12月2日レジュメ    byカノープス
          [[マイノリティ・リポート]]           
                              作 フィリプ・K・ディック  

作者略歴

フィリップ・K・ディック (Philip Kindred Dick 1928-1982)
1928年12月16日にシカゴで生まれました。彼には、この時二卵性双生児の妹がいましたが、生後数十日で彼女はこの世を去ってしまい、公務員だった父親と作家志望だった母親も、その後彼が5才の時に離婚してしまいました。彼はそんな恵まれない子供時代を過ごしただけでなく祖父からひどい虐待を受けました。そして、この時の悲惨な体験は、彼の心にトラウマとして残ることになりました。
バークレー高校に入学後、彼は悪夢のような未来の不安に悩まされるようになり、精神面でのカウンセリングを受けるようになっていたそうです。(彼の描いた悪夢のヴィジョンは、麻薬中毒になる以前からのものだったようです。
高校卒業後、彼はレコード店で働きました。多くの天才アーティスト同様、彼もまたそれほどハンサムというわけではないにも関わらず、なぜか女性たちにもてたようです。そのおかげで、彼は無名時代もなんとか食べることができ、それどころか麻薬中毒になるほど薬物に染まってもいました。

1951年に処女短編『ルーグ』を発表。
以降、150編以上のSF短編・長編を著した。
代表作に『マイノリティ・リポート』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ブレードランナーの原作)などがある。
SFの世界観の中に人間ドラマを描くのが、彼の特徴。哲学的な問題を多く含み、生涯「偽者・本物」というテーマを追いかけた。作風的にも内容が古くならず、今後も読みつづけられていく作家だと考えられる。(ディックブーム五年周期説というのが過去にあった)
 独自の世界感と高いユーモアセンス、思わず感情移入してしまう登場人物たちなどが魅力的。
 アイデアを元に作品を組み立てる作風で、短編同士を結合させて長編を作っているパターンが結構多い。その意味でも、短編集から読まれるのも良い選択。長編では破綻している作品もかなりある。

短編集

  • 地図にない町
  • マイノリティ・リポート

長編

  • 虚空の眼
  • 高い城の男
  • ユービック
など著作多数。

映画化されたものとしては
「スクリーマーズ」(1996年)原作不明
「クローン」(2001年)原作「にせもの」または「にせ者」
以上、コピペ。

同作家の作品はこれしか読んだことがないので、個人的な寸評は…
この本だけから判断すれば、ロジカルなものからファンタジー的なものまで、わりと作風が広いように感じる。


各話紹介

マイノリティ・リポート

 映画化もされた表題作。自分が初めて「これがSFかぁ…」と感じた作品でもある。タイトルがネタばれ。この短編集で一番SFチックな話。かなりお気に入り。
 プレコグ(予知能力者)により、犯罪が実行される前に犯人を逮捕するシステムがほぼ完全に機能する世界を舞台にしたSFサスペンス。 3人のプレコグの多数派予言を採用するというシステムであるのに、実は3人とも、時間差により別々の予言をしていたという話なのだが、未来の不確定性、予知が存在することの矛盾(予知することにより、予知が予知でなくなる)などタイムパラドクスについて考えさせられる作品となっている。


映画については見てない人が多いそうなので、ネタばれできないが、小説とはテーマがかなり違っている。ぶっちゃけ同じなのは犯罪予防局という設定のみ。プレコグの扱いとか、予言についてのSF的なロジックとか…

ジェイムズ・P・クロウ

「機械によって人間が作り出された」とされる、機械が支配する世界に1人の男が合法的に立ち向かう話。法律上は平等なのに社会的には不平等というシステム、何か覚えがあるような…ま、遠いお隣さんのことですから。
 人間臭すぎるロボットたちにビックリ。嫉妬や怠慢までインストール済みという非合理さがスバラシイ。感情ニ左右サレナイトイウ利点ハドコイッタ?

2018.12.02 Yahoo!ジオシティーズより移行
http://www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/minority.html
なお、内容は執筆当時を反映し古い情報に基づいていることがあります by ちゃあしう
最終更新:2019年03月26日 00:03