ウドラの情報により、大阪の地下へと足を踏み入れた
聖帝軍先遣隊。
その先で彼らはとある少年少女と一匹の獣と出会った。
少年は落盤によってできた瓦礫の壁の前で泣きながら地面に膝をついており、少女は何かに怯えるようにガタガタと体を震わせながら地面に座り込み、白い小さな獣は虫の息で地面に倒れていた。
少年は
ホワイトベース組の最後の生き残りである苗木、そして少女は魔法少女となった霧切、獣はクライシス皇帝の裏切りによって死ぬ寸前までの手傷を負わされたキュゥべえ。
彼らこそウドラの言っていた地下を出入りしていた大阪の生存者である。
「すまねえ苗木……」
「元々はアクシデントでここに来たとはいえ、もっと我々が早く着いていればもっと助けられただろうに……」
瓦礫によってできた壁の下からは大量の鮮血が漏れていた。
苗木が地下なら安全であると考えて避難させていた二人の人間が、落盤という僅かな計算違いによって押しつぶされて死亡したのだ。
霧切救助のために地下を離れた苗木だけが幸運にも生き延びてしまったのである。
己の判断ミスによって友人と友人の仲間(名前も知らなかった矢車についてはキュゥべえから知った)の死に苗木が自責の念を覚えているのは想像に苦しくない。
せめて苗木が絶望で押しつぶされないように紘太とクロコダインは声を掛けるが……
「……いいえ、紘太さんたちは何も悪くありませんよ」
涙を手で拭うと苗木はスクッと立ち上がり、血の漏れる壁から先遣隊に顔を向ける。
「な、苗木…!」
その表情は恐ろしいものになっていた。
苗木は嗤っている。
だがその眼光は渦を巻くように見え、明らかに異常な――絶望と殺意を宿らせていた。
「葉隠くんや矢車さんのように多くの人が絶望的な目にあったのは、全部拳王連合軍が悪いんだ!!
奴らさえ来なければ大阪の人たちは……ホワイトベースの皆は……外に生えている毒の花だって!!」
「落ち着け! 外の花はたぶん拳王連合軍の仕業じゃ……」
「いいや、あんな酷いことをするのは奴ら以外にありえない!!」
少なくともフロワロだけは拳王連合軍の所業ではないと直感で感じているクロコダインは苗木を落ち着かせようとするが、今の少年はどんなコトダマを突きつけても聞く耳を持たなかった。
「たくさんの人の希望を奪ったあいつらには絶望を……仮面ライダーウィザードである僕が奴らに相応しい絶望を与えてやる!!!」
今の苗木は拳王連合軍に報復することしか考えられない復讐の鬼と化していた。
皮肉にも復讐そのものが彼の生きる意味……希望にもなっていたので、絶望で死ぬことを二つの意味で防いでいたのである。
「あ、ぐ……」
「苗木!?」
「大丈夫だ、引きつけを起こしただけだ」
拳王連合軍への復讐宣言をした苗木だったが、そんな彼はすぐ後に立ちくらみが襲い、そのまま倒れてしまった。
肉体疲労と精神疲労がピークに達している時に頭に血が昇ってしまったため、気を失ってしまったようだ。
「……暴走気味であったから動けなくなった今の方が都合が良いか。紘太、こいつをおぶってやれ」
「ああ、任せてくれ」
「さて……ぬ!?」
クロコダインは残る生存者である霧切とキュゥべえに目を向けると驚くべき光景があった。
『~~~!!!』
「やめなさいシャルロッテ!? いったいどうしたって言うの!?」
「シャルロッテによるとキュゥべえを見てると何かムカつくとか言ってるなっしー! 理由は本人も覚えてないらしいなしが……」
「ええい、やめんかシャルロッテ!! せっかく見つけた数少ない救助者だぞ!」
見るとシャルロッテは可愛らしいぬいぐるみのような姿から黒い鰻に似た本来の顔を出しており、今にもキュゥべえに噛み付こうとしている。
持ち主であるふなっしーとチルノ、ウドラが必死に抑えているが、詐欺的に魔法少女にされて結果的に魔女になった原因であるキュゥべえを本能的に覚えているシャルロッテは止まることなく、キュゥべえを齧ろうとする。
瀕死のキュゥべえにひと噛みでもすれば死んでしまうだろう。
救助者にして貴重な情報源であるキュゥべえをむざむざ殺させるわけにはいかないので、クロコダインも加わって猛るシャルロッテを抑えようとする。
そこへ今まで座り込んでいた霧切が立ち上がり。
「キュゥべえを……いじめないで!!」
霧切がバリツ仕込みのパンチでシャルロッテを殴りつけた。
シャルロッテは衝撃で後ろに吹き飛び、さらに彼女を抑えていたクロコダインたちをも余波で岩壁にぶつけた。
「なにい!?」
そのパワーは圧倒的で巨体で怪力を持つクロコダインすらも軽々と弾き飛ばすと言えば、その力の凄まじさがわかるだろう。
いったい小さな体のどこからそんなパワーが出るのか疑問に思う先遣隊にキュゥべえは答える。
「魔法少女となった響子の魔力は、最高の魔法少女になれるかもしれないまどかに数段劣る程度……ワルプルギスの夜すら一撃……とはいかないけど、楽勝で勝てるレベルさ」
「ワルプルギスの夜と言えばかなり前に放送で呼ばれていたけどそんなに強いの?」
「そのワルプルギスの夜が一回暴れれば千人単位の死傷者が出るんだ。
そんな災害じみた奴を簡単に倒せると言えばどれだけ強いかわかるだろう?」
「その気になれば街一つ滅ぼせるレベルか……」
「すごいなっしー!」
霧切はキュゥべえと契約した結果、魔法少女となり莫大な力を手にしたのだ。
概念そのものにすらなれる鹿目まどかに劣るとはいえ、現状では最強クラスの魔法少女と言える程の存在になれたのである。
バリツ一つあれば仮面ライダーBLACK RXにすら並ぶことさえ可能である。
「……まあ、現状の彼女ではその力を100%発揮できないんだけどね」
「え? どういうことなしか?」
「よく見ろふなっしー。この子は何かに怯えている。手足がさっきから震えっぱなしだ」
「何らかの恐怖症を抱えているようだな」
「ああ、そうさ。
本来の彼女はもっともっと理知的だったけど今は見る影もない。
ある存在への恐怖心から幼児退行を引き起こし、さらに部分的な記憶喪失すら陥っている。
辛うじて苗木のことは覚えているみたいだけど、最近まで行動していた仲間のことや殺し合いでの出来事なんて軒並み覚えてないよ」
霧切が元は高校生であると知らない先遣隊には分からないが、霧切の言動には幼稚さが見えていた。
「キュゥべえ、おしっこ」
「響子、話が終わるまで今は我慢して。
……この通り、思考力も下がっているから、実力を発揮できない。
特にある存在への恐怖心が色濃く残っていて、そいつと仮に接触したらまず間違いなく殺されるね」
せっかくの超魔力も思考力が低減している現在では宝の持ち腐れである。
彼女が正気に戻るまで時間はかかるだろうし、それを待ってる余裕はない。
キュゥべえの口調から霧切は本来は気丈な娘だと悟ったクロコダインは神妙に話を聞く。
「この娘をこんな風にした存在、それは何者だ?」
「風鳴翼……いや、テラカオス・ディーヴァと彼女は名乗っていた。
そいつが僕の仲間だった者の大半を食い散らし、地上に出ている毒花を撒き散らしたのさ」
「食人鬼……やはりここに来ていたのか!」
「実は彼女の叔父に当たる人物と行動を共にしていたんだけど、もはや顔立ちと貧乳以外は面影なかったし、ほとんどのマーダーを撃破・撃退してきた強い仲間もあっさりと彼女に食い殺された」
「怖いなっしー! そいつは今、どこにいるなしか!?」
「幸い、響子が魔法少女への契約を代価に彼女に殺されたくないと願ってくれたおかげで彼女限定の結界が張られた。
その結界の力で沖縄方面まで吹き飛ぶのを見たし、結界のおかげで響子のいる場所を中心に数百キロ四方は彼女は入ってこれない」
「とりあえずは安心……できるのか?」
生み出された結界によって食人の歌姫は海の彼方にある沖縄まで弾き飛ばされた。
歌姫のエントロピーが霧切のエントロピーを上回らない限りは結界による安全が保証されていると言っていい。
……あくまで貧乳歌姫限定の安全であり、他のマーダーや彼女の生み出した毒花には効果がないようだが。
「キュゥべえ、先程のアクシデントはすまなかった。
シャルロッテの無礼は許して欲しい」
「ホラ、シャルロッテも謝るなっしー!」
「謝罪代わりある程度の傷を治せるアモールの水を使ってムロロ~ン」
「ありがとう。大丈夫、僕は怒ってないよ」
シャルロッテの突然の暴走を、クロコダインが謝罪し、ウドラが支給品の回復薬をキュゥべえに使用する。
これによって動くこともままならなかったキュゥべえは立ち上がれるようになった。
「うむ、そろそろ時間だな。約束通りに探索を打ち切るぞ」
クロコダインはそう言った。
先遣隊が地下を探索してからおおよそ一時間が経過した。
地上には黒い毒花も咲いている以上、これ以上の探索は危険である。
「しかし、クロコダイン、まだ苗木とキュゥべえの仲間がどこかにいるかもしれない。
苗木たちだって生きてたんだからきっと」
「残念だけど紘太、苗木には黙っていたけど弦十郎や乾巧らしきエントロピーは君たちが大阪にたどり着いた前後に消失しているんだ。既に死んでると見るべきだね」
「そんな……」
「エントロピーがいきなり消える様子からして街から離れたようには思えない。もし街を離れただけなら拳王連合軍のように遠のいていく。
つまり、残念だろうけどそれが事実さ」
キュゥべえの口から淡々と告げられた真実は苗木らを残した、ホワイトベース組・クライシス御一行が全滅という残酷なものであった。
だが、これによって撤収を渋っていた紘太も悔しいと思いつつも流石に参加者の救助を諦めたのである。
「それにしてもどうやって大阪から出るべきか……」
「この花、地下にも生えてくるし、増殖スピードも早い。
あたいらが東京に着くまで凍らして沈めるにしても、その前にあたいの魔力が先に尽きてしまう」
「そもそも徒歩で東京へ向かっていたら何日かかることか……まだ俺のワープ能力は使えないし、せめて車の一台でもねえか?」
「早急に大阪から脱出する手段が必要だね」
暗い地下の中で増殖し続けるフロワロの毒花粉から逃れるために、そして聖帝軍本隊への合流を急ぐために東京へ迎える足を探す先遣隊。
しかし、地上にある車両は先の戦いで大破しているか毒花に覆われておそらく使用不能。
ならば地下で探す他ないが、大柄なクロコダインが乗れる乗り物は限られている。
そんな乗り物は見つかるだろうか……?
一行がそう思っていた矢先にふなっしーとウドラが幸運にも何かを発見した。
「ムロ?」
「どうしたなしかウドラ?」
「この先に何か空気の流れを感じるムロ~」
「向こうに何かあるのか? 壊してみるか」
積み重なった瓦礫の間から漏れたわずかなスキマ風を感じ取ったゆるキャラたち。
そこでクロコダインは周囲が崩れない程度に豪腕で瓦礫を破壊する。
すると中から広い空間と、先遣隊+αが乗る分には問題ない大きさの乗り物が現れた。
「これは……」
「『のぞみ』……新幹線だ!」
現れたのは白い新幹線、のぞみの先頭車両。
瓦礫に巻き込まれて後部車両こそ全滅しているが、主軸となる先頭車は生きているので問題ない。
速度に関してても最低で200キロは出すことができ、大阪から東京まで二時間半でたどり着く計算である、
少なくともフロワロの増殖スピードよりは早く東京に向かうことができるであろう。
「助かったぜ! これなら放送前には東京に着くぜ」
「……待て、喜ぶのはまだ早い」
「……新幹線の前に何かがいる!」
新幹線の前には先遣隊に敵意を持った生物がいた……
青と銀の体を持った虎型ミラーモンスター・「デストワイルダー」と、白いサーベルタイガー「千早」である。
ん、ちょっと待て。
この二匹は5190話でジョーカーの新城と一緒に死んだだろうって?
ところがどっこい。この二匹は死んでなどいない。
書き手が入れ忘……ゲフンゲフン、イマジンスレイヤーにフルボッコにされて飼い主である新城を失って敗走し、たまたま地下へと逃げ込んだ結果、二匹は拳王連合軍の追撃やフロワロによる腐敗死を逃れたのだ。
「チッ、どういうわけかだいぶ気が立っているな……やるしかないのか?」
目の前の二匹は苗木たちに次ぐ大阪の貴重な生き残りと言えたが、明らかな殺気と牙を向けていた。
殺気立っている理由はわからないが、先遣隊にしても大阪脱出の手段として新幹線が必要なため、邪魔をするならば戦うしかないと思われた……が。
「ガフッ!?」
『!!?』
「いきなり血を吐いたなっしー!!」
「なんだ!? 俺たちはまだ何もしてないぞ?」
突然、血を吐いて倒れた千早に驚く先遣隊の一同。
千早の横にいたデストワイルダーも戦いをそっちのけで心配そうに千早の体を揺さぶる。
クロコダインのみが、冷静に千早の身に起きた事態を察した。
「いや、これはおそろく……」
クロコダインは武器を下ろし、ついさっきまで襲いかかろうとした相手に臆することなく、歩み寄り耳を傾ける。
『千早の姐さん、こんなところで死んじゃダメだ~!』
『く、くそ……毒で体が言うことを聞きはしない……』
『外の花の毒を吸ったな』
『アンタ…‥モンスターや獣の言葉がわかるのか?』
『見ての通りリザードマンだからな。獣の言葉はよくわかる』
さらにクロコダインは獣の言葉を使って、二匹との対話に入った。
近づいてきたクロコダインにデストワイルダーは近寄るなと言わんばかりに爪と歯を向けるが、冷静に話し合うスタンスをクロコダインは崩さなかった。
『そ、それ以上俺たちに近づくな! 毒消しでも寄越してさっさと失せろ』
『悪いが、手負いの貴様ら程度なら俺一人でも殺すことは容易い。
それにメスの虎を助けたいようだが、毒消しなど一時しのぎしかならん。
あの毒の花は地下にも生えるようだ。ここで治してもまたすぐその毒にかかる』
『馬鹿な……地下は安全じゃないのか!?』
『まだほんの少しだが地下に生えているのを見かけた。
このまま地下に引きこもっていてもまた毒状態になって朽ちて死ぬか、餓死して死ぬかのどちらかしかないぞ』
『ぐぬぬ……だがどうすれば』
千早は地下に向かう過程でフロワロの花粉毒に侵されてしまっていた。
その度合いは極軽微であるウドラの比ではなく、立つこともままならない有様だ。
(デストワイルダーは鏡の世界にいたので毒は喰らわなかった)
なし崩し的に地下へ避難したは良いが、フロワロが地下に咲くことを知らなかったらしく、一時しのぎにしかならなかった。
このまま放っておけば先遣隊が手にかけなくても二匹は後に死んでいただろう。
『生き延びたいか? ならば俺たちと共に来い』
『おまえらの軍門に降れと? ご主人が死んでいるとはいえ、そんなことできるわけが!』
『後ろにある新幹線……あれさえ動けば大阪から脱出できる。
俺たちは毒消しは持ってないが、脱出できればその毒の治療する宛はある。
だが操縦に適していないおまえたちの腕では操作は無理だ。
ここは無駄に命を散らすより、協調し合って大阪から脱出できた方が賢明だろう』
『確かに……だが』
クロコダインは知る由もないが、千早とデストワイルダーは特務機関員・新城直衛の意思持ち支給品。
ひいては主催の手先なのだ。
本来、潜入以外が目的で対主催と手を組むべきではないだろうが、ここで先遣隊に加入しなければ二匹とも死ぬ事になる事実にデストワイルダーは迷う。
『……わかったわ、アタシたちはあんたらと一緒に行くよ』
『姐さん……しかし!』
『ご主人様を殺した拳王連合軍を皆殺しにするまで、死ぬわけにはいかないからね。
デストワイルダーだって、死ぬならこんな場所じゃなく、拳王連合軍の忍者に一矢報いてからの方が良かろう?』
『確かに……あの契約者は前の正義厨よりかは遥かに俺を大事にしてくれた……仇は討ちたい』
(こいつらも拳王連合軍の犠牲者か……)
千早とデストワイルダーが誰かの支給品で、その慕っていた誰かを悪しき拳王連合軍に殺されたことをクロコダインは察し、利害が一致していることを理解し、なおさら仲間として引き入れるべきだと思わせた
一方、千早とデストワイルダーは先遣隊に聞こえないように小声で話す。
(しかし、良いんですかい姐さん? 勝手に対主催に手を貸すような真似をしちゃって)
(本気で手を貸すんじゃない。これは手を貸すフリをした潜入だ。
ご主人様である新城様は死に、主催もなぜか安倍に交代しているが、新城様の姉君である蓮乃様が捕らえられている事は変わらん。
蓮乃様の首が飛ばないようにいざという時は裏切るさ)
(なるほど……)
(だが裏切りは拳王連合軍への報復が終わってからでも遅くない。それまでは奴らの支給品として従うフリをするさ)
黒い考えを先遣隊に悟らせないようにさせつつ、回答を渋っていたデストワイルダーはクロコダインに言った。
『わかった、大阪の脱出のために手を組もう』
『わかってくれたか、俺は聖帝軍のクロコダインだ』
『俺はデストワイルダー、姐さんは千早だ』
「よし、話はまとまった。こいつらも今から聖帝軍の仲間だ」
「無駄な戦いは避けられたようね」
クロコダインによって二匹とは平和的な解決がなされたことで安堵する先遣隊一行。
「時間が惜しい、すぐにでも脱出の準備をするぞ!」
そして千早とデストワイルダーを加えた一行は新幹線のぞみに乗り込み、潰れた後部車両を切り離して発車する。
運転手は紘太、クロコダインはグレイトアックスのイオ系呪文による線路上の敵や瓦礫の除去、チルノは殺し合いの過程で破壊された線路を氷を生成して即席補修、ふなっしーは怪我人の介抱の役割が与えられた。
線路に氷使ったら滑って脱線するんじゃね?
科学的には乾いた氷は滑らないので問題ない。今の大人になったチルノならばそれくらいの魔力制御はお手の物である。
そして先遣隊を乗せたのぞみは地下から地上に出て大阪を出た。
するとそこには驚くべき光景があった。
背後の大阪の街、そこに生えていたフロワロが赤から黒へと変色し、瓦礫の街を闇色に染めていた。
文字通りの意味で死の街と化しており、なおさら弦十郎らの生存が絶望視できる。
それだけでなく、海の方向――沖縄の辺りを見ると空が異様に黒く染まっており、見ただけで世界の終わりが近づいているように思わせた。
「なんだありゃあ……いったい何がどうなってんだ」
「最強のあたいだけど……あれはホントにまずい気がするよ」
「キュゥべえが言うには沖縄には風鳴……いや、
テラカオスとやらがいるらしいが、そいつが引き起こしているのか?」
この世の終わりのような光景には、
オーバーロードである葛葉紘太。
氷精として進化したチルノ。
元獣魔戦団長のクロコダインすら本気で寒気を覚えた。
そして予言の中にある「救いの神」の召喚のために、早く予言を完遂しなければならないという共通認識が生まれていた。
一方。
「い、嫌
ああああ! あいつが、あいつが来るううううう!!」
「急にどうにかしたなっしか!?」
唐突に叫び声を上げる霧切に驚くふなっしーたち。
霧切はガタガタと震えて理性を失ったように叫び続け、失禁で椅子と床を汚している。
「まずい、結界がダメージを受けている。それに響子のソウルジェムが早くも限界スレスレだ!」
キュゥべえはエントロピーから響子が張った結界が突然現れたエントロピー(テラカオス・シャドウ)によって大幅なダメージを受け、響子自体が恐怖を抱くディーヴァの存在を感じ取ったためか、ソウルジェムの濁りが急加速していることに気づいた。
まだ満足に大阪を離れていないのに、ここで魔女化されるとまずいと思ったキュゥべえはふなっしーに言った。
「ふなっしー、グリーフシード持ってるよね?」
「グリーフシードってこの石のことなしか?」
「そう、それ。早く響子のソウルジェムにあてがってあげて、早くしないと魔力の枯渇で霧切が死ぬことになるよ!」
「それは大変ムロ!?」
キュゥべえは『嘘』は言っていない。
「でもこれはシャルロッテの友達だったもので……シャルロッテも嫌がってるなし」
「その気になれば聖帝軍を食らいつくせる食人鬼を寄せ付けないための結界とせっかくの救助者を失っても良いの?」
「魔法少女のことはキュゥべえが一番分かっているムロ。ここは専門家に従った方がいいんじゃないかムロ?」
グリーフシードを渡すことを渋っていたシャルロッテとふなっしーだが、キュゥべえの煽りとウドラの提言、そして苦しむ霧切を見てとうとう折れて、元キルステンのグリーフシードを霧切に渡すことを決めた。
結果、霧切のソウルジェムの汚れは大幅に浄化され、霧切の精神も大分落ち着きを取り戻した(幼児退行はそのままだが)。
また、魔力が回復したために半壊寸前に陥った対ディーヴァ用結界も修復された。
ついでに汚れを吸い取ったグリーフシードもといエネルギーはキュゥべえに回収された。
そして、仲間を増やした聖帝軍先遣隊を乗せたのぞみは県境を越えて奈良県へと到達。
死の世界となった大阪からの脱出に成功する。
向かうは東京、仲間が待つ聖帝軍本隊との合流である。
【聖帝軍先遣隊】
【ターバンのガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、仮面ライダー鎧武・極アームズに変身中、主に拳王連合軍への怒り
【装備】戦極ドライバー、ロックシード(カチドキ&極) 、新幹線のぞみ
【道具】支給品一式、ロックシード(パイン、イチゴ、スイカ)
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:のぞみを操縦して関東へと戻る
1:DMC狂信者達も拳王連合軍も、もう絶対許さねえ!!
2:救済の予言の謎を解く
3:ダースベイダーも安倍総理も、絶対に許さねぇ!!
4:なんだったんだ沖縄のあれは……
5:苗木が一時期のミッチーを思い出させて恐ろしく不穏
※オーバーロードとしての力を行使するには首輪解除が必要です。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
【ターバンのガキ(チルノ)@東方project】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、やる気十分、色々成長
【装備】ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW、アイスソード@ロマンシングサ・ガ、ターバン (マスク代わり)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:『ダースベイダー』を倒す
0:関東に戻る
1:何かいろいろパワーアップしたよ!
2:みんなで予言を解いて世界を救うよ!
3:聖帝は頼りないから最強のあたいが皆を引っ張る
4:大阪の毒花と沖縄の天候変化は明らかにヤバイ!
※アイスエイジメモリを刺した事によって成長、能力及び知力が向上しました。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、不安なっしー!
【装備】野球のユニフォーム(背番号274)、ターバン(マスク代わり)
【道具】支給品一式、シャルロッテ@魔法少女まどか☆マギカ
【思考】
基本:殺し合いを止めるなっしー!
0:大阪は
地獄絵図だったなっしー!
1:DMC狂信者達を成敗するなっしー!
2:名探偵ふなっしーが予言の謎を解くなっしー!
3:本当に都庁につけるか不安なっしー!
4:ヒャッハー! 梨汁ブシャー!
5:新しい友達としてシャルロッテとウドラは守りたい
【ターバンのおっさん(獣王クロコダイン)@DRAGON QUEST ダイの大冒険】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、怒りと悲しみ
【装備】獣王の鎧、グレイトアックス、ターバン(マスク代わり)、千早@皇国の守護者(フロワロの毒ダメージ・中)、デストワイルダー@仮面ライダー龍騎&ただの手鏡、聖帝軍の旗
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:関東へと戻る
1:聖帝軍と協力し、DMC狂信者の軍勢を倒す、そのために都庁の魔物を説得する
2:世界救済の予言の謎を解く
3:大阪と沖縄の異変……予言の究明を急がねばならんか
4:いちおう、千早とデストワイルダーは連れていくが警戒は怠らない
※千早とデストワイルダーが主催の支給品であることを知りません
また、ただの支給品扱いなので狸組が奪った主催リストにも載っていません
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
【ウドラ@ゆるキャラ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、フロワロの毒ダメージ(極軽微)、謎の胸騒ぎ
【装備】紘汰のターバン(マスク代わり)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:ムロロ~ン
0:紘汰達についていく
1:人助けする
2:な、なんか物凄く嫌な胸騒ぎがするムロ……
【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ダメージ(中)、疲労(特大)、気絶、拳王連合軍への復讐心(特大)
【装備】ウィザードライバー@仮面ライダーウィザード、マシンウィンガー@仮面ライダーウィザード、専用の指輪一式
【道具】支給品一式、通信機
【思考】基本:対主催→拳王連合軍は皆殺し
0:(気絶中)
1:必ず拳王連合軍に相応しい絶望を与える
2:キュゥべえと聖帝軍の皆は信頼している
※ラーメンマン、ジョンス、たっくんの死に気づいていません
【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ロリ切さん、ディーヴァへの恐怖心(特大)、魔法少女化、ソウルジェムの汚れ(5%)、一時的な幼児退行と記憶喪失、度重なる失禁でパンツぐしょぐしょ
【装備】様々な資料
【道具】支給品一式、沢山の光彦関連のスイッチ、ノートパソコン、その他不明
【思考】基本:テラカオス・ディーヴァにだけは殺されたくない
0:奴に殺されるのはヤダヤダヤダヤダヤダ……
1:苗木くんは守る
2:友達のキュゥべえも守る
3:(幼児退行と記憶喪失により思考能力が大幅低下している)
※まどかには及ばないものの強力な魔法少女になり、肉体・戦闘力が大幅に強化されました
クライシス皇帝から受けたダメージも回復しています
※テラカオス・ディーヴァに殺されたくないと願った結果、ディーヴァ限定で侵入できない結界が張られました(広さは近畿地方全体がスッポリ収まる程)
ただし霧切が死亡・魔女化した場合は結界が消滅し、ディーヴァが捕食などで霧切のエントロピーを上回ったりしても結界は破られます
※沖縄でのディーヴァとシャドウとの戦いで結界がダメージを受けましたが、グリーフシードにより回復しました
戦力となり、現状でのテラカオスを避けることができる霧切の喪失・魔女化を防いだ後にキュゥべえは窓を見て考える。
視線の先は黒い雲に覆われた沖縄方面である。
(あれはテラカオス・ディーヴァの仕業……?、いや違う。
ディーヴァよりも遥かに危険なエントロピーを持つ者と、ディーヴァが戦っていると感じられる)
エントロピーを感じることのできるキュゥべえは、間近でディーヴァを見たので彼女のエントロピーを感じることができた。
その一方で、言うなれば魔法少女化した鹿目まどかですら相対すれば一分持たずに弾け飛ぶ危険で異質なエントロピー渦巻く環境の中でディーヴァは平然と戦っていると感じ取れた。
はっきり言って、ディーヴァが沖縄にいなければ『何者か』によって残った参加者が全滅しかねないと言っても過言ではない。
これはディーヴァと直接会ったことのない者にはわからない事象である。
(より危険な存在を、危険な存在であるディーヴァが偶然抑えていると見るべきか……いや、待てよ、本当に偶然なのか?)
そこで心がないために、冷静かつ冷徹に物事を見れるキュゥべえの頭脳が何かに気づく。
(主催が危険な何かと戦うために、テラカオスが必要だとしたら……?)
まるでスロットにリーチが掛かるように、答えの尻尾を掴んでいく。
弦十郎の姪である翼は絵に描いた善人だったが、突然食べれば食べるほど
強くなる食人鬼になった。
わけがわからないよ。
首輪を外したのに指名手配しただけで、そもそも首輪を解除される前に強者のバーダックを派遣しなかった。
わけがわからないよ。
もっと早くに首輪を外した拳王連合軍にはバーダックを派遣しなかった。
わけがわからないよ。
風鳴翼を生かせば人口の大半が食い尽くされるかもしれないのに、徹底して放置して毒花などによって地上に大被害をもたらした。
わけがわからないよ。
そもそも殺し合いによる間引きは終わった後の社会体制やインフラがボロボロになるし、そんな杜撰な人口調整をするぐらいならニートとか使えない奴らを優先的に処刑して数を減らした方がいいのに。
わけがわからないよ。
一見すると矛盾だらけで計画性のない杜撰な殺し合い。
だが全てがテラカオスを軸とした措置であると見方を変えると、それは一変する。
風鳴翼は殺し合いを媒介にした何らかの方法によってテラカオスになったとしたら?
テラカオスの誕生の妨げにならないためにバーダックなど強すぎる戦闘員は派遣できなかったとしたら?
拳王連合軍は各所からマーダーと誤解されており、争いの火が大きくなるほどテラカオスの成長要因に繋がるために、存在自体が争いの火種になるのであえて放置されていたとしたら?
殺し合いが終わった後の社会体制やインフラなど気にならないほどの破滅が迫っているために、より大事な「生存」一点のために殺し合いが開かれたとしたら?
「危険なエントロピーを持つ存在」は地球上に残った生命を根絶やしにしかねないために、人口の99%を生贄にする覚悟で、辛うじて世界を存続できる1%を残すためにテラカオスが必要だとしたら?
仮にテラカオスが世界を滅ぼしうる存在になっても、抹殺できる手段が主催に残されているとしたら?
そして。
(危険な存在……世界を破滅に誘うエントロピーに対抗できるのは、テラカオスだけだとしたら……)
キュゥべえの答えはほぼ正解であった。
大災害を巻き起こしたTCホールから放たれる破滅のエネルギー「TC」を受けて立っていられるのはテラカオスのみであり、テラカオスの誕生・成長・完成こそがベイダーたちの目的である。
自分を含めた生命を資源ぐらいにしか思えないキュゥべえことインキュベーターだからこそ、この発想にたどり着いたのである。
(確証はない……でも、そうでなければこの殺し合いはあまりにも合理性を欠きすぎている。
テラカオスが危険な存在とあそこで戦っている理由にも説明がつく)
テラカオスこそが主催の至上目的であり、破滅をもたらす存在に対抗しうる存在がテラカオスだと見抜いたインキュベーターはこれからの方針を変更する。
それはひどく残酷なものであった。
(対主催に紛れて…この殺し合いを可能な限り助長しよう。それが僕の生存戦略だ)
今よりインキュベーターは主催の手伝いをすることに決めたのだ。
主催が目指す先に自分が生き残れる可能性があると信じての結論である。
しかし、それは単にステルスマーダーになるわけではない。
(デカオと苗木の口ぶりからして拳王連合軍とホワイトベース組は互いが対主催と気づかずに内ゲバを起こしていた。
ひょっとしたら他の対主催も同じようなことが誤解による諍いが起きているのかもしれない。
……もし、、そうならその誤解を解かせないままマーダーのみならず対主催同士で殺し合わせてみよう)
インキュベーターの思惑とは、誤解を徹底的に加速させて殺し合いを助長させようとするものだった。
(まずはその一環として、コレは預からせてもらうよ響子)
インキュベーターは誰にも気づかれぬようにこっそりと祐一郎の記憶を内包したブラックボックスを霧切のディパックから盗み、自分のディパックにしまいこんだ。
このブラックボックスさえあれば拳王連合軍の誤解も一発で解けるだろうに、インキュベーターはこれを封印して拳王連合軍の冤罪を隠すつもりなのだ。
幸いにも苗木はデカオに霧切とインキュベーターが攫われたから死国にいたのだと思い込んでおり、当事者である霧切は部分的な記憶喪失によりデカオから話された話を覚えていない。
仮にクロコダインたちに死国にいた理由を教えられてもはぐらかしようはあるのだ。
(デカオには悪いけど、拳王連合軍には僕の……いや、世界のために犠牲になってもらうよ。
テラカオスは鹿目まどか以上に重要な存在になりそうだからね)
インキュベーターに感情や心はない。
だがもし、それらがあったとしたら、どこまでも黒くほくそ笑んでいたであろう……
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ(中)、他の個体が全滅
【装備】なし
【道具】支給品一式、祐一郎の記憶を内包したブラックボックス
【思考】基本:殺し合いの助長・対立煽り、
おまけで魔法少女を増やす
0:身を守るために聖帝軍に保護してもらう
1:対主催の影に隠れて参加者同士の殺し合いを助長する
2:ひとまず聖帝軍には拳王連合軍=悪の認識を持たせる(誤解を解かない)
3:テラカオスは鹿目まどかの契約より重要になるかも?
4:沖縄のエントロピーからディーヴァとより危険な存在(シャドウ)を感知
5:母星と連絡出来るまでは生き残る
※クロコダインと会う前に苗木の口からデカオを殺した下手人は苗木であると知りました
※殺し合いがテラカオスを生み出すために必要な措置だと気づきました
※沖縄から感知できるエントロピーから「TC」を放つテラカオス・シャドウの存在を感知しました
最終更新:2018年01月07日 07:04