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聖遺物A ◆devil5UFgA



古びれた学生マンションの一室。
投函された一通の手紙を、三人の男女が囲んでいた。
聖杯戦争における奇跡の願い手、宇佐見蓮子
奇跡を叶えるための導き手、ライダーのサーヴァント・伝説のモグラ乗り
彼の者の逸話の一つ、腐れ縁のメガネ相棒・オチタ。
三人は、首を横にひねり、ゴミ箱に叩きこまれた大量の封筒へと視線を移す。
そして、もう一度、卓袱台のうえに置いた封筒へと目を移す。

「またお祈りかな」
「これで最後でやんすかね」
「面倒くさいなぁ、なんで電子メールじゃないんだろ」
「この時代でも電子メールのはずなんだけど、なんでこうもアナログの多いんでやんすかね」
「いいから、開けちゃおうか」
「まーたお祈りかな……」

繰り返すようにそう言いながら、蓮子はテーブル上の封筒の封を切る。
チョキチョキとやや乱暴気味にハサミを使って、やはり乱暴に中身を取り出した。
蓮子が広げた文書を、ライダーとオチタが覗きこむ。

「お祈りお祈り……って、あら?」
「……これは」

そこに書かれた文章は最後に『お祈り申し上げます』と締めくくる在り来りなものではなかった。
事務的なもの、という点では同じだが、内容は大きく異なる。
今までのものは、与えられたキャラクターとしての宇佐見蓮子へ送られてきたもの。
だが、今回のものは。
正真正銘、宇佐見蓮子へと送られてきたものだ。

「ルーラーからの『通達』でやんす!」
「あら、ルーラーって本当に居たんだ」
「そりゃ居るさ……討伐、か」

オチタの叫びに対して、どこか感動の薄い二人。
内容を目で追っていくと、平たく言えば、違反者への討伐令だ。
聖杯戦争の運営を脅かすかもしれない主従。
かと言って、今の段階ではルーラー自身の粛清を行うほどの著しい行動ではない。
故に、参加者へと情報の公開に留めている、とのこと。

「令呪一画に情報の提供、これって破格なの?」
「まあ、情報の種類によるでやんすね。
 あと、サーヴァントにもよるでやんす。
 単純に敵サーヴァントの情報が弱点を知るという強み以上に、
 敵の情報を手に入れることで大きく自分の力を増すサーヴァントも珍しくないでやんすから」
「あと、このジョーカーとバーサーカーの戦力次第かな、何事も相対的だからね」

あまり、乗り気ではないようだった。
元々、ライダーは偵察や斥候に向いた能力は持ち合わせてない。
どちらかと言えば、襲いかかる敵に対して対処するスキルに長けている。
それはダンジョンに潜り続けたことで磨いた、状況判断の技術によるもの。
少し矛盾しているようだが、準備を整えて乗り込んだ上で受け身になる状態で真価を発揮できるタイプなのだ。


「さて、どうするでやんすか?」
「人殺すってのもどうなのかね」
「じゃあ、このジョーカーって違反者を助けるかい?」
「人殺しを助けるってのもどうなのかね」
「じゃあ、警察に突き出すのが一番でやんすね。
 ただ、今回はその警察に当たるルーラーがこっちに丸投げしてきてやがるでやんすからね」
「どうするかなぁ……」

攻めるにしても危険だ。
かと言って、無視するのもどうかと思う。
聖杯について調べる、という意味では、ひとまず聖杯の目論見にしたがって聖杯とコネクションを作るのも手ではある。
しかし、目的もないのに人を殺すというのも――――というより、蓮子も恐らくだが、出来ないだろう。
人の生死というのは、それほどのものだ。
少なくとも、蓮子にとっては。

「まあ、悩むといいよ。悩んでこその人間だしね」
「ただ、これで外を出歩きにくくなったでやんすね……
 他のマスターとサーヴァントも積極的に動く可能性が高いでやんす」
「危険ってわけね」
「当分は俺達が出歩くよ、マスターはゆっくりと考えるといいさ」
「考える考えるって、何を考えるって話?」

蓮子は寝転がりながらライダーへと問いかける。
ライダーはマグナムの手入れをしながら、応える。
これからの散策のための準備だ。
見れば、オチタも荷物をまとめている。

「例えば、聖杯と野球人形のこととか」
「オカルト?」
「浪漫のことさ……それから生まれる、浪漫のないこととかね」

野球人形。
部屋の片隅に置かれたゴーレム、長い時間を経って、一種の神秘を帯びたかろうじて聖遺物と呼べるもの。
今は眠るように、ぴくりとも動きを見せない。
この人形は野球という指向性を与えなければ、動くことをしないのだ。

「聖杯は聖杯そのものに特別な指向性を持たないからね。
 そういう、なんでも出来る物っていうのはね、危険なんだよ。
 人が使っちゃうと、浪漫のないものになる」
「安全装置は必要ってこと?」
「少し、窮屈な言い方になっちゃうけどね……使うものは万能でも、使う人間は万能じゃないから」








聖遺物A


うた:宇佐見蓮子&伝説のモグラ乗り


◆上目遣いに 悩んでみている


◆誘う聖杯の 輝きがまぶしいわ


◇思わせぶりに かがやいてる


◇使い方は こっちできめさせてくる


◆いわゆる 普通の 聖遺物だわ(Foo)


◆奇跡のこと 知らなさすぎるのマスター……


◇願い叶える 仕方ないこと


◇似たようなこと 誰もが失敗してるのよ


◇わからない わからない


◇ダメに見えても 全部叶えてくれる


◆危ないんだ 危ないんだ


◆聖杯は聖杯よ 貴方じゃないわ


◆◇特別な器 それは貴方じゃないわ


◆◇せ・い・は・い 聖遺物A






「俺がこれを好きなのは野球しか出来ないからだ」
「ああ、それは私も好きかな。なんていうか、浪漫だよね」
「便利な言葉でやんすね」

二人の会話に、どこか呆れたような顔を見せるオチタ。
蓮子は聖杯について知りたい。
この野球人形が、一種の神秘が語る浪漫を知った時のように。
未知への興奮。
それを求める心は、消えていない。
ただ、ライダーの語るように、それが危険であるかもしれないものについては認識した。

「深夜の動きは危険だから、俺達だけが動くよ。
 万が一があったら令呪で呼んでくれ」
「昼は?」
「危険だけどね……本当は危険だから動かないで欲しい」
「でも、オイラたちサーヴァントでやんすから」
「マスターに従うよ」

二人の発言は、ある意味では無責任なものだった。
そこからは、忠誠とは違った、確かなものを感じる。
全力を尽くす、ということなのだろう。
ありがたかったが、どこかむず痒かった。

「それじゃ、夜の間は二人に任せるよ。昼は一緒に動こうかな」

少なくとも、今日の夜に限って言えば、蓮子はそう決めた。
実際、ライダーの言葉通り、少しだけ考えてみることにした。
神々の住まう国、メリーと共に見ようと誓った不思議な世界。
月に兎が居ない時代に見つけた、浪漫世界。



【A-2/新宿・アパート・蓮子の部屋/1日目 深夜】

【宇佐見蓮子@東方Project】
[状態]
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]普通(学生として暮らせる程度)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯について知りたい。
1.ジョーカーについては保留、メリーの探索を続ける。
2.ただし、捜索は伝説のモグラ乗りへと任せる。
[備考]
※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。
ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。
 情報の精度については、後続の書き手さんにお任せします。


【ライダー:伝説のモグラ乗り@パワプロクンポケット10 バトルディッガー編】
[状態]健康
[装備]リボルバー拳銃
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:蓮子を支援し、浪漫を探す。
1.夜帯はオチタとともに市街を巡り、メリーを探す。
[備考]
※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。
※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。
 情報の精度については、後続の書き手さんにお任せします。


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最終更新:2015年02月09日 21:35