タタリ

【表記】
【俗称】TATARI/Walachia
【種族】死徒二十七祖
【備考】
【切札】

【設定】

死徒二十七祖の13位。正体不在(アンノウン)。ワラキアの夜。ほぼ同じものを指す言葉ではあるが、タタリが方程式を、ワラキアの夜が現象を指す。
ズェピア・エルトナム・オベローンが組み上げたタタリという式によって引き起こされる現象。
ワラキアの夜と呼ばれる現象が人々の噂を纏って具現化したもの。誰も見たことはないが、存在するとされる死徒。
環境に依存し、生物ではなく現象として永遠を目指したモノ。人々の噂、人間が最も恐れるイメージを操り、流布させ、局地的に増大・収束させることで最終的に一つの明確な決まりごとにまで育て上げるシステム。
一種の固有結界であり、効果は『そのカタチを他人の心のカタチにする』というもの。
つまり、あるコミュニティのなかで噂が真実味を帯びたときに具現化し、その噂に従って殺戮を行う(その一晩だけそのコミュニティがタタリの固有結界となる)。
日付が変わる隙間を利用して事象を書き換え、依代となる噂がどんな内容でも『自分に血を吸われて死ぬ』ように曲解して実行する。
固有結界であるために完全に具現化できるのは一晩限りだが、依代となる噂がいまだ決定していないときに倒しても効果はない。
だが決定したカタチを崩すことはでき、その場合は現象のまま殺戮を行う。また、一度駆動式が成立すればタタリは一夜中続くが、噂の元となる人間を殺し尽くせば依代がなくなってタタリは終わる。
ごく稀にタタリと波長の合う者がいるとそれに取り憑く。その場合、取り憑かれた者はタタリが力を持っているときに限りタタリの恩恵を一身に受け(本人の可能性の延長ではあるが)思い通りに物事が進む。タタリが映し出したものには本来自我は宿らないが、[[軋間紅摩]]のように飛びぬけた力を持つものは自我を持ち得る。
現象であるために直死の魔眼で殺したとしても『そのときに具現化したタタリ』を殺しただけであり、条件が揃えば次のタタリが発動する。起動式を理解できないために完全には殺すことはできず、消滅させるには起動式が終わる数千年後を待つしかない。
ズェピアの目的は真祖の体を得て第六法を組み替えること。そのためにアルトルージュ・ブリュンスタッドと契約して赤い月から力を得、1000年後の赤い月の時まで現象として存在できる力を得ていた。つまり再び赤い月の夜になれば起動式が終わってワラキアの夜という現象からズェピアという死徒に戻る。
吸血鬼としては半端で力は弱く、また発生している時期もきわめて短いために子をつくっても強制力は弱い。第六法に敗れ、タタリのまま世界を漂うことになった。

タタリが発生する条件は4つ。
1、噂となるものは個体、できれば人間の延長でなければならない。これは絶対条件ではなく、もとが人間であるワラキアの夜が知性を働かせるため。
2、伝説が広まる区域は社会的に孤立していなければならない。
3、噂が広まる区域の中には一名もしくは数名の受け取り手がいなくてはならない。
4、噂が広まる区域はあらかじめタタリが定めた場所でなければならない。

タタリ【用語】
 人々の噂·恐れを煽り、流布させ、最終的に一つの明確な“決まり事”にまで育て上げるシステムの事。一夏にのみ流行する都市伝説のようなもの。
 これを具現化させ、実現させるのがタタリと呼ばれる死徒。そのカタチ·能力は人々の噂の規模によって毎回異なる為、“正体不在(アンノウン)”と呼ばれている。
 時には山村を一足で踏み潰すほどの巨獣、時には実在の殺人鬼となって、タタリを明確化したコミュニティーを皆殺しにする。

ワラキアの夜【人名】
 死徒二十七祖の一人。生物としてではなく現象と化す事で永遠を体現しようとしたモノ。タタリ。
 人の噂、人間がもつとも恐れるイメージを局地的に増大·集束させ、一夜のみそれを具現化する特異な能力を持った死徒。具現化されたモノは人々が恐れるイメージである為、決して倒す事も逃れる事もできない。“ワラキアの夜”とは、そんなホラー映画じみた世界に町を閉じこめる固有結界を指している。
 死徒であった頃の名はズェピア·エルトナム·オベローン。彼は13位の二十七祖を継承し、更なる力を求めて自らを現象·タタリと化した。
 もっともタタリとて手段にすぎず、彼の目的は別の所にあったのだが、力及ばずタタリのまま世界に漂う事になった。


【戦闘描写】

「方向性はありませんが、方向性さえ有れば与え
られた方向性通りの物事を起こすエネルギー、と
思ってください。


 ズェピアと呼ばれた死徒は第六法と呼ばれる神
秘に挑み、これに敗北したと言います。
 ……それでも流石に死徒と言うべきでしょうか、
彼は完全に敗北した訳ではなかった。


 システムそのものを書き換える事はできません
でしたが、システムに留まる事はできたのです。


 第六法に敗れたズェピアの体は霧散した。
 けれどその霧散は彼が望んだ通りの霧散でした。
 ズェピアという死徒を形成していた強大な霊子
は拡散し、世界に留まった。


 本来、肉体から離れ大気に散った霊子……魂の
ような物は、そのまま無に落ちていきます。
 これは弱い流れが大きな流れに取り込まれるの
と同じで、抗えない自然の働きです。


 肉体という檻から開放された霊子は、意思すら
も解脱した為に流れに逆らうという方向性がなく、
大本である無に落ちて次の変換を待つのだとか。


 ……けれどズェピアはそうなる前、まだ生きて
いた頃に「タタリ」という方程式を完成させた。


 ある一定の条件が整った地域ならば、彼の霧散
した霊子は地域で発生した“噂”に収束し、再び
現世に蘇る。


 ズェピアという魔術師は、人間が滅びるまでの
スパンで祟りが発生するであろう地域を計算した。
あとは千年単位での航海図を作り、その通りに自
分の死体が流れるように仕向けた。


 無論、そのルートは情勢・状況によって無限に
枝分かれする一方通行の物です。


 ズェピアはそれを循環するルートへと編み換え、
ズェピアという意思が消えた後でも、“霧散した
自身”がそのように移動するようにプログラムし
た。


 ズェピアなどという死徒はもう存在しない。だ
から十三位には名前がない。
 今タタリと呼ばれている死徒は、死徒ではなく
死徒が作り上げた一つの現象にすぎませんから」

FACE▲志貴 1

「現象にすぎない、か……。けど、良くない噂を
現実化するっていうのが現象って言うのか」


「はい。霧散した死徒だったものには、もう自分
から“何か”になろうとする意思さえない。いえ、
本来そういったモノに再生する手段などない。


 ワラキアの夜という死徒が行った事は単純なこ
と。要するに、人の噂が真実味を持った時、その
噂を自身の体で現実にする、といったシステムを
完成させただけの話です。


 コミュニティーの人々が同時に思うイメージ、
誰もが想像し、その集落の常識となってしまった
“伝説”があるとする。


 その伝説がコミュニティーにおいて普遍性を確
立した時、ワラキアの夜は伝説そのものとなって
具現し、伝説通りの事をやってのけて消え去る。


 ……かつて、ソレが初めてルーマニア───ワ
ラキアで発生した時のように」


 タタリは滅ぼせる物ではないとあれほど忠告し
たのに、彼等は通常の概念武装で立ち向かってし
まった。


 彼等も先程の志貴と同じように何度かタタリを
消滅させた。けれどそれでは意味がない。タタリ
とは死徒の名を借りた自然現象のような物です。
条件さえ揃えば何度でも発生する」

FACE▲志貴 1

「条件さえ揃えば発生する自然現象……例えば雨
とか雪とか?」


「はい。暴風を防ぐために雨雲を消去した所で、
地球があるかぎり雨雲は何度でも発生する。
 ……タタリとは情報社会における台風のような
ものなのです。


 ですがこの台風の発生はそう多くはない。タタ
リ発生の条件はそう簡単には揃いませんから」


「……世界がある限り発生し続ける死徒、か……
なんか、それって」


「(ロアに似ているな……自分にではなく周りに
依存した存在って事で)」


「はい、なんでしょうか、志貴」


「あ、いや、なんでもない。それでシオン、その
条件ってのはなんなんだ」


「大まかに分けて四つです。


 一つ目、噂となるモノは個体、出来れば人間の
延長でなければならない。


 ……これは最低限のルール、という訳ではあり
ません。あくまでタタリ本人の希望でしょうね。
元は人間であるタタリは、人間として発生しなけ
れば知性を働かせる事ができませんから」


「次に二つ目。伝説が広まる区域は社会的に孤立
していなければならない。


 噂の普遍性の確立は広域では難しい。通常、タ
タリが山村に多く有るのはこの為です。……中に
は、この街のように予め手を加えておく事もある
ようですが」


「次に三つ目。噂が広まる区域の中には一名、な
いし数名の受取手がいなければならない。


 受取手の基準は様々ですが、噂の元となった出
来事を知っている志貴や、噂を広めている人物、
という事ですね。


 噂には終着点がなければならない。大抵は一人
歩きし始めた噂そのものが受取手になるのですが、
希に、噂を意図的に先導する事で自分の思うまま
にタタリを具現させてしまう人間もいます。


 タタリと波長が合っているのでしょう。その人
間には悪意はなく、なぜか自分の思ったとおりに
事が運ぶ、と思う程度なのですが」


「そして四つ目。噂が広まる区域は、あらかじめ
タタリが定めた場所でなければならない。


 そして人々の不安を現実へと孵せるのは一夜の
み。想念の固定はそれが限度です。
 タタリは一つの固有結界ですから。一夜以上の
発現は不可能です」



「……意に反しますが、協力してもらっている報
酬です。このままだと志貴はアレに容易く懐柔さ
れそうですから。志貴に死なれては、協力者とし
ての私の能力が疑われる」


「志貴。真祖や代行者が捜している死徒、この街
の噂の元となっている死徒は“タタリ”と呼ばれ
るモノです」

FACE▲志貴 1

「タタリ……? それって祟りの事?」


「ええ、語源はこの国の呪いでしょう。
 タタリと呼ばれる死徒は主体性のない吸血鬼で
す。限られた区間での人々の噂、不安を摘出し、
その通りに吸血行為を繰り返します」


「噂通りに吸血行為を繰り返す死徒……?」


「はい。愉快犯、というヤツなのでしょう。


 歳を取った死徒は、普通に血を吸うだけでは満
足できない。彼等は自らにルールを作り、それを
守る事で本来食事にすぎない吸血行為を娯楽と愉
しんでいる」


「そして厄介な事に、タタリには噂を纏う特殊能
力があるという事です。


 真祖の空想具現化に近いのですが、タタリは人
間の空想を鎧として纏うのです。ですから人間の
不安や悪い噂が凶悪になればなるほど、タタリの
能力は上がっていきます」

FACE▲志貴 15

「……む。えっと、それはつまり、不吉な噂を立
てれば立てるほど、その死徒は不吉な存在になるっ
てコト?」


「ええ。祟りとは強い不安、一般性を持つ噂を現
実にしてしまう<呪い,システム>の事ですから。
 その名称を冠するタタリは、文字通り“噂”を具
現化する。


 これは一種の固有結界と言われています。
 強力な死徒は固有結界と呼ばれる、自身を中心
として“現実と異なる現実”を作る力がある。


 固有結界は、その人間の心象世界を体現したも
の。ですからカタチはつねに一定なのですが、タ
タリの固有結界は“カタチを周囲の人間の心のカ
タチにする”というモノ。


 それ故に、固有結界の内容はその地域によって
異なるのです」


「ですが固有結界である以上、その発現はとても
短い。いかに強力な死徒と言えど、その維持には
一夜が限界でしょう」





【能力概要】


【以上を踏まえた戦闘能力】


【総当り】
最終更新:2015年05月25日 17:36