「ふざけんな! そいつがボロボロなの、見りゃ分かんだろうがっ!
 あんな竜巻破って、風子に近づけるかよ! どうにか近づけたとしても、ただじゃすまねえだろっ!」

 他に方法がないゆえの、苦渋の決断であったのだろう。
 紫暮は弁解をするでもなく、静かに頭を下げた。
 それ以上追及する気は土門にもないらしく、すぐに大人しくなる。
 ともあれ、またしても打つ手がなくなっただけである。

(……違ウ)

 打つ手自体はある。
 それを選んでいないだけだ。
 土門が紫暮を責めたのは、マシン番長に選ばせなかったからだ。

 もしも危険を知った上で、マシン番長が自らの意思で選んだのならば――話は別のはずだ。

「問題ナイ。竜巻ゴトキ、突破シテミセル」

 ゆえに、マシン番長は断言する。
 自らの意思で、自らの進む道を選ぶ。

「なっ! おい、お前なに言ってんのか分かってんのか!?」
「分カッテイル」

 マシン番長は断言して、紫暮の元に歩んでいく。

「死ぬかもしんねーんだぞ!?
 お前、もう身体ガックガクじゃねーか! もうヤベーんだろ!?」
「損傷ハ自己修復デキルガ、エネルギーハ枯渇寸前ダナ」
「だったら……! 余計なことしねえで休んでろよ、バカ野郎!」
「断ル」

 あっさりと否定すると、土門は目を見開いた。
 しばらくして我に返ったのか、また声を荒げる。

「ふざッけんな! 俺はたしかに風子のヤツを助けてやりてえけど、そのためにお前に死んで欲しくなんかねーんだよ!
 人に気ぃ遣ってんじゃねえよ! せっかく製造者様の言いなりじゃなくなったのに、他人のために死のうとすんなよッ!!」

 泣きわめくような絶叫を受けて、マシン番長はようやく合点がいった。
 引き止めてくる理由が分からなかったが、どうやら誤解があったらしい。

「オ前ハ、勘違イシテイル」

 だったら、誤解を解くだけだった。

「俺ガ、ヤリタイ」

 怪訝そうな土門に言い聞かすように、マシン番長は続ける。

「他ノ誰かノ命令ジャナイ。
 他ノ誰カノ言イナリニナル気ハ、モウナイ。
 俺ガ俺自身ノ意思デ、風神剣ニ操ラレテイル霧沢風子ヲ――」

 遭遇時に浴びせられた言葉が、メモリーのなかからフラッシュバックする。

 『救ってやる』――と。
 命の意味を知らぬマシン番長に、石島土門はそう叫んだ。
 自分とは無関係の他人にもかかわらず、たしかに言ったのだ。

 ずっと意図が分からなかったが、いまなら分かる。

 自分の意思で進もうとしない風子を見ていて、マシン番長も――同じ思いを抱いたのだから。


「救イタイ」


 話していて、マシン番長はもう一つ理解した。
 死ぬことが確定していながら、土門はなぜ立ち上がったのか。
 どうして感謝の言葉を残して、暴走する風子の前に立ったのか。

 自らも、エネルギー切れ確率百パーセントのミッションを選択したのだ。

 ――もはや、疑問は氷解していた。

「はっ、そうかよ。
 しゃーねえな。俺の大事な役、譲ってやるよ」

 土門のほうも、きっと納得してくれたのだろう。
 しばし間を開けてからおかしそうな笑みを浮かべ、すぐに真剣な表情になる。


「風子を抱き締めてやってくれ」


 竜巻を突破したのち、それだけのエネルギーが残っている確証はない。
 そんな計算結果を踏まえた上で、マシン番長は言い切る。

「任セロ。俺ハ、タダノ機械(マシン)デハナイ。
 『テメェノ意思』デ、『テメェノヤリタイコト』ヲ選ンダ機械ダ。
 言タコトニ従ッテイル霧沢風子ノ竜巻程度、突破デキナイハズガナイ」

 なんの理屈も通ってない断定さえ、いまのマシン番長にはできるのだった。



「悪魔退散、怨敵降伏、七難速滅、復速生秘、法身において――」

 紫暮の詠唱が進むごとに、マシン番長の身体を痛みが走り抜ける。
 すでに負っている損傷を抉り込むような感覚だったが、実際のところ損傷箇所が増えることはない。
 むしろ、マシン番長のボディは修復を進めている。
 おそらくこれが法力が伝わる感覚なのだろうと、一人納得する。

「準備は完了した。
 あとは君が風子ちゃんに接触してくれれば、私が最後の一句を唱えて終いだ」
「了解シタ。突入スルタイミングハ――」
「まだだ!」

 声に被せるようにして、清麿の指摘が入ってくる。
 全方向を風で覆った自然ではあり得ぬ竜巻でも、内部の空気が薄いのは変わらないらしい。
 それに気付くきっかけとなったのは、さとりの一言だ。
 風子が息苦しいと考えたのを読み取り、誰にともなく呟いた。
 そしてその数刻後、たしかに竜巻の勢いが僅かに緩まった。
 ただでさえエネルギーが枯渇気味な現状、微かながらも消耗を少なく済ませられるのならば、是非ともすがりたいところだった。

 とはいえ機械であるマシン番長には、人間が呼吸をするタイミングが分からない。
 竜巻を構成する風が弱くなり、竜巻内の風子の喉が動く瞬間。
 これは目視できるものの、それから動き出したのでは遅すぎる。

 心を読めるさとりに尋ねてみたが、彼にも読み取れないとのことだった。
 息苦しいという思いは読み取れても、何秒後に呼吸をするという思考は読み取れないらしい。
 竜巻を弱める際に風子はいちいち意識しておらず、無意識で行っているようだ。

 タイミングを見計らえるのは、清麿だけだった。
 なんでも、戦闘において息継ぎするタイミングについて、誰より詳しい自信があるという。
 自信を裏付けるように、すでに三回息継ぎするタイミングを当てている。
 それだけ確認すれば、もう信じるに値する情報だ。

 テストは終わり。
 次が――本番だ。

 突入するマシン番長だけでなく、全員が清麿の号令を待っているだろう。
 誰一人として口を開くことはなく、緊張感が辺りを包む。
 唯一、竜巻の風切り音だけが住宅街に響きわたる。

「――いまだっ!!」

 清麿が言い切るのを待たず、マシン番長は右足で地面を蹴った。
 左足が地面につくより早く、その両足裏に備え付けられたバーニアが火を噴く。
 瞬く間に上空で体勢を整えて、竜巻へと頭から突っ込んでいく。
 エネルギー残量を考慮に入れていない駆動法に、マシン番長のコンピュータが即座に反応する。
 視界にかぶさるように、無数の警告ウィンドゥが展開された。
 それらをすべて無視し、コンマ数秒と要さずにトップスピードに乗せる。
 勝手にエネルギー節約モードに移ろうとするが、許可をしない。
 力をセーブするつもりはない。
 ボディがそれを望もうと、コンピュータが指示しようと、マシン番長は従わない。
 自分で決めたやりたいことなのであるから、体内でどれだけ警告が響こうとも止まる気はない。

 それが――貫くということだ。

 凄まじい速度で流れていく視界のなかでも、マシン番長のカメラアイは標的を見逃さない。
 清麿の号令通り、竜巻の表面部が僅かに弱まっている。
 ほんの数瞬後にさらに弱まり、霧沢風子は呼吸を行うだろう。
 コンピュータを無理に動かして、計算を完了させる。
 竜巻に指先が触れる寸前に、風の勢いはもっとも弱まる。
 まさしく、ドンピシャのタイミングだ。

 マシン番長が成長を確信したとき、風子と目が合った。

「ナッ!?」

 ちょうど竜巻にマシン番長が触れた、その瞬間である。
 このまま弱まっていくはずの風速が、一気に上昇した。
 無意識のうちに呼吸を行うほど息苦しいはずなのに、風子は竜巻を強めたのだ。

(ナゼ……!)

 考えたのとほとんど同時に、マシン番長は理由を察した。
 マシン番長もまた、土門から伸ばされた手を一度払いのけたのだ。

 おそらく――いまの霧沢風子は、伸ばされた手がわずらわしいのだろう。

「グオォォォッ!?」

 相手の意図が分かったところで、なにかが変わることはない。
 竜巻が緩まったとしても、エネルギーが保つかはギリギリのところだったのだ。
 ならばこれまで以上の風速を出した竜巻を、マシン番長が突破できるはずがない。
 バーニアによる加速を乗せた身体が、少しずつ減速していく。
 このままでは、いずれ押し戻されてしまうだろう。
 もはや通常通りにコンピュータが動いてくれないが、それだけは明らかだった。

「ガァァァーーーーッ!!」

 マシン番長は叫ぶ。
 自分の推測を認めない。
 予想できる現実を許さない。

 石島土門は、万物を貫くドリルを耐えてみせた。
 予想外の現実を掴み取ってみせた。

 マシン番長は、それを知っている。
 間違いなくあった計算外の現実を記憶している。

 だから、たとえ百パーセント押し戻されるとしても――

「知ッタコトカァァァーーーーッ!!」

 肌を模した装甲が、めくれあがっていく。
 体内で配線が切れ、火花が散る音が響く。
 スピーカーが異常をきたし、声が裏返る。

 それでも、たしかに押し返さんとする風に逆らって、身体が加速した。

 叫びで自らを鼓舞するなど非合理的もいいところだが、実際に速度が上がった。
 不可解な現実であろうとも、マシン番長は受け入れる。
 風に押し戻されず、また振り回されることない。
 竜巻の中心部を目指して、まっすぐと突き進む。
 残り二十メートル、十五メートル、十メートル――
 竜巻のなかをゆっくりとだが、たしかに進んでいく。
 あと十秒と待たず、限界まで伸ばした手は風子に触れるであろう。

 ――けれど、そこまでだ。

 やけに軽い炸裂音とともに、右足裏のバーニアが弾け飛んだ。
 バーニアが片方になったせいで、一気に速度が低下する。
 くわえて二つあったものが一つになったせいで、体勢を上手く保つことさえできない。
 平常時ならば片方で問題なく飛行可能な駆動法を計算できただろうが、いまとなっては不可能だ。
 マシン番長は竜巻に弾き飛ばされ、あらぬ方向へと吹き飛ばされていく。

(スマナイ。抱キ締メラレソウニナイ……)

 頼んできた土門の姿が蘇り、マシン番長は胸中で頭を下げた。
 竜巻のなかで、ようやく竜巻が弱まっていくのが分かる。
 少し遅れた呼吸の機会を、いま作っているのだろう。
 だがバーニアが片方爆散した以上、竜巻を突破することは不可能だ。
 近付くことができなければ、抱き締められるはずがない。

(…………イヤ!)

 マシン番長は勢いよく目を見開く

 前提が間違っている。
 はたして、マシン番長とはなにか。
 その名が示す通り、機械(マシン)だ。

 ならば、できる。

 たとえ近付けなかろうと――抱き締めることはできるではないか。

「『ライトニング・フィスト』」

 掛け声とともに、マシン番長は両手首から先を射出する。
 二つの手は、風速が弱まっている竜巻のなかを凄まじい速度で進んでいく。

「なあっ!?」

 驚きを露に、風子が口を半開きにする。
 予想だにしていない事態なのか、飛ばされた手に対処できずにいる。
 その隙を逃さずに、マシン番長の手は風子の元に届く。

 唖然としている風子の両肩を掴んで、手首に付属しているワイヤーを巻き取る。

 未だボディは竜巻に吹き飛ばされている状態でありながら、マシン番長は迫ってくる風子から視線を離さない。

 そうして、着地の際に怪我をしてしまわぬよう手を回し、もう手放してしまわぬよう力強く――――ぎゅうっと抱き締めた。

 飛行がままならないのに、華麗な着地などできるはずがない。
 竜巻によって更地と化した住宅街に、マシン番長は背を打ち据えることになる。
 十数メートルほど地面を転がり、どうにか身体が静止した。
 上体を上げて風子に傷がついていないのを確認して、マシン番長は安堵する。
 その直後、何者かが駆け寄ってきて、マシン番長の身体に手を当てた。

「――封ッ!!」

 紡がれたのは、事前に伝え聞いていた詠唱の最後の一節。
 マシン番長のボディに痛みが走り抜け、眩い閃光が放たれる。
 その輝きは、抱き締められている風子の身体を包み込んでいく。
 しばらくして光が晴れていったあと、風子の額に生えていた二本の角は消え失せていた。



 光が納まったのを確認し、風子はまぶたを開く。
 異変にはすぐに気付いた。
 やかましいほど聞こえていた怨嗟に満ちた声が、いまではまったく聞こえない。
 薄暗くぼやけていた思考が、やけに鮮明だ。
 風神剣は足元に転がっている。先ほどは拾い上げるよう指示してきたはずだというのに、声は届かない。

 そこまで考えて、すぐにより大事なことを思い出す。
 勢いよく首を動かして、風子はある一点に向き直る。

「土門……」

 もはや、彼の身体は胸から上しか残っていない。
 曖昧な記憶のなかの姿と、なにも違いはなかった。
 風子の瞳から、勝手に涙が溢れ出してくる。

「勘違いすんじゃねえぞ、風子。
 ARMSっつーのに合わなかっただけで、俺がこうなったのはお前のせいじゃねえよ」

 慰めてくれるようだが、ほとんど風子の耳には入っていなかった。
 人体があのような状態に陥る姿は、見たことがない。
 もしかしたら、本当にARMSというものに合わなかったからかもしれない。

 だとしても――
 風神剣の力に魅入られたばっかりに。
 風神剣の言葉に惑わされたばっかりに。
 土門に残された時間が少ないという事実は、まったく変わらない。

 なんと声をかけるべきなのか、風子には分からない。
 土門の無残な姿を見て頭が真っ白になり、そこを付け込まれた。
 そんな事実を明かしたところで、なんになるというのか。
 同情してくれるかもしれないが、同情されるのがなによりつらい。

 土門の近くには、土門を殺そうとした二人がいる。
 被害者である土門が彼らを許したというのに、自分はなにをしていたのか。
 風神剣の言葉に従って、火影としてのルールさえ手放してしまった。
 そんな自分を土門は助けようとしてくれたのに、手を払い除けようとした。
 土門だけではない。
 他のみんなも、大して知りもしない自分を助けようとしてくれたのだ。

 人を殺す化物に堕ちかねなかった自分に、助けられる資格などあったのだろうか。
 考えれば考えるほどに、疑問が膨らんでいく。

 顔を見ることすら申し訳なくなり、風子は土門から目を伏せる。

 そんな風子の視線を追うように、すぐ近くにいるマシン番長が覗きこんでくる。
 どれだけ逸らしても、怪訝そうに見てくるばかりだ。

「…………」

 切り出すべき言葉を見つけられず、風子は無言でマシン番長を見る形になる。
 そんな風子の意図が分からないらしく、マシン番長は怪訝そうに首を傾げる。

「喧嘩ノアトハ仲直リ――デハナイノカ?」

 心底不思議そうな問いかけに、風子は目を見開いた。
 火影のメンバーは、決して全員同じ考えの持ち主というワケではない。
 むしろ正反対であり、考えがぶつかり合った回数は両手の指では数え切れない。
 そのたびに喧嘩をして、そのたびに仲直りしてきたのだ。

「いいこと言うじゃねえか、マシン番長。さすが火影の新メンバーだけあるぜ」

 かっかと笑う石島土門も。
 この場にいるらしい小金井薫も。
 すでに死んだという水鏡凍季也も。
 最初は敵として花菱烈火の前に立ち、仲間になってからも何度も殴り合っている。
 意見が異なれば譲るのではなく、殴り合って主張を認めさせる。

 それが――火影というチームであったのだ。

 忘れていたことを思い出し、手の甲を涙で拭う。
 深呼吸をして呼吸を整え、風子は土門をまっすぐと見据えた。

「ごめん、土門」
「いいぜ、風子」

 一秒の間も空けずに、返事は飛んできた。

「ヨカッ……タ……」

 その様子を眺めていたマシン番長が、安心したように言って――くずおれる。
 周囲が驚きの声を上げるのに反して、本人は意外そうでもなんでもない。

「エネル、ギー……切レ、カ…………」

 かくかくとできの悪いブリキ人形のような動作で、マシン番長は口を動かす。
 絶句したのは風子だけで、他のみんなは納得した様子だった。
 それを見て、竜巻に突入する際にでも明かしていたのだろうと、察してしまった。
 土門がせっかく見つけた火影の新メンバーが、自分のせいで倒れようとしている。
 再び、風子のなかに絶望が蘇る。

 思考の渦に落ちていく風子を現実に引き戻したのは、聞き覚えのある声だった。


「さあああああせえええるううううかあああああああああああああああああっ!!」


 土門の近くにいた横島が、なにやら振りかぶっている。
 彼がいることに気付いていなかった風子が、目を丸くする。
 これまでなにもしていなかったというのに、いきなり声を張り上げてどうしたというのだろうか。
 自体を呑み込めない風子をよそに、横島は微弱な光を帯びたピンポン玉ほどのサイズの球体を放り投げた。
 マシン番長の肉体に接触すると跳ねかえることもなく、そのまま体内に沈み込んでいく。
 目を凝らしてみると、その玉には『給』という文字が刻まれていた。

「なんと……っ。凄まじい法力を内包しているな」

 呟いたのは、風子のすぐそばで佇んでいる壮年の男性だ。
 風子がその意味を読み取れずにいると、マシン番長がいきなり立ち上がる。
 先ほどまでのぎこちない動作とは異なり、やけになめらかで柔軟だ。


「エネルギーってのが電気だかオイルだか知らねーけどよおおおお、なんにせよ『給油』なり『給電』なりすりゃあ済むだろうがあああああああああ!」


 マシン番長は目をぱちくりさせているが、風子には意味が理解できた。
 『文珠』というものの説明自体は、すでに聞いていたのだ。
 とんだ出まかせだと決めつけていたが、どうやら真実であったらしい。
 同じく文珠の話を聞いていた清麿も、ぽかんと口を開いている。

「…………マジだったのか、あの話」
「ふははは! かっこよく死ぬなんてやらせるか、ボケェェーーッ!
 助けてくれたイケメンがそのまま亡き人になるとか、そんな一生忘れられなくなるパターン許さんっ!」

 横島のいつもと変わらぬ発言に、風子はつい頬を緩めてしまう。
 余計な一言がなければ、素直に称賛する気にもなるのだが。
 ともあれ、今回ばっかりは話は別だ。
 風子が横島へと感謝の言葉を伝えようとした――そのとき。

「ありがとう、あの鬼を封じてくれて」

 風子ではなく、別の誰かが感謝の言葉を紡ぐ。
 見れば、これまで無言を貫いていた少年が掌を向けている。

「『唯我独尊(マッシュ)』」

 幼さを残した少年の声を完全に聞き取ることもできず、風子の視界は暗転した。


 ◇ ◇ ◇


 類稀なる明晰な頭脳の持ち主である高嶺清麿でさえ、現状を呑み込めずにいる。

 霧沢風子は、風神剣の支配から解き放たれた。
 マシン番長は、エネルギー切れの危機を脱した。
 横島忠夫の話が偽りではなかったことが、判明した。
 蒼月紫暮という妖怪退治のスペシャリストと知り合えた。
 殺し合いに乗っていたさとりも、風子を解放する手伝いをしてくれた。
 石島土門の死は避けられないが、風子と安らかな会話をすることができた。

 ――すべてが上手く回っていた。

 その認識は、きっと間違っていなかったはずだ。

(なのに……どうしてこうなった?)

 落ち着こうにも、落ち着けない。
 困惑している頭脳をどうにか動かして、清麿は現状を認識しようとする。

 バロウが、なんらかの言葉を唱えた瞬間。
 風子とマシン番長と紫暮の背後に、トラックほどのサイズの立方体が出現した。
 それがただの立方体ではなく『顔』であるのは、すぐに分かった。
 一面には、輝く二つの『目』と、巨大な『口』があったのだ。
 大きく開かれた口には、咥えたものを磨り潰すような歪な『歯』が並んでいる。

 その巨大な顔に――三人は呑み込まれた。

 呆然とするしかできずにいると、まったく同じ軌道からまったく同じ顔が出現し、再び飲み込んだ。
 三度、四度、五度――と奇妙な顔が奇妙な顔を呑み込み続け、そこで土門が声を張り上げた。
 しかし土門には右腕を除く上半身しか残っておらず、立ち上がることさえできない。
 いきなり出現した砲台に撃ち抜かれ、砕けかけていた身体を完全に粉砕されてしまった。

 先ほどまで土門の横で座り込んでいたバロウは、清麿にはただの少年に見えていた。
 決して、完全に信用していたワケではない。
 風子を救うのが第一であっただけで、警戒を緩めたつもりはない。
 それでもよもやいきなり凶行に出るとは、思っていなかった。
 まさか初撃で人数の不利を一気に覆しにくるとは、まったくの想定外だ。
 人数では圧倒的に有利だったゆえの安心か、風子が救われたことで気が緩んでいたのか。

 定かではないが、とにかく事実として――清麿はバロウにまんまと一杯喰わされたのだ。

「バロウ、どうして……」

 清麿がどう出るべきか見定め切れずにいると、さとりが問いかける。
 はたして彼には、バロウが凶行に出ると読めていたのだろうか。
 疑問を抱く清麿をよそに、バロウはゆっくりと振り返る。
 その顔面には、『無』が張り付いていた。
 笑うでも悲しむでもなく、また明るくも暗くもない。
 仮面でも被っているかのように、表情が読み取れない。

「おかしなことを訊くなあ、さとりさん」

 おかしそうな口調に反して、表情はやはりなかった。

「だって言っていたじゃないか……土門さんも。
 機械の人だって、同じことを思っていたはずだよ」

 質問の答えなど、とうにさとりには読めているはずだ。
 そのくらい分かっているだろうに、バロウは話すのを止めない。


「殺したら――終わりなんだってさ」


 淡々と語るバロウは、さも自分自身に言い聞かすかのようだった。
 疑問には答えたにもかかわらず、バロウは静かに続ける。

「僕らは終わってるんだよ、さとりさん。
 いまさら一緒になんていられるはずないじゃないか、風子さんじゃあるまいし」

 バロウの表情は、まったく変わっていない。
 依然として、皆無である。
 なのに――清麿には、彼が泣いているように見えた。
 誰の返事も待たず、バロウは復唱するようにもう一度。

「僕らは、終わっているんだから――さ」

 数刻静寂が辺りを支配したのち、さとりは清麿らのほうに向き直る。
 バロウの側に立って、海月を振り上げる。

「クソッ。マジか、お前ら……!」

 言って、横島もまた両腕を振りかざす。
 数回腕を上下させてから、ゆっくりと自分の腕を眺める。
 三十秒ほどその動作を繰り返し、ようやくなにも持っていないことに気付いたらしい。

「しもたああああああああああああああ! あんまりにも安心して霊波刀消してもうてたああああああああ! 堪忍やあああああああああああああああ!」

 ばたばたと腕を動かして、横島がのた打ち回る。
 おどけたような動作だったが、彼に飛んできた返事はひどく冷たい。

「バロウ、こいつ『勢いで誤魔化してやろう』と思っているぞ」
「うん、察してた。察してたけど、あんまりにも見苦しくてちょっと」
「あァ。それも読めてたけど、一応言っておこうと思ってなァ」
「ぎゃあ」

 横島が頭を抱え――瞬間、轟音が響いた。
 バロウとさとりに遅れて、清麿と横島も音の方向に視線を飛ばす。
 そちらでは、奇妙な顔が煙を立てて爆発している。
 バロウの力によるものか、奇妙な顔が掻き消える。
 呑み込まれたのは三人だというのに、顔があった場所にいるのは一人。
 紫暮が白い僧衣を赤黒く染めて、地に伏しているだけである。

「バロウ、上だ!」

 さとりの声に従って、他の三人も上空を見上げる。
 左足裏のバーニア一つで飛ぶマシン番長が、そこにいた。
 右腕の肩口から先が存在せず、切断面から火花を散らしている。
 残った左腕で抱えられている風子には、目立った傷がない。

「――くッ! 『唯我独尊』!」

 目に見えて平静さを失いながら、バロウが先ほどと同じ単語を叫ぶ。
 奇妙な顔がマシン番長の背後に出現するが、その大口は虚空を噛むだけだ。
 来ると分かっていれば、マシン番長にとっては避けられないものではないらしい。

「さとりさん!」

 数回攻撃を繰り返して、勝ち目がないと判断したのだろう。
 土門が所持していた二つのリュックサックを掠め取ると、バロウはさとりの手を掴んだ。
 彼の靴を覆うようにして、ローラースケートのようなものが出現する。
 その車輪が勢いよく回転し、凄まじい速度で遠ざかっていく。
 数秒後には、彼らの背中は見えなくなった。

「……ちくしょう」

 歯噛みしながら、清麿は土門であった塵山の元に歩み寄る。
 彼が纏っていたボディスーツは傷だらけで、とてももう使えないだろう。
 灰山のなかに、輝く欠片がいくつもある。
 拾い上げてみたが、ARMSコア『グリフォン』はいくつかの破片に分かれてしまっていた。
 組み合わせたら球体にはなったが、少し力を抜けば崩れてしまう。
 清麿の掌から、土門であったものが零れ落ちていく。
 掌の上で、ARMSコアの破片は氷のように冷たい。

「……ちッくしょう…………!」

 口から漏れるのは、同じような言葉ばかりだ。
 ARMSコアであった欠片を握る力が、知らず強くなった。
 微かな音を立てて、欠片は完全に砕け散った。



 マシン番長に下ろされた風子は、紫暮、土門、マシン番長と一人ずつ眺めていく。
 悔しそうに歯を噛み締めて、なにかを探すべく視線を下に向ける。
 目当てのものは、紫暮の亡骸のすぐ近くにあった。
 紫暮のものと思われるリュックサックの傍らだ。
 風子の視線がなにに注がれているのか気付いたのか、マシン番長が割って入る。
 彼を払い除けようとすると、しわがれた声が浴びせられた。

「その剣でなにをしようと言うんだい?」

 見れば、声の主は白銀の髪を持つ老婆だった。
 すべてを見透かすような銀色の瞳は、風子を射抜いて外さない。
 警戒心を強めているらしい清麿が何者か訊くと、視線を動かさぬまま名乗る。

「ルシール・ベルヌイユという名の、見ての通りのババアさ。
 さっきまでは、そこで死んでる蒼月紫暮と同行してたんだけれどね。
 生憎、化物だの霊だのの知識はなくてね。離れたところで見させてもらってたのさ――で、だ」

 簡潔に立場を説明して、ルシールは再び問いかける。

「アンタは、その剣でなにをしようと言うんだい?
 そいつが本物の魔剣とやらであるのは、遠くから見ていた私でも頷けるほどだよ。
 その魔剣で、アンタはどうするんだい? 助けようとしてくれたジジィとガキを殺した二人を――いったい」

 穏やかな口調だが、声音は低い。
 白銀の瞳を細めて、風子を見定めるような視線を飛ばしている。
 身体を小刻みに震わしながら、風子はゆっくりと切り出す。

「決まってんだろ……!」

 僅かに口籠ってから、声を張り上げる。

「ブッ飛ばして、頭下げさせて、二度と人殺しなんかさせねえ!
 せっかく手放させてくれたのに悪ィけど、使わなきゃ戦えねえんだよ!
 でも、もうあんな剣なんかの命令聞いてやるもんか! 私の言うことに従わせてやる!」

 ルシールの白銀の瞳を睨み返し、風子は断言する。
 しばし間を置いて、ルシールはもう一度尋ねる。

「それで、本当にいいのかい」
「いいに決まってんだろ! 土門は、アイツらを許してたんだ!
 いっぺん殺されかけたのにだ! いまさら私が殺してたまるかよ!!」

 互いに睨みあったまま、どちらも動かない。
 たっぷり一分ほど時間が経過し、退いたのはルシールのほうだった。
 しかし僅かに冷や汗をかいている風子とは異なり、ルシールは涼しい顔だ。
 『退かせた』のではなく、『自ら退いた』のだろう。
 いつの間にか口内に唾液が溜まっており、風子は慌てて呑み込む。

「そうかえ」

 ルシールはカツカツと音を立てて風子の前を通り過ぎ、紫暮のデイパックを回収する。
 そうして風神剣を拾い上げ、「へえ」とつまらなそうに吐き捨てる。
 殺意の塊が流れ込んでくるはずなのに、平然としたそぶりだ。
 目を見開く風子の元に、風神剣が放り投げられる。

「ほら」
「うわわわっ。バッ、バカ! 危ねえだろ!」

 慌てながらも、風子はどうにか柄部分を握ってキャッチする。
 握ったそばから憎悪に満ちた声が、脳内に響き渡る。

「るっせえ! 殺さねえッつってんだろーがッ! 黙って言うこと聞きやがれッ!!」

 声を無視するのでもなく、受け入れるのでもなく、正面から切り捨ててやる。
 すると、風神剣からの声は止まる。
 だが、風子は安心しない。
 諦めたかのように見せて、隙を窺ってくるのはすでに知っている。
 だから、こう言ってやるのだ。

「いつ出てきても、おんなじこと言ってやっからな。覚悟してろよ」

 くっくっく――と。
 意外にもルシールが笑い声を漏らしたので、風子も笑い返してやった。



【蒼月紫暮 死亡確認】
【石島土門 死亡確認】
【残り52名】



【C-3 北西部路上/一日目 昼】

【マシン番長】
[時間軸]:雷鳴高校襲撃直前
[状態]:全身ダメージ極大(自己修復中)、右足バーニア爆散(自己修復中)、右腕肩口から先を欠損
[装備]:なし
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:月美を笑顔にするために動く。誰も殺さない。
※一定以上の戦闘力があるとみなした人物は、番長であると判断します。
※レーダーは制限されています。範囲は不明。
※右腕喪失は自己修復不可能です。


【高嶺清麿】
[時間軸]:最終回後
[状態]:健康
[装備]:式紙@烈火の炎
[道具]:基本支給品一式×2、声玉@烈火の炎、テオゴーチェの爆弾ボール@からくりサーカス、コピー用紙80枚@現地調達、AK-47@現実
     醤油差し@現実、わさび@現実
[基本方針]:このゲームからの脱出。ガッシュに会いたい。いずれアリスとコンタクトを取る。横島を監視しつつ風子と同行する。落ち着いたら情報交換しないと。


【霧沢風子】
[時間軸]:SODOM突入前。
[状態]:疲労(大)
[装備]:風神剣@YAIBA
[道具]:基本支給品一式×2(水一本消費)、ハンディカラオケ@現実、支給品0~2(風子確認済み)
[基本方針]:このプログラムを破壊する。誰も殺さないし、もう迷わない。


【横島忠夫】
[時間軸]:文珠を出せる時期。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本方針]:死にたくない。忠夫ちんぴんちっ。胸揉みたいとか言える空気じゃねえ。


【ルシール・ベルヌイユ】
[時間軸]:真夜中のサーカス襲撃直前
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM84
[道具]:基本支給品一式×2、鍋の蓋、支給品0~2(確認済み)
[基本方針]:ドットーレを『確実に』殺す。そのためなら、多少遅れてもいい。清麿らと接触。


【さとり】
[時間軸]:紫暮&うしお戦直後
[状態]:万全
[装備]:海月@烈火の炎
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品1~5
[基本方針]:優勝し、ミノルの目を治して人間となり一緒に暮らす。


【バロウ・エシャロット】
[時間軸]:三次選考開始後、植木チーム戦以前。
[状態]:右斜めに斬られた傷
[装備]:H&K MARK23(8/12)@現実
[道具]:基本支給品一式×3+水と食料一人分、月の石×4@金色のガッシュ、RPG-7(グレネード弾×5)@現実、支給品1~7(0~3:バロウ確認済。0~1:土門確認済み。1~3:烈火確認済み、花火以外)
[基本方針]:人間になるため、最後の一人となる。
※名簿に書かれたロベルト=アノンと認識しています。




【支給品紹介】


【バラの花束@烈火の炎】
石島土門に支給された。
SODOM突入前に、土門がクラスメイトの少女・霞に手渡されたもの。
どこぞの青いバラではない。



【備考】
※アドバンスドARMSグリフォン@ARMSのコアは、完全に粉砕されました。
※御神苗優のAMスーツ@スプリガンは、胸部を抉られ、胴部を突き破られた状態で、C-3(北西部路上)に放置されています。破損が激しく、装着できる状態ではありません。




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117:殺したらおわり(前編) 霧沢風子 119:ワンダーランド2
横島忠夫
高嶺清麿
マシン番長
ルシール・ベルヌイユ
石島土門 GAME OVER
蒼月紫暮 GAME OVER
バロウ・エシャロット :[[]]
さとり
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