遭遇、狂気、破滅。そして…
場は混乱に包まれていた。
闘いを治めるため戦うチーフ。ついにチーフと遭遇したハッター。
狂気にとらわれ戦うゼオラとアスカ。愛する人と会うため死と向き合う
リョウト。
そこへ向かう竜馬とリオ。自分を守るため、矛盾の中を走るキラ。
チーフとハッター。
リョウトとリオ。
そしてさまざまな因果…
混乱、という言葉を訂正しよう。そこは…狂気に包まれていた。
そしてまた一人、その狂気の渦に狂気にとらわれた男が放り込まれる…
カラン…
ほの暗い水底に落ちたザンバーをガイキングが拾い上げる。
先ほどの闘いで落としたボスの形見――ダイターンザンバー。
光の届かぬ深き場所でなお、ザンバーが輝く。
それは…闘いを求めているかのようだった。
ガイキングが水面から姿をあらわし、移動を始めた。進むべき方向は先ほど逃した者達が逃げた西。
マッハ3のスピードでガイキングが飛翔を始めた。
マッハのスピードでガイキングが上空を飛ぶ。そして…7機もの「獲物」を見つけた。
彼からすれば、全ては粉砕すべき敵だ。そのものたちの想いなど関係ない。ただ粉砕するのみ。
レーダーに敵影が入る。接触してからが戦闘ではない。ここからもうすでに戦闘は始まっているのだ。
「行くぞ…!ハイドロ!ブレェェェイザァァァァアア!!!」
50万度の火球。まともに当たれば半壊するだろうが狙ってなどいない。
当たれば御の字、最低足止めはできるだろう。
「こんなとこで死ぬわけにはいかない!」
リオ達が追いつくまで、絶対に死ぬもんか…!
飛行能力も低下し、ライフルによる反撃も不可能。しかし、それでもリョウトはかわし続けていた。
「なんで!なんで死なないのよッ!すぐにおんなじところに送ってあげるっていいってるのに!!」
ゼロがよけつづけることに焦燥と怒りをあらわにする。その渦中に運命の矢となる一撃が叩き込まれた。
「ッ!?ゼオラ、よけて!」
キラが叫ぶ。しかし、敵を刈ることに集中、いや熱中して周りがろくに見えていない彼女は
最後まで気付かなかった。接触の瞬間まで。
彼女からすれば訳がわからないかもしれない。先ほどまで目の前の敵と戦っていただけだったのに。
突然右肩がもぎ取られたのだから。
ゼオライマーが肩から紫電を吹き上げ、痙攣するかのように震えながら落下した。
「ゼオラッ!」
ゴッドがゼオライマーに駆け寄る。
「助かった…?」
リョウトはそう思った。無理もない。
先ほど救援が確立され、どこからともなく飛んできたエネルギー球が相手を破壊した。
そのため、その一瞬レーダーの確認を怠った。もし、それがどちらからきたか…救援の方向と違う方向から
降り立ったと分かっていれば違っただろうに…
耳を劈く轟音とともに、3機を割って入るように鬼がそこに現れた。
「一機だけ…?さっきの通信なら2機いるんじゃ…?」
先行してきてくれたのか?リョウトがいぶかしみながら、鬼との交信を試みる。
「助けていただいてあり」
御礼を言い終わるまでも無かった。ひび割れた腹の顔が、
張り詰めた緊張が解き弛緩したゼロの右羽を毟り取った。
左の飛行能力が低下し、右の羽は消滅。落下するゼロに向けて、ザンバーを投げ放つ。
こうなってはどうしようもない。
(そんな、ここまできてやられるのか…?)
リョウトの心中にそんな思いが芽生える。しかし、
「ロォケットォォォォゥパァァァァァァァァンチィィィィィィ!!!」
突如飛んできた腕とザンバーがぶつかり、弾き飛ばされる。
「リョウトくん、大丈夫か!?」
彼にとって、真の仲間が到着した。
「リョウト君!」
ボロボロのデスサイズが地面に落ちたボロボロのゼロに向かう。
「リョウト君、大丈夫!?」
「ああ、僕は大丈夫だよ。それより、リオは…?」
「あたしのほうがよっぽど平気よ…リョウト君、そんなにボロボロになって…」
二人とも涙ぐみながら言葉を交わす。
「何で…?何でよ!アラドは…アラドは死んだのに!何でアラドはッ!!!」
その様子は通信によって回りにもれている。そしてその内容は、ゼオラの心を粉々に打ち砕いた。
「何で!何で!何で!何で何で何で何で何でなんでなのよぉ!!」
痙攣するゼオライマーが起き上がり、2人に向け、エネルギー波を放ちつづける。
「くッ!テェェェッツジィィィン、ヴァァァリアァァァァ!!!」
ダイテツジンがゼオライマー達の間に割って入り、ディストーションフィールドを形成。エネルギー波の盾となる。
もはや言葉にならぬ絶叫を繰り返し、打ち続ける。周りなど見えるわけが無い。
上空で隙を狙っていたガイキングの双眸に火がともる。直後!
マッハ3のガイキングによる突撃がゼオライマーに突き刺さる。そのスピードではゴッドも割り込めない。
そして…
「ハイドロブレイザー」
先ほどとは違う、静かな声が響いた。すでにもう、突撃する前にチャージは済ませてあったのだ。
地面にめり込むゼオライマーの胴体にほぼゼロ距離で50万度の火球3発が叩き込まれ…
言葉を発するまもなく3発の炎獄でゼオライマーの胴体は砕け散った。
「そんなッ!ゼオラッ!ゼオラ――――!!」
キラが爆炎に向けて叫ぶ。しかし、その答えは…
「久しぶりだなキラ・ヤマト!!」
炎と煙の中から現れたガイキングの左手がゴッドガンダムの頭を掴み、締め上げる。
「!あああああああああああああああああああああッ!!」
頭が割れるような、否、本当に頭を押しつぶす圧撃。
「どうして!?どうしてこんなことするんです!?みんな生き返るのにィ!!」
瞳孔を開ききり、涙を浮かべながらキラは自己弁護を叫ぶ。
「どうしてだと!?俺にしたことを忘れたのか!?この右腕は忘れんぞ!
それに…死者が生き返るだと!?ふざけるな!」
グシャリ
ガイキングがゴッドの頭をトマトのように押しつぶす。
倒れたゴッドの胸にガイキングのカウンターパンチが突き刺さった。
ガイキングは腕を戻し、ダイテツジンと向き合う。
すでに両手を失った敵機。さらに後ろの2機もボロボロでつぶすのは容易だろう。
「ボス…見てるか…?俺はかならず戻ってお前の分まで戦って見せる…!」
鉄也の台詞には、先ほどまでの暗さが無かった。友に対する自然な清々しさが合った。
鉄也にすれば独り言同然のこの一言。しかし、これを聞き、
「鉄也君!?鉄也君なのか!?」
竜馬が問い掛ける。
「流竜馬か…」
また暗いトーンに戻って鉄也が答える。
「なぜ君のような勇者がこのゲームに乗ってるんだ!?」
「俺は元の世界に必ず戻ってミケーネと戦わねばならん。それがボスとの誓いだ。
それに…俺は勇者では無かった。」
最後はボソリと付け加えるように答える鉄也。
「そんな…」
「もういいだろう。行くぞ。」
ガイキングはダイテツジンに向け走り出した。
(チィッ!なんてことだ!)
シロッコは舌打ちをした。足をやられ、制御系をどうにかして飛行可能になったものの、
まさかあの2人がやられるとは。
今の状態ではフラフラ飛び出したところであの「鉄也」なるマーダーに殺されるだろう。
かといってあの「流竜馬」達が生き残ったところで、あのガンダムタイプがいる以上、安全とは限らない。
とても首輪をネタにしても食いつくようには見えない。
(結局動力を落とし立ち去るのを待つしかないか…)
動力を落とし、もうパイロットも死亡しているように見せるしかない。幸い、ダンガイオーはかなり傷ついている
まさか、自分がこんなところでこんなことになるとは。シロッコは動力を落とし、忌々しげに2機の闘いを眺めた。
【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
パイロット状況:良好。
機体状況:全体的に破損、武器消失。
現在位置:C-1
第一行動方針:アスカの捜索 】
【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
パイロット状態:良好
機体状況:パンチで飛ばした両腕なし
現在位置:C-1
第一行動方針: 鉄也をどうするか悩んでいる
第二行動方針:他の参加者との接触
最終行動方針:ゲームより脱出して帝王ゴールを倒す】
【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
パイロット状況:良好、イラ付き
機体状況:右腕は肩から損失、左腕は肘から下を損失。全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし)
現在位置:C-1
第1行動方針:首輪の解析及び解除
第2行動方針:戦力増強(切実に新しい機体が欲しい)
最終行動方針:主催者の持つ力を得る
備考1:コクピットの作りは本物とは全く違います。
備考2:基本的にサイキック能力は使用不能だがNT能力等で一部代用できるようだ
備考3:(キラから首輪を受け取っておいて正解といったところか)とあることから首輪を所持している】
【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
パイロット状態:健康
機体状態:左翼小破、右翼消滅
現在位置:C-1
第1行動方針:リオとの合流
第2行動方針:邪魔者は躊躇せず排除
最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
備考:バスターライフルはエネルギー切れ】
【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
パイロット状況:死亡
機体状況:右肩消滅 胴体大破】
【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
パイロット状況:死亡
機体状況:頭部消滅、コクピットブロック破壊】
【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
パイロット状態:マーダー化
機体状態:胸部に大きな破損があるが、武器の使用には問題なし。右腕切断。ダイターンザンバー所持
現在位置:C-1
第一行動方針:他の参加者の発見および殺害
最終行動方針:ゲームで勝つ】
最終更新:2008年05月31日 18:38