早朝の大和スタジアム。
そこでは暢気にも野球の試合が行われていた。
観客などほとんどいない、不毛な試合とも思えるが……試合を行う二つのチームには譲れぬ思いがある。
信念と信念のぶつかりあい、殺し合い世界の中で野球決戦。
7-1
しかし表示されるスコアを見れば、それがいかに一方的なものであるかがわかるだろう。
試合をしていたのは、大魔神軍と
ドラゴンズ。
ピッチャーだらけとはいえその道のプロと、数時間前に野球を始めたばかりのドラゴンどもで試合になるわけがない……
僅かな観客――休息の為に身を隠していた
イチローチームの面々は、そう確信していた。
だが、大魔神軍相手に点をもぎ取ったのはドラゴンズの方であった。
「く、くそ……認めてたまるか!こんな、こんなふざけた連中に……!」
佐々木様は、歯軋りしつつバットを強く握り締める。
相手のピッチャーはなんのことはない、細身の少女だというのに。
「……ロイ様が見てる。だから、勝たせていただきます」
イドゥンが振りかぶり、ボールを投げる。
「っ!!!」
その瞬間だけ、彼女の腕は屈強な魔竜のそれに変貌していた。
武器の名称が【闇のブレス】でありながら、【実際の攻撃モーションは鷲掴みによる握殺】という点からもネタにされてしまうイドゥンではあるが、
逆に言えばその腕の力はブレスに勝るほど凄まじいのである。
暗黒の力を纏った剛速球を、佐々木様のバットは捕らえることはできない。
愚直なストレートだ。本来の彼であればなんなく打てるのだが、相手のパワーとスピードが凄まじすぎて迂闊に手を出せば両腕を持っていかれる。
「クハハ、ストライクだな。どうしたニンゲン、もっと足掻いてみせヨ?」
そんな殺人球を、捕手であるフォーマルハウトはなんなく受け止めて見せた。
「くっ……!」
そう、大魔神軍とドラゴンズの明暗を分けたのは……圧倒的なまでの基礎身体能力の差だった。
あまりに残念な言動と出典元の実績で笑いものにされる彼らではあるが、そのメンバーの殆んどは神だの
ラスボスだのである。
その圧倒的な力に大魔神軍の面々は気圧され、逆にドラゴンズの面々は勢いに乗る。
そもそもこの試合を強引に成立させたのはオシリスの天空竜だったりするのだが、彼らは初っ端からやる気満々であった。
理由は勿論、カオスロワちゃんねるに書き込まれた大魔神軍の大量のドラゴンズをディスる発言の数々。
せめてそれがなければ、大魔神軍にもまだ勝機はあったかもしれない。
だが正に竜の逆鱗に触れてしまった現在、大人気ないドラゴンズの本気の蹂躙劇は止まらなかった。
「あいつ、口にボールを!?」
「超電導サンダーボールッ!」
ドラゴンの巨躯から繰り出されるボールは、誰が投げようが全員即死級であり……
「この両腕を犠牲にしてでも、打たせてもらうぞっ!」
「ちっ!?」
選手生命を失いかねないほどの危険をおかして打つことができても……
「おっとあぶねぇ、ワールドツアーでささっとキャッチ」
「」
ドラゴンの驚異的な機動力の前では次々とアウトにされてしまう。
「ピッチャーなめんな!」
「お前こそドラゴン舐めんなwwwww」
当然、ドラゴンパワーでヒットを出された場合はほとんどそのままホームランまっしぐら。
ピッチャーの意地でその回数こそ抑えているが、それでも当てられてしまっては手のつけようがない。
「貴方の球は見切りましたよ。球……タマ!?ああなんて卑猥な!まさか貴方、私に黄金の魔球とかいってオチン○と一緒に押し付けるつもりじゃ!?」
(おっぱい……もうおっぱいしか見えないや……)
しかもダメ押しで色仕掛け攻撃まであった。
反則とも思えるかもしれないが、なんでもありなのがこの理不尽なカオスロワ方式野球なのである。
その結果……
○ドラゴンズ 18-4 大魔神軍●
たった一試合で、すごいことになった。
――ゲームセット――
「ありがとう……ございました……!」
悔しい思いはあった。超理不尽なカオスロワ方式野球の洗礼を受け、血も涙も流している。
それでもマー君は、しっかりと相手チームへの礼を欠かさずに行った。
残る面々も、それは忘れない。試合には敗れたとはいえ、彼らは野球への強い誇りを持っているのだから。
「こちらこそありがとうホル。大魔神軍のおかげで、こっちも色々と課題が見つかったホル」
「まさかロボットだけじゃなくて生身の人間にも俺のボールが打たれるなんてwwwwwへこみそうwwwwwww」
「まあ、自分たちは野球初心者っすからね。今回の勝ちだってパワーごり押しだし、技術も磨いていきたいっす」
それに対して、ドラゴンズの面々も礼をする。
おちゃらけた、ふざけた集団ではあるが、信念を持って野球をしているのは彼らも同じであった。
「……実際に見もせず、お前たちを否定した俺の浅はかさが、この敗北の原因だな」
「ああ、流石にあそこまでコケにされたのは腹が立ったねぇ。
聖帝軍もアレな言われ方だったけどさ。
でも……なんだかんだで僕らの試合に応じてくれたし、色々な球を魅せてくれたのは感謝するよ」
クツクツとギムレーも笑うが、佐々木様達を殺すことはしない。
本来の彼の性格であれば敗者になど情けはかけないのだが、それだけ気分がいいということなのだろう。
かつてのからくりドームでの死闘とは異なり、多少の血こそ流れたが死者は出ていない。
敗者は自害しろというルールもなく、ちょっと選手が普通じゃないところ以外は、一般的な野球の試合であった。
「……本当に、俺達を殺さずに逃がすつもりか?」
「だから言ってるだろうが。俺は、野球で世界を救いたいの。んでロリにモテる!
相手がマーダーならともかく、腕のいい野球選手殺したりなんかしたらロリどころかショタからまで嫌われちまうよ」
「ちっ……やっぱふざけてやがんなテメェ……!次だ、この殺し合いが終わったら、今度こそお前ら叩き潰してやるからな!」
「おう、いつでもこいや!」
この殺し合いの最中、【儀式】のための野球では敗北したチームはもう野球をできない。
だからこそ、平和になった世界での再戦を望んで。オシリスに見送られながら、大魔神軍はスタジアムを後にした。
「ふぅー……っべぇ、割と俺ガチだったわ」
「滅茶苦茶しんどかったホル……」
「まあ、とにかく一勝目だ。このままイチローチームにも勝って……と、言いたいところだが」
ちらりと、ドラゴンズはイチローチームの様子を見る。
チアガールのちなつが心配そうにイチローの腕を見つめており、他のメンバーもイチローを守るような格好だ。
(こりゃ、イチローが結構重傷って感じだな)
(それよりも僕は、あっちのハゲが気になるねぇ。あれは相当の戦士だよ)
テレパシーで会話をし、おおよそのイチローチームの現状を確認する。
間違いなく自分達は警戒されているだろう。
大魔神軍を破った、野球の腕前……とかではなく、主に外見の方で。
ギムレーとイドゥンはほぼ人間の姿だが、さっきの試合中に竜の片鱗は見せてしまっている。
残るメンバーは全員がドラゴンであり、特にリーダーのオシリスはでかいし顔が凶悪である。
ネットをやっていなくても、逃げ惑うモブ参加者から話は聞いているだろう。各地で魔物が暴れていると。
自分達は、その魔物の中でも最上位の存在(一般的に)、ドラゴンである。
それもただのドラゴンじゃあない。なんと(一応)神だのなんだのと凄い肩書きをもった(設定では)強いドラゴンだ。
たとえイチローチームと言えども、警戒せざるを得ないだろう。
(逃げた方がよくね?あれナッパだよ絶対wwwwww戦闘力半端ねぇwwwwww)
(あの人間の頭……ああ、なんて卑猥なんでしょう!)
そしてそれはドラゴンズも同じ。
こちらを警戒するイチローチームには、腕を組んでこちらを見つめてくるサイヤ人ナッパがいた。
さらに彼の存在感により霞んでしまっているが、後ろにいる蛮もしっかりと戦闘に移れるように身構えている。
一触即発の空気が――
「ロイ様ー!」
「イドゥン、無事でよかったよ!」
――あっというまに砕け散った。
両陣営から飛び出した二人のおかげで。
結局、知り合いであったロイとイドゥンの言葉により一応の誤解は解けた。
それでなくとも、オシリスやホルスは口を開けば威厳が地の底に落ちてある種の安心感が生まれるのだが。
「まさか、ドラゴンまで野球に夢中になるなんてなぁ。やっぱ野球はすげえ!
今まで戦うことしかしてこなかった俺の人生って、なんだったんだろうなぁ……」
「ホルホル……明らかにやばそうな奴なのに、すっかり野球色に染まってるホル」
「やっぱイチロークラスになると、チアガールも持てるのか。いやでもロリではないし……」
(な、なんかすっごく見られてる……食べられないよね……?)
「……ロイ様、私変われたでしょうか?頑張れていましたでしょうか?」
「ああ、まさか君まで野球をやるとは思わなかったけど、凄かったよ。
でもねイドゥン……僕は君が無事だったことの方が嬉しいな」(福山ボイス)
「あっ……」
「ほら、試合で君も疲れただろう?このスタジアムにも選手の休憩場所があるから休もう。
……久しぶりに会えたんだ。もっと君の声を聞きたい」(抱きしめながら耳元で本気の福山voice)
「はひぃん!?」
「君は?選手には見えないけど」
「ああ、俺は久保帯人。このチームの監督をさせてもらっているよ」
「……へぇ」
そしてそれぞれのメンバーが交流をする中、衝撃の事実が明らかになった!
「えちょwwwwwww野球だけじゃ世界救えないってwwwwwwマジでwwwwwwwww」
「あ、ああ。僕がハラサンから聞いた限りだと、野球以外の何かも必要らしい」
なんとドラゴンズの目的である、野球で優勝して世界を救う(そしてロリにモテる)ことが不可能だと判明したのだ。
「ちょっと、どういうことなんですかオシリス!貴方がそう言うから、私達もついてきたんですよ!」
「……………ドラゴンネットワークだって、たまにはミスするんだよ」
ぷいっとそっぽを向くオシリス。
彼はロリコンという残念さからこの残念チームのリーダーをやっているわけではない。
公式で複数回ドジをやらかし(そのいずれもそのまま致命傷に繋がる)、一部では【ドジリス】などと呼ばれている存在だ。
つまりこのオシリスの残念属性はドジっ子である。
何かとメタい発言をかますことが多いが、実はドラゴンネットワークの言葉を鵜呑みにしていたりする時もある。
そして残念ながら、少なくとも今のこの世界でドラゴンという種族はもはや一片の例外も無く【どこか残念】なのだ。
残念なドラゴンの情報を残念なドラゴンが受信し、それを残念なドラゴン達に配信する。これが誤った情報の正体。
無論ドラゴンネットワークには正しい情報も流れ、それがメタ発言にも繋がるのだが、とにかく信じ込むのは危険というわけだ。
「そ、それじゃあ正しくはどうなってるんすか!?」
「ええと
1・【九人の最良の戦士たちによる儀式の完遂】
2・【全てを虜にする歌】
3・【
巫女の祈り】
4・【器たりえる巨像】
5・【不屈の精神を持った勇者】
全てが揃いし時、争いの淀みから生まれた化身は救いの神に転じる……これが聞いた予言の内容だ」
「野球だけじゃ全然たりねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwしかも内容もわかんねえwwwwwwwwwwwwwwww」
ホルスが盛大に草を生やして笑うが、この事実はドラゴンズにとって洒落になってない事態である。
ドラゴンズの存在意義を否定されたようなものなのだから。
オシリスは頭の中で急いで修正情報をドラゴンネットワークに流している。
「参りましたね……まさか、世界を救うには神を降臨させなければならず、しかも野球だけでは駄目だなんて……」
「ホルは一応神タイプホルが、このやばい世界を救うだけの力は無いホル」
「それより、争いの淀みから生まれた化身が救いの神にってことは、最初は邪神
みたいなものってことか?」
ドラゴンズのメンバーはうんうんと唸る。
一応彼らは人語をペラペラと喋っているあたりでおわかり頂けるとは思うが、そこらのドラゴンよりも遥かに賢い。
ただどっかしらが残念なだけであって、馬鹿なわけではない。
しかしながら、考えども考えども予言の内容はさっぱりわからなかった。
「クハハ、しかしこの予言とやらが本当だとすれバ、逆に言ってしまえば誰がどう足掻こうトモこの混沌としたセカイを救えないというワケダ」
「ならば、やることはひとつだな」
そんな中、凹んでいたオシリスがもう復活した。神である彼にはいかなる魔法も罠も精神的ダメージも一瞬しか効果がないのだ。
「我らドラゴンズは、野球で優勝しつつ残りの謎も解き明かして世界を救い、そしてロリにモテるのだ!」
「「!!?」」
オシリスのまさかの提案に、ドラゴンズは勿論イチローチームも驚いた。
駄目ドラゴンの口からでたのは、明らかに茨の道なんてものでは済まない発想だったのだから。
「まったく……しかし私達の目的は元より殺し合いを止めて世界を救うこと。一人よりも九人、まだまだ貴方につきあう必要がありそうですね」
「そうっすねー。ちょっと仕事が増えたってだけっすよ」
だがソウルセイバーとオーバーロードは割とあっさりとその提案を受け入れる。
彼女らの目的を考えれば、目の前に置かれた新たな予言の問題も無視できるものではない。
「ま、確かに面倒っちゃ面倒だが、もっと大仕事ってことだろ?それを片付けたとなりゃ、レイアの奴だって……」
「ワレとしては、混沌とした世界は別に構わヌのだガ……いいだろう、これも真竜のイダイさを知らしめるためダ」
「僕も別につきあってもいいかな。救いの神ってのは僕の宗教の邪魔になりそうだけど、その神に恩を売ってやるのも一興か」
「オシリスさんマジすかwwwwwwwやばいwwwwwこれうまくいきゃ俺達本当のヒーローwwwwwww」
「ホ、ホルは「世界救ったら巨乳の子から抱きしめて貰えるぞ」やるホル!」
残るメンバーも次々とオシリスの提案を受け入れる。
彼らの行動理念は【野球で優勝】以前に【大きな功績を残すことでそれぞれ何かしらのものを得たい】なのだから、当然と言えば当然かもしれない。
欲望に忠実とも言うが。
だがどこかのドラゴンが言っていたように、龍は生まれた時から本能に従い好き勝手する生き物でもあるらしい。
だからなんの問題も無い。
(一体なんなんだろう、このよくわからないチームは……)
随分と俗物にして、それでいて非常に高い戦闘能力と恐ろしい外見を持つドラゴン。
そのギャップに、思わずイチローチームは呆れると同時に安堵した。
少なくとも、この場で試合か戦闘が行われる空気ではないからだ。
「あれ、イドゥンどこいったホル?」
「支援Aなったぞー!」
「……ぽっ」
「口で言うんじゃありませんあざとい!?駄目ですよ人間のオチ○ポなんかに負けたら!私と同じような鋼鉄の精神をですね……」
「うーん、痴女とは支援A関係になりたくないからパスで」
「んな!?」
少なくとも、一人と一匹は争うことはないだろう。
「それじゃあ、さっそく行動を……」
「オシリス、ちょっといいかい?」
ギムレーがすっと手を挙げる。
彼の目は、未だ傷が癒えきっていないイチローチームに向けられていた。
「確かに野球だけじゃ世界が救えないことはわかったけど、折角始めた野球を捨てるのもここでイチローチームを逃すのも惜しい。
どうだろう、ここはしばらく彼らの傷が癒えるまでイチローチームに同行させてもらうというのは?」
「なっ!?」
イチローチームサイドから、誰かの短い呻きがもれる。
ただでさえからくりドームの試合で疲労しているというのに、このうえ得体の知れない珍獣チームにストーキングされるなぞ迷惑である。
隙を見て自分達を喰うつもりかもしれないし、基本的に人間揃いのイチローチームからすれば警戒して当然の提案だ。
「何もただでつきまとうつもりはないさ。君らは万全の状態になったら、真っ先に僕らと試合してくれればそれでいい。
その間、僕らドラゴンズが君らの【ボディガード】を引き受けよう。どうだい、そちらにとっても悪い条件ではないだろう?」
「た、確かに……」
続く言葉に、イチローチームはぐらつく。
彼らは野球の腕前もさることながら、かなり高めの戦闘力を持っている。
しかしそれは一部の個であり、戦えない仲間を巻き込まないよう戦うとその力は半減してしまう。
これから先も試合のために動き回れば、いずれまたあの狂信者とでくわして戦闘になるだろう。
それを思うと、ここで強力な護衛が増えることはのぞましい。
「待ってもらおうか。いきなりやってきた君たちのような連中を、信用しろと?
いまやこの殺し合いの中でも最大級の戦力を持つ都庁のトップもドラゴンと聞いた。同じ種族に流石に背を預けるわけにはいかないよ」
唯一、監督である久保帯人が難色を示す。しかし、彼の言葉は潰されていく。
「ドラゴンが全て悪というわけじゃないですよ。確かに僕も過去に何体ものドラゴンと戦ってきましたけど、中にはちゃんと心を持つ人もいる。
実は僕の母上は人間とドラゴンのハーフでして、僕にもちょっとドラゴンの血が流れてるんです。ドラゴンだからと警戒する必要はないかと」
「俺もこの提案には賛成だな。野球ってのは一人じゃできねえ、チームの仲間が必要なんだ。
それを試合以外の邪魔な攻撃から守ってくれるってんなら、俺達からしたら大助かりだろ。……またいつあの
DMC狂信者が来るかわかんねえんだしよ」
ロイとナッパの言葉に、久保帯人は反論ができなかった。
既にチームの中にドラゴンの血を継ぐ者がいては、ドラゴンだからという理由で断ることができない。
そして久保帯人の予想に反して、ナッパは面倒な相手であった。
外見、口調、気配。どれをとっても野蛮な男であり、とてもではないがチームを大切にするようには見えなかった。
ところがどうだ。今や彼が率先して、他のメンバーを説得しているではないか。
なにがここまでこの男を変えたのか……久保帯人には、わからない。
(おいギムレー、別に俺らは構わないが、急にどうしたんだ?)
(……僕のこの器、ルフレという男は人間であった頃は非常に優れた魔剣士であると同時に戦略家でね。神軍師と呼ばれるほどだったんだ。
だからこそ、人を見る目にも優れている。イチローチームの中であの久保帯人という男だけ、嫌に臭うんだよ。少なくとも何かは企んでいる)
「君達との試合をいずれ行うことは構わないけど、その時のルールは?」
「ああ、別に負けたほうは自害しろなんてことは言わないぞ」
「ぶっちゃけ、本気でやったら両チームとも最悪瀕死状態になる気がするホルが……」
「それなら……」
「「ぐああああああぁぁぁぁぁ……!!!」」
その時、スタジアムの外から複数の悲鳴が聞こえた。
「なっ……!?」
「今のは佐々木様の声か!?まさか……」
イチローチームとドラゴンズに、緊張がはしる。
今の悲鳴はただごとではない。近くに、何者かがいる。
それもおそらく、マーダーの類が。
「こりゃ、早速イチローチーム担いで逃げた方がいいパターンか?」
「いやいや、まずは相手を見るべきっすよ。単体ならドラゴンパワーで返り討ちにできますし」
全員が、一点を見つめる。
悲鳴の方向からして、敵はきっと目の前のゲートをくぐってやってくる。
そして案の定、数秒と経たずに大きな影が姿を現した。
「あ、なんだキメラテック先輩じゃないですか」
「っ!よけろ、オーバーロード!」
「え?」
「キメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃ィ!エヴォリューションレザルトバースト、グォレンダァッ!」
巨大な何かは、機械のドラゴンであった。
それはオシリス達の知り合いでもあるキメラテックと呼ばれるドラゴンであり、関係は悪くなかったはずだ。
それに油断し無用心に近づいたオーバーロードが、複数の光線に貫かれて爆散した。
「!?」
目の前で仲間を殺され、ドラゴンズのメンバーは驚愕する。
それはイチローチームも同じくであり、あのオーバーロードを一撃で倒すほどの敵の出現に驚かないわけがない。
「ちょ……wなんだってんだキメラテックよぉwいきなりごあいさつじゃねえかww」
「無理に草生やすなホルス。こいつは、俺らの知ってるキメラテックじゃねえ!既に魔改造されちまってやがる……!」
「魔改造とは心外だな。このヘルカイザーが、特別にチューニングした自信作だというのに」
そんな野球チームの前に現れたのは、黒いコートを着込んだ目つきの鋭い青年。
その表情は、笑っていた。
「切歌の情報をたよりにきてみれば、まさかこんなに新鮮なドラゴンまでいるとは。
クラウザーさんの復活のためにも、貴様らはこのヘルカイザーが地獄に送ってやろう!さっきキメラテックで花火にしてやったあの選手共のようになぁ!」
「あの選手共だと……大魔神軍のことかあああ「落ち着けナッパ!」
つい先程試合を見せてくれた大魔神軍の死を知り、怒り滾るナッパ。
しかし彼が完全に何かに目覚める前に、静止が入る。
クラウザーさんという言葉からして、このヘルカイザーという男もDMC狂信者の一人なのだろう。
ここで戦えば、また以前と同じように数の暴力で押し切られてしまうのは明らかだからだ。
「悪いが俺は切歌のように甘くは無いぞ。ただでさえ、都庁を落とすのに失敗して予定が狂っているんだ。まとめて消えろ!」
再びキメラテックの複数の頭全てに、エネルギーがチャージされていく。
キメラテックの能力は、その首の本数だけ連続攻撃が可能というもの。多数の相手を殲滅するのにうってつけの力であった。
「メンドウな相手だな。ならば現われヨ!帝竜オケアヌス!」
しかし発射よりも早く、フォーマルハウトが紋章よりドラゴンの幻影を呼び出した。
幻影のドラゴンが勢いよく水をキメラテックに浴びせかけると、その体はあっという間に錆びついていった。
「ち、強酸水か!確かに俺の操るサイバードラゴン達と相性はよくないが……俺のモンスターはこいつだけじゃない。
現れろ、サイバー・ダーク・ドラゴン!」
錆びつき動きが鈍ったキメラテックを庇うように、カードから漆黒の機械龍が召喚される。
「サイバーダークの効果発動!墓地より、死んだドラゴンを装備カードとして引きずり出し、攻撃力を上昇させる!
俺が選択するのは、冥闇に堕した者!」
地の底より、つい先刻跡形も無く吹き飛ばされたはずの冥竜がずるりとサイバーダークのコードによって引きずり出された。
その目には生気は宿っていない。確かに死んでいる。それでも、その体が持つ戦闘力はそのままであり、サイバーダークの糧となる。
「ハハハハハ、むしろこいつが死んでくれて助かったぞ。すぐにお前達ドラゴンズも全員、サイバーダークの装備品にしてくれる。
やれサイバーダーク!フル・ダークネス・スーパーノヴァ!」
「ウオオオオォォォォ!?」
キメラテック以上の凄まじい暗黒のエネルギーは、幻影帝竜を消し飛ばして後ろにいた真竜すら吹き飛ばす。
「おいおい、ありゃドラゴンネットワークアク禁になった奴じぇねえか!?」
「僕らとは相性が最悪だ。これは逃げの一手しかないかな……!」
僅かに舌打ちをしてから、ギムレーがその身に闇を纏う。
次の瞬間そこにはオシリス以上、まるで浮遊大陸のように巨大なドラゴンが現れた。
邪竜ギムレーの、本当の姿だ。
「くっ……なんだこの大きさは!?ひるむなサイバーダーク、もう一度攻撃だ!」
「ぐおおおっ……!くそ、いくら鱗でダメージ半減できるとはいえ、僕だって痛いものは痛いんだ!
イチローチームもドラゴンズも早く乗ってくれ!」
サイバーダークの砲撃を受け止めるギムレーからは苦悶の声が漏れ、慌ててイチローチーム達は彼の背中に登る。
その間にもサイバーダークの、そしてキメラテックの攻撃が続いたが、なんとか全員が空へと逃れることに成功するのであった。
「……逃したか。イチローチームだけならず、ドラゴンズも……いや野球関係者は一筋縄ではいかないということか?
まあいい。大魔神軍とドラゴンズの一匹は葬った。これで、クラウザーさんの復活にさらに近づいただろう」
キメラテックとサイバーダークをカードに戻し、ヘルカイザーはスタジアムを後にする。
カードの有効範囲が首輪により制限されており、サイバーダークなどでは深追いはできないのである。
「しかし楽しみだな。人間、一度地獄を経験すると強くなれるが……あのクラウザーさんが地獄から再び蘇ればどうなる?
きっとさらに素晴らしい歌を、刺激を、興奮を、俺達に与えてくれる筈だ。ああ、もっと生贄を探して殺さなくては。
俺は飢えている……渇いている……クラウザーさんの歌にっ……!」
【
二日目・5時45分/神奈川県大和スタジアム】
【ヘルカイザー亮@遊戯王GX】
【状態】疲労(小)クラウザーさん欠乏症
【装備】デュエルディスク、スマホ
【道具】支給品一式、キメラテックオーバードラゴン、サイバーダークドラゴン、冥闇に堕した者(装備品)、他不明
【思考】基本:強敵をSATSUGAIして己も満たしつつクラウザーさんを復活させる
1:次の生贄を探しに行く
2:野球チーム全てを警戒。可能であれば自分の手で殺す
※サイバーダークはロワ中に死亡したドラゴンを装備品として装備可能ですが、一度に一体までの制限あり
【大魔神軍 壊滅】
【ドラゴニック・オーバーロード“The Яe-birth”@ヴァンガード 消滅】
「くそっ!DMC狂信者どもめ!」
「許せない……!」
からくりドームでの戦いの後と同じように、イチローチームとドラゴンズは再び空へと逃げ延びた。
スタジアムにまた謎の印があらわれるが、今はそんなことはどうでもいい。
DMC狂信者は、ハラサンを始め多くの大正義巨人軍の仲間を殺しただけでは飽き足らず、大魔神軍までその手にかけた。
外見や言動には難があるが、それでも確かに野球チームの一つであったドラゴンズの選手も犠牲になった。
自分達が気がついていないだけで、もしかしたらさらに多くの野球選手が、DMC狂信者によって殺されているかもしれない。
そう思うだけで、怒りは収まりそうになかった。
「オーバーロード……貴方の仇は、きっと討ちますよ……」
「野球も予言も大事だけどよ、まずはあいつらどうにかしないとおちおち地上に着陸もできないぜ?
ずっと飛んで逃げ続けるってのも流石に限度があるしな」
「とりあえず、俺ら野球チームは球場で試合をやる必要がある以上、そこを待ち伏せされると痛すぎる。
落ち着いて試合するためにも、確かに先にDMCを黙らせないとキツイな」
「どの道、ホル達は今はもう人数が減ったせいで野球できないホル……」
「流石にオオナズチを急遽加えるとかはないよなwwwww……でも他に入りそうな奴もいないのも事実かwwwwww」
「オシリス、イチロー、どっちでもいいから早く行き先を決めてくれ。僕もこの姿でいられるのに時間制限がありそうだ。
それに敵はDMCだけじゃない。さっきの放送で呼ばれていた風鳴翼という女も警戒した方がいい」
野球の試合で優勝する。
共通の目的を持ったチームは、いずれ戦う者同士ではあるが、今は共に悩み考える。
野球の試合を行うたびに誰かが死ぬなどあってはならない。落ち着いて真っ当な試合をするにはどうすればいいか。
以降も試合を妨害してきそうなDMCだけでなく、東京都周辺には危険な参加者がうようよしている。
主催者にまで警戒される謎の少女がどれほどの脅威であり、どこにいるのかもわからない。
ハラサンが残した予言の言葉の正体は、どうやって突き止めればいいのか。
沢山の問題を抱えながら、彼らはどこへと向かう?
【二日目・5時45分/神奈川県上空】
【イチローチーム】
【イチロー@現実?】
【状態】両腕のダメージ(中)、疲労(小)
【装備】野球道具
【道具】支給品一式
【思考】基本:イチローチームを優勝させる?
0:どこかへ避難。スタジアムは危険か?
1:川崎宗則を倒すために仲間を集める
2:ハラサンの言っていた予言とは一体……?
3:とりあえずドラゴンズは信用する
※ネオ・レーザービームは使用すると腕に多大な負担がかかり、あと三球以上使用すると選手生命が終わる危険があります
【DAIGO@現実?】
【状態】疲労(小)
【装備】ウルティメイトブレスレット@ウルトラマンサーガ
【道具】支給品一式、ヴァンガードデッキ
【思考】
0:イチローチームについていく
1:ウルトラマンマジ頼れる
2:ダイゴさんマジリスペクト……意思は引継ぐっス
【ウルトラマンゼロ@ウルトラマンサーガ】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】基本:殺し合いを止める
1:どうにかしてDMCを止めたいが……
2:ティガ、助けられなくてすまない……
※制限によって一度に数分までの間しか変身できません
【美堂蛮@GetBackers-奪還屋-】
【状態】疲労(小)
【装備】サングラス
【道具】支給品一式
【思考】
0:イチローチームについていく
1:銀次を探す
【伊吹萃香@しゅわスパ大作戦】
【状態】疲労(小)
【装備】なし
【道具】支給品一式、日本酒×99
【思考】
基本:イチローチームについていく
1:久保先生が監督かー
2:野獣が死んでメシウマ状態ww
【博麗霊夢@クッキー☆】
【状態】疲労(小)
【装備】なし
【道具】支給品一式、御札×99
【思考】
0:イチローチームについていく
1:巫女の祈り……まさか私の祈り?
2:野獣が死んでメシウマ状態ww
【ロイ@FE封印の剣】
【状態】疲労(小)、イドゥンと支援A
【装備】マスターソード
【道具】支給品一式
【思考】
0:イチローチームについていく
1:色々あったが、イドゥンと支援Aになれたのはよかった
2:支援A関係になる女性をさらに増やすぜ!
【ダイゴ@ポケットモンスター】
【状態】疲労(小)、深い悲しみ
【装備】メタグロス
【道具】支給品一式、コルトパイソン
【思考】
0:イチローチームについていく
1:助けてあげられなくて
ごめんな、ポッチャマ……
2:きれいな石集めは一時保留
【吉川ちなつ@ゆるゆり】
【状態】軽度の精神的ショック、疲労(小)
【装備】釘バット
【道具】支給品一式、チアガールのコスチューム、RPG-7(弾切れ)
【思考】
0:イチローチームについていく
1:人殺しちゃった。
2:野獣死んでも素直にメシウマできない……
【◆6/WWxs901s氏@カオスロワ書き手】
【状態】疲労(小) 、悲しみ
【装備】胡桃五千個
【道具】支給品一式
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、イチローチームを優勝させる
1:ハラサン……ありがとう
2:大正義を忘れない
3:目立つことも忘れない
【ラミレス@横浜DeNAベイスターズ】
【状態】疲労(小)
【装備】野球道具一式
【道具】支給品一式
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、イチローチームを優勝させる
1:ハ、ハラサン…
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【状態】健康、野球の面白さに目覚めた
【装備】なし
【道具】一人用のポッド
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、イチローチームを優勝させる
0:野球を邪魔するDMCは許さない
1:バーダック生きてたのか
2:あのガキ(光熱斗)にはいつか報復する、野球で
3:ベジータはそのうち探す
【久保帯人@現実?】
【状態】疲労(小)、イチローチームの監督
【装備】斬魄刀「???」@ブリーチ
【道具】支給品一式、サングラス、SMプレイ用の道具一式
【思考】基本:世界を滅ぼし天に立つために主催者を殺す
1:監督としてイチローチームを上手く操り、他のチームを全て全滅させる
2:イチローチームが優勝を勝ち取る寸前で裏切り、儀式(野球)を台無しにさせる
3:ドラゴンズを警戒。邪魔になるようであれば始末していく
727 :地獄スタジアム:2014/08/14(木) 19:33:17 ID:LWoVbkbI0【ドラゴンズ】
【オシリスの天空竜@遊戯王デュエルモンスターズ】
【状態】ロリコン
【装備】バット、グローブ、ボールを多数
【道具】支給品一式
【思考】基本:ロリにモテるために世界を救う予言の謎を解明し、ドラゴンズも優勝させる
1:これからどう動くか考え中
2:メンバーの補充をしたいが……
3:ヘルカイザー及びDMCを警戒
4:イチローチームとはしっかり野球で決着をつけたい
※イチローチームとの情報交換により、正式な予言の言葉を知りました
【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:世界を救うためにオシリスについていく
1:そういえばまだ麒麟の奴が放送で呼ばれてないホル
2:ホルスがうざいホル…
3:ソウルセイバーのおっぱい…
4:風鳴翼にはおっぱいなかったホルね……
【ホルスの黒炎竜Lv8@遊戯王】
【状態】健康、常時魔法無効
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:オシリスの野球に付き合う
1:とりあえずホルスとはどちらが真のホルスかはっきりさせる
2;オシリスに着いていく
3:オオナズチは仲間にすんじゃねぇぞwwwwと思っていたが……
【ソウルセイバー・ドラゴン@ヴァンガード】
【状態】健康、巨乳
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:世界を救うためにも、オシリスについていく
1:オーバーロード……
2:人間のオチ○ポには絶対に負けたりしない
3:都庁軍討伐は後
※♀です
【リオレウス@モンスターハンターシリーズ】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:へたれイメージ払拭のために野球で優勝する
1:オシリスに着いて行く
2:実はレイアと仲直りしたい
【神体フォーマルハウト@セブンスドラゴン2020-Ⅱ】
【状態】ダメージ(中)
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明品
【思考】基本:真竜のイメージアップのために野球で優勝する
1:ヘルカイザーは今度遭ったら殺す
2:ニアラとは格が違うところを見せる
【イドゥン@ファイアーエムブレム 封印の剣】
【状態】健康、人間形態、ロイと支援A
【装備】魔竜石、リザイアの書
【道具】支給品一式、不明品
【思考】基本:野球で優勝して、過去のふがいない自分と決別する
1:ロイ様と支援Aになれたのはよかった
2:でもメンバーが欠けたのは辛い
【ギムレー@ファイアーエムブレム 覚醒】
【状態】ダメージ(中)、邪竜形態、イチローチーム・ドラゴンズを乗せてる
【装備】トロンの書、鋼の剣、邪竜の鱗
【道具】支給品一式、不明品
【思考】基本:野球で優勝して、自分の信者を増やす
1:とりあえず、あるかどうかわからないが安全地帯まで飛ぶ
2:どいつもこいつもDMCなんか信仰しやがって……
3:久保帯人を警戒
※外見はデフォルト設定の銀髪青年です
※制限により、ずっと邪竜形態でいることはできません
最終更新:2014年08月17日 14:32