決意 ◆0cm..EdqyM


「……ハア……ハア……ふぅ……発射速度は大体掴めたようだな」
精悍な顔つきをした青年、剣鉄也はD-1の一角にある補給ポイントの脇で機体の銃の発射速度を確
かめるように試射を繰り返していた。
戦闘のプロである自分にとって戦いで遅れを取る事は許されない。ならば入念な確認を行なうこと
は必然である。幸いなことに━━不思議な方法だが━━銃弾を補給するポイントは間近にあった。
機体の動作さえ把握すれば愛機のグレートマジンガーや兜甲児のマジンガーZに及ばずとも未知の
敵達やあの男━━暗黒大将軍━━と渡り合う事は可能だろう。
「暗黒大将軍、か」長距離ライフルの射程確認へと切り替えながら宿敵を頭に思い浮かべる。
暗黒大将軍、自らの手で倒したはずであった奴が何故この会場にいるのだろうか?
誰かが蘇らせたのか、それとも暗黒大将軍はもう一人存在していたのか。この場で考えたところで
答えは見つかるはずがない。
しかし暗黒大将軍との接触がふざけた殺し合いの謎を解く鍵の一つであることは間違いない。その
際、俺が知っている奴ならばおそらく決着は避けられないはずだ。
引き金を引き弾丸を放つ動作にわずかに力が入る。

鉄也は、ライフルの試射を止め脇に差した刀を抜き放ち、指先の感覚とのズレを確認するように大
きな弧を描きつつ上段、下段、縦横無尽に振るい始める。
━━暗黒大将軍との決着も重要だが自分がすべき使命は何か━━
この世界に来て一通り荷物の確認を終えた後決断した想いをもう一度思い出す。
自分がこの世界でやると決めた使命、それは他の参加者を仲間の元へ帰る道を切り開く事であり
――その為には自分が命を捨てることすらいとわない。
最初に集められた会場には殺し合いには場慣れした様子の屈強な姿をした男もいたが、反対に怯え
きった様子の女や子供も多く見受けられた。彼らは果たして殺し合いを押し付けられた世界に身を
おいて正気を保っていられるだろうか。
俺には困惑した彼らの心に希望を灯すことはできない。ならば俺のすべき事は彼らを絶望に導く者
を排除し、希望をもたらす者を守り抜くことだ…その為なら……
ジュン…あいつなら俺がいなくても甲児達と仲良くやっていける。
ボス…シロウ…甲児…みんな…ジュンのことは頼んだぞ……。
所長…あの世で会ったら…貴方は怒りますか……?
…いや、俺の為に命を賭けてくれた所長なら俺の気持ちを分かってくれるさ……

鉄也は斬撃を終わらせ、補給ポイントへ足を運び消費した弾薬を補充する。
「……そろそろ行くか」
まずは暗黒大将軍と接触を図る為に他の参加者から情報を集め━━殺人を働くような奴と出会えば
――俺が必ず食い止める。
「頼んだぞ、相棒。」
鉄也の呼び掛けに対し、エヴァンゲリオン初号機は不敵な笑みを浮かべたような気がした。

【剣鉄也 搭乗機体:エヴァンゲリオン初号機S2機関搭載
参戦時期:原作終了後
パイロット状態:良好
機体状態:良好 シンクロ率80% マゴロクソード所持
現在地:D-1補給ポイントから移動
現在時刻:開始時刻から30分経過
基本行動方針:マーダーキラー
第一行動方針:他の参加者と情報交換する。できる限り一人行動するつもり。
第二行動方針:暗黒大将軍と接触。必要なら決着をつける。
第三行動方針:殺人を食い止める。
第四行動方針:この世界の脱出方法を探す。
最終行動方針:自分を犠牲にしてでも参加者を元の世界へ帰す。】


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最終更新:2010年01月17日 18:04