パタパタと走る小さな音が後ろから聞こえてくる
後ろを振り向くでもなくただ前を向いて歩いていた
すると後ろから聞こえる静止の音
「まって、まって下さい雲雀さん!!」
声を聞いて後ろを振り向くと遅刻常習犯の沢田綱吉が息を切らせながら立っていた
最近僕にやたらとくっついてくるやつだ・・・
いや、ここでは名目だけの“恋人”かな
まぁ、僕は別にそんなの関係ない
この沢田はただの暇つぶしでしかない
そう、ただの暇つぶしだ
「雲雀さん、これ・・・・」
手をズイと前にやってきたかと思ったら布で包んである箱を手渡された
「なに・・・これ」
「その、お弁当です」
へへへと笑う沢田
「僕は君と群れて食べるつもりなんて無いよ」
「はい、知ってます」
また笑う沢田は頭を下げてどこかへ走り去っていった
手渡された弁当をもって応接間に戻り包みを取ってふたを開ける
「何これ・・・」
中身はいびつな形のした玉子焼きや、少し焦げてるウィンナー
に太さの違うキャベツやなにやら・・・・
まぁ、でも彼にしては上出来なのではないかと思う
そういえば手に絆創膏が沢山張ってあった気がする
一つ玉子焼きを口に運べば口の中に広がる焦げの味
まぁ、まぁ、だね
放課帰るべく外に出ると沢田綱吉は校門に立っていた
近くを通ると何もいわずに歩き出す
別び一緒に帰ってるわけではない・・・
ただ僕が帰る時にたまたま沢田がいるだけ・・・
だって沢田がいったんだよ
『俺はただ雲雀さんが帰るときにたまたまいただけです』
そういったから別に僕は群れてないし、たまたまだし別にいいか・・・ってなっただけ
あ、そういえばお弁当・・・・
そう思って弁当を後ろにほおり投げると
あわわ、ってあわてる声がしたがものが落ちる音はしなかったからうまく取れたのだろう
ただごみを捨てただけ・・・
おいしかったなんてさらさらいうつもりも無い
沢田も何もいうつもりは無いらしい
ここで沢田にしゃべり掛けたら
お互いにたまたまいただけにはならないから・・・・
分かれ道で沢田はそのまま自分の家の方に歩いていった
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