怪獣VS怪獣


空を飛ぶ異形の飛行空母。
その艦橋の椅子に座っているのは、本名不明の中年、通称『副長』である。
「どうも…副官としての地位に慣れすぎたためか、直接操縦するというのは性に合いませんな」
そう、副長が操縦しているのは、恐竜ジェット機を多数搭載した空母グダであった。
数機の恐竜ジェット機(無人操縦)を周囲の哨戒に向かわせ、グダ自身はD-6の山の上を周回している。
まずはタシロ提督を見つけること。
その後、提督の指示でこのゲームから脱出する方法を探ること。
それが彼の目的だった。
「(このゲームに乗った場合、勝率は単純計算で1/64…もちろん機体や操縦者の性能によって確率は上下するが…
 とにかくあまり良い方法とは思えない。それならば全員であの巨大戦艦を攻撃するほうが、まだ勝率がありそうだ)」
だが、そのためには首輪を何とかしなければならない。
集められた人達の中に、その手のことに詳しい人がいることを願うしかなかった。

しばらく周回飛行を続けていると、警報が鳴った。
「む…2番機の反応が消えた…?この反応は、かなり大きな物体が接近中です!…と、私一人でしたな」
山間から姿を現したのは、なんとも言い難い形状をした飛行要塞だった。
正面にドクロを三つつけ、竜の首が何本も生えている。
「これは…こちらと同じタイプか!?通信回線を開け、念のために迎撃用意!」
長年のクセで、誰もいないのに指示を出してしまい、慌てて自分で操作をする。
「応答願う。こちらに交戦の意志はない」
『……そなたは地球人か?』
「…?そうですが、それが何か?」
『ならば殲滅するのみ!覚悟!』
相手は一方的に通信を切ると、竜の首をこちらに向けて突撃してきた。
副長は回避行動をとりつつ、恐竜ジェット機をスクランブル発進させる。
「仕方ありません…全砲門開け。艦載機に当たらないように……撃て!」
もはや開き直ったのか、指示口調のまま自分で操作をする副長。
グダの大砲が火を吹き、敵の空中要塞に命中する。
さらに恐竜ジェット機が次々に光線を浴びせていく。
敵空中要塞は竜の首を振り回してジェット機を叩き落しながら、グダに向けて火を吹いてきた。
「外壁損傷!1番砲塔使用不能!…このままではこちらの被害も大きくなりそうですね。ここはひとまず退きますか」
グダは大砲を連射し、恐竜ジェット機で敵の動きを阻害しながら谷間へと降下していく。
敵は恐竜ジェット機を落とすのに懸命で、こちらについてこれない。
やがて、敵の姿は山に隠れて完全に見えなくなった。
「…まさかいきなり攻撃してくるとは。宇宙怪獣と違って意志の疎通ができるというのに…嘆かわしいことです」


【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:健康
 機体状況:外壁一部損傷、砲塔一門損傷、恐竜ジェット機1/4損失
 現在位置:D-7
 第一行動方針:タシロ提督を探す
 第二行動方針:首輪の解除ができる人物を探す
 最終行動方針:ゲーム脱出】

【プリンス・ハイネル 搭乗機体:幻魔要塞ヤマタノオロチ(鋼鉄ジーグ)
 パイロット状況:健康
 機体状況:小破
 現在位置:D-6
 第一行動方針:地球人は皆殺し
 最終行動方針:主催者打倒(地球人以外となら手を組むのもあり)】




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第33話「水面下の状景 投下順 第35話「敵と味方と
第33話「水面下の状景 時系列順 第37話「暴走少女~全ては愛しき彼の為に~

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副長 第105話「今、出来るコト
プリンス・ハイネル 第64話「異文化コミュニケーション


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最終更新:2008年05月29日 02:00