シナリオフック ◆R1q13vozjY
『第二面接 太平洋電機 ○○時~』
『家庭教師バイト 数学 □□ちゃん △△中2年 ××時~』
『第一面接 ★★プロダクション事務職 ××時~』
『講義 情報処理技術概論 ●●時~』
etc,etc....
「しかし、まあ、よくもこれだけの予定を詰め込んだものね・・・」
宇佐見蓮子は、パソコンのモニターを見つめて、呆れかえっていた。
液晶に写るのは、大学の講義に、アルバイトに、就職活動にと、朝から夜までびっしりと詰め込まれたスケジュール表。
過去の自分が今日からの自分に課した、過密で、過酷で、非人道的で、いっそ殺人的とも形容できるスケジュールである。
「この時代の学生って、みんなこんなに忙しいのかしら」
一応自分のことであるというのに、まるで他人事のように話す蓮子。
事実、数日前にライダーと合流し、元の時代の記憶を取り戻してからは
これらの予定はほとんどすっぽかして、コンピュータゲームの主人公のようにあちこちを探し回っていたのだ。
傍目から見れば、まるで人が変わったように見えたことだろう。
で、蓮子がどうしてパソコンを起動したかというと、まぁいってみれば、情報収集のためである。
あるのだが――
「うわ、この時代の渋谷ってこうなってたんだ。明日いってみようかな」
こんな調子で、ぜんぜん捗っていない。
蓮子の実家は東京であるが、蓮子の生まれた時代、日本の首都は東京から京都に移り、
東京のコンクリートジャングルは自然に還りつつあったのだ。
「過去」首都であった頃の東京の繁栄は、蓮子にとっては記録でしか見たことのない――
忘れられた幻想なのだ。
ここ数日、あちこち歩き回ったのは、親友であるメリーの捜索と、野球人形と宝具である戦車の部品収集のためがもちろんであるが
一番大きな理由は、観光のためといって過言ではない。
□
♪
浪漫は、永遠に
原曲:幻想の永遠祭(『蓮台野夜行』収録曲)
うた:宇佐見蓮子
♪♪♪
(前奏 10秒)
ああ本でしか 見たことない
東京の 在りし日よ
聳える摩天楼 煌めく夜景
ああ こんなにも 新鮮
未来生まれと 私が
思い出した その日に
目に映るモノ 何から何まで
目新しく 変わり
(間奏 39秒)
ああ過去に消えた 幻想の
東京の 在りし日よ
PM2.5 すし詰め電車も
そう 貴重な 経験
ちょっと前の 私なら
こんな街 飽き飽き
同じ世界も 立場が変われば
全然違って 見える
(間奏 28秒)
(転調)
そう浪漫は どこにでも
消える事なく 在るの
聖杯じゃないの サーヴァントでもない
この私の 中に
浪漫 それは きっとね
『探す』モノじゃ ないのだわ
『見出す』モノよ だって人によって
見えるモノは 違うから
そう 浪漫が 欲しいなら
追い求め 続けるの
その心を 失わなければ
浪漫は ずっと 永遠に
(転調)
だから 私に 息づく
浪漫 追い求めるわ
聖杯の真実 解き明かすわ
それが 私の 浪漫
◆
「んー、おいしー。天然モノが食べられるのは、この時代ならではだよねー」
調べ物を続ける内に小腹が空いた蓮子は、冷蔵庫に取っておいたショートケーキを頬張っていた。
近所のコンビニで売っているような安物のケーキだが、彼女にとっては高級品だった。
何しろ彼女の生まれた時代、人の食物はもっぱら化学的に合成されたものとなっており、
耕作、牧畜などによって生産される天然の食品は、極めて希少だった。
現在口に入れているケーキも、蓮子の生まれた時代は、とてもいち学生に手の出せる様なものではなくなっていた。
「もっと美味しい物一杯食べたいわね。せっかく天然の食べ物が食べられる時代に来た以上は」
などと、情報収集のためという建前も忘れて都内の名店を検索する蓮子。
それにしてもこの未来人、ノリノリである。
蓮子は知っていた。21世紀初頭のこの時代に、日本の人口はピークを迎え、それから減少を始めていた事を。
人口だけを尺度とするのは強弁も甚だしいが、日本という国が物質的な繁栄のピークを迎えていたのは、
まさにこの時代だったのかも知れない――と蓮子は感じた。
「……そういえば、どうしてこの時代の、この街なのかしらね」
浮かんだのは、時を超えて聖杯戦争に呼び出された蓮子ならではの疑問だった。
□
♪
なぜなぜマッシーン
原曲:幻想機械 ~ Phantom Factory(『夢違科学世紀』収録曲)
うた:宇佐見蓮子
♪♪♪
(前奏 43秒)
どうしてなの? ねぇどうしてかしら?
なぜ東京なの?
どうしてなの? ねぇどうしてかしら?
なぜこの時代なの?
(間奏 25秒)
なぜなのかな? なぜ聖杯は?
なぜ戦わせるの?
なぜなのかな? 何でもできるのに?
なぜ血を求める?
◆
「もしかして――殺しあうことそのものが目的だったりするの?」
何でも願いを叶えることができるという聖杯が、どうして願いを叶えるために殺し合いを行わせるのか?
願いを叶えるには、生贄として蓮子たち参加者の生命か、霊的なエネルギーを捧げる必要があったりするのだろうか?
願いを持つもの達を呼び出し、お互いに戦わせて勝ち残った一人だけの願いを叶え、残りを生贄とする。
それぞれの願いを賭けた、お互い同意の上での決闘。
それが聖杯戦争の仕組みなのか。
――違う。
生贄の儀式とやらのために、サーヴァントなどという
参加者に比べて余りに強大なエネルギーを持つ存在を用意するのはどう考えても割に合わない。
つい先ほど探索に出て行ったライダーも、見た目こそ平凡な青年だが、
いざ戦いとあらば戦車を呼び出すことのできる――英霊、英雄の霊(タマシイ)なのだ。
そんな存在を、わざわざ人の住む街中で何人も呼び出して殺し合いをさせるのは、危険だ。
そう、この街に住む人々、仮想の人格と頭で割り切るには、真実味を帯びすぎている。
他の主従と戦いとなったとしても、彼らを巻き添えにするような手段は蓮子にはとても取れないだろう。
そもそも、聖杯戦争に呼び出された蓮子だが、聖杯に叶えてもらう願いなど持っていない。
そんな蓮子たちまで呼び出して、殺し合いに参加させるなんて――蓮子は、主催者の悪趣味な意図を感じざるを得なかった。
「とすると、さっき来た『
ジョーカー討伐依頼』の手紙は……」
参加者たちによる殺し合いを促すための罠、なのか。
罠だとすれば、『ジョーカー』なる参加者と、そのサーヴァントは実際に存在しないのかも。
この手紙に開示されている情報を元に調べれば、その真偽がはっきりとするかも知れない。
インターネットで調べてみる他に、図書館で調べてみても有用な情報は得られるだろうか。
インターネットの検索機能は便利だが、専門的な知識の量と質はまだまだ本には及ばない。
そして、それらの専門書は蓮子の通う東京大学の図書館や、この時代は永田町にあるはずの国会図書館など……
東京にいくらでも存在する図書館で見つけ出すことができる。
今のところジョーカーと積極的に関わる気のない蓮子にとっては優先度は低いが。
この情報の真偽がいずれにせよ、依頼の賞品である令呪と情報を目当てに行動する参加者は増えることだろう。
すると、蓮子達も今まで通りのんびり観光しながら探索、という訳にはいかない。
「何か対策が必要ね……」
対策。……蓮子に戦う力などないから、ライダーの言うとおり、こうして大人しくしていることが最善だろう。
ただそれではメリーは探せないし、アイテムを探してライダーの戦力強化をする事もできない。
野球人形の部品も探せない。ここ数日の探索でようやく5体目が完成したのだ。
野球チームを作るならあと4体必要である。試合させるなら、あと13体。浪漫だ。
浪漫は自分の足で追いかけてこそ、である。
夜間は仕方ないとしても、昼の探索まで中止する訳にはいかない。
より安全に探索を行うための対策が必要だ。
まず思いついたのは、煙幕。
それさえあれば、ライダーは大抵の戦闘から離脱できるという。
――彼は忍者なのだろうか。ともかく、無用な戦闘を避けるためには、煙幕は必要不可欠だ。
オモチャ屋が開く時間になったら、花火コーナーでありったけ買いに行こう。
あとは、乗り物。
この時代の東京は、電車にさえ乗ればどこにでも行けるから、今まで乗り物の必要性は感じなかったけど。
戦車乗りの彼は、陸上を走る機械の乗り物なら何でもプロ級に乗りこなせるらしいから、
自動車でも買っておけば、戦いから逃げる時に便利かも知れない。
まさか敵に襲われる度に戦車を出すわけにもいかないだろうし。
と、ここで蓮子は気づいてしまった。この学生マンションに、駐車スペースなど、ない。
すると、バイクか。マンションの駐輪スペースにも、スクーターは何台か停められていた。
幸い、蓮子は運転免許証を持っていることになっていた。
童顔の蓮子は、昨日、それがなければ晩酌にありつけないところだったのである。
「……結構高価いのねー」
こうしてインターネットで都内の中古原付の売値を調べた蓮子であるが……学生の財布にはあまり優しくないお値段である。
財布の中身と通帳の数字を合計して画面に映る数字と見比べてみるが……。
「買ったら、今月の生活費ゼロだわね」
東京で一人暮らしするのは、何かと金が掛かるのである。
ましてや、数日前まで就職活動を行っていたのなら、尚更である。
はぁ、と、小さな溜息を付きながらパソコンを閉じようとした蓮子の目に、
『メールを受信しました』
の通知が映る。
「どうせまたお祈りでしょ……」
たった今受信したメールを開くと、そこには
『秋葉原ビールフェア スタッフの選考に合格しました』
の文章が。
どうやら蓮子は明日秋葉原で開かれるイベントのキャンペーンガールに応募し、選考に合格していたらしい。
新手の詐欺を疑った蓮子。
しかし電子メールの送信ボックスには応募の記録が残っていたし、
イベント自体は毎年行われている、きちんとしたもののようだ。
だが今の蓮子は聖杯戦争を生き抜かなければならない身。
そんなイベントに参加する暇はない。断りのメールを返信しようとした蓮子だったが……。
「……このイベント、やけに給料良いわね」
そこに記されていたのは、スクーターを1台買ってもお釣りが来る程の金額だった。
学生の1日のバイト代としては、破格である。
「……どうしよ」
『参加の可否の連絡は、電話またはメールで、本日18時までに行って下さい』
□
♪
戦の沙汰も銭次第
原曲:彼岸帰航 ~ Riverside View(『卯酉東海道』収録曲)
うた:宇佐見蓮子
♪♪♪
(前奏 27秒)
良く 考えよー お金は「あ痛ぁ!!」
◆
「いったぁ~。 何よ、コレ……」
一旦ベランダに出て、今後の方針について考えをまとめようとした蓮子の頭を、何かが直撃した。
蓮子の頭にぶつかってきた何かは、一見すると長い柱のようだった。
包みを解くと現れたのは、何本も束ねられた細長い鉄の棒――否、これは銃身だ。
アクション映画などでもよく見る、『ガトリング銃』らしき物体だ。
ライダーの宝具『拾い物は俺のもの』で蓮子の部屋のベランダにいつの間にか出現したそれは、
部屋の中から死角となった位置で立てかけられて、今までずっと放置されていたのだった。
灯台下暗し。
【宇佐見蓮子@東方project】
[状態]健康、頭にコブ
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]ガトリング(ライダーの宝具『愚か者の鉄土竜(バトルディッガー)』の武装)
[所持金]普通(学生として暮らせる程度)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯について知りたい。
1.メリーの捜索を続ける。夜間の捜索は
伝説のモグラ乗りに任せる。
2.昼になったら、安全な捜索のために必要な物を買う。煙幕(スモーク花火)が最優先。スクーターも欲しいが、お金がない。
3.明日(2日目)の割の良いバイト(秋葉原ビールフェア)に出るか、考え中。返答は1日目の18時までに必要。
4.ジョーカーについては保留。必要とあらば、図書館で調べる。
[備考]
※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。
※
ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。
情報の精度については、後続の書き手さんにお任せします。
※蓮子は東京大学に在学しています。
※現在、野球人形を5体完成させました。蓮子のアパートの押入れに保管中。
それぞれの詳細は、後続の書き手さんにお任せします。
最終更新:2015年10月06日 03:47