俺の力・お前の力
「そうか、あんたも災難だったな」
森の片隅に隠されるようにして停められた、自動車とバイク。
その傍らで、二人の男が自らの不幸を嘆いていた。
「・・・いや、そちらほどではない。
それと・・・だったじゃない、現在進行形だ」
銀髪の青年――クォヴレー・ゴードンが、もう一人の青年の科白を訂正する。
しかし、そのもう一人であるトウマ・カノウは、彼の言葉をスルーして続ける。
「だがしかし、武器がその・・・ヘッドライトビーム?だけだったんだろ?
・・・俺のは一応ミサイルついてたし、他にも色々・・・」
「耐久力の上では、生身の部分が多いそちらが不利だろう。
それから過去形じゃない、現在進行中だ。現実を見ろ」
「・・・結構、容赦ないな。あんた」
トウマはそう言うと、軽く溜息をついた。
「記憶・・・の方は、もどる気配は無いのか?」
トウマは突然、真面目な顔になるとクォヴレーにそう尋ねた。
「ああ・・・ユーゼスの仕業らしいからな。記憶を消したのか、封印したのか・・・
どうやったかは知らないが、自然に治ることは無いだろう」
クォヴレーはそこまで言って、
目の前の青年が申し訳なさそうな顔をしてることに気づく。
「・・・気にするな。俺はこれをチャンスだと思っている」
「そうか、わざわざ記憶を消したって事は・・・!」
その声に頷き、クォヴレーは言葉を続ける。
「俺に記憶があると、奴らの都合が悪いのかもしれないな」
「まあ、何をするにせよ、バイクと車じゃあな・・・」
そう言って、肩を落とすトウマ。
クォヴレーは暫くそれを眺めていたが、ふと先程の彼の言葉を思い出す。
「・・・そういえば、他にも色々とは?」
一瞬、質問の意味が解らなかったらしい。
トウマは暫く固まった後、ああ・・・と頷いて、背負っていた鞄からある物を取り出した。
「・・・これは?」
「メジャーとベーゴマだ」
トウマの言葉に首を傾げるクォヴレー。
「何ていうか・・・まあ、遊び道具だな。
ただし、コレはただのベーゴマじゃなくて、その形を模した爆弾らしい」
「なるほど、玩具の形でもって相手を油断させるのか」
「おそらく。それから、こっちのメジャーは・・・薄い刃物みたいになっているな。
たぶん、相手の油断を誘って、この部分で首元を・・・」
その言葉にクォヴレーは軽く感嘆の声をあげた。
…実際問題、彼らの想像する使い方とは少し違っているのだが・・・
「・・・ところで、その鞄の底に見える物は?見たところ、服か何かのようだが」
クォヴレーの言葉に、トウマは鞄の底からその黒い布きれを引きずり出した。
「服だな・・・俺には全身タイツに見える」
「全身タイツとはなんだ?」
クォヴレーの疑問を無視し、トウマは鞄をひっくり返す。
すると、大きく開いた鞄の口からさまざまな物が飛び出した。
湿った腐葉土の上に青いベレーや白いジャケット、
金髪のかつらに仮面など、様々な物が散乱する。
「・・・マニュアルには、副指令変装セットと書かれてた」
クォヴレーは興味深そうに銀色の仮面を見ていたが、不意にトウマに向かって言った。
「防弾チョッキか何かかもしれない・・・着てみたらどうだ?」
「断る。あんたが着たらどうだ?」
「いや、そちらの方が似合うと思うが・・・」
「似合ってたまるか!」
・・・ひとしきり、ふざけあった後・・・
「さてと、そろそろ行くか」
突然のトウマの言葉に、クォヴレーは戸惑う。
「何をするにせよ・・・今の俺達じゃどうにもならないだろ?
だから、もっと沢山の仲間を探して・・・」
「奴を・・・ユーゼスを倒す」
クォヴレーとトウマは互いに頷きあうと、
それぞれの機体・・・小さく、それでも頼りになる力へと乗りこんだ。
【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
パイロット状態:良好
機体状態:良好(変形不能)
現在位置:C-5 森から移動開始
第一行動方針:トウマと共に仲間を探す
第二行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
最終行動方針:ユーゼスを倒す】
【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
パイロット状態:良好
機体状況:良好
現在位置:C-5 森から移動開始
第一行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
第二行動方針:アルマナの発見、保護
最終行動方針:ユーゼスを倒す
備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を六個、メジャーを一つ所持しています】
【初日 14:30】
最終更新:2008年05月29日 04:27