水面下の状景


「シャドウミラーでの潜入任務、ご苦労だったな。W17」
恭しく片手を挙げながらユーゼス・ゴッツォはラミア・ラヴレスの肩に手を掛ける。
「その様なお言葉、身に余る光栄でございますですわ。ユーゼス様」
「・・・?また言語回路が不調なのか?」
「どうも壊れやすくなってしまっているようですの」
「よし、直ぐに直させるよう手配しよう」
「・・・いえ、このままにして下さいませ。このおかしな喋り方にも利用価値があると前回の任務で学びましたので。
ところでユーゼス様。あの女―――セレーナ・レシタールとの取引、宜しかったのでございますか?」
「何が言いたい、W17」
「チーム・ジェルバを壊滅させたのは・・・私達の部隊ですわ。彼女が条件を達成したら、私の存在をお教えになるんですの?」
ユーゼスはそれには答えず、ラミアに背を向けてモニターの方を見た。
セレーナ・レシタールの機体、アーバレストがジャック・キングのウォーカーギャリアと戦っている姿が映し出されている。
そして背を向けたまま、
「彼女の復讐を渇望する心、その力は非常に強い。心の力は戦場において紛れもな強さへと変わる。
刹那の躊躇も無く、微塵の遠慮もなく殺す。“それができる”彼女は非常に利用価値があるとは思わないかね?
彼女にあった復讐の素養を醸成する為に、お前達に命じてチーム・ジェルバを壊滅させたのは、私だ。」
ユーゼスは再びラミアへと顔を向ける。モニターではコクピットに単分子カッターを突き刺すアーバレストが映っている。
「そして彼女の心の炎がもし弱まったならば、お前という仇の存在が役に立つ時が来る。」
「では、私はまだ出撃する必要ないのでございますですか?ユーゼス様。」
「まだゲームは始まったばかりだよ。そう焦ることもあるまい。それとも“人形”にはこの素晴らしさが分からないかね?
私の手の上で踊り狂う彼らが奏でる狂想曲の素晴らしい旋律を・・・」
ユーゼスは陶酔したように両手を挙げる。
膝を折ってユーゼスに傅き、ラミアは俯いた。



【ラミア・ラヴレス 搭乗機体:???
 パイロット状況:健康(言語回路が不調)
 機体状況:???
 現在位置:ヘルモーズ
 第一行動方針:ユーゼスの命令に従う
 最終行動方針:???】

スペクトラが出せないのでラミアをセレーナの仇にしてみました。問題があったら言って下さい。
とりあえずすぐには出撃はさせない方向でお願いしたいのですが、機体及び彼女の目的は決めていませんので
他の作者様にお任せします。今ある設定は
  • シャドウミラー隊には潜入していた(元いたW17に入れ替わった)
  • ジェルバを壊滅させた(=並行世界を行き来している、ということです)




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ラミア・ラヴレス 第88話「ハッターのミス
第30話「ベトレイヤー ユーゼス・ゴッツォ 第42話「無題


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最終更新:2008年05月29日 01:43