狂気の舞踏会
「フハハハハッ!どうしたダイモス!逃げてばかりでは私に勝てんぞ!」
ポジトロンライフルを連射する、エヴァンゲリオン初号機のコックピットの中で、狂気に酔った三輪防人が叫ぶ。
「竜崎一矢!この手で貴様を殺すことができようとはな!クハハハハハハハッ!」
殺し合いという極限状態のためか、それとも生来殺人者としての気質があったのか、単純に竜崎一矢への憎しみからか、
歓喜に満ちた三輪の思考に、ダイモスのパイロットが竜崎一矢以外の人間である可能性などなかった。
「シンジのくせに!シンジの分際で!シンジごときが!」
それはダイモスの中で、やはり狂気に取り付かれたアスカも同じだった。
遭遇時に互いが互いに攻撃を仕掛け、通信回線すら開くこができ無かったせいで、誤解が溶けようはずも無かった。
だが、ダイモスはパイロットの狂気とは裏腹に一定の距離をとって、散発的な攻撃をするにとどまっている。
遭遇直後にダイモシャフトがATフィールドではじかれてからは、決して接近戦を仕掛けようとはしなかった。
「手も足も出ないとはこの事だな竜崎一矢!」
どんな攻撃だろうともフィールドがあれば防げる、つまりは負けない。
そう考えた三輪にとって、これは戦闘ですらなく自分が楽しむ為の処刑でしかなかった。だが、
「でもいいわ、もっともっと調子に乗りなさい。もう少し…もうすぐ…もうちょっと…フフフ」
劣勢であるはずのアスカの声に、狂気ではなく愉悦が混ざった。
「チッ、弾切れだと?」
撃ちつくしたポジトロンライフルをすて、エヴァ用拳銃を構える。
「ん?…くっ、くっくっっくっ、ハハハハハハハハハ!!」
笑わずにはいられなかった、ポジトロンライフルを捨てたことを確認したダイモスは、愚かにもダイモシャフトを掲げながら、
エヴァに向って突撃してくるではないか。
「馬鹿め!例え弾が切れたとしても、貴様の攻撃は効かん事にかわりない!」
走ってくるダイモスに向って拳銃を乱射する、だがろくに狙いも定めずに撃ったためほとんど当たっていない、
「チッ、これの弾もつきたか。まあいい、八つ裂きにしてからコックピットから引きずり出してくれる!
すぐには殺さん!できるかぎり痛ぶりながら処刑してくれる!」
拳銃も投げ捨て、プログッレッシブナイフを構える。
「何だと!?」
突撃するダイモシャフトをATフィールドで受けようとした瞬間、視界からダイモスが消える。
「何が起こったというのだ!?」
驚愕する三輪の背後で、この戦闘の勝利者が決まった。
背後で何か巨大なものが着地する音、いや、この場合ダイモス以外ありえないだろう、その音を聞いた三輪が急いで
振り向くと、そこには双竜剣でケーブルを切断したダイモスの姿があった。
「ほ~んと、シンジって馬鹿ねぇ」
初めにダイモシャフトで切りかかったときケーブルが見えた、どういう理由かは解から無いがこの初号機にはS-2機関
は搭載されていない、ならばケーブルを切断すればこちらの勝利だ。
しかし、簡単にケーブルを切らせてくれるわけが無い。そこで突撃するとみせかけ、ダイモシャフトを棒高跳びの棒にみたて
エヴァを飛び越えたのだ。突撃時に危険な存在となるポジトロンライフルは、それまでに撃ち尽くさせて置く、そうすれば
エヴァ用拳銃では(マニュアルを信頼すれば)ダイモスの装甲では大した傷にはならず、安心して接近できる。
もっとも、ライフルを撃ち尽くさせたのには、他にも訳がある。
「ホント、信じられないくらい馬鹿よね。フフフ、アハハハハハハハハハハハ!」
(はやく新しいケーブルをつながなければ!)
このままでは、なぶり殺しされると判断し全力で逃げさる三輪、だがアスカのダイモスはそれを追おうとはしない。
「あらあら、そんなに慌てちゃって、情けないったらありゃしないわね。
そんなに急いで逃げたら、どこに電源があるかすぐにわかっちゃうじゃない。そうか、シンジは本物の馬鹿だったわね」
もとよりこうすれば電源に向う事は解かりきっている。
そしてポジトロンライフルを撃ちつくした以上、電源そのものを破壊する事はたやすいという事も。
「まあ、どんなに馬鹿でもすぐにそれ位気付くわよね?でも心配しないでね、シンジはもっともっと怖がらないといけないでしょ?
だからすぐに行くなんてそんなツマンナイ事はしないわ、しばらく待っててあげるから、私が行くまで震えてなさいよ?フフフ…」
一時間後、エヴァが逃げた後を追って電源を見つけたアスカは、信じられないものを見た。
「何よ、それ…」
それはエヴァの死骸、
「どうしてよ!」
エントリープラグは破壊されている。
「シンジは私が殺してあげなきゃならないんだから!シンジを殺していいのは私だけなんだから!」
ダイモシャフトをエヴァの死骸に突き立てる、
「誰よ!誰がやったのよ!」
何度も何度もダイモシャフトでエヴァの死骸を切りつける、
「許さない!許さない!許さない!許さない!」
すでにただの肉片となったエヴァを切り刻みながら叫ぶ、
「殺してやる!殺してやる殺してやるころしてやるコロシテヤル!!」
そこに有るのは、人の形をした殺意だった。
【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス)
現在位置:F-6
第一行動方針:目に付いた機体の破壊とパイロットの殺害
最終行動方針:碇シンジを殺害した者を抹殺】
【初日 17:00】
「おのれ竜崎一矢!この私をコケにしおって!」
電源ユニットの前で激昂する三輪。ケーブルを刺し一安心したとたん、今までの恐怖が怒りに変わる。
「たっぷり苦しませてから殺してやる!産まれてきた事を後悔させてやる!」
「物騒な事よ」
「なっ!誰だ!?」
唐突に降りかかった声に、うろたえる三輪、
「殺気を感じて来てみたが。どうやら貴様は、このくだらん遊戯に乗った口のようだな」
「どこだ!姿をあらわせ!」
「この、馬鹿者が!ワシはここだ!ここにおる!」
一際大きなその声の方向、電源の上に4メートルにも満たないロボットが佇んでいた。
「貴様!何者だ!」
「貴様のような悪党に、名乗る名など無い!だが冥土の土産に教えてやろう…
我が名は東方不敗、マスターアジア!そしてこの機体は零影よ!」
「マスターアジア?クククッ、私を冥土に送るだと?馬鹿め!そんな小さな機体で何ができる!」
そう叫ぶや否や、エヴァと比べて余りに小さい零影に襲い掛かる、だが
「おのれ、ちょこまかちょこまかと!」
「フハハハハハハ!どうした?どうした?」
凄まじい速度で動く零影に、三輪はまったく反応できない、
「隙だらけだぞ?せいや!」
音も無く刀を抜きさり、切りかかる零影、
「何!?」
だが、零影の斬撃はATフィールドに弾かれた、
「はっはっはっ、どうだ。このATフィールドの前では、そのような機体の攻撃など、掠り傷一つ付けることはできん!」
ATフィールドで攻撃を弾き返した事により、三輪が余裕を取り戻す。
(そうだ、負けない。負けるはずが無いのだ。この鉄壁の防御があれば私に恐れるものなど何も無い!)
「だからお前は阿呆なのだ!そのようなバリアなど紙屑同然!」
「何!?」
(まさか、こちらの想像以上の武器が有るのか?)
あまり自信に満ちた言葉に危機感を覚える三輪、だが帰ってきたのは予想だにしない答えだった。
「その程度のバリア等、我が流派東方不敗の技の前では、役に立たん事を教えてくれる!」
「技だと?馬鹿が!どんな強力な武装がでてくると思えば、脅かしおって!」
「馬鹿かどうかはその身をもって知るが良い!」
そう叫び、構えを取る零影、
「ハッハッハッ、すこしはやるかと思えば、ただのボケた老人か。やれるものならやってみるが良い!」
三輪はATフィールドを完全に信頼していた、普通に考えれば、当然の事であろう。
「おうよ!ならばしかと受け止めるが良い!」
ただ相手が三輪が考えている以上に普通で無いことに、
「これが流派東方不敗!」
この時は気づきようもなかった。
「超級!覇王!電影弾!!!」
「馬鹿な!こんなことが!?」
ATフィールドが10分の1にも満たない大きさの機体の体当たりに、完全に押されていた。
「こんな事が!こんな事があるわけが無い!!」
信じられなかった、いままでバズーカやビームでさえ完全に防いできたATフィールドが、今まさに破られようとしている。
「そんな!私はこんな所で死」
その言葉がいい終わらぬうちに、零影はATフィールドを突き破り、エヴァとエントリープラグを貫いた。
「爆発!!!」
「ウルべ以外にこの様な輩が…いや、この者だけとは限らぬか」
破壊したエヴァの残骸を見ながら、最初に集められた場所に年端の行かぬ子供がいた事を思い出す、
「ならばワシがやるべきことは」
決意とともに歩みだす、
「結局は修羅の道か、だがそれもよかろう」
空を見上げる
「なあ、ドモンよ」
【三輪防人 搭乗機体:エヴァンゲリオン初号機 (新世紀エヴァンゲリオン)
パイロット状況:爆発!!!
機体状況:ミンチ】
【東方不敗 搭乗機体:零影(忍者戦士飛影)
パイロット状況:健康体
機体状況:良好
現在位置:F-6から移動中
第一行動方針:ゲームに乗った人間とウルベを倒す
最終行動方針:打倒主催者or脱出】
【初日 16:20】
最終更新:2008年05月29日 04:30