コックVSケモノ
…この殺し合いが始まってからいったいどれくらいの時間がたったのだろうか。
アキトは常にレーダーに目を向けながら考えていた。
実際には大した時間は経ってないが、
常に神経を使い周囲に気を配っていたアキトにとってこの数時間は数十時間にも感じられた。
「(しかし…レーダーに何も写らないなぁ…)」
もしかしたら参加者の半分以上はもうすでに殺されてしまったのかもしれない…アキトの頭に不安が過ぎる…
「(クソッ…このままじゃ奴の…ユーゼスの思う壺じゃないか!!)」
そんなことを考えてるうちにレーダーに反応があった。
「(よし!見つけた!!早速通信だ!)」
向こうの鬼の面を被ったような機体はこちらに向けて銃を構えてる。
「そこの機体!俺に戦う意思はない、この戦いに乗ってしまったら奴の思う壺だ!戦うのをやめろ!!」
「………本当に戦う意思が無いか確認したい…武器を捨てろ…」
相手と会話するにはしかたないと思いビームライフルを捨てるアキト、だが念の為背中にあるバズーカとシールドは捨てなかった。
「…たしかに確認した」
やっと会話ができると思ったその瞬間、向こうの機体からが銃弾が放たれる!!
もちろんアキトは反応できるわけもなくνガンダムに銃弾が直撃する。
「クッ…!どういうことだ戦闘の意思がないことは確認したはずだぞ!!」
装甲が少し剥がれたが致命傷にはならなかった。
「たしかに貴様の意思は確認はしたが、私は戦いを止めるつもりなどまったく無い!!」
とんでも無い奴を一番最初に見つけてしまったと後悔するアキト。
「そもそもこの三輪防人に命令するような態度が気に入らない…銃殺刑だ!!」
容赦なくこちらを狙ってくる三輪、アキトの操縦が下手なせいか三輪の銃弾はνガンダムの装甲を徐徐に削っていく。
「(このままじゃ、まずいな…)」
νガンダムの装甲とシールドはすでにボロボロだった、νガンダムは遮蔽物の影に隠れ三輪の銃弾をやり過ごす。
アキトは現在使える装備を確認した。
「(シールドのビームキャノンは使用不能…ビームライフルはさっき捨てたし…
バズーカとバルカンとビームサーベル…それと俺には意味の無いフィンファンネルだけか…)」
しかしここでやり過ごしていても、三輪は徐徐にアキトとの距離を詰めて行くだろう。
「(ダメでもともと!こうなったら!!)」
三輪の前に飛び出すアキト。
「おや、かくれんぼはもう終わりか?丁度私も射撃には飽…」
そのとき三輪が喋り終わる前にバズーカを3発ぶち込んだ、確実に直撃したと確信した。
が、しかし…
「フィールド全開!!」
三輪の周りに広がる壁のようなものに一瞬にして銃弾がかき消された。
アキトは目の前の光景に驚きを隠せなかった、
なぜなら銃弾は確実に直撃し敵機に致命傷を与えたはずなのに敵機は掠り傷すらなかったからである。
「この私に攻撃をあてたのは褒めてやる、しかしその程度じゃ傷一つ付かんのだよ!!」
この時アキトは悟った、今の自分の力じゃこのバケモノに勝てないことを。
「う、うあぁぁぁぁぁっっ!!」
「今度は鬼ごっこか…貴様はどうやらお遊びが好きなようだな」
逃げるアキト、追いかける三輪…操縦慣れしてないアキトに三輪が追いつくのは時間の問題だった。
「ほれ、捕まえた…」
バズーカを持ってるほうの腕を強引に掴むEVA。
「これのせいで被弾したからな…コイツはいただく!!」
νガンダムの腕が簡単にもぎ取られた、三輪はこの時すでに勝利を確信していた。
「う、うあぁぁぁぁぁっっへやうあぁぁ!!」
「まだ逃げるのか…」
また先ほどと同じ光景が繰り返される、しかしその時急に何かに引っ張られるように倒れるEVA。
何事だ!と思い自分の後ろを見る三輪、そこには自分の機体に繋がるケーブルがあった。
してやられた…と思い再び前を振り向くとそこにはνガンダム姿は無かった。
「狙って転ばせたのか、それとも偶然なのか…どっちにしろ次に会ったら必ず殺す…」
その頃ボロボロのνガンダムに乗るアキトは、
「はぁ…はぁ…今は偶然助かったけど次にあったら必ず殺される…」
殺し合いはまだ始まったばかりだった。
【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム(逆襲のシャア)
パイロット状況:肉体的にはかなり疲れている、精神的には限界寸前
機体状況:装甲は無いに等しい ビームライフルと右腕とシールドを失った
現在位置:G-6から全力で逃走中
第一行動方針:三輪から逃げる
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ユーゼスを倒す】
【三輪防人 搭乗機体:EVA初号機(新世紀エヴァンゲリオン)
パイロット状況:肉体的には健康、精神的には健康
機体状況:損傷なし
現在位置:G-6の目立たない場所
第一行動方針:ケーブルを挿せる場所を探す
最終行動方針:皆殺し】
最終更新:2008年05月29日 02:49