御先祖様万々歳！ - teltel55 @Wiki

御先祖様万々歳！

●８点

押井守によるＯＶＡ作品。通称「明朗家庭崩壊喜劇」。
未来からやってきた子孫を名乗る少女、麿子によって平凡な家庭だった四方田家が
次第に崩壊していく様を描く。喜劇的な演出だが本質は生々しく残酷。

舞台劇を意識した固定した画面、唐突に始まる劇中歌、観客席から飛ぶ野次等
実験性とも遊び心とも取れる演出はあまりにも時代を先取り過ぎた。
イノセンスで押井が挑戦したとされる「言葉をＢＧＭのように奏でる」手法は
既にこの作品で完成されていたのではないかと思える。

確執、葛藤、野心のせめぎ合いを、見た目以上に繊細な人物描写と声優陣の熱演で描き切った力作。
現在の押井への賛否やこうした作劇が目新しくない昨今の状況では評価は分かれるかもしれないが、
アニメ作りの基本的なスキルの重要さを味わうのにお勧めしたい。

●６点
　退屈な日常に突如現れた美少女。彼女は未来からやってきた
　主人公の孫だと名乗り、それがきっかけとなって主人公の
　家族関係は崩壊する。
　演劇的な手法をアニメ演出に取り入れた前衛的な作品で、
　ヒロインである美少女も意図的に萌えの線から外されているが
　それでも押井守のオリジナル作品としては最も娯楽性が高い。
　演劇手法を取り入れた登場人物の大げさな芝居は爆笑とまでは
　いかなくともそれなりに楽しめる。
　そして５巻の毒に満ちたラストが秀逸。ここで終わっていれば７点を
　献上してもよかったのだが最終巻の立ち食いソバ屋のエピソードが
　つまらなかったのでマイナス１点。