略歴

 1928年アメリカ合衆国シカゴ生まれ。1982年没。
 本名フィリップ・キンドレッド・ディック。
 二卵性双生児として生まれたが、双子の妹ジェーン・シャーロットは生後40日後に死亡した。その後、一家はサンフランシスコに移るが、父親の単身赴任を理由に両親は離婚。離婚後は母親と各地を転々とし、バークレーの高校に進学。同級生にはアーシュラ・K・ル=グィンがいたが、互いを知らなかったという。(世の中とんでもない偶然があるものだ)
 高校卒業後はカリフォルニア大学バークレー校に進学、ドイツ語を専攻していたが予備役将校訓練課程(当時大学生は参加が義務付けられていた)を嫌がり中退。レコード店で働きながら純文学を書くが全く売れず、生活のために書いていたSF方面で才能を見出され、作家デビューした。

概要

 同時に生まれた双子の妹が生後すぐに死に、自分が生き残ったことが、ディックの作品、人間関係、人生観に大きな影響を与えた。ディックの作品の主題は「現実の脆さ」「アイデンティティの危機」であり、平凡な日常が虚構であることに気付き、現実が崩壊していくとともに、自分が何者であるかわからなくなっていくという悪夢的な感覚(ディック感覚)が特徴である。また、ディックは創作をドラッグ、特にアンフェタミンに頼っており、破綻したプロットや破滅的な世界観、現実感の希薄さが作品に表れている。自身が薬物を常用していることから、薬物濫用や精神疾患について扱う作品も多く、ディックの作品の重要な要素を成している。

代表作

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 早川書房 ハヤカワ文庫SF
『高い城の男』 早川書房 ハヤカワ文庫SF
『流れよわが涙、と警官は言った』 早川書房 ハヤカワ文庫SF
『火星のタイム・スリップ』 早川書房 ハヤカワ文庫SF
『ユービック』 早川書房 ハヤカワ文庫SF
最終更新:2018年01月15日 00:32