戦闘マシーン
「鉄也ぁまだつかねえのかよ、もう6時間も運転しっぱなしだわさ」
「弱音を吐くなボス。もうすぐ着く、ほらもうそこにみえるぞ。(やはり本物にしか見えんな・・・俺の考えすぎのようだな)」
この移動の時間、いろいろと怪しまれない程度に探ってみるが、矛盾は見つからない。
(いかんな、仲間を疑うなど。何を考えているんだ)
「やっと着いただわさ、降りたら一休みす―――んん?」
「どうしたんだ、ボス?」
訝しげなボスの声に対して鉄也が聞く。
「いや今なんかレーダーにポチっと写ったような・・・」
「写っただって?」
鉄也がレーダーを改めようとした時・・・
ズガガガガガガァン!!
「何っ!?」
大量のラスタバンビームがダイファイターとガイキングに襲い掛かる。
「うわったたた!一体鉄也、なんなんだわさ!?」
「敵襲だ!急いで高度を落とせ!」
鉄也が急いでボスに指令を飛ばすが、咄嗟に反応が出来ない。
「そ、そんなこと急に言われても!」
「敵は待ってくれないぞ!―――くぅ!?」
セオリー通り間髪入れない連続攻撃。隙を与えないように火炎が続き、一気に2人の視界は奪われる。
そして、火炎が止み、視界に飛び込んでくるのは―――羽。
羽がそのままガイキングを切り裂こう迫る!
「そう簡単にはやらせないぜ!」
羽が切り裂くよりも早くガイキングは龍王機の頭を抑える。
「うおおお!!」
しかしパワーが幾らあるといえどスピードがついた状態では止めきれず、頭はそのまま直進し、何もない空の下に向く。
そして、尻尾を損傷している胸に叩きつけられ、ガイキングは凄いスピードで落ち始める。
飛ぼうにもスピードがつきすぎていて、空中で停止ができない。
竜王機は今度は変形中のダイターンを攻撃しようとするが・・・
「く!デスパァァサイト!!」
ギリギリで鉄也の援護がダイターンを無事変形させる。
「て、鉄也!」
「機体は問題ない!必ずまたそちらに向かう!それまで戦って持ち堪えるんだ!」
「わ、分かっただわさ!それまでたえてみせるぜい!また会おうな、鉄也!」
そのままガイキングは見えなくなった。
「それじゃあ、やってみるだわさ!」
ジャベリンを抜き、ダイターンは竜王機と向き合う。
ヤザンはそれを見て楽しそうに言った。
「さぁ・・・今度こそ楽しませてくれよ!!」
彼からすれば3回連続ではずれを引かされたようなものだ。その気持ちの昂りは言うまでもない。
「でりゃぁ!!」
ジャベリンを振り上げ、ダイターンが突撃する。
一気に竜王機に迫り振り下ろすが、竜王機はさらりとそれを避け反撃でラスタバンビームを撃つものの、
「効かないだわさ!!」
しかし、ダイターンはまったく効いた様子を見せず、さらに斜めに竜王機を狙い、ジャベリン振るう。
距離をとってかわしたところにさらにダイターンキャノンが連続で叩き込まれる!!
「ちぃっ!」
竜王機のゆうに3分の2はあろうかという弾丸が竜王機の横を抜けていく。
「でかいだけのことはあるな・・・」
笑いながらヤザンが呟く。
ダイターンは竜王機の4倍は軽くあり、さらに竜王機は細長い形をしている。おそらく一発でも当たれば確実に致命傷になるだろう。
「いけぇ、サンレーザーだわさ!」
ダイターンからすれば細い、竜王機からすれば極太のビームが竜王機を狙って放たれる。
「だからってやり方がないわけじゃないんだよ!」
交わすと同時に火炎をダイターンに浴びせ、また視界を奪い、一気に後ろに回りこむ。そのままラスタバンビームを撃つが、
「同じような手には何度も引っ掛からないわよん!!」
ダイターンがすばやく振り返ろうとしたため、ラスタバンビームは肩に当たってしまう。
勢いはとまらず、そのままジャベリンが竜王機に振るわれる。
しかし、竜王機は前に滑り込むようにしてウィングカッターを展開、
そのまま突撃しジャベリンを持つダイターンの右腕をうまく両断する。
「よくもやってくれたわね!」
ダイターンは驚くことに落下を始めようとしていた自分の右腕をつかみ―――竜王機に投げつけた。
ギリギリでかわす竜王機。おそらく回避がもうワンテンポでもずれていたら、
確実に竜王機は右腕にぶつかり派手にひしゃげているだろう。
「やはり戦いはこうでなくっちゃな!!ぞくぞくするぜ・・・!!」
あたれば最後まずやられる。そんな一種の極限状態をヤザンは心から喜ぶ。
彼が求めてやまなかったものがついに目の前にあるのだから!
ダイターンは今度はハンマーを取り出し、大振りにめちゃくちゃに振り回し始めた。
「鉄也が来るまで絶対に耐えてみせるだわさ!」
近寄って羽で切り裂くのが一番怖いのはボスもさっきのことで学び、近寄らせないようにハンマーで一種の壁を作る。
そのまま突っ込んでもハンマーとハンマーの鎖に邪魔されるだろう。
振り回されるハンマーをかわし、確実に反撃を決めるものの、
やはりラスタバンビームでは致命傷にならず、火炎を浴びせようと振り回すことをやめない。
時間はジリジリと、ジリジリとであろうとも確実に過ぎていく。
「なら!」
ダイターンが右にハンマーを振るった時、竜王機は前に出て、少しだけ動きを遅くする。
それを見て返しの動きで左からハンマーが迫る!
「どこからくるから分かるなら簡単なんだよ!!」
竜王機は初動を始めたハンマーにラスタバンビームをぶつける。
「そんなんじゃ無駄だわさ!」
勢いがとまらず迫るハンマーに、さらにラスタバンビームを連続でぶつける。
一発、二発、三発、四発・・・・五発!!
ついに五発目でハンマーは砕け散る。砕け散ったハンマーの大きな欠片が竜王機にダメージを与えるが、ヤザンは気にしない。
ウィングカッターを展開し、ダイターンの胴体を一気に切り裂く!
「まだまだ!ここまできてやられちゃうボス様じゃないだわさ!」
顔を下に向け、サンレーザーを発射。竜王機はダイターンから離れたため、サンレーザーはダイターンの左足に当たる。
それでもさらに右足を上げ、ダイターンキャノンを弾が切れるまで撃ちまくる。
「くっ!」
怒涛の連続攻撃についに竜王機の姿勢が崩れる。しかも距離も離れている。
「今!日輪の力を借りて!サン!アタック乱れうちだわさぁぁぁぁぁぁああ!!」
ダイターンの額から連続で光が放たれる。ギリギリの回避でかわし続ける竜王機。
(額からの攻撃だ・・・!側面に回り込んでしまえば・・・!!)
その中でも必死に側面に移動する。しかし、あと少しの場所でついに―――
ドカァァァン!!
竜王機の尻尾に当たる。当たったことにより大きく機体が揺れ―――
「これで終わりだわさ!今!日輪の力を借りて!サン!アタック!!!」
ボスが大声で叫ぶ。しかし―――何も起こらない。
「えええ!!エネルギー切れ!?」
あれだけの量の乱れうちを長く続けたため、肝心のところでエネルギーが切れてしまったのだ。
「見逃すものかよ!!」
その隙を突き、竜王機が背中を一気に切り裂く。
「おお?あれぇぇぇぇ!?」
空中でのバランサーが切り裂かれたため、ダイターンが降下を始めた・・・
落下の瞬間一気にブースターを吹かし、うまく着地するガイキング。
「くっ! 今は・・・ここか!?ボスは・・・?」
空を見上げると、遠くの空からダイターンがどこかに落ちているのが見えた。
「ボス!?いかん、急がなければ・・・」
空を飛び急行しようとしたときだった。
唐突に、本当に唐突に先ほど払拭したはずの懸念が首を上げる。
―――あれは本当に俺のよく知るボスなのか?
それに連なり出てくる呪いの言葉。
―――ミケーネを倒すためにも今は死ねない
―――腕を失った今の状態で勝てるのか?
―――危険に身をさらす飛行をする必要はあるのか?
―――い や 本 当 に 助 け る 価 値 が あ る の か ?
「く・・・俺は・・・何を考えているんだ、ボスは仲間だ、仲間を助けるのは当然だ、当然なんだ!!」
自分を納得させるかのように鉄也は叫んだ。
「しかし・・・飛んで行って万が一敵に見つかり足止めされるわけにもいかん。警戒して陸路で行こう」
(ボスにあったら・・・謝らなければな)
そう思いながらボスの落ちたほうへと進みだした。
ドガァァァァァン!!
「ぐげっ!!」
受身を取れず、ダイターンは地面に叩きつけられる。
蓄積されたダメージに加え落下の衝撃、もう全身に罅ヒビや傷だらけの状態である。
「ちっくしょう~やってっくれるじゃないの」
それでもダイターンは立ち上がり今度はザンバーを構える。
「ハハ・・・まだ戦えるのか。楽しませてくれるじゃないか」
「な~にが楽しませてくれるじゃないか、だわさ。こちとら鉄也が来るまでやられるやわにはいかないのよん!」
「でりゃあぁぁぁ!」
「ボス・・・まだか・・・!?」
何か得たの知れないものに急かされる感覚を覚え、ほぼ全力でガイキングを走らせる鉄也。
最初考えていた警戒などもう吹き飛んでいる。
ついにガイキングは開けたところにでる。しかし。その光景は残酷だった。
そこには・・・壊れたおもちゃのように座り込む・・・ダイターン3があるだけだった・・・
「ボス・・・!?ボス!返事をしろ!!」
「へへ・・・鉄也か・・・すまねぇな・・・俺様が・・・ヘタすぎたせいで・・・」
ボスが白い顔で返事を返す。しかし―――両足が挟まれ断裂しており、出血多量での死は免れないだろう・・・
「もういい!しゃべるな!すぐそっちに行って応急処置をしてやる!!」
もう無理なのは鉄也にも分かっている。それも叫ばずにはいられない。
「鉄也が急いで来てくれたのに・・・本当にすまねぇ・・・俺様の分までミケーネと戦か・・・」
言葉か途切れる。ボスの手がダランと下がり、目は光を失った。
「ボス・・・?ボス!死ぬな!俺はお前に謝らなくてはいかん!起きろ!ボスーーーーーーーー!!!!!!」
「ハハ・・・」
鉄也は下を向いており、表情は分からない。
「俺は・・・何を考えていたんだ・・・・」
―――あれは本当に俺のよく知るボスなのか?
―――いや本当に助ける価値があるのか?
「何が・・・戦闘のプロだ・・・仲間を疑う言い訳をしていただけじゃないか・・・」
―――腕を失った今の状態で勝てるのか?
―――飛んで行って万が一敵に見つかり足止めされるわけにもいかん
「何が・・・勇者だ・・・信じてくれた仲間も救えず・・・」
―――それまでたえてみせるぜい!
―――鉄也が急いで来てくれたのに・・・本当にすまねぇ・・・
「いいさ・・・」
そういって鉄也は顔を上げた。
キラ・ヤマト、黒い小型機を飛ばす機体、さっきの竜。皆襲い掛かるばかりではないか。
「ボス・・・お前の分までミケーネと戦うと誓おう・・・
そのため・・・それなら・・・戦闘マシーンとして・・・この戦いに乗ってやろうじゃないか・・・・・!!」
ガイキングが立ち上がり、ダイターンの脇にあるザンバーを抜く。
ガイキングと同じ、それ以上を刃物を抱え、ガイキングは歩き始めた。
【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
パイロット状況:健康
機体状況:尻尾がない、全身にハンマーの大量のかけらが当たったときのダメージ(中)
現在位置:F-1湖上から移動中
第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
最終行動方針:ゲームに乗る】
【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
パイロット状態:マーダー化
機体状態:胸部破損、右腕切断 ダイターンザンバー所持
現在位置:E-1
第一行動方針:他の参加者の発見および殺害
最終行動方針:ゲームで勝つ】
【ボス 搭乗機体:ダイターン3(無敵鋼人ダイターン3)
パイロット状況:死亡
機体状況:右腕断裂、内蔵武器なし、全身にヒビと傷、背中と胴体には特に大きい切り傷、左足が千切れそう】
【二日目 1:10】
最終更新:2008年05月30日 05:36