ゲッター線
ゴウッ!!
風を切るを音をあげ、ガイキングの拳がダイテツジンに向かう。
しかし、グラビティフィールドを形成し、防ぐ。同時にデスパーサイトを連射。
弱くなったフィールドにけりが入り、ダイテツジンが後ろに下がる。
「くっ…」
(あの鉄也君がそう簡単にこうなるわけが無い…何か理由があるんだ!止めなくては…!)
鉄也を止めるため、どうにか捌きながら戦っているが、押されているのは目に見えて明らかだった。
「どうした流竜馬!そろそろ本気で行くぞ!フェイスオープン!!」
ガイキングの顔が割れ、恐ろしい顔が露出した。その顔は、まさに悪鬼。
「まずはこれだ!ガイキングミサイル!」
ガイキングが高く飛び上がり、何十発もの無数のミサイルを吐き出す。
明らかに竜馬一人を狙ったものではない。後ろのボロボロの2人にもかなりの弾が向かっている!
「まずい!みんな固まってくれ!」
3人の盾になるべく、竜馬が声をかけ、フィールドを作りミサイルを防ぐ。
「頼むぞ!もってくれダイテツジン!」
グラビティフィールドはその性質上、実弾兵器は完全には防げない。少しずつダメージが蓄積していく。
ミサイルの嵐の爆発により煙が充満し、視界が奪われ、その煙を切り裂き、ガイキングの腕がゼロに迫る。
「こんなショートレンジに…!これしか…」
ゼロがマシンキャノンを打つが、ガイキングを止めることができない。そのままガイキングがゼロの頭を握りつぶした。
「
リョウト君!伏せてくれ!」
頭を失ったゼロがフラフラとしゃがみこむ。そこにほぼゼロ距離のグラビティブラストを打つべく竜馬がそちらを向くが…
「アブショックライッ!」
強い光によって視界が消えた。しかし、そのままグラビティブラストを発射する。
「今度はこっち!?右腕が!」
視界を奪った隙にガイキングが距離をとる。ガイキングの腹にはデスサイズの右腕が咥えられていた。
やはり、とんでもなく強い。
竜馬は強く思った。機体の力もあるだろう。しかし、やはり発想、技能、経験どれもが圧倒的だ。
ダイテツジンを強引にたたせ、ろくに動けない2人とガイキングの間に立つ。
「残念だが…ここまでだ。決めさせてもらう!」
足元に落ちていたダイターンザンバーを掴み、思い切り振りかぶった。
「いくぞ流竜馬…!これが究極の一撃だ!火車!カッタァァァーッ!」
ザンバーを足にはさみ、デスファイアーで火を纏いガイキングが高速回転で接近する!
「く…!テェェェッツジィィィン、ヴァァァリアァァァァッ!」
全力の力でフィールドを張る。しかし、それでも火車カッターは止まらない。ジリジリとこちらに確実に迫っていた。
ハッターが走る。
しかし、彼のついたとき、すでに状況は末期的に進行していた。
「ガール!これは…!」
目の前で極限の押し合いをするフレンド・リョーマの機体とオニの顔の機体。
「竜馬さんが、私たちをかばって…」
ハッターもまた軍人。その状況をすぐに理解した。
しかし、彼にどうすることもできない。あの巨体がぶつかり合う中に触れようものなら分解してしまうだろう。
しかし、絶対にフレンドを見放すわけにはいかない。
「どうする!?どうすればフレンドを助けられる!?」
ハッターは思案する。しかし、名案は浮かばない。想いはある。しかし、想いだけでは駄目なのだ。
武器さえあればどうにかできるかもしれないのに!状況は進行していく。どうしようもない。しかし、どうにかしたい!
「ハッターさん!?お願いします!竜馬さんを助けてください!」
そして、ハッターに電撃が走った。究極の武器を見つけた。しかし…
リオを、リョウトを、竜馬を見る。2人を守るため歯を食いしばる竜馬。涙を流すリオ。
「フレンドを救えず、ガールの涙をぬぐうこともできない、それで何が漢だ!」
そう、自分はMARZのはぐれ軍曹、イッシー・ハッターだ!
屈伸運動をしながらハッターが言った。
「踏み込みの速度は音速を超える…その更に上のスピードをもってすれば!」
それは、何かを確かめるような動きで
「砕けぬものなど何も無い!」
何かを味わうような動きだった。
ハッターが振り向かず、進む。
「ボーイ、ガールはきみのステディだな?漢なら、彼女を守ってやるんだ!」
「は…はい!」
「いい返事だ。では、さらば……!」
振り向かず、親指を立てて気持ちを示す。
「「え…?」」
2人が黙る。
「フレンド!すこし体を引け!助けるぞ!」
「え!?」
竜馬が驚きの声をあげた。
「急げ!」
言われるままに、機体を引いた。当然ガイキングはその隙を見逃さず切り裂くべく進む―――!
ハッターが体を前屈させる。
「チーフ!後を頼むぞォォォォォォ!」
ドォォォン!!
本来、限界のスピードを武器にのせ打ち出す。しかし、ハッターはその更の限界まで力を引き出し…
自らの体を武器として回転していたガイキングに突っ込んだ。
何倍もの質量と、勢いを持つはずのガイキングが吹き飛び、ガイキングほど背丈があるダイターンザンバーが砕け散る。
しかし、その代償も大きなものだった。
「ハッター!」
竜馬がハッターに駆け寄る。…上半身だけの。
「フレンド…か…安心しろ…もうすぐ…ブラザーが……来る…だか………ら……」
「ハッター…?」
ダイテツジンがハッターをゆする。しかし、もう何の反応も示さない。ひとみは力を失った。
たった一度も自らの身を案じることもせず、
仲間のためにイッシー・ハッターは散った。
「俺が…もっとしっかり戦っていれば…!」
顎を砕かんばかりに竜馬が食いしばる。
今の鉄也君は敵なのだ。それをどうにかなると思い込み、そのせいでハッターは…!
ダイテツジンがガイキングへ走る。
「鉄也君!君を倒す!」
「なるほど迷いを振り切ったか…ならば!」
こうなっては機体はボロボロとはいえどうなるか分からない。流竜馬とはそういう男なのだ。
ならば、一撃で決める!
「行くぞ流竜馬!この一撃で決める!」
「鉄也君…!今の君を放置はできない!」
竜馬も同じだ。長々と戦えばどれだけ2人に危険が及ぶか分からない。こちらも一発で決めるつもりだ。
ガンキングは右に、ダイテツジンが左へ夕日の空へ高く舞い上がり、叫びをあげる。
「ゲッタァーシャァァァァインッ!!」
デスファイアーをパライザーで分解し、全てを溶かす白い闇を纏う。
「ゲッター…?ならこちらも同じ手で相手になってやる!」
グラビティフィールドを最大で形成し、胸から打ち出す重力波を自らの後ろに流し、黒い光となる。
「鉄也君!いくぞ!」
「来い!シャァァァァインッ!!スパァァァァアアアアクッ!!」
血のように赤い夕日に重なるように、閃光が激突する!!
「エネルギー係数8000、12000、16000……!そんな!竜馬さん!機体が融解、いや誘爆します!」
下で天使が悲痛な声を放った。しかし、今の2人には聞こえていない。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」」
一瞬たりとも操縦桿がぶれぬよう全力で固定する。今、この状態で相手より早く体を光から出そうとすれば
確実に相手に押しつぶされるだろう。つまり、これは機体と機体の力の勝負ではない。
お互いの限界をかけた精神力の勝負……!
ダイテツジンの肩が、ガイキングの左角が砕けていく。少しずつ内部の温度も上昇している。
破滅をかけた死の輝きは増すばかり。もはや夕日の輝きは一片たりとも見えなくる。
白と黒が鬩ぎ合い、その色の稲妻をあたり一面に降らせ続ける。
(くッ……)
竜馬の腕が、いや全身が不自然に震えだす。一気に汗まで噴出し始め、眼のかすみが出始めた。
ぶつかり合う当事者だから分かる。自分が押されていると。それでも、いま自分があきらめたらどうなる?
下の2人が死ぬことになるだろう。そんなことは…死んでいった彼のためにもできない!
(竜馬……)
どこからか、よく聞き覚えのある男の声が聞こえてきた。しかし、周りには誰もいようはずも無い。
この超エネルギーの渦に入ることなど不可能だ。しかし、その声は確かにそこにあり……
そっと、操縦桿を支える腕に、手が重なった。その手もまた見たことがあった。
「まさか…ムサシ…なのか…?」
その言葉と同時に、暑さが、圧迫感が消えた。それどころか、時すら止まっているかのようだ。
(そうだ…だが、お前の知るムサシじゃない…ゲッター線に飲み込まれた…ゲッター線の可能性の一人…)
「何を言ってるんだムサシ!ゲッター線に飲み込まれる!?俺の知らない!?」
(竜馬…お前はあらゆる並行世界でゲッター線に選ばれた人間…この世界は解き放った・・・ゲッター線をお前に見せる)
「う!うわあああああああああ!!」
竜馬の頭の中に、よく知らないはずの、しかし過去から知り尽くした知識、記憶が濁流のように流れ込む。
インベーダー…メタルビースト…百鬼…恐竜帝国…真ゲッター…ドラゴン…真ドラゴン…悪魔のような未来…結果…
ゲッター太陽…顔に傷を負った隼人…インベーダーを抑える早乙女博士…そして…
―――エンペラー
「これが…これらがすべてゲッター線の力だというのか!?」
(そうだ…これらがゲッター線の発現の欠片…そしてこれが)
ムサシの言葉とともに、時の止まった世界にヒビが入る。その砕け散った世界には…
上下も無く、平衡感覚も無く、自分の感覚も無い。その世界で、竜馬は見た。
天文学的な数の何かがどこか彼方、どこでもない場所で戦いつづけるのを。
何かとはいったい何か?そう…姿、形は違えど間違うはずも無い。ゲッターロボそのもの。
「これが…」
(そう、これが…進化だ…そしてこれこそが……)
――― ゲッター線――――
「!リョウト君…木が…草が…体が…」
うつむいていたリオがその異変を察知し、上を向いていたリョウトに声をかけた。
「リオ…この緑色の光はいったい?」
地面生えるあらゆる生物から緑色の煙のような光が立ち上り、ダイテツジンに向かっていた。
ボロボロにひび割れたダイテツジンに無数の光が吸い込まれ…
「ゲッターシャイン、シャインスパーク……今なら、さっき鉄也君の叫んだ言葉がわかる…」
竜馬からも緑色の輝きが周囲に広がっていく。
「見せてやる…!ゲッターの恐ろしさをな…!」
本来知らないはずの知識。そして、本来彼が未来で叫ぶことになるはずだった言葉。そう、
「ゲッタァァァーシャァァァィイン!」
ダイテツジンが砕け散った。そしてその中から、緑の輝きを纏った真の姿があらわになる!
「なんだと…まさかその姿は…!」
さしもの鉄也も驚きの声をあげた。その姿は、確実に見覚えが会った。多少細身になり細部こそ異なっていたが、
彼とともに戦ったあの姿。
「ゲッター1だと…!」
ゲッター線に包まれたゲッター1が、あるべきはずのない力を解放する。
「シャイン…」
(まずい!)
鉄也の背中に強烈な悪寒が走る。生物全てが持つ生存本能。それがはっきりと警告を放っていた。
機体がつぶれることを覚悟で光から全力で避けようとするが…
「スパァァァーックッ!!」
一瞬だった。
抵抗も、音も無い。ガイキングには、右肘から上は体があった。
しかしその一瞬で、ガイキングの右胸から右は、跡形も無く消滅した。…流竜馬とともに。
この瞬間、「この」流竜馬は消え去った。あらゆる世界から。
「流竜馬がかの…無限の闘いの領域へと消えた…これが……ゲッター線の発現か…」
ヘルモーズからその様子を畏怖と好奇心を綯い交ぜにした眼で眺めていたユーゼスが一人呟いた。
「今の私でも踏み込めぬ領域…私ではその一端を垣間見ることが精一杯か」
どこか悲しげにユーゼスが言った。そう、自分は選ばれていない。流竜馬のようにはなれないはずだった。
だが今の自分には力がある。知ることにより、近づくことはできるはずだ。
そう、近づいて、近づいた果てに…なることも可能なはずだ。
「力のその一端だけでも見ることができた。このデータと…ゲッター線を十分に浴びたガイキング、
そして偶然の偏りを引き起こす、特異点を持つグランゾン。これらがあれば、ゲッター線を得られるかもしれん。」
カメラには、右胸から先全てを失ったガイキングが立ち上がり、追いついたグランゾンと向き合っていた。
「さぁ見せてくれ…人の力…進化の力…あらゆる力の源を…無限力の一端を…」
【流竜馬 搭乗機体:真・ゲッター1(ゲッターロボ)
パイロット状態:ゲームから消滅
機体状況:???
現在位置:???】
【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
パイロット状態:健康
機体状態:左翼小破、右翼消滅 、頭部消滅
現在位置:C-1
第1行動方針:リオとの合流
第2行動方針:邪魔者は躊躇せず排除
最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
備考:バスターライフルはエネルギー切れ】
【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
パイロット状況:良好。
機体状況:全体的に破損、武器消失、 右腕消滅。
現在位置:C-1
第一行動方針:アスカの捜索 】
【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
パイロット状態:マーダー化
機体状態:胸部に大きな破損があるが、武器の使用には問題なし。右胸から先消失 戦闘続行可
現在位置:C-1
第一行動方針:他の参加者の発見および殺害
最終行動方針:ゲームで勝つ】
【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン)
パイロット状態:死亡
機体状況:下半身消滅】
【チーフ 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
パイロット状況:全身に打撲、やや疲れ
機体状況:外傷はなし、内部機器類、(レーダーやバリアなど)に異常、 右腕に損傷、左足の動きが悪い
現在位置:C-1
第一行動方針:ハッター達の援護に向かう
第二行動方針:マサキを倒す
第三行動方針:助けられる人は助ける
最終行動方針:ゲームからの脱出】
【二日目 15:50】
最終更新:2008年05月31日 19:06