先ほどまで
聖帝軍とDMC狂信者の軍勢の大合戦が繰り広げられていた埼玉・西武ドーム。
その外には現在、ドームへと歩みを進める小規模の集団の姿が見られた。
50人程度の集団で構成された彼らは、案の定野球チームではなく狂信者の一団。
レジーナ・シド混合軍敗北の報をモブ信者の断末魔の通信から知らされた彼らは、疲弊しているであろう
聖帝軍を襲撃せんと近づいていたのだ。
「しかし万全の準備をしていったシドさん達が返り討ちに遭うとは……やはり報告通り野球チームというのは
恐ろしい連中のようだ……」
「全くだ。トルーパー隊員やレジーナからの報告も『ターバンが……ターバンのガキが!』などと不明瞭な
話ばかりで全く分からん始末。一体彼らは何にやられたっていうんだ?」
謎だらけの状況に首をひねる狂信者達だったが、それを遮るように一人の人物が話に割って入った。
「ニャガニャガニャガ、まあいいではありませんか皆さん。尊い犠牲になってしまった信者の方々も
結果的にはクラウザーさん復活の為の力になってくれたんですから。シドさんが横流ししてくれた
ベルトとロックシードとやらの大半もビッグサイトに上納されましたし、レジーナさんも健在。
東京の方でも都庁爆破作戦が進行中ですし、後はこのまま順調にSATSUGAIを続ければクラウザーさん
復活も目と鼻の先ですよ~」
そう答えたのはオネエっぽい感じの白装束の超人、完璧超人始祖の一人・サイコホm……もといサイコマンだった。
彼もまたクラウザーさん復活の為に彼らと与した新たなDMC狂信者なのである。
もはや相当数の面子が倒されたにもかかわらず、カギ爪の男をはじめとする面々の勧誘力の高さとクラウザー
さんの歌による洗脳力も相まって狂信者は現在も着々と増える一方であった。
果たしてこのまま疲弊した聖帝軍は彼らによってSATSUGAIされてしまうのだろうか?
そう思われていた時である。
ゴゴゴゴゴ………
「おい、何か地面が揺れてないか?」
「た、確かに!」
「あ……あああ~~~~~~っ、あれを見ろ~~~~~~~っ!!」
♪デンドン デンドン デンドン デンドン デンドン デンドン デンドン デンドン
♪デーンデッデデーデデデデー デーデデーデッデデーデデデデッデー
(※脳内BGM推奨:トップをねらえ!より、ガンバスター出撃のテーマ)
狂信者一同はその光景に驚愕した。
彼らの視界に見えていた西武ドームの屋根が、真っ二つに開いたのである。
あたかもそんな機能が元から装備されていたかのように。
そしてその中から、想像を絶する物体が顔を出した。
『ニョワ―――――――――――――――――ッ!!』
それはまさに天を衝く巨大なロボットだった。
だがMSなどのようなただの兵器ではなかった。
何とも形容しづらかったが、あえて言うなら『可愛らしい』と言うべきなのだろうか。
とにかくそんな巨大ロボだった。
というかなんでこんなものが西武ドームを割って出てきたのか。
――――話は数刻前にさかのぼる。
「……以上が、俺が知る世界を救うための5つの予言の詳細だ」
「何だよ、要は野球だけじゃ駄目なんじゃねえか!」
「コラ―ッこの梨ーっ!! よくもこの俺にデタラメを教えおって―っ!!」
「ふなっしーのせいじゃないなっしー! 中途半端なお告げしかくれなかった梨の神様の責任なっしー!」
結果的にサウザーを除いてターバンの集団と化す事でシド率いる軍勢を返り討ちにした聖帝軍は、とりあえず
一段落付いたので一端ベンチに後退し、獣王クロコダインが戦闘前に口にした世界救済の5つの予言について
教えてもらう事にした。
戦いを終えて聖帝軍+αの面々の心境は悲喜こもごも。
サウザーは右太ももをターバンのガキに刺されまくった名誉(?)の負傷を治療する必要があり、諸星きらりは
戦闘後にタバサが死亡した事に気づき魔雲天や姉帯達の横で悲しんでいた。
加賀美は無残にも試合前に惨殺されたウルフハリケーンズのチームメイト達を他の面々に頼み埋葬を手伝って
もらっていた。
一試合もできずにこの世を去った彼らの無念は計り知れないものがあるだろう。
……ちなみにその横では球界の暴れん坊・つば九郎が倒されたDMC狂信者達の無事なディパックから支給品を
これ幸いとばかりに抜け目なく漁りまくっていた。
後にチルノも一緒になって漁りだした所で亜久里に咎められて中断する事となったが……。
「しかし“九人の最良の戦士たちによる儀式の完遂、全てを虜にする歌、
巫女の祈り、器たりえる巨像、不屈の
精神を持った勇者。全てが揃いし時、争いの淀みから生まれた化身は救いの神に転じる”ですか……」
「九人の戦士による儀式というのは確実に野球の事でしょうけど、残りの予言は不透明なものばかりですわね……」
「うむ、俺もこの予言は以前デルムリン島のブラス老から聞きかじっただけなので、詳しい詳細まではわからん
のだ。大災害が起きこの殺し合いが始まった時はもしやと思いヤムチャ達と共に野球を始めたのだが……
あまり力になれず、すまんな」
「いえ、これだけでも知れれば十分な推理の材料になりますよ。ありがとうございますクロコダインさん」
そう言って正太郎は試合前同様再び知恵を巡らせ始めた。
ICPO所属の少年探偵の本領発揮である。
「まず“全てを虜にする歌”ですが、周囲全てに影響を与えるほどの歌と考えると……」
「おいおい待ってくれよ、まさかクラウザーとかいう奴の歌じゃねえだろうな?」
「いえ、それは違うと思います。そもそも狂信者達はともかく僕達自身がDMCの歌の影響を受けていない
以上、全てを虜にするという定義からは外れていると考えていいでしょう。もしそうならばとっくに
日本中がクラウザーの信者と化しているでしょうからね」
「うーむ、確かに」
正太郎の推理に一同が納得して頷いた。
あれほど全国規模で活動している狂信者達がいるにも関わらず全国民がクラウザーさんの影響下にない以上、
全てを虜にしているとは言い難い。
というかあれはレジーナを見てもわかるようにもはや洗脳の類である。
「しかしだとすると、予言に記された歌とは一体……」
「ゲヒヒヒ、おい小僧。それならば俺に一人心当たりがいるぜ」
「えっ? 本当ですか?」
そこで口を開いたのは意外にも悪魔超人のザ・魔雲天だった。
先の闘いでも聖帝軍を支援してくれた頼もしい援軍の彼だったが、どう見ても歌には縁がなさそうな彼が
何を知っているのかと正太郎は驚きつつも耳を傾けた。
「何を隠そう、ここにいる諸星きらりこそその歌い手かもしれんという話だ」
「何ぃ~っ、このでかい女がか?」
「聖帝知らないなっしか? この子はあの大手芸能プロの346プロ所属の注目アイドルなっしー!」
「知ってるのかふなっしー!?」
「ゆるキャラネットワークを通じて、この間ぴにゃこら太に教えてもらったなっしー」
ふなっしーからの説明を受け、一同の視線がきらりに集中する。
きらりの方もある程度持ち直したらしく、いつもの表情で一同に向き直った。
その後魔雲天からこの西武ドームに向かう途中に起こったワハハ部長蒲原と姉帯の雀士コンビとの戦いが
語られ、二人がきらりの歌を聞いてDMC狂信者を脱退した事を知り一同は驚きを隠せなかった。
「ワハハ、という訳で私達は彼女の歌を聞きDMCから足を洗った訳だ」
「みんなもきらりさんの歌を聞けばきっと素敵だって思うよー」
二人が言った事が事実だとすれば、これは嬉しい収穫となる。
あのクラウザーさんの洗脳同然の歌声を押しのけて他者を虜にしたとすれば、もしかしたら本当に彼女こそが
予言の歌い手かもしれないのだから。
それでなくてもDMC狂信者達への強力なカウンターになり得る人材がいれば、それだけで心強い。
聖帝達は皆、もれなくそう考えた。
「要するに、うまくいけばDMC狂信者の連中をまとめて改心させられるかもしれんという訳だな?」
「ええ。予言の事を差し引いても、きらりさんの歌の力が本物ならばそれも可能かもしれません。とはいえ
どこまでのレベルで通じるかは未知数ですね。蒲原さんと姉帯さんはファン歴が浅い故にたまたま洗脳を
解く事ができた可能性もありますし……」
「それでもモブの信者共を一掃できれば、数の上で未だに有利を取っている連中を根底からひっくり返す
事も可能だろうな。幹部連だけが残れば、あとは直接ビッグサイトに殴り込めば互角の戦いができるだろう」
クロコダインの話によると、どうやら彼らの本拠地であるビッグサイトには全国から蒐集された死者の魂が
充満している状態らしく、下手に外部から刺激を加えると大爆発を起こして東京一帯が壊滅する恐れがあるとの
ことだった。
故にビッグサイトを抑えるには白兵戦が有効打なのだが、あのゴキブリのように湧いて出るモブ信者達と
常駐しているであろう最高幹部連ら主力を同時に相手するとなると、相当な戦力を持つ聖帝軍であっても
苦戦は免れない。
何より彼らにどんな切り札があるかもわからないため、油断は禁物である。
そのためまずどうにかしたいのは、やはりモブ狂信者の軍勢という話となった。
「話をまとめると、やはり私達が優先してすべき事はDMC狂信者達の一刻も早い排除と言う事ですね」
「うむ。未だ詳細不明の予言を解読するにしても、儀式たる野球をするにしても、主催者達を倒すにしても
まずは連中をどうにかせん事には話にならんからな」
「全くだ! 先の試合妨害にしても、この俺達の初陣を空気も読まずに邪魔した事は万死に値する!」
「聖帝の言うとおりだぜ! DMCの連中、もう絶対許さねぇ!!」
「落ち着け二人とも、憤るのは分かるが冷静さを失えば勝てる試合も勝てんぞ?」
DMCの蛮行に怒りを露わにするサウザーと紘汰を高津がなだめつつ、正太郎達は話を進めた。
全員が意見を出し合い、これから自分達が行わねばならない事はさしあたって
1:DMC狂信者の一掃および白兵戦によるビッグサイトの制圧
2:予言の一つである野球の完遂
3:残る予言の解読
4:主催陣営、拳王連合、風鳴翼といった残る陣営の討伐
5:拠点となる乗り物の製作
この5つとなった。
これらを遂行するためには無論聖帝軍だけの戦力では難しい物もあるため、他の陣営を説得して同盟関係を
気付く事が満場一致で決定となった。
特に野球は相手になるチームがいなければ成立しないため、他のチームの捜索は急務である。
イチローチームと
ドラゴンズは現在消息不明、他の面々も次々とDMCにSATSUGAIされている現状、下手を
すれば儀式が完遂できない恐れもあり、何より聖帝が「不戦勝とか俺のプライドが許さん!」とごねるので
球団を見つけ次第保護する事も活動内容に含まれた。
ちなみに5については、今回の戦いでかなりの大所帯となった自分達が効率よく移動するためにも必要な
事であり、今後拳王連合などと事を構える以上拠点たる戦艦などは必要不可欠であった。
「とはいえ、材料もなく天才科学者もいない我々ではそのようなものを作る事は……」
「確かに……少年探偵にプリキュアに超人レスラーに雀士にアイドル、殺し屋に魔法少女に妖精にガンプラ
ビルダーに野球選手にゆるキャラに仮面ライダーにターバンのガキ……ぐうっ、これだけ面子が揃って
いながらそっち方面に明るい人材がおらんではないか!! ラオウの奴が羨ましい!!」
自分の陣営に光祐一郎のような天才科学者やメカニックがいない事に気づき、サウザーは歯噛みする。
やっぱりそういう奴もスカウトしておくべきだったかなぁと今更ながらに後悔する聖帝だった。
【あきらめるにはまだはやい】
「ん?」
背後から背中を叩かれ、ふとサウザーは後ろを振り返る。
そこにいたのは愛用のスケッチブックを持ったつば九郎だった。
「おお、貴様は確かつば九郎とかいうマスコットのペンギn――――ごはっ!?」
【ツバメだ にどとまちがえるな】
「す……スマン」
瞬時につば九郎の放ったヤクザキックが見事サウザーのみぞおちに命中。
スケッチブックを片手にすごまれ、サウザーはビビりながら謝罪した。
するとつば九郎はディパックからある物を取り出した。
見ると何やらヒゲのMSの絵が描かれたペットボトル飲料のような物が握られている。
付属していたメモ用紙を気付いたヤミが読み上げた。
「説明書が付いていますね……『万能兵器化飲料ナノラ 振りかけた物体を兵器に変化させる事ができる
ナノマシン飲料』だそうです」
「何ぃ! つまり何か元になる物があれば、一瞬にして拠点の出来上がりというわけか! フハハハハ!
でかしたぞつば九郎!! しかしこんな物をどこで手に入れた?」
【せんりひんのゆうこうかつよう】
「えっ……まさかさっきのDMCの奴らから漁ってたやつ?」
「流石だなつば九郎……殺し合いの場においても1ミリもブレておらん」
サムズアップ(のように見える)ポーズで肯定するつば九郎に、聖帝軍の面々は喜んでいいやら何やらであった。
特にスワローズの選手である高津はつば九郎の素行に明るかったので尚更である。
「とはいえ、何か元になる物って言っても何かあるか? そう都合よく乗り物なんて……」
「…………レイジ、とうとう僕にも活躍の機会が回ってきたようだよ!」
「お、おお……(せ、セイの奴いつになく燃えてやがる……今まで目立てなかったのを気にしてたのか?)」
「そ、そういえばセイ君の支給品は確か!!」
ここまであんまりまともな出番がなかったのでお忘れの方もいるのではなかろうか。
聖帝軍メンバー、イオリ・セイはガンプラバトル世界大会覇者にして優秀なガンプラビルダーである。
続編のトライにおいてもドムの中にビルドバーニングガンダムを隠せる謎技術の使い手なんだから相当である。
そして彼の支給品の中には、大量のガンプラ!
これが何を意味するか、聖帝軍の面々は一部⑨などを除き即座に理解した。
「皆さん手伝ってください! 作りましょう、僕らだけのガンプラを!!」
そこからは結構地味な作業ではあったが、重要な作業の始まりだった。
セイの支給品であるガンプラのパーツを元に、聖帝軍の拠点となる機体を作り出そうという提案に皆が
賛同し、それぞれが意見を出し合いながらパーツを組み立てていく。
『
都庁の軍勢などとの同盟も考え、あんまり兵器兵器したデザインにならないように』『敵の意表を突けるように』
という考えのもと、セイの主導のもと作業は着々と進んでいった。
足りない材料はつば九郎が漁りまくった支給品から拝借し、全員が談笑をしつつも真剣に製作を続ける。
そんな光景が西武ドーム内で行われていた。
傍から見たら結構シュールな光景である。
「ところでクロコダインさんは何故都庁の魔物達に機械族がいない事を?」
「うむ、実はかつて大魔王バーンの配下だった頃に秘境グンマ―の民達から連中の事を聞いた事があってな。
直接の面識はないが彼らに機械の身体を持った者はいない事を聞いていたのだ……まあ、妙な性癖の
ドラゴンなどはいるらしいのだが」
「ええっ、何それ……ロリコンとかはいないよね?」
『何故でしょう、イリヤさんの発言が恐ろしいくらいフラグ立ててる気がしますよ……』
「う~ん……がんぷらって結構むずかしいよ……これどこの部品だっけ?」
「チルノ、ダメなっしー! パーツは手もぎじゃなくてニッパーを使わないと! こっちのふなっしーの
プラモで練習するなっしー!」
「そういうお前はパーツ逆にはめてるじゃねえか! セパレーターあるから使え!」
「うわー凄いねヤミちゃん、髪の毛がヤスリやニッパーになってるよー」
「ワハハ、しかも結構なスピードで組み立ててるな」
「こういう作業は慣れてますので」
「きらりさん、もう大丈夫ですの?」
「大丈夫だよー亜久里ちゃん、きらり、死んじゃったタバサちんの分まで頑張って歌うって決めたからにぃ☆
天ちゃんや豊音ちゃん達といれば怖くないよー☆」
「ゲヒヒヒ、その意気だぜきらり……それにしても俺はこういう細かい作業は苦手だぜ」
「……犬牟田、一応言っておくが、つば九郎の動向には注意しておけ。奴は性格上不利と見たら平気で俺達を
切り捨てて裏切るような奴だ。今後何をしでかすかわからんぞ?」
「どれだけ危険なんですかあのマスコット……」
「………(ニヤッ)」
「ええいくそっ、ターバンのガキが気になって作業に集中できん! うおっ、ポリキャップが飛んだぁ!?」
「なんだかんだで皆頑張ってるけど、大半はセイ一人で組み上げてるんだよな……」
そして、なんやかんやあって1時間半後。
「完成です!」
「フハハハハ! 遂にわが聖帝軍の旗艦が完成だ!」
「にしても、これはちょっとデザインが異色過ぎねえか?」
「デザインしたのは大体きらりちゃんだけど、本当にその通りに作っちゃうセイ君も凄すぎるよ……」
「では早速このナノラを振りかけ……」
「待ってくれ、その前にひとつ提案がある」
いよいよ改造ガンプラを兵器化しようという時に、急にクロコダインが手を挙げた。
全員が何事かと向き直る。
「なんだクロコダイン、これからという時に!」
「すまない、だが今後の為に重要な事なのだ。俺はこれから、都庁の魔物達の所へ使者として向かおうと
思っている」
「ええっ!? 確かに都庁の魔物達とは後で同盟を結ぶつもりですが……まさか御一人で?」
「作業の最中にも話したが、都庁の魔物達は自然環境を汚し機械を扱う人間達を嫌悪している者が大半だ。
そんな者達と同盟を結ぶには、同じ魔物たる俺が単独で説得に向かった方が好ましい。何より犠牲は
今後を考えて一人でも少ない方がいいからな……」
確かにクロコダインの言う事も一理あった。
ただでさえDMCの面々と戦争状態にあるというのに、ここにいる面々が全員でいきなりドカドカと押し
かけても無意味に刺激するだけで門前払いされる可能性も否定できない。
何よりカオスロワ野球では1試合で何人が血を見るかもわからないため、控え選手は多いに越したことは
ないのだ。
「待ってくれクロコダイン! だったら俺も!」
「加賀美よ、すまんが科学の力で変身するお前では事を荒立てかねん。何より俺に万一があった時、お前
にはウルフハリケーンズの灯を守ってもらわねばならん、わかってくれ……」
「クロコダイン……」
「ちょっと待ったクロコダインのおっさん、だったら代わりに俺が行くぜ! 貴虎の奴も探さなきゃ
ならねえしな!」
加賀美の申し出を断るクロコダインに、ならばと紘汰が名乗りをあげた。
「むぅ……しかし紘汰よ、お前もまたベルトの力で変身する以上……」
「それに関してですが、少々面倒な事になっているようですよ」
「えっ?」
「どうやらその呉島貴虎という人物、どういうつもりか都庁を爆破しようと目論んでいるそうです。しかも
未確認情報によれば彼はDMCとも同盟を組んだとか」
「何だって!!??」
サウザーから貸してもらったノートPCでカオスロワちゃんねるにアクセスしていた犬牟田はその伏の
文が書かれた書き込みを見せ、それを見た紘汰達は驚愕した。
確かに都庁は危険な存在として認知されているが、こうも大それた事をしでかすとはさすがの紘汰も驚きを
隠せなかった。
「
マジかよ……貴虎の奴、何考えてんだ!? あいつらと手を組むなんて!!」
「その貴虎という男の思惑は知らんが、これは下手をすれば取り返しのつかん事になりかねんぞ…!」
『なんだか猛烈に悪い予感がするのう』
「ちょっとルビー! そういうフラグっぽい台詞は勘弁!」
書き込みから結構な時間が経っているため、現状都庁がどういう状況なのかは把握できない。
だが状況はかなりまずいという事はサウザー達も理解していた。
この他にも大阪で拳王連合とホワイトベース連合軍の全面戦争が始まったとか、風鳴翼が電車に乗って大阪に
向かったとか、山が空を飛んでいるとか、そんな書き込みが掲示板に踊っていた。
急がねばならない。
それが全員の見解だった。
その後、熱心な説得もありクロコダインは数名の志願者を連れていく事を了承し、数名が同行する事となった。
面々は貴虎捜索が目的の紘汰、そしてチルノとふなっしーの凸凹妖精コンビの3名。
できるだけ都庁の魔物を刺激しないメンバーを選定した結果、最終的に彼らが残ったのである。
「それじゃ皆、行ってくるぜ!」
「紘汰さん、クロコダインさん達もお気をつけて!」
「ところで行くって言っても徒歩か? ここから東京まで結構あるぜ?」
「それならふなっしーがいい物を持ってるなっしー!」
するとふなっしーがディパックに手を突っ込み、何かを取り出した。
彼の持つ不明支給品、その正体は―――
「ババーン! 『リニアモーターカーごっこ』なっしー!」
「って、電車ごっこで行くのか!?」
「大丈夫なっしー! これは地磁気を利用する事で時速300kmまで出せる道具らしいなっしー!」
「おお、すごいね! あたいが運転手やるよ!」
「待ってください、確か拳王連合軍も似たような物を以前使っていたらしいです。下手をすれば彼らに
間違われかねませんよ?」
「フフフ……心配はいらん!」
件の電車ごっこロープの上位互換アイテムを見て、不安視する亜久里の横からサウザーが現れ、何かを
取り出した。
「この聖帝軍の旗を持っていれば、間違ってもラオウの仲間だと思われる事はあるまい、持っていけ!」
「貴方、いつの間にそんな物を!?」
「つーか色々とだせぇ!!」
「……まあ拳王連合と間違われるよりはマシだからな、とりあえず貰っていこう」
かくして、でかでかとサウザーの顔が書かれた聖帝軍の旗をクロコダインが背負い、運転手チルノ、
車掌ふなっしーによる聖帝リニアは西武ドームをひとっ走り後にしたのだった。
「うわあああああああああ、思ったより早えええええええええええええ!」
「おいチルノ、そっちじゃない! 東京は反対だ!」
「どけどけーーーっ! ひかれてもほけんおりないよーーー!!」
「これ、本当に都庁につけるなっしーーーーーーーー!?」
【聖帝軍先遣隊】
【ターバンのガキ(チルノ)@東方project】
【状態】健康、やる気十分、聖帝リニア運転手
【装備】アイスソード@ロマンシングサ・ガ、ターバン、リニアモーターカーごっこ@
ドラえもん
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW
【思考】
基本:『だーすべいだー』を倒す
1:『とうきょうとちょー』に向かうよー!
2:みんなで予言を解いて世界を救うよ!
3:せーてーは頼りないからさいきょーのあたいが皆を引っ張る
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【状態】不安なっしー!、聖帝リニア車掌
【装備】野球のユニフォーム(背番号274)、ターバン
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いを止めるなっしー!
1:DMC狂信者達を成敗するなっしー!
2:名探偵ふなっしーが予言の謎を解くなっしー!
3:本当に都庁につけるか不安なっしー!
4:ヒャッハー! 梨汁ブシャー!
【ターバンのガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【状態】健康、怒り、色々不安
【装備】戦極ドライバー、ロックシード(オレンジ) 、ターバン
【道具】支給品一式、ロックシード(パイン、イチゴ、スイカ) カチドキロックシード
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:DMC狂信者達、もう絶対許さねえ!!
2:救済の予言の謎を解く
3:貴虎の奴、何考えてんだ!?
4:ダースベイダー、絶対に許さねぇ!!
【ターバンのおっさん(獣王クロコダイン)@DRAGON QUEST ダイの大冒険】
【状態】ダメージ(小)、怒りと悲しみ
【装備】獣王の鎧、グレイトアックス、ターバン、聖帝軍の旗
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:聖帝軍と協力し、DMC狂信者の軍勢を倒す、そのために都庁の魔物を説得する
2:世界救済の予言の謎を解く
3:まともに都庁につけるか不安
4:チームメイトの皆、すまない……
※何事もなければ正午までに都庁につけますが、チルノが運転手である限り無理です。
そして時間は現在に戻る。
開閉した西武ドームから現れた妙なロボットこそ、聖帝軍の手によって作られた改造ガンプラマシン。
その名も、『きらりんロボ』!!(命名:諸星きらり)
全長200m、体重5万トンを誇る驚異のスーパーロボット型戦艦である!
「フハハハハハハ! 元がガンプラとは思えぬ出来栄えだな! あえて言おう、戦艦死国とやらなどカスで
あると!!」
「サウザーさん、それ別の中の人!」
きらりんロボ頭部に位置するブリッジ。
そこでは聖帝軍の面々が各々指定の位置に座り、ロボの出撃準備を行っていた。
言うまでもなくサウザーは偉そうに艦長席に座り高笑いしていたが。
「空調システムオールグリーン!」
「各種兵装制御システムオールグリーン!」
「通常エンジン起動OK!」
「周囲に障害物、ありません!」
「よ~し、では聖帝軍旗艦きらりんロボはこれより作戦通り東京スカイツリーに向かう!」
「了解! きらりんロボ、離陸します!」
聖帝軍は何故東京スカイツリーに向かうのか。
それには無論理由がある。
予言の要であり対DMCの彼らの切り札ともなったきらりの歌だが、その効果は正太郎の推理通り
未知数である。
そこで正太郎は日本最大の電波塔たる東京スカイツリーを通して、増幅したきらりの歌を関東一帯に発信
してその正確な効果を確かめようと考えたのである(東京タワーも候補にあったが、何者かにへし折られた
ので却下された)。
これでうまく狂信者達が改心してくれれば御の字、効果が薄くとも今後の判断材料になると踏んでの作戦
という訳である。
「きらりさん、現地に着き次第、ライブの用意をお願いしますね!」
「任せるにぃ☆ きらりの歌でみんなをハピハピにしちゃうよー☆」
「フハハハハハハハハ、見ていろ狂信者共! 野球の恨みと共に貴様らを瓦解させてくれるわ! フハハハ
ハハハハハハハハハハhぐはっ!?」
【やかましい】
「な、何なのこのツバメ……」
サウザーがつば九郎に蹴り飛ばされたと同時に、スカート部分の大出力ジェットエンジン『じぇっと☆
ふりるすかーと』が火を噴き、きらりんロボは空を華麗に舞った。
対主催勢力の仲違いが続く中、果たして彼らは救世主になり得るのだろうか?
――――それは梨の神様にもわからない。
【二日目・10時40分/埼玉県上空】
【新生聖帝軍】
【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア!】
【ターバンのガキ(金田正太郎)@太陽の使者 鉄人28号】
【ターバンのガキ(イリヤスフィール・フォン・アインツベルン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
【ターバンのガキ(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ@北斗の拳イチゴ味】
【ターバンの青年(加賀美新)@仮面ライダーカブト】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのレスラー(ザ・魔雲天)@キン肉マン】
【ターバンのガキ(諸星きらり)@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのガキ(蒲原智美)@咲-Saki-】
【ターバンのガキ(姉帯豊音)@咲-Saki-】
【ターバンのツバメ(つば九郎)@ヤクルトスワローズ】
現在の共通思考
1:DMC狂信者の完全鎮圧
2:救済の5つの予言の解読及び遂行、野球チームの保護
3:主催者及び危険勢力の討伐
※超弩級ロボット戦艦・きらりんロボを完成させました。元はガンプラですが性能は原作以上です。
※DMC鎮圧作戦の第一段階として東京スカイツリーに向かっています。何事もなければ正午までには
到着し、きらりのライブが始まります。
「ニャガ~ッ、聖帝軍とやら、なかなか面白いものを作りましたねぇ~」
きらりんロボの飛行時のバックファイアを回避しつつ、サイコマンはニヤニヤと笑いながらその姿を目で
追っていた。
「サイコマンさん、追跡しなくていいんスか?」
「今は放っておきましょう。彼らが何をするにしても、クラウザーさんが復活すればすべてを逆転させる事も
可能でしょうからねぇ。地獄から生還したクラウザーさんは如何なる歌声を聞かせてくれるのやら……
楽しみじゃありませんか、貴方も?」
そう言ってサイコマンは衣装の中から何やら小さな目玉のような形をした物体を取り出し話しかけた。
するとその目玉から声が返って来た。
『別に興味はないね。それより早く俺の身体を用意する算段を付けてくれないかなぁ? 俺は必ず蘇らないと
いけないんだ……草加市の為にも、乾巧という薄汚いオルフェノクを始末するためにも……』
「まあお待ちなさいな、慌てる乞食は貰いが少ないと言いますからね。本部に戻ればクラウザーさんの
蘇生の為のクローン技術のデータがありますから、それに私のマグネットパワーをプラスすればきっと
生き返れるでしょう。それまでの辛抱ですよ」
『(チッ……胡散臭い奴め……だが今は耐えるしかない……これもすべて乾巧の仕業だ……)』
その目玉、いやその男の名は草加雅人。
しばらく前に草加市の市長になった呪縛霊である。
彼は今まで死者スレに行く事なく一人寂しく埼玉県草加市に留まっていたのだが、通りすがったサイコマン
の気まぐれで同行する事となり、彼の持っていた『眼魂(アイコン)』と呼ばれる魂を封じるアイテムに
入れられ、ここまでやってきていたのである。
DMC狂信者に協力する代わりに、肉体を再生する約束を取り付けて。
「ニャガニャガ、さて皆さん、我々もそろそろ本部に帰還するとしますか。そしてディーさん達にも伝えましょう。
『決戦の時は近い』と!!」
【二日目・10時40分/埼玉県西武ドーム前】
【サイコマン@キン肉マン】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、草加雅人眼魂
【思考】
基本:クラウザーさんを生き返らせるためSATSUGAIする
1:ニャガニャガ、そろそろ本部に戻って備えますか
2:都庁の方の様子はどうですかねぇ?
3:できればシルバーマンも勧誘したい
※狂信者です
【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】草加市の市長に当選した、草加雅人眼魂
【装備】カイザギア@仮面ライダー555、サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】ケーキ、支給品一式
【思考】
基本:生き返る方法を探す
0:どうして俺が死んで、碌に出番もない奴らが生きてるのかなぁ?
1:とりあえず、生き返るためサイコマンには協力する
2:とりあえず、乾巧の仕業にする
3:来年のカイザの日も祝いたい
※眼魂(アイコン)に魂を封じられています。ドライバーがあればあるいは……
最終更新:2016年04月05日 21:14