忘却~たいせつなひと ◆UcWYLVG7BA


悪い……何か悪い夢を見ていた気がする。
醒めない悪夢の中をずっと彷徨っていたような。
そんな感覚がした。
ふと前を見上げると無限に広がる宙があった。
俺――春日井甲洋はそんな宙に抱かれながら、ただ思案していた。

俺は、一体何をしようとしていたんだろう。
それすらも曖昧でよく解らなかった。
ただ、解るのは前以上に頭がはっきりしている。
そんな事だけだった。

あの、忌々しい女が言った事もしっかり考えられるようになっていた。
俺はどうやら選ばれたらしい。
でも、今考えても思いつく答えは変わらない。


俺は――――護るんだ。



護らなきゃ……………………




――――誰……を?



あれ、可笑しいな。
俺は何を言っているんだ?
……まだ疲れてるのか。
さっきまで戦闘あったんだし。
俺は深く息を吐いてその時ふと、一枚の紙を見つける。
それを何気に無しに取ると其処には沢山の名前の羅列が広がっていた。

そして、おれはそこの紙に書かれた名前に言葉がつまる。


「真壁…………一騎」

真壁一騎。
大切な人を護れなかったあいつの名前が載っていた。
護れる力があったのに護らなかった、護れなかったあいつが。
俺はあいつを許せない。
俺はあいつのようにはなりたくなかった。


××を護れなかったあいつを。


その一騎がこの島にいる。
俺は一騎に対してどうするのだろうか。
一騎とも戦うのだろうか。



「…………戦ってやる。俺は……護るんだ。お前とは………………違うっ!」


戦える。
戦ってやる。
そう、言えた。

そう言った瞬間に何処か胸が軋んだ。


けど…………俺は護りたい。
大切な人を。
護る為に。
解らなかったあいつを倒す。


そして。


「…………総士!」


××を見捨てた総士を。
作戦の為といって見捨てたあいつもいた。
俺は許せなかった。
そうやって割り切ろうとするあいつが。
絶対に許したくも無かった。

あいつはこの島でも誰かを見捨てて切り捨てるのだろうか。

……するんだろうな。
あいつはそういう奴だ。

だから……絶対に。

「許さない」


俺が戦う。
××を護る為に。


また他にも遠見もいた。
俺は遠見すら殺すんだろうか。
それは、解らなかった。
解りたくもなかったのも、間違いかもしれない。


これで全員か……?
ここに連れてこられた知り合いは……



……………………あれ?


何かを。

何かを忘れている。



俺は誰を護りたいんだ?


決まっている。

あいつだ。

大切な……あいつだ。


×××××なんだ。


なのによく思い出せない。


可笑しいな。

優しくて。
誰よりも笑っていて。
大人しいあの子。


おれは、あいつを護りたい。


きっとここにもいる。


だからおれはあいつを護るんだ。

だから、戦う。
あいつは護らないといけないんだ。
きっと一人じゃ生きていけないから。
俺が、護らないと。
護れなかったやつらの変わりに。

その為に戦う。

護る為に……殺し尽す。

俺は君を護るだけでいいから。
その為には殺さないといけないけど。
でも、覚悟なんてできてる。

戦って君を護るんだ。

それが守る事に繋がる。

そう、思うから。




おれは……そう、決めて名前の書かれた紙を握り潰す。


そしてふと書かれていた名前を見つける。



『羽佐間翔子』



……………………誰だ?



………………誰……だっけ?



何か……。


何か大切な事を忘れている気がする。



それに気がついたとき。



俺は何故か泣いていた。




【春日井甲洋 搭乗機体:バルゴラ・グローリー(バンプレストオリジナル)
パイロット状況:同化により記憶及び思考能力低下&スフィアと同調することで思考能力の一部回復
機体状況:良好
現在位置:a-1 コロニー内
第一行動方針:見敵必殺
第二行動方針:一騎と総士を倒す。真矢は……?
最終行動目標:守るんだ………………誰を?】
※フェストゥムに同化された直後から参戦です。
※具体的にどのくらい思考能力や記憶を取り戻しているか、どの程度安定しているかはその場に合わせて一任します。
 好きなように書いてもらって構いません。

【09:30】


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最終更新:2010年02月21日 17:59