timers -TIME IS ……-
走れメロス(15:32)
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匿名ユーザー
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はぁ、とため息をついた時、着信音が聞こえた。『Little Funtasy』は、ひとみの好きな曲だ。梨華はそれをひとみの着信音にしていた。
「──はい」
「あ、梨華ちゃん? 今どこにいるの?」
「あ、梨華ちゃん? 今どこにいるの?」
ひとみの声である。どうやら待ち合わせ場の書店に到着したらしい。
「今、駅前広場なんだけど……」
「そう。映画って何時からなの?」
「4時丁度。その前の上映が3時45分までだったから」
「わかった。間に合うように来てね」
「うん。──あの、」
「じゃあ、待ってるからね」
「そう。映画って何時からなの?」
「4時丁度。その前の上映が3時45分までだったから」
「わかった。間に合うように来てね」
「うん。──あの、」
「じゃあ、待ってるからね」
電話は向こうから切られた。再びため息をつく。もう、何度ついたかわからない。
嘘をついている罪悪感と、ひとみを待たせてはいけないという気持ちと、そして未だやって来ない真希の心配。全てが混ざり、ため息を精製していく。
無意識にもう一度ため息をつくと、梨華は携帯電話の電話帳を探しだす。後藤真希を見つけると、電話をかける。
嘘をついている罪悪感と、ひとみを待たせてはいけないという気持ちと、そして未だやって来ない真希の心配。全てが混ざり、ため息を精製していく。
無意識にもう一度ため息をつくと、梨華は携帯電話の電話帳を探しだす。後藤真希を見つけると、電話をかける。
──1コール。真希は出ない。
──2コール。真希は出ない。
──3コール。4コール。5コール。真希は出ない。
心配は募るばかりで。頭の中は不安で一杯で。
真希は出ない。まだ出ない。
真希は出ない。まだ出ない。
たっぷり3分以上は呼び出し続けただろう。
梨華は電話を閉じた。