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クロコダインやウドラを失った聖帝軍先遣隊を乗せた新幹線のぞみが都庁のある新宿にたどり着いたのは19時過ぎになってからであった。
多くの狂信者を屠ったダオスのレーザーや神樹の根が届かないギリギリの位置でのぞみは動かなくなる。

「のぞみが壊れた。これ以上は進めない」
「ここからは足で行くしかないね」

安倍の襲来によって中破状態だった新幹線のぞみは限界を迎えていた。
紘太たち5人と3匹はのぞみを捨てていくしかなかった。

「しかし、大丈夫なっしかね……都庁の魔物たちは」

ふなっしーが不安そうに言うが無理もない。
彼らはまだ、同盟を組む気だったとはいえ都庁が対主催として、そして大災害阻止のために動いていることを知らないからだ。
ただでもネット上において都庁には黒い噂が多すぎる。
都庁の世界樹が魔の森であるヘルヘイムではないことは本物のヘルヘイムをよく知っている紘太がいるので承知の上だが、だからと言って危険がないとは言い切れない。
そもそもそれを確かめるために、自分たち先遣隊が派遣されていたのだが不幸な事故とミスによって交渉どころではなくなってしまった(そのおかげでキュゥべえたちを助けることはできたが)。

「……今は自分のミスに責任を感じてるよ。だけど、アタイたちはいかなければいけない。
ネットによるとサウザーたちはあの中にいるんだから」

霧切から借りたノートパソコンで見た情報により、スカイツリー前での聖帝軍と狂信者、都庁軍をも巻き込んだ大戦闘の件はここに来る前に知っていた。
その戦いにより多くの仲間が命を落とし、きらりんロボが謎の暴走を起こして立川市と罪のない人々を焼いたこと。
スカイツリーも破壊されて作戦は失敗に終わったこと。
サウザーらは都庁に味方する白いエヴァンゲリオンによって都庁へ向かった(または連れ込まれた)ということだ。
さらにはチルノと面識がある小野塚小町(正義の乳神)に救われたモブからの情報によると、都庁は罪のない参加者を洗脳してコキ使う悪の集団だということだ。

嘘が混じる場合もあるカオスロワちゃんねるだけを信じきるわけにもいかないが、仲間が都庁の中にいるのは確実だ。
保護されているのならば合流し、都庁が小町が言う通りの悪の集団ならばナニカサレル前に助け出して脱出しなければいけない。

『グッ、がは! 三途の川の先でご主人様の影が……』
『姐さぁーーーーん!』
「千早もこれ以上は持たそうなっしー」
「毒消しを譲ってもらうにしろ、奪うにしろ、都庁に進むしか選択肢はなさそうだね」
「……わかった、危険かも知らないが都庁へ向かおう」

大阪にて拾ったサーベルタイガーの千早の毒状態も深刻だ。
フロワロの毒をなんとかしなければ一時間持たないだろう。
ネットで聖帝軍は悪人のレッテルを貼られた以上、毒消しを譲ってくれる参加者はまずいない。
クロコダインが戦死して先遣隊のリーダーとなった紘太はしばらく考え、都庁に向かうことを決断した。

「僕も行きます!」

それを言ったのは先刻、気絶から覚めたばかりの苗木であった。
しかし紘太は苗木を静止する。

「いや、おまえはここに残って霧切とキュゥべえを守れ」
「なんでですか!? 僕だって戦えます! 拳王連合軍の奴らだって三人は殺してるし」

同行を拒否され驚く苗木に、彼の後ろにいたキュゥべえが紘太に代わって理由を言う。
先の放送で知り合いのホワイトベース組の仲間である乾巧たちの死を知ったことであからさまに冷静さを失っている……というのもあるが、あえてそこは伏せておく。
それ以上に合理的な理由があるのだ。

「君は寝ていたことで体力は多少マシになったたけど、激しい戦闘に耐えられるほど取り戻してはいない。
実力自体もボクとふなっしー以外には勝てないぐらい弱い。
そんな君が行ったところで仮に戦闘になった場合は紘太たちの足でまといだよ」
「足でまといは言い過ぎだが、キュゥべえが言ったこともあながち間違いじゃない。
仮に戦闘になったら何もできないまま死ぬと俺たちは思っている」
「そんな……」
「苗木はその代わりにキュゥべえと霧切を守ってやってくれ。
言っちゃ難だがキュゥべえはともかく、今の彼女を都庁に連れて行くと余計な騒乱を招きそうな気がする」

紘太は新幹線の椅子で膝を抱えて座っている霧切を指さした。
安倍を瞬殺した戦闘力からして戦闘力は先遣隊最高だが、その前に心が壊れている。
デリケートさが求められるやもしれぬ話し合いの場にはとても連れていけなかった。

「彼女には心の支えが必要だろ?」
「ええ……それは確かに」
「友達であるおまえが全力で守ってやれ」

今の霧切の心を守る仕事ができるのは友達である苗木とキュゥべえだけであり、繋がりがまだまだ浅い紘太たちではできない仕事だ。
血気盛んな苗木をそのように諭すと、紘太は新幹線の中に取り出されたマシンウィンガーを見る。

「そういえば苗木は確かバイクの運転ができたな」
「ええ、超高校級の暴走族である大和田くんのシゴキを受けて」
「もし、俺たちと都庁で戦闘になったら……」
「バイクに乗って助けに行けばいいんですね!」
「それは違うぜ」
(台詞取られた)

「戦闘が起きたと思ったらバイクに乗って霧切とキュゥべえを乗せて遠くへ逃げるんだ。
仲間の命を守ることはもちろんだが、あの子の貧乳歌姫の接近を防ぐ結界は多くの人々に取っても大事だ。
死んでしまったら俺たちでも勝てるか怪しい風鳴翼を本州に招いてしまう。
多くの人のためにもしっかりと守ってやるんだぞ」
「だけど!……いや、わかりました」

過去に似たような状況で似た指示を受け、葉隠や巧を救えなかったことにより苗木には不満があったが、自分の弱さを自覚しているだけに結局折れることになった。

「割り振りはこんな感じだな。
俺、チルノ、ふなっしーと支給品軍団が都庁へ行き。
苗木、霧切、キュゥべえはのぞみに残り、戦闘が起きたらバイクで逃げること、良いな!」

そして鎧武に変身した紘太とチルノ、聖帝軍の旗を持ったふなっしーは都庁へと向かって歩いて言った。
そんな三人を見送るのは苗木の不安そうな眼であった。



恐る恐る、しかし確実に巨大な都庁の世界樹に近づいていく三人のターバンたち。
近づく度に焦りは募っていく。

「いちおう識別のための旗は掲げてるけど、ホ、ホントに大丈夫なっしか……」
「攻撃してくれば交渉は失敗、都庁はアタイたちの敵ということになるね。
そうなったら最強になったアタイが全員氷漬けにしてやりたい、ところだけど感じる魔力は悔しいがアタイたち三人では勝てないくらい強大……苗木たちのこともあるし、戦いになったら逃げの一手だね」
「だが俺たちはもう信じて進むしかねえ。
沖縄には謎の異常気象、近畿には毒の花、神奈川には拳王連合軍、ビックサイトに狂信者、千葉には超巨大ドラゴン、極めつけに上空には主催の九州ロボ。
千早を救うためにも都庁へ行って真偽を確かめるしかないんだ」
「それは確かなし……腹を括るしかないっしか」

あくまで紘太たちの目線であるが、彼らの目線では聖帝軍以外の全てが驚異であり、味方が待っているかもしれない都庁しか行く道は残されていなかったのである。
自分たち以外の最後の対主催集団と思われるイチリュウチームは邪竜ギムレーの中、都庁近くにいるはずの小町はなぜか行方不明。
仲間である千早の死期が迫っていることも考えれば都庁が善であれ悪であれ残された道は一つしかなかった。

一歩、また一歩と近づくターバンズであったが、そこへ爆撃のような攻撃が紘太たちの正面数メートル先で炸裂した。
攻撃は直撃こそしなかったが、空を見上げると数匹のドラゴンが牙を向けてこちらに向かってきていた。


「なに!? 攻撃された!」
「ひいいいいいいいい、やっぱ襲ってきたなっしーーー!」
「戦闘態勢! 来るよ紘太、ふなっしー!」

紘太は奥の手の極ロックシードを構え、チルノは無数の氷の矢を生成。
ふなっしー自体は逃げ腰だが、彼の代わりに支給品のシャルロッテとデストワイルダーがいつでも迎撃できるように牙を覗かせていた。
聖帝軍の一味を攻撃してきたところからして都庁はやはり敵なのか?
それは紘太が一戦交える覚悟をした寸前に、答えが出る。

「……! ちょっと待ってください高津さん、彼らをよく見て!」
「ん? 誰かと思えば紘太たちじゃないか」
「高津さんと犬牟田!」

ドラゴンの背に乗っていた二人のターバンは聖帝軍の一員である高津と犬牟田であった。
ドラゴンたちも紘太たちが背に乗せている二人の知り合いだとわかるとすぐに攻撃態勢を解き、交戦意思はないという素振りで三人の前に着陸した。
そして犬牟田と高津は手始めにレストから教えられた方法で三人の首輪を解除していく。

「洗脳されている……ようには見えないね。
これから騙し討ちするにしても戦闘力の枷になっている首輪を外す意味がないし」
「でも正義のオッパイ神とかいう人は都庁は悪の組織なしって」
「それにはとても複雑な事情があって長くなるから詳細は後で話すよ。
簡単に言うと都庁は僕たちの味方であるし、同盟を組むに値する正義の組織だ。
悪の組織だのヘルヘイムだのは誰かが流した虚偽情報なんだ。
ちなみに小野塚さんは本当は僕らの仲間なんだけど、わけあって悪の組織と吹聴させているんだ」
「う~ん、よくわからないけど、聖帝軍の仲間は無事なっしね?」
「ああ……放送で呼ばれた人以外はみんな生きているよ。もちろん洗脳なんかされていない」
「それを聞いただけで安心のため息がでるね」

細かい経緯はイマイチわからないが、聖帝軍と都庁軍は先遣隊抜きで交渉した。
そして危険のない組織であり、その中でサウザーたちが保護されていると聞けば、肩の荷も幾分か降りたんだ。

「でもなんでさっきは攻撃してきたんだ?」
「都庁には非常に目や耳の良い奴がいてね、怪しい奴がいると聞いて偵察に来たんだ。
狂信者や拳王連合軍の手先かもしれなかったから、見かけて野球ボールで威嚇射撃を行ったというわけだ」
「ちょっと待つなっしー! 聖帝軍の旗は掲げていたなっしよ!?」
「……悪いけど今は夜だよ、暗くてよく見えなかったんだ」
「「「あ……」」」

先ほどの高津からの攻撃の理由は旗がよく見えなかった故の威嚇であった。
変身・大人化しているとはいえ面子的に誰だかわかるが、それは明るい昼間の話。
都庁からの先制攻撃を恐れるあまり旗や自分たちに懐中電灯を当てて仲間であることをアピールすることを失念していた彼らは攻撃を受けたのである。
幸い、冷静な犬牟田が迂闊に敵とみなすべきじゃないと進言したので高津やドラゴンたちも初撃は威嚇にとどめたために死者は出なかった。


「高津さん、すまねえ……俺たちのミスのせいで先遣隊はアンタたちより早くたどり着くことができず、クロコダインも死なせる結果を招いちまった」
「みんなは悪くない、発端はアタイの操縦ミスだよ」
「チルノも責めないでほしいなっしー、シャルロッテや苗木たちのようにチルノのおかげで助かった命もあったなっしー」

次に紘太たちは仲間たちに自分たちの不手際を謝罪した。
おそらく本隊側から都庁との同盟を結ぶことはできたのだろうが、自分たち先遣隊が都庁に早くたどり着いていれば先の戦いの犠牲をなくすこともできたのだろう。
そう思うと三人は胸が痛かったが、高津と犬牟田は彼らを許した。

「よせよ。それを言ったら俺たちも多くの子供たちを守れなかった。
クロコダインは残念だったが、おまえたちのボロボロ具合からしてそっちも必死に頑張ったんだろう。お互い様だ」
「色々複雑な事情はあるんだけど、君たち先遣隊が都庁にたどりついたところできらり……んロボは暴走していた。
どっちにしろ交渉するまでもなく僕たち聖帝軍は都庁の信頼を勝ち取っていて盟約を結べたんだ。
恥じることは何もないさ」
「……本当にすまねえ」

高津と犬牟田に諭され、紘太たちの心配もほぐれた。
仲間たちは先遣隊を責める気など最初からなかったのである。

「さて、おまえたちにも都庁との会談でいくつかわかったことがあるから教えたいところだが、かなり重大な内容だからできれば世界樹の中で話したい」
「だけどその前に僕らと別行動で斥候に出た仲間と合流しなければね」
「仲間? 俺たちを見に来たのはアンタたちだけじゃなかったのか?」

どうやら高津犬牟田コンビとは別口で紘太たちを迎えに来たグループがいるようだ。

「その様子だとすれ違ったらしいな。
実は仲間の中に一人、桑原っていう霊直感に優れた奴がいて、そいつがおまえたちに対して嫌な予感がすると言ってたんだ」
「嫌な……予感だって?」
「ああ、ひょっとしたら俺たちの敵になるヤベー奴が新幹線に乗ってるかもしれない、ということで敵だった場合は正面の俺たちと背後からの桑原たちが挟撃する予定だったんだ」
「だがこの様子だと危険はなさそうだね」

「待ってくれ、新幹線に乗っていたのは俺たち以外にも他に三人いるんだ!」
「なんだって?」

二人の言葉に何やら嫌な予感を感じた紘太。
新幹線に残っているのは苗木、霧切、キュゥべえの二人と一匹。
おそらく桑原たちはそちらと接触するだろう。
二人と一匹は大阪から東京に移動するまでの間に(性格的な危うさはあったが)悪人にはとても見えなかった。

それでも……鎧武のマスクの下はなぜか冷や汗がにじみ出ていた。


 ■ ■ ■


一方その頃、稼働しなくなった新幹線の近く。
その物陰に桑原とアイスシザース、何匹かの中級以下FOE。
そして聖帝軍のイリヤがいた。

イリヤがついてきているのはやってきた一団が紘太ら先遣隊である可能性もあるため、顔をよく知っている聖帝軍の誰かの手が必要であったので抜擢されたのがイリヤであった。

『あの中に聖帝軍の仲間はいるか?』
「……いや、あんな人たち、私は知らない」

しかし新幹線の中にいるのは見知らぬ背の低い少年と、何かに怯えるようにうずくまっている幼女だけである。
それもそのはず、紘太たちは既に都庁に向かっており、新幹線の中には顔見知りは誰ひとり残っていなかった。

「狂信者っぽくはないし危険はなさそうに見えるけど」
「だが奴らから嫌な勘がビンビンしてるぜ」

先遣隊の関係者ではなさそうだが見た目で安全ではないかと判断するイリヤ。
一方で強い霊感から冷や汗の止まらない桑原。
すぐに接触するべきか、一度都庁に戻って仲間の判断をもらうか考えあぐねていた二人と一匹であったが、ここでアイスシザースがとある存在を発見する。

『!! 奴がいる!』
「奴って?」
『ホムラが言っていた危険な宇宙生命体、インキュベーターだ!!』

白ウサギとネコを足したような見た目の高度な知性を持つ宇宙生命体キュゥべえもといインキュベーター。
それが新幹線の窓にいるのをアイスシザースは確認した。

『奴はこちらに気づいていない……ここで殺らねば!』
「おい待てアイスシザース!」
「みんなも!」

インキュベーターの存在を確認した瞬間、桑原やイリヤの静止を無視してアイスシザース以下のFOEが飛び出した。
インキュベーターは資源搾取のために詐欺紛いの行為で人間を食い物にし星を荒らす存在。
心を持たぬだけに人間以上に最悪の略奪者である。
そんな彼らのことをほむらから教えられて都庁の魔物たちが存在を許すハズはなく、見つけ次第抹殺の触れ込みがあったぐらいだ。
大災害から世界を守ることはもちろんのことだが、インキュベーターを殺すことは世界樹を守るために必要であり、魔物たちはそれを信じて彼を殺さんとする。
そして魔物たちは敵か味方かわからない苗木と霧切をひとまずは無視して新幹線に詰め寄った。

「!!」
「なんだこいつらは!」
「魔物!?」
『金竜様から託された大樹を守るためにも……鉄の棺桶ごと叩き切ってやる! インキュベーター!!』

ドラゴンハートで機動力を強化されたことも手伝って苗木とキュゥべえは反撃も回避も許されなかった。
次の瞬間には新幹線ごと両断する勢いでキュゥべえめがけて腕の鎌が振り下ろされた。
強化されたアイスシザースの実力ならば、実際に鋼鉄の新幹線を裁断して中の生き物を殺すぐらいは余裕であろう。

『な!?』
「ともだちを殺すやつ……許されない!!」

だが鎌がキュゥべえの首を落とすことはなかった。
正確には新幹線は両断されたのだが、キュゥべえに届く前に魔法少女に変身した霧切が鎌を掌で受け止めたのである。

『鎌が動かん……なんてバカ力だ!?』

どうみても強そうには見えない霧切にいとも簡単に攻撃を受け止められたことに恐怖心を確かに感じていた。
アイスシザースはこれまでの戦闘とドラゴンハートの恩恵によって強化された。
能力を数値化し総合スペックだけで見ればドラゴンハート未使用時の三竜に並ぶ戦闘力を有している。
それが目の前の幼女にいとも容易く、必殺の一撃を防がれたのだ。

「このお!!」
『ぐはああああああーーーッ!』

鎌を腕で防がれて動けなくなったアイスシザースは次の瞬間に霧切のバリツ持込の蹴りで腹部に大穴が空き、地面に倒れることになった。

「アイスシザース!!」

アイスシザースは高い生命力により、即死は免れていた。
今から都庁に戻って治療を受ければ助かる見込みはある。
桑原は死にかけのアイスシザースを救うために霊剣を携えて霧切を突き放そうとした。
桑原もまたアイスシザースと同じくドラゴンハートの影響を受けて、その戦闘力はかつての仲間である浦飯と同じくS級妖怪クラスの戦闘力を得ている。
どんなに強い霊能力者でも人間である限り入り込めない領域の強さだ。
あの戸愚呂弟を軽く凌駕し、仙水忍をも超えた戦闘力を持っている。

にも関わらず、桑原の霊剣は牽制目的であったとはいえ容易くよけられ、桑原やイリヤ、他のFOEが反応するよりも早く背後に回り込んだ。

「なッ、早ぇ!!」

そして背後から桑原の腹部に手を回してガッチリと掴み、捕まえた。

(離せねえ! なんてバカ力だ!?)

霧切の拘束は体力馬鹿である桑原ですら解くことができない。
桑原は必死に足掻くが外れる様子はない。
そして霧切による処刑――友を傷つけようとした者へのオシオキが始まった。



桑原を捕まえた霧切は彼を抱えたままグルグルと回転しだした。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

回転と言っても遊園地のティーカップアトラクションとは比較にならないほどの超高速回転であり、その速さは局所的な竜巻が起こし、内部にいるはずの霧切と桑原が見えなくなるほど。
無理に攻撃や接近をすると桑原を傷つける危険があったのでイリヤもFOEたちも桑原の援護や救助が行えなかった。

『な、なんていうことでしょう、あの魔法少女の魔力の強さは現在の鹿目まどかさんと互角クラス。
下手をするとフォレスト・セル以外の他の面子も破られます』
「ええ!?」
『我々三人と中級FOEだけでは勝ち目がありません!』
「どうしてそれを早く教えてくれなかったの!?」
『彼女が変身する前の段階では内包する魔力を読み取れなかったので……』

イリヤの杖であるルビーが霧切の強さに関して遅すぎた警鐘を鳴らす。
それは霧切の圧倒的強さに関してだった。

キュゥべえは対安倍戦で魔法少女化した霧切の強さを最低でもブラックRXの三倍の強さがあると言った。
ブラックRXの基本スペックはパンチ力70t、キック力120t、ジャンプ力60m、走力315km。
さらに町を吹き飛ばす攻撃でも致命傷にならず、惑星爆発から帰還できるほどの耐久力。
0.1秒や0.5秒を隙と言える反応速度を持っている。
無論全ての能力が三倍とは言わないが、総合スペック的に三倍というだけでも化物ということはわかるであろう。
少なくとも無強化三竜、仙水忍と同じレベル……現状のアイスシザースや桑原では勝てる相手ではなかった。



「ぎゃああああああああああああああああああああああ、からだがああああああああああああああああ!!!」
「桑原ッー!!」

竜巻の中から聞こえてくる桑原の悲鳴にイリヤたちはなんとか助け出そうとしたいが方法が浮かばない。
今から救援を求めても桑原が助かる保証はない。
そして考えあぐねた結果が……時間切れである。


「……レオリオ、ハス太、みんな……すまね」


桑原から謝罪の言葉が聞こえたと同時に霧切の回転が止まる。
それと同時に液状と固体の中間のような謎の黄色い物体がイリヤに大量にべちゃりとふりかかって汚した。
その一部はイリヤの口の中にも入った。

「げほッ、なにこれ、マーガリン!?」

舌の上でとろける感触に仄かな甘味と植物油っぽさからイリヤはこれをマーガリンだと分析。
しかしなぜ霧切の方からマーガリンが?

「桑原は!?」

驚くイリヤが霧切を見るとそこには桑原の姿がなく、もう一度体に付着した黄色い物体を見ると彼の着ていた「健康第一」と書かれた白い特攻服の切れ端や、骨らしき固形物があった。

『ま、まさかこれは桑原さんの肉体が高速回転の中で彼女の強大する魔力をゼロ距離で浴びて形質変化したもの……』
「今、体についてるコレが桑原だったとでもいうの……!?」

ルビーの推理通り、ダンロン的に言えば猛多亜最苦婁弟酢華恵慈(モーターサイクルデスケージ)と化した即席の処刑場で桑原の肉体は超高速回転させられつつ霧切から放出される魔力を浴びた結果、その肉体はマーガリンと化してしまったのである。

Q、なんで人間が回転しただけでマーガリンになるん?
A、ダンロン無印をプレイするかアニメを視聴してください(ステマ)

なんにせよ、イリヤたちに突きつけられた事実、それは――



【桑原和真@幽遊白書 死亡確認】



「うっぷ……おえええええええ!」
『イリヤさん!』

桑原が目の前で殺され、仲間の肉体だったものを不本意ではあるが食べてしまった事実にイリヤは吐き気を抑えられずたまらず嘔吐。
その隙を見逃すわけもなく、霧切が攻撃をしてくるが一部の魔物たちが動けなくなったイリヤを庇うために己の身を盾にする。

『だ、ダメだ、アイスシザースより弱い俺たちじゃコイツを止めることも、ぐわあ!』
「きゃあ!!」

しかし、霧切の進行を止められず、彼女の拳によって盾になった魔物は粉砕。
イリヤは致命傷は避けたが攻撃の余波により壁に叩きつけられしまう。
続けて霧切は敵となった魔物を駆逐するために一匹、また一匹とバリツで殺していく。


『なんてことだ……クッ』

腹に穴を開けられながらもなんとか立ち上がるアイスシザース。
桑原や魔物が殺されていく光景に恐ろしさを覚えていた。
しかし、闘志までは衰えず、状況を冷静に見る。

霧切が他の魔物を殺している中でキュゥべえがノーガードであることに気づいた。
キュゥべえ自身もこちらが再び立ち上がったことに気づいていない。

『今こそ、奴を殺すチャンス! 味方を助けることもできる!』

アイスシザースの考えではキュゥべえを殺せば霧切のヘイトは自分に向かう。
そうなれば自分は十中八九殺されるが、標的が自分に集中するためにイリヤや生き残った魔物を都庁に撤退させて助け出すことができる。
そう睨んで、こっそりと背後から刃を向けようとする。

「させるか!」
「助かったよ、苗木!」
『ええい、邪魔を!』

いつぞやのネームド狂信者を暗殺した奇襲攻撃は失敗に終わった。
霧切が暴れている内に仮面ライダーウィザードに変身した苗木の銃撃により阻まれたのだ。
奇襲に気づいたキュゥべえもまたこの場を苗木に任せて新幹線の残骸の影に隠れてしまった。
キュゥべえを殺すにはどうしても苗木を倒さなくてはならない。

(くッ、だが、銃の威力は大したことはない。
動きも素人そのもの……コイツなら簡単に殺れる!)

アイスシザースは目の前の仮面ライダーの実力を把握。
事実、苗木の戦闘力はウィザードのスペック込でも大したものではなく、読み通りと言えた。

(一撃で仕留めてやる!)

即死属性の一撃である凍土の大鎌で苗木との短期決戦を行おうとするアイスシザース。
一方の苗木はひとつの指輪を取り出し、それをベルトにかざした。

「これを使ってみるか!」

――リキッド・プリーズ。
そんな音声がベルトから聞こえた瞬間、苗木の胴体の一部分が液状化しアイスシザースの鎌を貫通させてダメージを回避した。

『馬鹿な!』

液状化能力によって防がれた必殺の一撃により、狼狽と同時に空振りによる大きな隙を生み出す。
苗木は首輪が外れてないので首より上だけは液状化できない制限があるが、アイスシザースが胴体を狙った「幸運」によって賭けに買ったのだ。
続けて苗木はアイスシザースの懐に飛び込み、腕を液状化させてある一点に向けて伸ばした。

「おまえを倒すには……ここだあああああ!!」
「がああああああ!!!」

苗木が選んだのは先ほど霧切が開けた腹部の大穴。
そこは外殻にも守られておらず、臓器が一部露出している。
その大穴めがけて液体となった腕をねじり込み、体中を内部からグチャグチャにしていく。
なんとか苗木の首を狩ろうにも腕の制御も傷口から血管を通して入り込まれた液体を使って奪われてしまい、反撃もできない。

「紘太さんがいない今、僕が霧切さんやキュゥべえたちを守るんだああああ!」

苗木の目には暴走した義憤や使命感が燃え上がっており、マスク越しでもそれが狂気という形でアイスシザースに伝わった。
いかな強者とて、レベルを上げたとしてもア○ル以外の臓器は鍛えられない。
臓器への攻撃手段を握られた時点でアイスシザースの敗北は決まっていた。

『まだだ……金龍様や骨竜たちが守った世界樹を……守らねば、ならない、の、に……』

内部から腸を寸断され心臓を穿たれ脳を潰されたアイスシザース。
闘志だけは怨敵であるインキュベーターたちに向いていた。
しかし彼の鎌は敵に届くことはついぞなく、苗木が血まみれの拳を引き抜いたと同時に息絶えた。


【アイスシザース@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】



「ルビー! ルビー!」
『――――』

霧切の攻撃によってカレイドルビーをへし折られたイリヤの変身は既に解けていた。
この時点で戦闘力のほとんど失っている。

『俺たちが囮になるからおまえだけでも逃げるんだ!』
「でもあなたたちは!」
『俺たちに構うな! ここで全滅すれば世界樹に迫るこいつらの驚異を誰も教えられない。
インキュベーターたちのことを仲間たちに知らせるんだ』
「……わかった」

囮をかって出るFOEたちの指示に従い、イリヤは残って戦いたい意思を抑える。
アイスシザースより弱い魔物たちでは戻ってくる頃には全滅しているだろう。
だがなんとしても比較的近くにいる高津たちや世界樹の仲間に驚異を知らせる必要があった。

そして、踵を返して世界樹方面への逃走を図るイリヤ。



「むぐッ!?」

だが、振り向いた瞬間。
彼女の首は白い耳のような触手に掴まれ、口の中に一斗缶の穴から出てくるガソリンを無理やり注ぎ込まれた。

「むごごごごご」
「逃がさないよ、仲間を呼ばれると厄介だからね」

イリヤの口を介して胃の中に注がれるガソリン。
常人だったらこの時点で良くて失神、最悪ショック死であったが、イリヤはドラゴンハートで生命力を強化されているので「まだ」大丈夫だった。
すぐさままとわりついていたキュゥべえを引き剥がし、ガソリンを吐き出そうとするが、それを見計らってキュゥべえはただのマッチに火をつけてイリヤに放り投げてさっさと物陰に退避した。
ちなみにガソリンは死んだアイスシザースから奪ったもの、マッチは霧切の不明支給品から勝手に拝借したものである。

イリヤの体はガソリンと桑原マーガリンによって油まみれであり、マッチの小さい炎でも引火させて炎上させるには十分であった。


「熱いッ アツイィィィ!! 助けてお兄ちゃ――」

熱さにたまらず、悲鳴をあげるイリヤ。
それが失敗であった。
口を開いたことで体に入ったガソリンにも引火し、胃にまで届き――幼女の肉体を爆散させた。
焼け焦げた肉片とルビーの残骸だけがイリヤが生きていた証になってしまった。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 死亡確認】


魔物たちはメッセンジャーとなるはずだったイリヤの死に絶望の表情を浮かべ、せめて一匹だけでも仲間の救援を呼べるようにかばい合うも、その甲斐なく霧切によって数分以内に一匹残らず肉塊と化した。
都庁や高津たちの下へ迎えた者は一匹もいない。

「でもキュゥべえ、魔物はともかく人間の方は洗脳されて操られているだけだから殺すことはなかったような」
「殺すより生け捕る方が難しいんだよ?
響子はともかく、ボクや苗木の実力じゃ生け捕るなんて無理だよ」
「それはそうだけど……」
「あの時は仲間を呼ばれるわけにはいかなかったし、生かす余裕はなかった。
恨むべきはボクらに有無を言わさず攻撃を仕掛けてきた向こうの方さ」
「……」

拳王連合軍以外の人間を殺すのには抵抗があった苗木。
特に洗脳されていた者の中には聖帝軍のメンバーもいたかもしれない。
だが、キュゥべえの説得により恨むべきは噂通りの悪の集団であった魔物たちであると思い込まされた。
同時にヘルヘイムの魔物を殺すことが、殺してしまった人間の犠牲者への弔いになるとも思い込んでいた。

「そういえばさっき、向こうで爆音が聞こえた。紘太さんを助けに行かなくちゃ!」
「それはダメだよ、戦闘が起きたら逃げろって紘太の言葉を忘れたの?」

紘太の向かった方角から戦闘音と思わしき音が聞こえた(高津の威嚇射撃によるものである)。
もし戦闘が起こっているなら助けにいかないといけないと思った苗木だがキュゥべえに制止された。

「僕と霧切さんの力があれば助けに行くぐらいはできるさ!」
「確かに霧切だったら謎の巨大生物以外は殺せるかもしれないね」
「だったら!」
「だけど君や響子の魔力は有限。魔力がなくなれば魔法使いである君も響子も戦えなくなる。
君は休めば魔力が回復するけど、響子はグリーフシード以外で魔力を補充する手段がない。
この意味がわかるかな? 響子の魔力がなくなったら魔物に殺される可能性が高まると同時に食人鬼から本州を守っている結界がなくなって侵攻を許すことにつながるんだよ」
「そんな……紘太さんたちを見捨てろっていうのか?」
「紘太たちはそれも承知の上で君に響子の護衛を任せたんだよ」

キュゥべえの言葉は冷徹ではあったが理には適っていた。
霧切は確かに桑原たち相手には無敵であったが、それも魔力があるからこそ。
流石に都庁全戦力と戦えば、向こうを全滅させる前に響子が力尽きる。
そうなれば自分たちだけでなく海を渡ってきた貧乳歌姫によって多大な犠牲が本州で出る。
深追いは禁物であった。
それでも納得がいかない苗木であったが、少女の言葉が意固地になりかけていた彼の心を動かした。

「いかないで苗木くん……」
「霧切さん……」

涙目となっていた霧切が袖を引く。
自分の独善で霧切を危険な目に合わせるわけにはいかない。
彼女は生き延びても自分やキュゥべえがいなくなった時に誰が彼女の助けになるのか。
自分より小柄になった少女の涙を見て苗木の心が揺れ動く。
そんな苗木にキュゥべえはもう一声をかけた。

「安心して、都庁に向かった三人のエントロピーは消えていない。つまり死んではいないんだ」
「それは本当かい!?」
「捕獲されて洗脳されている可能性はあるけどね。
生きていればいつかは救助することもできるでしょ」

エントロピーを感じ取れるキュゥべえは確かに三人が生きていることを感じ取っていた。
流石に具体的に何をしているか何をされているかは感じ取れないが、まだ三人の中に犠牲者はいないという言葉は苗木にとって大きな意味を持っていた。

「だけど救助するのは今じゃない。今以上にまとまった戦力が必要だと思うな」
「まとまった戦力……しかし、どこに行けば……」

聖帝軍を安全に救助するにはどうしても戦力が必要であったが、先遣隊の仲間も失った苗木には行く宛が思いつかなかった。

「……そこで提案なんだけど、千葉県にいるあの巨大竜と交渉して見ようと思う」
「浦安市に現れたっていうあの巨大竜にだって!? 無茶だ!
イチローたちでさえ飲み込まれたらしいのにどうして味方になると思ったんだ?」

千葉に現れた巨大竜ことギムレーは襲ってきた狂信者を滅ぼす際に自分を破滅と絶望の竜と言っていた。
内部事情を知らぬ者から見るとイチローチームも無事かどうかは見当もつかなかったが……

「いや、イチローチームと思わしきエントロピーはまだ消えてないんだ」
「イチローたちはまだ生きているってこと?」
「もしくは最初から交戦するような仲じゃなかったのかもね。
破滅と絶望の竜というのもおそらくブラフ……その気になれば日本の大半を滅ぼせるのにそれをやっていない。
イチローたちを捕らえているにしろ、仲間内にしろ、無言で攻撃を仕掛けてきたヘルヘイムよりは交渉の余地はあるよ」
「その邪竜やイチローチームだったらヘルヘイムを焼き尽くして聖帝軍を助けることもできるってこと?」
「ああ、響子を足した場合の総エントロピー量的には不可能じゃないよ。
都庁と狂信者、主催を除くと苗木が倒したいと思っている拳王連合軍を倒せるのもここぐらいかな」
「あの拳王連合軍を!?」
「逆に言えば表立った対主催組織で、ボクらが接触できるのはもうそこにしか残ってない」
「必ず交渉を成功させて味方につけなくちゃ!」

エントロピー=強さというわけではないが、少なくとも倒せる可能性はある。
キュゥべえの言葉より聖帝軍の救助及び拳王連合軍への復讐への道が見えてきた苗木はキュゥべえの提案に乗ることにした。
さっそくバイクに跨り、後部座席に霧切とキュゥべえを載せる。

「苗木、急いで! 追っ手が近くに来ている」
「了解……紘太さん、待っていてください。必ず近いうちに助けに行きますから!」

そう言って、近くまできていたドラゴン軍団が接近する前に苗木たちはバイクを走らせて現場を離脱した。
目指すは千葉県である。



後部座席でどんどん離れていく都庁の世界樹を見てキュゥべえは思惑を巡らせる。

(近づいてよくわかった。あの大樹の中からまどか、ほむら、さやかのエントロピーを確かに感じた)

苗木や紘太たちには話さなかったが、キュゥべえにとっての大事な資源もとい知り合いである三人の少女の気配を、キュゥべえは新宿にたどりついた時から感知していた。

(だが、まどかのエントロピーは「何かの不純物」が混じって魔法少女化ができないようになっていた。
これならば霧切の方がまだ護衛兼エネルギー資源として使える)

キュゥべえに詳細まではわからないが、まどかはグンマーの巫女と化したことで概念にさえ到れる魔法少女化への道を絶たれていた。
もはや彼女を魔女化させてエネルギーを回収することなどできはしない。
魔法少女でなくなった以上キュゥべえの中での彼女への執着はなくなったのである。

(それにさっきの青カマキリ、最初は苗木と響子を無視して明らかにボクだけを狙っていた。
ほむらがきっとヘルヘイムの魔物に何かを吹き込んだに違いない。
そうなるとまどかやさやかもボクの敵になっていると見た方が良い。
合流は……少なくとも都庁を無力化するまではしない方が良さそうだ)

自分の正体を知っているほむらが都庁に吹き込んだ(洗脳されて吐かされた?)と推理したキュゥべえ。
結論的にはこのまま都庁に合流はするには危険と判断した。
ひょっとしたらちゃんと話し合えば苗木と霧切は助けてもらえるかもしれないが、自分だけは処刑される危険がある。
それでは意味がないのだ。

(都庁は敵……どんな思惑を持っていようとも母星にエネルギーを持ち帰らなきゃいけない任務を持ったボクの妨げになる障害。
なんとかイチローチームを説得して抹殺または無力化する必要がある)

キュゥべえの中で襲いかかってきた都庁は敵として認定された。
障害じゃなくなるまではあの手この手で滅ぼすつもりである。

さらにもう一つ、苗木と霧切には黙っていたことがあった。
弱体化したテラカオス・ディーヴァのエントロピーをギムレーが囲っている浦安市からキャッチしたのだ。

テラカオスはあそこにいる。
エントロピー的には邪竜や周りにいる連中より弱いから捕縛されているのだろう。
沖縄に現れた敵を駆逐するためにも彼女の力がどうしてもいる……イチローチームがそれを知っているかはわからないけど、どうしてもこの目で確認する必要があるな。
仮に殺されそうになっていたら止めないといけない)


「苗木、もう少しスピード出せる? 追っ手を完全に撒くべきだ」
「わかった。これ以上はちょっと辛いがやってみるよ」

一秒でも早く千葉県にたどり着くべく、適当な言い訳をつけてライダーである苗木を急がせるキュゥべえ。
心壊れた魔法少女霧切のぼんやりとした眼に映るには、瓦礫だらけの東京のコンクリートジャングルだ。










苗木たちが過ぎ去った後に、ジャンクとなった新幹線に戻ったのは、たくさんのドラゴンと野球選手に高校生を引き連れた紘太、チルノ、ふなっしーだった。
そんな彼らが仲間や魔物の死体が散らばる血の惨状を見て顔を青くするのは当然だった。

「これは桑原の特攻服にイリヤの喋る杖……アイスシザースまでやられてやがる」
「別働隊が全滅……全滅じゃないか!」

桑原・アイスシザース・イリヤの強さは高津と犬牟田はよく知っている。
そんな彼らが無残に殺されているとなれば悲しみはもちろん驚愕するのも無理はない。

「アタイたちが離れていた僅かな間に一体何が……まさかアイツらは殺し合いに乗っていた……もしくは拳王連合軍か狂信者の手先だったのか?」

なまじ頭が良くなっただけにチルノの中から邪推が浮かぶ。
推測の域を出ないが、苗木たちがこの場にいない事実がその考えを後押しする。
人間である桑原やイリヤもいるのに、殺し合いに乗ってない限り戦闘に繋がる理由がわからないのだ。

「畜生、一体何がどうなってんだよ!!」
「紘太……」

嫌な予感が的中したことに紘太は怒号を挙げた。
いったいどこから間違いを犯したのか紘太にはわからず苛立ちを吐き出すしかなかった。
しかも真実を語れる生者は現場には誰ひとり生き残っていない。
ふなっしーはただ仲間の死と、苗木たちに裏切られたかもしれないという焦りで心を痛めている紘太を慰めることしかできなかった。


このおはなしに悪意を持った参加者は誰一人いません。

みんながそれぞれの正義のために頑張っていました。

でも些細な綻びと不幸な食い違いにより殺し合いは起きてしまいました。

それはこんなおはなし。




二日目・19:30/東京都 新宿 都庁から少し離れた位置】


【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【状態】混乱、首輪解除、ドラゴンハートの恩恵による強化(大)
【装備】クロスチェンジャー、ジェットスワロー@鳥人戦隊ジェットマン、ターバン
【道具】支給品一式、ボロボロのグローブ
【思考】
0:桑原たちが殺されただって?!
1:現場を調べた後に紘太たちをつれて都庁に戻る
2:世界のためにも救済の予言は必ず完遂させる
3:DMC狂信者をぶっつぶす
※紘太たちと情報共有をまだしていないので、苗木・霧切・キュゥべえのことを知りません


【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【状態】混乱、首輪解除、ドラゴンハートの恩恵による強化(大)
【装備】だいぶ古い型のノートパソコン@現実、ターバン
【道具】支給品一式
【思考】
0:ここで一体何が……
1:現場を調べた後に紘太たちをつれて都庁に戻る
2:世界のためにも救済の予言は必ず完遂させる
3:個人的には大災害を引き起こした黒幕を警戒
  まだ生きているんだろうか……
※スタービルドストライクはレイジに返却しました
※紘太たちと情報共有をまだしていないので、苗木・霧切・キュゥべえのことを知りません


【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【状態】ダメージ(小)、仮面ライダー鎧武・極アームズに変身中、拳王連合軍への怒り、強い悲しみ
【装備】戦極ドライバー、ロックシード(カチドキ&極)
【道具】支給品一式、ロックシード(パイン、イチゴ、スイカ)
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:これをやったのは苗木たちなのか……?
1:DMC狂信者達も拳王連合軍も、もう絶対許さねえ!!
2:救済の予言の謎を解く
3:ダースベイダーは絶対に許さねぇ!!
4:なんだったんだ沖縄のあれは……
5:都庁は味方だったのは一安心
※オーバーロードとしての力を行使するには首輪解除が必要です。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません


【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、やる気十分、色々成長、苗木たちへの不信感
【装備】ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW、アイスソード@ロマンシングサ・ガ、ターバン
【道具】支給品一式
【思考】
基本:『ダースベイダー』を倒す
0:イリヤたちを殺したのは苗木たちなのか?
1:何かいろいろパワーアップしたよ!
2:みんなで予言を解いて世界を救うよ!
3:聖帝は頼りないから最強のあたいが皆を引っ張る
4:大阪の毒花と沖縄の天候変化は明らかにヤバイ!
5:都庁が味方で良かった
※アイスエイジメモリを刺した事によって成長、能力及び知力が向上しました。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません


【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、悲しいなっしー!
【装備】野球のユニフォーム(背番号274)、ターバン
【道具】支給品一式、シャルロッテ@魔法少女まどか☆マギカ、千早@皇国の守護者(フロワロの毒ダメージ・大)、デストワイルダー@仮面ライダー龍騎&ただの手鏡、聖帝軍の旗
【思考】
基本:殺し合いを止めるなっしー!
0:ここも地獄絵図だったなっしー!
1:DMC狂信者達を成敗するなっしー!
2:名探偵ふなっしーが予言の謎を解くなっしー!
3:本当に都庁につけるか不安なっしー!
4:ヒャッハー! 梨汁ブシャー!
5:新しい友達としてシャルロッテと千早、デストワイルダーは守りたいなっしー!
6:都庁で一休みしたいなっしーー!
※千早とデストワイルダーが主催側の意思持ち支給品であることを知りません
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません



【二日目・19:30/東京都 渋谷区】


【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、拳王連合軍への復讐心(特大)、変身中
【装備】ウィザードライバー@仮面ライダーウィザード、マシンウィンガー@仮面ライダーウィザード、専用の指輪一式、インフィニティーウィザードリング@仮面ライダーウィザード
【道具】支給品一式、通信機、
【思考】基本:対主催→拳王連合軍は皆殺し
0:千葉県に向かい、ギムレーもといイチローチームと交渉する
1:必ず拳王連合軍に相応しい絶望を与える
2:キュゥべえと聖帝軍の皆は信頼している
3:拳王連合軍ほどじゃないがヘルヘイム(都庁)の魔物は許さない
4:都庁を倒して紘太さんたちを救助する
5:とうとう僕がWB組最後の生き残りか……
※放送でラーメンマン、ジョンス、たっくんの死を知りました
※聖帝軍のきらりんロボが立川を焼く映像を見ましたが、先遣隊のこともあり信用していません
※都庁を一方的に敵視しました


【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ロリ切さん、ディーヴァへの恐怖心(特大)、魔法少女化、ソウルジェムの汚れ(40%)、一時的な幼児退行と記憶喪失、度重なる失禁でパンツぐしょぐしょ
【装備】様々な資料
【道具】支給品一式、沢山の光彦関連のスイッチ、ノートパソコン
【思考】基本:テラカオス・ディーヴァにだけは殺されたくない
0:奴に殺されるのはヤダヤダヤダヤダヤダ……
1:苗木くんは守る
2:友達のキュゥべえも守る
3:(幼児退行と記憶喪失により思考能力が大幅低下している)
※魔法少女化したまどかには及ばないものの強力な魔法少女になり、肉体・戦闘力が大幅に強化されました
 戦闘力は最低でも仮面ライダーBLACK RXの三倍です(グンマーの巫女となったまどかと互角)
 また、四条化細胞を持つ敵には特攻能力を得ています
 (シャドウのみ、先にTCを取り払わないと不可) 
※テラカオス・ディーヴァに殺されたくないと願った結果、ディーヴァと力を受け継いだシャドウ限定で侵入できない結界が張られました(広さは近畿地方全体がスッポリ収まる程)
 ただし霧切が死亡・魔女化した場合は結界が消滅し、シャドウが死者スレ掌握などで霧切のエントロピーを上回ったりしても結界は破られます
 テラカオス・ディーヴァの残滓は力の大部分が違いすぎるので侵入自体は問題ありませんが、近づくと何らかの悪影響が出るかもしれません


【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ(中)、他の個体が全滅
【装備】マッチ(残11本)
【道具】支給品一式、祐一郎の記憶を内包したブラックボックス、
【思考】基本:殺し合いの助長・対立煽り、おまけで魔法少女を増やす
0:身を守るためにイチローチームに協力してもらう
1:対主催の影に隠れて参加者同士の殺し合いを助長する
2:イチローチームには拳王連合軍=悪の認識を持たせる(誤解を解かない)
3:沖縄のエントロピーからディーヴァより危険な存在(シャドウ)を感知
4:千葉県からディーヴァらしき反応を検知、状況を知るためにも千葉県へ向かう
  殺されそうなら生存戦略のために助ける
5:資源的価値がなくなったので鹿目まどかへの執着はなし、障害になるなら排除する
6:都庁が一方的に敵意を持たれていると推測
  崩壊か無力化するまでは都庁には接触しない
7:母星と連絡出来るまでは生き残る
※クロコダインと会う前に苗木の口からデカオを殺した下手人は苗木であると知りました
※殺し合いがテラカオスを生み出すために必要な措置だと気づきました
※沖縄から感知できるエントロピーから「TC」を放つテラカオス・シャドウの存在を感知しました
※先遣隊に拳王連合軍に関する嘘を交えた情報を流しました
最終更新:2018年10月18日 22:24