勇者と剣鬼 ◆ZbL7QonnV.


鬱蒼と生い茂る森の中、エヴァンゲリオン初号機は周囲を警戒しながら歩き続けていた。
鉄也にとって半身とも言える相棒、グレートマジンガーとは違って、エヴァンゲリオンに飛行能力は無い。
初期配置地域であるD-1エリアは、南以外の全方位を海に取り囲まれている。
飛行手段が存在せず、また水中での戦闘能力に疑問が残る機体に乗っているからには、そちらに向かう以外の選択肢はまず無い。
どうやら周囲に自分以外の参加者は存在しないと言う事を確認した後、鉄也は機体を南方の森林地帯に向かわせていた。

「……この俺に、ゲッターチームの車弁慶、そしてあのロム・ストールと言う青年。
このバトルロワイアルとか言う殺し合いには、非道な行いを良しとしない人間も中には招かれている。
その一方で、暗黒大将軍のような人殺しを全く厭わない連中も。
それ以外にも、コードネームらしき名前で名簿に記載されている参加者もいる。
特に“テッカマン”と言う名前の参加者は複数いたが、まさかあれが名前と言う事はあるまい。
まだ俺以外の参加者と実際に会った事は無いから、はっきりとした事を言える訳じゃあない。
だが、このバトルロワイアルと言う殺し合いに招かれた人間は、おそらく何らかの意図を持って選ばれている。
あのヴィンデルと言う男は、この殺し合いの為に集めた連中を“歴戦の古強兵”と言った。
少なくとも、実戦の経験が豊富な人間が中には招かれている事は確かだ。
だが、あの最初俺達が集められた場所には、どう見ても戦う事など出来なさそうな子供もいた。
その事実は、奴の発言と明らかに矛盾している。これはいったい、どういう事なのだろうな……」

敵の姿を見る事が出来ず、機体を移動させる事しか出来ない状況の中、鉄也は考えを纏めていた。
ヴィンデルが説明したルールの全てを鵜呑みに信じられるほど、鉄也は現在の状況を単純に考えてはいない。
もちろん、すぐに嘘と見破る事が出来るような事は言っていないだろう。
ルール説明の場で語られた事柄のうち、いくつかは信じるに足る事であろうと、剣鉄也は認めている。
そう、自分達に“ロボットでの殺し合いを望んでいる”事だけは、全く疑い様の無い事実だろう。
だからこそ殺し合いを円滑に進める為の決まり事に限っては、ヴィンデルの説明に殆ど嘘は無いはずだ。

疑わしきは、連中の最終的な目的だ。
七十人に及ぶ参加者を殺し合わせて、いったい連中に何の得がある?

「殺し合いを見世物にでもする気か……?
いや、だがそれならミケーネの指揮官である暗黒大将軍を参加者に招く事はあるまい。
それなら、ミケーネ帝国の策略か……?
それも違うな。地球連邦とか言う聞き慣れない組織を名乗ってはいたが、あの連中は間違い無く生身の人間だ……。
……そういえば、東洋には“蟲毒”と言う術もあるそうだな。
毒を持った蟲同士を殺し合わせて、強力な毒蟲を作り出すと言う邪悪な術だ。
ミケーネには妖術の使い手がいたが、ヴィンデルとか言う男の奇妙な格好、妖術師の類に通じる物がある。
まさかとは思うが、そういう可能性もゼロじゃあないか……」

取り留めの無い考えを口に出して、その可能性を検討していく。
どれもこれも確証の無い推測だ。情報が少な過ぎる現在の状況では、あらゆる事態に備えて心構えをする他に無い。
今は疑問を晴らせずとも、いずれ情報が手に入る時は必ず来る。
その時に改めて考えを纏める材料として、思考を働かせるのは決して無駄な事ではなかった。

だが、今は――

「……フン。どうやら、ようやく他の参加者に出逢えたようだな。さて、鬼が出るか、蛇が出るか」

――南の方角より姿を見せた、巨大な角を持ったマシーン。
スレードゲルミルに機体を向き直らせて、エヴァンゲリオン初号機は戦闘態勢を取った。



「仕留めるッ…………!」
サーチ・アンド・デストロイ。
その手に持った巨大な斬艦刀を構えながら、シン・アスカの駆るスレードゲルミルは、エヴァンゲリオン初号機に斬り掛かっていた。
もう、誰も信じない。全てを薙ぎ払い、生き残る。
そう心に決めたシンの一撃が、渾身の威力を込めてエヴァンゲリオン初号機に襲い掛かった。
――やれる。
シンは心の中で確信する。
このスレードゲルミルと言う機体、モビルスーツとは比較にならない規格外のパワーを有している。
それに付け加えて、接近戦を得意とする自分との相性も良い。
この機体さえあれば、あの前大戦の英雄であるフリーダムすら打ち倒す事が出来るだろう。
「俺は負けない……俺は勝ち抜く! この力で、全てを薙ぎ払う!!」

だが――

「……出会い頭に問答無用で一撃、か。どうやら、遠慮は要らん相手のようだな」
ガキンッ……! と鋭い音を立て、スレードゲルミルの斬艦刀は、エヴァンゲリオン初号機のマゴロクソードに受け流されていた。

「なにっ……!?」
必殺の一撃を難無くいなされて、シンは驚愕の声を上げる。
驕りが無かった、と言えば嘘になるだろう。
ザフトの最新鋭機であるインパルスをパワーで遥かに凌駕する、このスレードゲルミルと言う機体。
こいつの性能さえあれば力押しでどうにかなると言う、楽観的な考えが頭の隅にあった事は認めよう。
だが、それを差し引いても、普通は今の一撃で終わりだったはずだ。
避けた、と言うのならまだわかる。攻撃をかわされたのであれば、シンの驚きも小さかった。
だが、今のは違う。
明らかに自分の攻撃を見切った上で、完璧な防御を行っていた。

「こいつ……エースか!」
「覚悟しろ! 今度は俺から仕掛けさせてもらうぞ!」
斬艦刀の一撃を受け流すと同時に、すぐさま反撃に転じるエヴァンゲリオン初号機。
下段に構えたマゴロクを、逆袈裟の形に振り上げる。

「ちィッ……!」
避けきれない。そう一瞬で悟ったシンの取った手段は、なんとマゴロクへの頭突きであった。
頭部の超硬度インパクト・ヘッドに対物排除フィールドを発生させて、マゴロクの切っ先目掛けて頭を振り落とす!
スレードゲルミルを斬り裂くはずであった一撃は、大金槌が如き頭突きに阻まれる!

「なんだとっ!? こいつ、思い切った真似をする……!」
さしもの鉄也も、その常識外れな防御方法には驚愕した。
この男、只者ではない。
どうやら自分と大して年齢の変わらない少年らしいが、実戦に慣れた人間の動きだ。
それも、正規の訓練を受けた兵士の印象を感じる……!

「はぁぁぁぁぁぁーーーーーーッッッッッ!」
シンの猛攻は、まだ終わらない。
素早く体勢を立て直すと、後方に飛び退りながら大きく腕を振りかぶった。
斬艦刀を構えた右手ではない。何も持たない左手だ。
その構えを見て、鉄也の脳裏に閃くものがあった。
そうだ、確かに知っている。
この状況下、あの構えで打ち出す攻撃を、グレートマジンガーのパイロットである鉄也は確かに知っている……!

「ドリルブーストナックルッッッッッッッッ!」
「! やはりロケットパンチか!」
スレードゲルミルから撃ち放たれた左手が、エヴァンゲリオン初号機に向かって真っ直ぐ飛んでいく。
だが、その攻撃は既に予測済みだ。
来る事が事前に分かっている攻撃ならば、防ぐ手段は幾らでもある。
鉄也はATフィールドをマゴロクの刀身に集中させて、まるで野球選手のように剣を構えた。

「こいつ……まさか、打ち返す気かっ!?」
「その……まさかだっ!」

ガキィィィィィン……!
マゴロクとドリルブーストナックルが激しくぶつかり合い、火花を散らしながら互いの威力を相殺する。

「くそっ……! 今の一撃でも無理だったのかよ……」
「相手が悪かった、と言っておこうか。生憎だが、その手の攻撃には馴染みがあるんでな……!」

一進一退。
今の所は互角に戦いを進めているシンと鉄也ではあったが、どちらかと言えば現状では鉄也に若干の余裕があった。
この殺し合いに乗って戦う事を決めたシンではあるが、彼は本来非情な殺戮を望む人間ではない。
ステラを守る為には仕方ないと自分に言い聞かせてはいるが、心の隅にはほんの僅かな迷いがあった。
だが、鉄也は違う。
悪を討ち、正しき人々の剣となる。鋼の意志で行く道を決めた、鉄也の戦いに迷いは無かった。
それが余裕の差になって、二人の間に現れていた。

「……聞かせろ! 貴様は何故、この殺し合いに乗った!?」
マゴロクを構えながら、エヴァンゲリオン初号機はスレードゲルミルとの間合いを詰める。
スレードゲルミルの威容を誇る巨大な体躯は、並大抵の攻撃では打ち崩す事が出来ない。
パレットライフルの火力では、どうしても力不足な感は否めない。
確実に仕留めるには、接近戦で渾身の一撃を叩き込む他にはあるまい。

「アンタに聞かせる義理は無い!」
だが、剣の間合いはスレードゲルミルの距離でもある。
撃ち放った左のドリルブーストナックルを、シンはスレードゲルミルに呼び戻す。
そして両手で斬艦刀を構え直し、駿馬の勢いで迫り来るエヴァンゲリオン初号機に激しく剣を振るい始めた。
それは、さながら暴風雨。渦中の存在を切り裂き薙ぎ払う、嵐の如き猛攻であった。
あるいは連なる木々を刎ね飛ばしながら、あるいは剣から生じる衝撃波が地面の土を掘り起こしながら、斬艦刀は無茶苦茶に振り回される。
縦横無尽に繰り出される斬艦刀の連撃は、近寄る者を寄せ付けない剣の障壁となって、鉄也の前に立ち塞がっていた。
まずい……これでは懐に飛び込めない……!

「義理ならある! 貴様に命を狙われた人間として、命を狙われた理由くらいは聞かせてもらおう!」
スレードゲルミルの猛攻を辛うじて避け続けながら、鉄也は敵の攻撃に精神を集中させて、一気に攻め込む隙を探っていた。
凄まじく鋭く早い攻撃ではあるが、その太刀筋は大雑把で荒い。あの規格外の大きさを誇る剣を、まだ充分に振り慣れていないのだろう。
斬艦刀の長大な刀身は、剣としては常識外の間合いをスレードゲルミルに与えている。
だが、懐に飛び込んでしまえば話は別だ。
常識を超えた長大過ぎる刀身故に、斬艦刀は至近距離の取り回しに向かない。むしろ、かえって邪魔な荷物となる。
もちろん斬艦刀が無かったとしても、スレードゲルミルは恐るべき機体だ。
あの豪腕に殴られたなら、あの強烈な頭突きを食らってしまえば、エヴァンゲリオン初号機も無傷ではいられないだろう。
だが、たとえ危険を犯しても懐に飛び込む価値はある……!

「うるさいっ! アンタに何を言った所で、どうせ殺し合わなくちゃいけない事に変わりは無いんだ!
死にたくなけりゃ、殺すしかない! 生きようとする事の何がいけないって言うんだよ!」
斬艦刀の連続攻撃は、エヴァンゲリオン初号機に確実にダメージを蓄積させつつあった。
パイロットの卓越した技量故に、いまだ直撃こそ与えられてはいない。
だが、完全に避け切る事は不可能と言う事か。
少しずつではあるが、エヴァンゲリオン初号機には掠り傷が目立ち始めるようになっていた。
……やれる。
自分の優勢を確信して、シンは頬に笑みを浮かべる。

「自分が生きる為ならば、他の人間を犠牲にしても構わないと言うつもりか……!?」
だから、シンにはそれが命乞いにしか思えなかった。
こいつも皆城総士と同じだ。耳を傾ける必要など無い。
自分の命が危険になったから、口先三寸で自分を言い包めようとしているに過ぎない。
そうだ……そうに決まっている……!

「偉そうに……それじゃあ、アンタは死んでくれるのかよ!? 他の人間を救う為なら、自分の命を犠牲にしても……」
だから、シンは叫び返した。
綺麗事など信じるものか。誰だって、自分の命が大切なはずだ。
見ず知らずな他人の為に、自分の命を捨てられる人間などいるはずがない……!

「……俺は構わん!」
だが、剣鉄也は違った。
それが力無き人々の為であるならば、自分の命を投げ出して戦う事が出来る。
正義の為に殉じる道を、厭う事無く往く事が出来る……!

「なッ……!」
「俺は機械だ、戦う為のマシーンだ! ミケーネ帝国と戦う事を決めた時から、この命は平和の為に使うと決めている!
悪に屈して生きながらえるより、俺は戦士として人々の為に戦い死ぬ事を選ぶ!」
戦士の誇りを声に乗せて、鉄也は一欠片の迷いも無く叫んだ。
決して奇麗事などではない。
それは、悪に対する激しい怒りだ。
罪無き人々に対しての、非道な行いを憎む心。

……シン自身にも、覚えがあった。
ガルナハンで連合の圧制に苦しめられている民間人を目にした時、それを確かにシンも感じた。
いや、それだけではない。
二年前、故郷が戦火に巻き込まれたあの日。
父が、母が、妹が、目の前で死んでいったあの瞬間――

「ふ……ふざけるなっ! 信じられるかよ、そんな事!
どうせ、アンタも奴と一緒だ! 口では奇麗事を言っておきながら、いざとなったら裏切るに決まってる!」
頑なに首を振り、シンは鉄也の言葉を否定する。
だが、叫び返すシンの声は揺れていた。
斬艦刀の勢いは、その激しさをほんの僅かにだが衰えさせていた……!

「! 今だ……!」
斬艦刀の太刀筋に生じた僅かな綻びを掻い潜って、エヴァンゲリオン初号機はスレードゲルミルに接近する。
――疾い。
必殺の威力と鋭さを込めた、雷光の如き一撃だ。
これは……間に合わない……! 避ける事も、防ぐ事も……!

斬ッ…………!

「が……あッ…………!」

……エヴァンゲリオン初号機の放った一撃は、スレードゲルミルを斬り裂いていた。
だが、浅い。
シンは咄嗟に機体を転ばせ、直撃を受ける事を避けていた。
その結果、大きな被害は角一本。頭から突き出たインパクト・ヘッドを斬り落とされるだけで済んだのである。
だが、それはエヴァンゲリオン初号機からの攻撃に限った被害である。
50mを超える巨体と、400トンを上回る超重量の機体が盛大に勢いを付けて転んだのだ。
その衝撃は、計り知れないものがある……!

「うおっ……!」
まるで大地震を思わせる強烈な振動に、鉄也は思わず機体のバランスを崩していた。
スレードゲルミルと同様に、エヴァンゲリオン初号機もまた機体を転倒させる。
だが、こちらは反射的に受身を取る事で、転倒による衝撃を最小限に抑え込む事が出来ていた。

「ッ……………………!」
スレードゲルミルを地面に倒れ込ませた状態の中で、シンは敵機の警戒が一瞬自分から外れた事に気付く。
今しかない。
スレードゲルミルは転倒の衝撃で、左足首の関節がイカれてしまっていた。これでは、まともに戦う事は難しい。
だが、今ならば。
あの男の警戒が緩んでいる、今この瞬間ならば――!



「……逃したか」
スレードゲルミルの巨体が飛び立った方角を睨み付けながら、剣鉄也は悔しげな声で呟いた。
ほんの僅かな隙を突いて、スレードゲルミルは戦場の離脱を果たしていた。
追って行きたいが、エヴァンゲリオンに飛行能力は備わっていない。
飛び立つ後ろ姿を見送る事しか、今の鉄也には出来なかった。
……手強い相手だった。
だが、それだけではない。
おそらく、あの少年もまた救われるべき人間ではあったのだ。
話しているうちに、察する事が出来た。あの少年も、本来であれば殺し合いに望んで加担する人間ではないのだろう。
だが、シャドウミラーによって仕組まれた今の状況が、殺し合う事を強いてしまっている。
それは、あの少年に限った話ではない。
あるいは死の恐怖に押し潰されて、あるいは大切な人を守ろうとして、この殺し合いに乗った人間は少なからずいるのだろう。

……邪悪と戦う事に関して、剣鉄也に迷いは無い。
だが、この殺し合いは決して邪悪な存在ではなくとも、他の人間を傷付け殺さなければいけなくなるようになっている。
そのような人たちに対して、剣鉄也はどうすればいい……?
どうすれば、彼らを救う事が出来る……?

「……所詮、俺は戦闘マシーンだ。戦って止める事しか出来ない、か」
自嘲気味に呟きを洩らして、鉄也は肩の力を抜いた。
斬艦刀の攻撃を紙一重で避けながら、反撃の隙を窺い続けていたのだ。気力と体力の消耗は中々に激しく、身体は休息を求めていた。
だが、剣鉄也は立ち止まらない。
こうしている間にも、事態は刻々と悪化の一途を辿っているのだ。
それなのに、どうして悠長に休む事など出来るだろうか。
剣鉄也は歩き続ける。
悪に対する怒りを燃やしながら、この無益な殺し合いを止める為に……。



【剣鉄也 搭乗機体:エヴァンゲリオン初号機(新世紀エヴァンゲリオン)
 パイロット状態:気力と体力をそれなりに消耗している
 機体状態:全身に無数の刀傷、S2機関搭載、シンクロ率80%、マゴロクソード所持
 現在地:D-2 森林地帯
 第一行動方針:殺し合いに乗った人間を止める
 第二行動方針:暗黒大将軍と接触、必要なら決着をつける
 第三行動方針:他の参加者と接触して情報交換を行う
 第四行動方針:この世界の脱出方法を探す
 最終行動方針:自分を犠牲にしてでも参加者を元の世界へ帰す
 備考:出来る限り一人で行動する】



「畜生ッ…………!」
ドン、と操縦桿に拳を叩き付けながら、シンは屈辱に身を震わせていた。
……無様な、敗北だ。
相手の言う事に動揺して、その隙を突かれてしまった。
誰の言葉にも耳を傾けないと決めたのに、まだ自分の中には僅かに迷いがあったらしい。
スレードゲルミルが飛行可能な機体であった事と、自己修復機能が備わっていた事は、不幸中の幸いであった。
そのどちらかでも欠けていれば、ゲームオーバーを迎える事は避けられなかったであろう。
戦いの中で迷いが隙にしかならない事は、言われるまでもなくわかっていたはずなのに……。

「……まずはしばらく身を潜めて機体の回復を待つ。角はともかく、左足の異常はすぐ直るはずだ。
もう、あんなヘマはしない……やるからには、徹底的にやってやる……!」
敗北の記憶を苦くかみ締めながら、シンは今後の方針を声に出して纏める。
だが、気付いているのだろうか。
それは、まるで自分に対して無理を言い聞かせているかのようで……。

「ステラ……俺は必ず帰ってみせる……どんな事をしても……!」

……操縦桿に叩き付けた握り拳は、ほんの微かに震えていた。



【シン・アスカ 搭乗機体:スレードゲルミル(スーパーロボット大戦OGシリーズ)
 パイロット状況:良好、興奮気味
 機体状況:インパクト・ヘッド切断、左足首の関節に異常、マシンセル正常機能中
 現在位置:D-2 上空
 第一行動方針:しばらく身を潜めて機体の修復を待つ
 第二行動方針:左足首の修復後に行動を開始する
 最終行動方針:優勝し、ミネルバに帰還する
 備考一:まだ名簿は見ていません
 備考二:スレードゲルミルの左足首は比較的短時間で修復可能なようです】

【一日目 7:30】


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最終更新:2010年02月21日 17:43