【表記】ネロ
【俗称】教授
【種族】死徒27祖
【備考】
【切札】
【設定】
本編
「まさか。ネロは別格よ。あいつは私がまともな時でも倒しきれない最高純度の吸血種よ。
それに比べれば、わたしの敵はいくぶん格が落ちるわ」
用語集
なにしろ六百六十六もの命を持っているようなもので、
本来ならアルクェイドが本気になっても殺しきれない怪物だ。
ネロ·カオス【人名·死徒】
死徒二十七祖の一人。通り名は混沌。地球上のあらゆる動物を使い魔として作り出す。絶滅した種すら保存している事から獸博士とも呼ばれる。
日本にはまったく目的のなかった祖ではあるが、白翼公の提案した真祖狩りの実行者に抜擢され、アルクェイドを討つ為に彼女を追い、日本にて対決する事になる。
千年単位の死徒は莫大なエネルギーを必要とする。力が強いからではなく、長く生きるほど存在の維持に代償を必要とするからだ。千年単位の死徒であるネロの食事量は膨大で、十階建てのホテル内全ての人間を十分ほどで完食するほどである。
体内に六百六十六の獣の因子を渦巻かせているが、六百六十六匹の使い魔で武装している、というのが正しい認識であろう。六百六十六もの命を持っているようなもので、本来ならば本気になったアルクェイドですら殺しきれない死徒。
魔術を極め死徒になったタイプで、領地や派閥作りに興味を持たない。彼に有るのは、ただ自らの命題の解決のみである。
人間だった頃の名前をフォアブロ·ロワイン。魔術協会は三大部門の一つ、移動石柩こと北の彷徨海出身の
魔術師だった。
本編
「……以上だ。
いかな貴様といえど、その檻からは抜けられぬ。
我が分身のうち五百もの結束で練り上げた“創世の土”。
たとえ貴様が万全であったとしても、それを破壊することは叶わぬ。
―――大陸を一つ、破壊するようなものだからな」
「あなたの中のソレを、少しばかり形にできる神秘を教授いたしましょう。その神代の御業をもって、あなたに捕らえてほしいひとがいるのです、混沌よ」
「あなた、この固有結界を誰に?」
「しれたこと。おまえの仇敵の蛇がな、わざわざ私のところに教授にきたのだよ」
「……体を裂かれたばかりだ。養分がまるで足りていない」
「よい頃合で、栄養分が現れてくれたようだ」
「ま、他人の使い魔を受け入れるのはイヤだけど、この際仕方ないかな」
「さすがは原初の海ともいわれた吸血鬼ね。大元であるネロが消滅しても、使い魔たちは蘇生可能域にまだ残ってる。……うん、これならわたしが後押しするだけでなんとかなるかな。
まずこっちに寄生させて―――元気になったら志貴に移せば、と――――」
「こんな所かな。どう? 方向性のない命の種だから、すでに人間として形をもってる志貴の体にすんなり寄生してくれてるでしょう?」
蒼い鴉の姿。
クワア、と鳴き声をあげて、蒼い鴉は一直線に落ちてくる。
鋭いくちばしで、俺の脳天を貫こうと落下してくる。
ソレは、本当に弾丸のように俺の顔めがけて落下してきて―――目の前で、ザン、と音をたてて絶命した。
蒼い鴉は、突然飛んできた刀じみた強大な釘に、串刺しにされた。
クアアアアアアアア、という鴉の断末魔。
そのまま、静かに目を閉じた。
「皆殺しにしたはずだが、まだ残っていたか」
男はぐるり、と廊下に転がる二匹の黒犬の死体を見た。
「――塵どもめ。肉片ひとつ片づけられぬのでは、我が肉体である資格はない」
黒い犬たちは、びゅるん、と音をたてて、液体になって男のコートの中に消えてしまった。
男のコートの下は真っ黒で、輪郭というものしか存在しなかった。
そこにあるのは、ただ、泥のような闇だった。
体内に六百六十六の獣の因子を渦巻かせているが、六百六十六匹の使い魔で武装している、というのが正しい認識であろう。
六百六十六もの命を持っているようなもので、本来ならば本気になったアルクェイドですら殺しきれない死徒。
「―――強がりはそこまでよ。あなたが使役する使い魔では何匹かかろうとわたしを殺せないし、その半身もすでに断った。どうやってもあなたに勝ち目なんかない」
「フン―――私の使い魔はことごとく殺されたがね。一つ、貴様は思い違いをしているようだ」
「私は使い魔など持っていないし、使役などもしていない。今おまえの相手をしたのは、あくまで私自身なのだよ。
……破損した肉体を他の生物で補おう、などとする他の雑種どもと同一視されるのは不愉快だ」
「本来の貴様ならば一目で気がついたろうに。その金色の魔眼をこらしてよく見るがいい。視えるだろう? 我が体内に内包された、六百六十六素の“ケモノ”たちの混沌が―――」
びゅるん、と。
視界のはじっこで、何かが動いた。
「―――思慮のあるものは獣の数字をとくがいい。それは人間を表す数字、すなわち666である―――くく、我が体内の混沌は気にいったか、
アルクェイド・ブリュンスタッド」
「正気なの、あなた……!? ヒトの体に……ヒトの形なんていう狭量で密閉された空間に、三百以上の数の因子を圧縮して内包してるなんて、これじゃまるで―――」
「いかにも。これでは原初の海と何らかわりはない。
私はな、他の動物どもを我が肉体としているのではない。『動物』という因子を肉体とし、混濁させているのみだ」
「私に使い魔などいない。いるのは六百六十六ものケモノたち―――それと同等の数を持つ命たちだ。
この身の半身を断とうが、この首を潰そうが意味はない。私は一にして666。私を滅ぼすつもりであるのならば、一瞬にして六百六十六の命を滅ぼすつもりでなくてはな」
「無論だ。―――よって、我が分身たちはその存在が一定しない。
我が領地であるこの肉体から外界に放たれた時、初めて何らかの『種』としてカタチをなす。
もとよりカタチのないモノたちだ。外で殺されたところで、私の中に戻れば再び混沌の一つとして蘇生する。
……もっとも、外に出る時に何になるのかは私自身にも予測がつかぬがね。この乱れた系統樹を把握し、操作する事が私の永遠の命題だよ」
「そんなの不可能だわ……! 魂を――――何の着色もすんでいない存在概念なんかを内包したら、あなた自身が消えてしまう……!」
「いかにも。故に、ここにいるのは個人ではない。すでにネロなどという人格は存在せん。我らは個体ではなく限りなく群体に近い。
……たしかに。そうなった生命になど存在の意義はない。永久機関ともいえる生命種ならばすでに深海に棲息している。この身もいずれ、彼らと同じように知性を失いただの『標本』になりさがろう」
「故に教会の者たちは私をこう名づけた。――――ネロ・カオス。
体内に六百六十六匹ものケモノを武装した、すでに吸血鬼ではなく混沌とした空間でしかない、禁忌にふれた異端者とな」
二匹の大物が倒れて、黒い水に変わっていく。
ネロまでは――まだいくらか距離が開いているか。
「―――馬鹿な。姫君でさえ消滅させられなかった私たちが―――ことごとく、無に帰している」
びゅるん、という音。
半分しかなかったネロの体が、ヒトとしての完全な形に戻る。
―――ようやくアルクェイドを捕まえていた半身を、自分の体に戻したらしい。
「―――私のあらゆる殺害方法が殺されるなど、そのような事実が有り得るはずがない……!
私たちは不死身だ。
私が存命しているかぎり死しても混沌となりて我に戻り転輪す不死のケモノたちが―――なぜ、貴様に刺されただけで、元の無に戻ってしまうのだ―――!」
―――ネロの体が、カタチをもっていく。
今まで闇でしかなかった体は、明らかに個として化肉していく。
ネロの体が跳ねる。
ケモノたちではない。
ヤツは、残っているケモノたちを極限まで凝縮し、自らを最高のケモノと成して、こちらの息の根を止めに来た。
速すぎる速度が制御できないのか、ネロはすぐに止まれずに通りすぎていく。
「なんなのだ、これは―――! 何故――何故切られた個所が再生しない!? こんなたわけた話があるものか……! アレは
魔術師でもなければ埋葬者でもないというのに、何故、ただ切られただけで私が滅びねばならんのだ―――!?」
「―――黙れ。私に間違いなどない。現に私には未だ五百六十もの命がある。
……待っていろ、ヤツをくびり殺した後、もう一度貴様を捕らえる」
ヤツの体には、何百という『死の点』が存在する。
けれど、そんなモノより。
ヤツの深いところ、中心の最中にある『極点』が、確かに視えた。
――――何百という命を持とうが、関係ない。
俺が殺すのは、ネロ・カオスという『存在』のみだ。
だから、ネロを殺すのではない。
この男が内包したと言う、その混沌。
一つの世界を抹殺する――――――
じくり、と。
指先からバラバラと一つ一つに崩れていく黒い黒いケモノの躯。
この一撃のもと。
残る五百六十の獣とともに、ネロ・カオスは死滅した。
【戦闘描写】
【能力概要】
【以上を踏まえた戦闘能力】
【総当り】
最終更新:2018年12月26日 01:05