主スイート

俺の帰る世界

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tamaki_king

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だれでも歓迎! 編集
『有ちゃん!!!帰ってきて、お願い』
『有利!もう帰ってこないなんて冗談じゃないぞ』
『有ちゃん!!帰ってこないなんて本当か!!それならお父さんもそっちにいくぞ!!』

『陛下ー!!行かないでくださいませ~このギュンターもう二度と会えないなんていやでございますーー』
『有利!!いくな!!お前の生きる世界はココだ!!婚約者の俺を置いてどこかいってしまうのか!!』
『有利ーーいかないでー!!グレタなんでもゆうこと聞くから・・・・何処へも行かないで』
『陛下!!!いかないでください。貴方と会えなくなるなんて・・・・・』
『陛下ーこのダカスコスからもお願いでございます!』











もう日が沈んで真っ暗な血盟城の廊下に二つの影

「渋谷・・・・どうするんだい?きめるのは君だよ。僕は君についていくよ。」

おもむろに伝えられる言葉に影がピクリと揺らめく

「・・・・・・・・」
「渋谷、どうするんだい?」
「・・・分からないよ・・・・」
「そうか、期限まであと2日あるからよく考えるといいよ」
「・・・・・うん」

コツコツと響く靴音がだんだん遠ざかり少年は一人廊下の真ん中に立ちすくしていた
体がふと重くなって地面に膝を付いて座り込む

「分からないよ・・・・・」

小さな声は頼りなく闇に吸い込まれていった















『あれ・・・・・?帰れない・・・・・』
『陛下、どうしたんですか?』
『帰れないんだ・・・・・地球に・・・帰れないんだ・・・』

有利は何度も親王廟の噴水に飛び込む

バシャン バシャン バシャン バシャン


新王陛下やウルリーケによると真魔国と地球を結ぶ道が何らかの影響によって縮んでしまっているらしい
だから今は非常に通りにくい状態で後少しするとその道は完全に閉じてしまうらしいのだ
そうなると地球に帰ることは出来なくなるだろうとのことだった

有利は一人部屋の中で頭を悩ましていた

地球に帰りたいでも真魔国の人とあえなくなることもいやだった
何よりも恋人のコンラートとの別れたくなかった
でもやはり家族の下へ帰りたいとゆう気持ちの方が大きかった

こんこん

部屋の扉を開けて中に入ってくる人物
その人物は有利の目の前に来て立ち止まり地面に足をつけてしゃがみこむ

「有利・・・・・」
「・・・・・・・」

顔を覗き込むと今にも涙が溢れんばかりに目に涙をためていた

「っ・・・・・・コン・・・・ラッド・・・・・」
「有利」

有利はコンラートの背中に手を回してすがりつくように声を上げて泣いた
コンラートは困った顔をして有利に頭を撫でる
そんな彼の心中も穏やかではなかった

彼を無事に地球に帰してあげたい
でも彼をいつまでもずっと腕の中で閉じ込めておきたい

矛盾した気持ちが溢れていた

「地球に、家に帰りたい・・・・でも・・・・でもそうしたらコンラートは・・・・?コンラートはどうなるの!?」
「俺は・・・・・」
「・・・ねぇ・・・・・コンラートも一緒に地球に行こう?ね、一緒にいってよ・・・」
「有利・・・・」
「そしてさ、俺の家で一緒に暮らすんだ。きっとおふくろもおっけーしてくれると思うし、そしたらずっと一緒だよ?」
「それは出来ません・・・・俺はこの世界の人間ですから・・・・この地から離れるわけには・・・」
「っ・・・・なんで、何でだめなの?じゃ、俺の、王様の命令だよ!それでも・・・それでもだめなの?」
「・・・・・」
「・・・・・・んく・・・・・っ・・・」
有利はぼろぼろと涙を流しながら視線を外すコンラートの顔を眺めていた

有利はコンラートから離れて立ち上がり部屋からかけて出て行った




嘘でもいいから一緒にいってくれるって言って欲しかった
あんな自分から視線を離して何処か別の場所なんて眺めて欲しくなかった
もっと自分を見て欲しかった
もっと自分を求めて一緒に泣いて欲しかった
でも、彼は絶対に自分に涙を見せることはない
いつも自分ばかりが彼を好きなんじゃないかって錯覚してしまう
もっと・・・・もっと求めて欲しい・・・・


廊下の一角に有利は肩を上下させて涙を流して背中を冷えた壁にくっつける
ずるずると音を立てながら地面にしりもちをついて力なく座りこむ
「っ・・・ん・・・・うぅ・・・・ぁ・・・コンラッドの・・・馬鹿・・・・・」

 

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