ユニバースフォース『宇宙の意志/純然たる悪意』

ASD20XX.08.21.18:35
~モゴラ大陸「火の国」決闘スタジアム「スープレックス=アルバンダム」~

アルバンダム「火の国を治める王として,ここに各国の決闘者が集う喜びをかみしめている。いままでわが国は,古の決闘大国として厳しい入国制限を強いてきた。そして敗北者に対しては,命を奪うほどの凄惨な罰を与えてきた」

アルバンダム「全てが許されることはない。しかし謝罪の言葉を伝えなきことなどできぬ。全ての決闘者よ・・・すまなかった」

アルバンダム「われわれは理解した。共に手を取り合い,歩みをそろえることでこそ,われわれは更なる高みに到達することができる」

アルバンダム「今ここに,宣言する。わが「火の国」は御時をもってして鎖国政策を終了し世界との交流を始めると!!」

アルバンダム「そして・・・3ON3大会の開幕を!!」





・・・その8日前。
地球人がエーリアンと最初に出会った日の翌日・・・

ASD20XX.08.13.14:11
~モゴラ大陸「火の国」避難コミュニティ~

三沢博士「さて,昨日エーリアンの女王マザーから多くの事が語られた」
三沢博士「その全てが俺たち人類の想定を超えているが・・・」
三沢博士「受け入れなければならない。そして俺たちは覚悟を決めなけばならない」

母艦ベームベースの中で人類はマザーエーリアンと出遭った。
C・Pをはじめとする決闘者たちは始めて遭遇するエーリアン(実はすでに出遭っていたものもいたのだが)の姿・声・挙動に息を呑んだ。
地球を侵略せんと来襲した彼らのトップが眼前にいるこの状況は,果たして天国なのか,地獄なのか。

しかし彼らの不安はすぐに取り除かれる。
エーリアンに侵略の意図など微塵も無かったのだ。

三沢博士「マザーによれば,彼らエーリアンが地球に訪れた目的は侵略などではない」
モブ大統領「博士,それは確かなのか?」

三沢博士「はい,エーリアンの目的,それは・・・」
三沢博士「仲間のエーリアンの救済,だったのです」

三沢博士「宇宙には,いやこの世界にはダークエネルギー(以下D・E)が存在しています」
三沢博士「存在していることだけが確定的であり,それがなんなのか,正体はまったく分かっていません」
三沢博士「高度な技術を持つエーリアンでもそれは同様のようです」

三沢博士「エーリアンはかつて得体の知れないエネルギーであるD・Eを利用する方法を研究していた」
三沢博士「しかしあるときを境に,D・Eの研究の全てを凍結しタブーとした」
三沢博士「その要因となったのがゼータの悲劇だった」

三沢博士「D・Eを過剰に取り込んだ生物は自我を失い暴走化する」
三沢博士「先代のマザーであるゼータは,他のエーリアンからD・Eを吸収し身を挺してAゾーンを守った」
三沢博士「しばらくの間,Aゾーンは平和だったそうです」

三沢博士「そして現在,Aゾーンは再びD・Eの影響を受けているといいます」
三沢博士「ゼータ亡き後,D・Eを扱えるエーリアンは無く,エーリアンの暴走化はとどまることを知らなかった」
三沢博士「そしてマザーは,D・Eに侵食されたエーリアンを引き連れて地球へと出発したのです」


~ミストラルシティ~

ディック「それでエーリアンは地球にきた・・・ん?」
ディック「そこがつながらないよ。どうして地球に着たら破滅的状況を回避できることになるのさ?」
シャーク「・・・」

瑠奈「ディック,マザーの話を聞いてなかったの?」
ディック「い,いや~マザーが瑠奈のことを知っていたのに驚いちゃって」
ディック「まさかのまさかだよ。瑠奈がエーリアンのお姫様だったなんてさ?キャッキャ」

瑠奈「黙っててごめんなさい。だまそうとしていたわけではないの・・・」
にろく「いーや許さない。そしてそれを知っていたシャークも許さない」
ナル「まーまー。契約のことを話していなかったのは俺たちも一緒だろ?」

にろく「ナル,契約内容を忘れたのか?俺たちは地球外生命体を抹殺しなきゃならないんだぞ」
ナル「ちょっと違うよね,契約は地球外生命体の”侵略”を止める,でしょ」
ディック「瑠奈たちエーリアンの目的は侵略じゃなくて仲間の救済であって侵略じゃないもの」

瑠奈「話を続けていいかしら」
ナル「どうぞどうぞ」
瑠奈「エーリアンが求めたのは地球人が持つ【変換-コネクト】の力だった」

瑠奈「D・Eを扱うことができる種族はいないはずだった。でもあなたたち地球人は違った」
瑠奈「【変換-コネクト】は地球人なら誰しもが持っている」
瑠奈「D・Eを吸収し,別の何かに変換する能力」


~ネオドミノシティ~

ディヴァイン「【コネクト】こそが新しいSPECのカタチだといえよう」
ディヴァイン「人それぞれ器量の差があるように,【コネクト】の能力の程度・発現具合は異なる」
ディヴァイン「それはD・Eに対する耐性がどれだけあるか,に起因する」

アキ「D・Eの耐性が強いものほどより具体的な能力が発現した・・・私たちサイコデュエリストのように」
ディヴァイン「私がかつて持っていたSPEC【具現】は,D・Eを物質に【変換】する」
アキ「私の忌むべき力は,D・Eを衝撃に【変換】していた」


~デュエルアカデミア・ウエスト校~

プロフェッサーコブラ「そして人間が持つ【コネクト】はデュエルを行うことで更なる真価を発揮することとなる」
プロフェッサーコブラ「本来D・Eへの耐性が微小である人間であったとしても,決闘によってその変換能率は格段に上昇する」
プロフェッサーコブラ「今にして思えば私の行ったデスクローザー・デュエルによってD・Eがデュエルエナジーに高い能率で【変換】されていたのだろう」


~ミストラルシティ~

瑠奈「エーリアンが地球人と接触すれば,【コネクト】によってD・Eが吸収され,エーリアンは浄化される」
瑠奈「地球に来た目的はそれが全て。侵略なんてもってのほかよ」
ディック「なるほどね」ナル「あ,それ俺の口癖っ」

シャーク「エーリアンの救済には,D・Eへの耐性が普通以上でなくてはならない」
シャーク「幾たびのNo.による支配から抜けた俺は,他の決闘者たちよりもD・Eの耐性が強かった」
シャーク「お前たちを巻き込みたくなかった・・・俺だけですべて片付けるつもりだった・・・」

ナル「まったくなに一人でしょっちゃってんだか」
にろく「ミストラルシティの3ON3大会にPLUNGERとして出場することを決めたときの事を忘れたのか?」
ディック「俺たちがそれぞれに超えるべき壁を突破する・・・それが俺たちのチーム名だ」

にろく「それぞれの壁・・・俺は俺の壁を超えたっ!!」
にろく「そして今,越えた壁は俺を守る砦となった!!」
にろく「PLUNGERという仲間たちの砦に!!」

ディック「シャーク・・・今一番に壁を越えるべきなのはお前かもな」
ナル「いくらでも手を貸すぜ。お前が求めるならの話だけどな」
にろく「どうだ?これでもまだひとりでやるっていえるのか?」

シャーク「・・・まったくお前たちはとんだロマンチスト集団だな」
瑠奈「それを言うならあなたもね,シャーク」

チームPLUNGERは,それぞれの壁を前に立ち止まっていたわけではない。
別々の道を歩みながらゴールを目指していた。
そして,それぞれの道の行く末は・・・同じ未来だった。

今この時,彼らは真の意味で仲間となったのだ。


~「火の国」避難コミュニティ~

モブ大統領「いや~安心したぞ。これからはエーリアンとどう付き合っていくか考えなくてはなホォホォホォ」
三沢博士「そうはいかない!!」
モブ大統領「なんと!」

三沢博士「最初に俺はこう話したはずです。覚悟が必要だと」
三沢博士「今まで(一部を除いて)地球外生命体が地球を急襲しなかったのは,地球全体が高濃度のD・Eで包まれていたためです。シンクロ・エクシーズによるデュエルの高速化が要因となり【コネクト】によるD・Eの変換が加速的に進み,今回のデュエリアンとの闘争が決定打となり,この星を包むD・E濃度は他の種に影響の無いレベルまで落ちている」

三沢博士「それはつまり・・・」
モブ大統領「・・・つまり?」

三沢博士「エーリアンとは別の地球外生命体が攻め入る可能性があるということです」
三沢博士「地球人の【変換】を利用すれば,無尽蔵のエネルギーD・Eをいのままに操ることだって可能でしょう」
三沢博士「D・Eのバリアを失った今,俺たちは自分たちの力で地球を守らなければならない!!」

三沢博士「そしてもうひとつ。外からの脅威と同時に内からの脅威にも俺たちは目を光らせる必要がある」
三沢博士「Aゾーンを壊滅的状況に陥れ・・・そして地球でも”それ”は起こりえる」
三沢博士「マザーが語った脅威・・・【純然たる悪意InV(インバース)】!!」


ASD20XX.08.21.19:55
~「火の国」決闘スタジアム~

実況者「おぉーっとこれは見ものだ!!チームクロノヴァイスの”元”メンバー同士で対決だぁ!!」

ライトニング「先生・・・イワオ・・・無事だったんですね」
駆け寄ろうとするライトニングをライトレイが制止する。
ライトニング「な,なにをするだーです。せっかく先生たちが無事だと分かったのですよ」

ライトレイ「お前らは・・・誰だ!!」

かもめ(?)「くっくっく・・・」
イワオ(?)「くくく・・・」



~三沢博士の考察~

三沢「俺の活躍はここまでだ。あとは主人公たちに任せるさ」
モモジリ「解説ご苦労様」

三沢「まさか俺の意志が空白の次元,いやゾーンZに共鳴してお前ら使い魔を誕生させていたとはな」
モモジリ「ぼくと行動を共にする君にも『星の力』は発現するはずなんだけど・・・」
三沢「俺はいいさ。俺の役目は後ろから支えることだからな」

モモジリ(ゾーンZと共鳴するには特別な【コネクト】が必要だ・・・)
モモジリ(三沢くんが持つ【コネクト】はきっと特別ですばらしいものなんだろうな)
モモジリ「みさわはすごいモモ♪」

三沢「ははは,これからもよろしく頼む」
三沢「・・・おっと,気を抜くのはまだ早かったな」
三沢「【純然たる悪意InV】に・・・俺たちは立ち向かわなくてはならないのだから」

モモジリ「次回ソラノキセキ最終回,宇宙-ソラの全てをその身体全てで感じるのだ!!」


最終更新:2012年10月20日 21:46