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信頼という意味


「良かったな」
「何がだ」
「どうやら、お前さんの探してるヤツは、まだ誰にも殺されちゃいないらしい」
「・・・ああ」

放送終了後。ここは、エリアG4と区切られたエリアの森の端
そこには、イキマとジュシュア・ラドクリフの機体の姿が有った
「やっぱ、今日はここらでキャンプかな」
ジョシュアが地図を見ながら言う
もうすぐ日が暮れる。このまま森を抜ければ、白地の目立つ彼らの機体は実に「よく見える」事だろう
イキマは直ぐにでも動きたい様子だったが、わざわざ危険を侵したいと思うほどの馬鹿でもなかったようだ
「ところでさ、」
「何だ?」
「そろそろ、顔を見せてくれてもいいんじゃないか?」
「・・どうしてもか?」
イキマは、これまでずっと通信も音声のみで、まだジョシュアに自分の顔を見せていなかった
顔を見せたら、自分が人間ではないのが知られたら、またこの男も敵になってしまうのか、それが不安だった
「まぁ、このゲーム終わるまでかもしれないけど、一応俺達・・仲間だろ。少しくらい信用してくれよ」
(まさか俺が、人間に嫌われやしないかと不安がるなんてなぁ・・)
操縦席で、ふふ、と思わず嗤った。ヒミカの元で戦っていた頃の自分では考えられない気持ちだった

思いきって、コクピットのハッチを開ける。数時間ぶりに外気に肌が触れる
「ほら、お望みの素顔だ」
地面へと降り立ったが、相手からは反応はない
自分の姿に驚いているのだろう。予想は出来たリアクションだが、それだけに辛かった
「・・・お、お前・・・」
「あぁ、残念ながら俺は人間じゃない。俺は・・」
「・・・・・お前・・・顔色悪いぞ・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
相手の機体のハッチも大きく開き、中から青年が降りてくる
「しかもこんなオッサンだったなんて・・あぁ、ゴメン、じゃない。すみません!俺より年上なのにお前とか言って」
目の前ですんません、を繰り返すジョシュアに呆れた顔のイキマが言う
「いや、そんな事は別にいいんだが・・驚いてないのか?」
「いや実は、ハッチ開くまでビビってた。脳に触手が生えた様な怪生物でも出てくるんじゃないかと・・」
「お前な・・どんな凄い妄想をしてるんだよ・・」
二人とも声を出して笑う。
「まぁ、最初の自己紹介でヤマタイ王国だのハニワゲンジンだの言われたら凄いの想像しちまうよな・・
 何かそれで、もっと物凄いおぞましい形の物体が乗ってるんじゃないかって思っただけだよ
 あ、別に人間じゃないとか、そんな事で俺は区別も差別もしないぜ?そういうの、けっこー慣れてるからさ
 まぁ、多少は信じてもらえてると思うけど・・改めて宜しく
 ・・えーと、イキマ・・さん?」
ジョシュアがイキマに右手を出した
「さっきまで通り、イキマで構わんよ。ジョシュア・ラドクリフ」
イキマは笑いながら、安心した顔でその手を握った

自己紹介はとっくに済ませた後だったので、二人とも地面に座るとゲームの事に付いて話しはじめた
残念ながら、(幸運にも)ジョシュアは誰とも遭遇する事は無かったので、話す事は少なかっため
専らイキマの話ばかりだったが・・彼が見知らぬ男に嵌められた事や、何故バランを探しているかをジョシュアに全て打ち明けた
「なぁ」
「何だ?」
「あのアルマナって子の亡骸、埋めてやらないのか?」
ジョシュアが、ノルス=レイの操縦席に積まれているだろうと思われる、イキマのマントにくるまれた少女の亡骸の方を見上げて言った
「ああ」
「でもこのままじゃ、3日も経たずに腐っちまうぞ」
「分かってる。だが、あいつも知ってるヤツに顔も見せないまま、こんな誰も知らない場所に埋葬されるのは嫌だろう
 バランとか言う男に会わせてやるまでは、亡骸を捨ててなんて行けん」

「・・お前ってさ、顔は悪役だけど意外といいやつだろ」
「何を言い出すんだ」
「照れてんのか?」
「馬鹿言え」
ジョシュアは、にやっと笑うと立ち上がり、尻に付いた土ぼこりをパンパンと手で叩く
「じゃ、まぁ冗談はさておき。友好の印って事でさ、晩飯でも喰おうぜ」
機体と一緒に配布された、機体のマニュアルやら地図等が入っているナップザックをごそごそと漁る
「ああ、晩飯か。それならそこらでウサギかネズミでも探してこよう」
不思議そうな顔でジョシュアが聞き返す
「え?最初に貰った携帯食料は喰わないのか?」
イキマはやや真面目な表情に戻ると
「携帯食料とやらが、ゲームが終わるまでずっと保つとは限らんし、これから先でどこでも食料が調達できるとは限らんからな
 火を使うのはあんまり褒められたもんじゃないが・・穫れる時はなるべく節約した方が良かろう」
「お前・・意外と考えてるんだな」
「・・バカにしてるのか?それに、主催者側の用意した食い物だ。何が仕込まれているか分かったもんじゃない
 まぁ即効性のあるようモノは、ゲームに影響があるから入れないだろうが・・喰って4日後にバタンじゃ、シャレにならんぞ」
「そっか・・んじゃ、俺も穫るの手伝うよ。どうすりゃいいんだ?」
「お前は取りあえず、そこらで地面に開いてる30センチ位の穴を探してくれ。それが巣穴だ。この辺の森なら多分居るだろうと思う
 穴に住むウサギは、野ウサギみたいには警戒しないからな。
 多分簡単に捕まえられる筈だが、逃がすと勿体ないんで見つけたら俺を呼んでくれよ」
「ああ、分かった。じゃぁ日が暮れる前にやっちまおう」
「そうだな」

日の光は沈みかけ、夜の帳が降りる
まだ会ったばかりの2人だったが、確実に友情の様なものが出来始めていた



【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:ガンダム試作2号機(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 ハ゜イロット状況:健康、核に重圧(仲間が出来たことで多少緩和?)
 機体状況:良好
 現在位置:G-4森の中(F側境界寄り)
 第一行動方針:イキマの探し人(バラン、ジーグ)を共に探す
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 最終行動方針:イキマと共に主催者打倒】

【イキマ 搭乗機体:ノルス=レイ(魔装機神サイバスター)
 パイロット状況:健康
 機体状況:損傷なし
 現在位置:G-4森の中(F側境界寄り)
 第一行動方針:ジョシュアと共にバランを探す
 第二行動方針:アルマナを殺した男の殺害
 第三行動方針:ジーグ(司馬宙)の打倒
 最終行動方針:ジョシュアと共に主催者を倒す】

【初日 19:12】





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第86話「決意の森 ジョシュア・ラドクリフ 第114話「漢の約束
第86話「決意の森 イキマ 第114話「漢の約束


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最終更新:2008年05月30日 04:24