主スイート

不器用な彼

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tamaki_king

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だれでも歓迎! 編集
朝早く目が覚めた有利は
することも無く外を歩いていると
花壇に人影が見えたことに気づく
「あれ?誰だろこんな早い時間に・・・」
近づくとそこにいたのはグウェンダルだった
グウェンダルはそこで編み物をしていた
足元に転がり落ちた黒い毛糸
グウェンダルは本当に真剣に編んでいたため声をかけることが出来ず
グウェンダルが編むものを見つめていた
「いつまで眺めているつもりだ」
「うーん・・・グウェンダルが編み終わるまで・・・・って、気づいてたの!?」
「当たり前だ」
「はは、だよね・・・可愛い黒豚さんだね」
「クマちゃんだ・・・」
小さな小声のため聞き取れなかった有利は豚さんだと本当に信じてしまっている
「隣座っていい?」
「勝手にしろ」
有利はグウェンダルの隣に腰を下ろすと
グウェンダルの手元を除いた
まだ明け方で朝風が吹く
有利はブルッと体を振るわせる
有利が腕をさすっているに気づいたグウェンダルは
編み物をいったん中断して上着を脱ぐ
「どうしたの?寒いよちゃんと着てないと・・・・わっ」
いきなり司会が暗くなる
「これでも着とけ、風邪をひく」
頭にのけられた上着の間から顔を出す
「でも・・・・グウェンダルは寒くないの?」
「鍛え方が違う」
「・・・・・」
正直いってここは悩むところだ
何がというと素直に喜ぶところなのか否定するところなのか・・・
とりあえず有利はせっかくのご好意を受け取る
腕を袖に通す
大きすぎて袖が余るほどだった
有利はまたグウェンダルの手元へと視線を落とすと
グウェンダルの手が赤いことに気づく
(やっぱり寒いよな・・・)
有利はグウェンダルの肩に体を密着させる
いきなり体を密着させられて愛しの(密かに)彼にびっくりするが
ここは平然を装う
もう今にもグウェンダルの心臓ははちきれそうだった
もちろんそんなことを知らない有利はただ少しでも熱を分け合えたらな
と思ってグウェンダルへもっとくっつく
「寒くない?」
「・・・・・だ・・・大丈夫だ」
「ね、グウェンダル」
「なんだ」
「俺にも編み物教えてよ」
「アニシナに教えてもらい」
「生きて帰れるかな・・・・」
「・・・・・」
無言・・・それは「無理だろう」とゆうことを語っているように思えた
「ね?暇なときでいいから・・・だめ?」
チラっと隣を見てみたグウェンダルの目に飛び込んできたものは上目使いで
こちらの顔をのぞいてくる顔だった
顔を赤らめながらも頷くグウェンダルを見て
やったと喜ぶ有利
しかし有利はひとつ勘違いをしている
顔が赤いのは寒さのせいではない・・・・
そんなところに陛下という声が響いて聞こえてきた
「陛下、こんなところに風邪を惹かれますよ?」
こう淡々と言葉を吐くコンラートだったが
内心穏やかではなかった
目の前に広がる光景にだった
完全に密着するユーリ、しかも肩にはグウェンダルの上着が
そして密着されても嫌がらずに編み物を編んでいるグウェンダル
有利の位置からは見えないかもしれないが
いつもよりも顔に夜しわは少なく
なんだかうれしそうな表情(グウェンダルは自覚無し)を浮かべるグウェンダルの姿だった
有利に好意を寄せるコンラートにとってあまりにも
好ましくない光景だった
「これやる」
「え?」
いきなり目の前に差し出されたものにびっくりしながらもよく見ると
先ほどまで作っていた豚さん(←違うww)だった
「俺に?」
「お前に差し出しているんだ」
「ありがとうグウェンダル」
そういうとグウェンダルに抱きつく有利
その光景をあまり見ていたくないコンラートは口を挟む
「陛下、そろそろ」
「そうだった。これありがとう」
コートを返してその場を去る有利の背中をずっと
グウェンダルが見ていたことを知るのはウェラー卿だけだった

 

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