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  • 神への冒涜3

神への冒涜3

最終更新:2017年04月26日 23:28

jelly

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 これまでか――
 そう思われたとき、一発の銃声が研究所に響き渡った。
 倒れる人狼の背後から姿を現したのは、銃を構えた一人の女性だった。


『神への冒涜』三人目「アマンダ将軍 / Rifle brings to a death of the Lycanthrope」



 ここ『メディカル=エデン』は裏では怪しげな研究を秘密裏に行っているが、表の顔は歴とした病院で通っていた。
 時には患者の中から適応者を見つけ出してはそれを被検体としていたが、表向きには通常通りの職務も執り行っている。むしろ、裏の研究に関与している医師はごく少数であり、そのほとんどはその研究の存在すらも知らされていなかった。
 彼女……アマンダもまた、表の病院の通常通りの職務のお世話になっている者の一人だ。メディカル=エデンは規模こそ大病院というほどのものではなかったが、軍病院としての顔も持ち合わせていた。
「准将…、本当にご無事でよかった…!」
「申し訳ありません! 私が不甲斐ないばかりに准将をこんな目に…!」
 部下と思しき者たちが彼女に次々と声をかけている。
「ここは戦場じゃない、准将はよせ。それに私はもう……准将ではない」
 アマンダは敵の攻撃から部下を庇って右目の視力を失った。指揮官でありながら前線に出るなど、甘い考えだったと思い知らされる。部下の被害を最小限に抑えることも指揮官としての大切な役目ではあるが、時には犠牲もやむを得ないこともある。大義親を滅す、である。
 これにより将として、それ以前に兵力として不適格だと判断され”名誉除隊”の勲章を与えられたのだ。
 その勲章を手に、苦々しい顔でそれを眺めるアマンダ。
「くそっ、何が名誉除隊だ! こんなもの名誉でも何でもない……!」
「し、しかし准将。その勲章によって生活上の様々な社会的恩恵が受けられるものだと聞いております。退院後の再就職にも役に立つはずです…」
「それがなんだ! それがおまえたちを守ってくれるのか? ……私は心配なんだ、おまえたちのことが。おまえたちも一人前の兵士だ。それはわかってる! でも、私は……ッ!」
 アマンダは悔しそうに勲章を握りしめる。
「准将…」
「そこまで我々のことを…!」
 他の将たちはそんな彼女のことを、甘さを捨てきれない愚将だと呼ぶかもしれない。しかし、彼女は誰よりも仲間たちを大切に考えていた。……彼女は兵士としては優しすぎたのだ。
「すまないが、今日はもう帰ってくれないか。私は少し一人になりたい…」
「了解しました…。どうか、お大事に。それでは失礼いたします。……総員退却!!」
「「はッ!」」
 一人の部下が号令をかけると、他の部下たちはそれに従いぞろぞろと病室を後にしていった。
 それを見届けたアマンダは小さくため息をつきながら窓の外を眺めるのだった。
(右手側の視界が欠けて見える……)
 今は眼帯をしているせいだが、右目の視力を永遠に失った彼女には、たとえ眼帯が外されたとしてもその違和感は一生ついて回ることだろう。
 一匹の蝶がひらひらと窓から迷い込む。アマンダは何となしにその蝶をつかもうと手を伸ばすが、手は虚しくも見当違いの場所で空を切るだけだった。
 再び小さくため息を漏らし、今度は窓辺に立て掛けている銃に目を移した。
 いつ如何なる状況でも武器は決して手放さない。それが彼女なりのこだわりだった。
 数々の作戦をこの愛銃とともにこなしてきた。彼女にとって、そのライフル銃は部下たちと同じぐらいに愛着のあるものだった。
「おまえたちとも、もうすぐお別れ……か」
 しかし、その愛銃(あいぼう)も軍から支給されたものだ。退役に際して、その銃も軍へ返却することになっている。部下たちとも、相棒とも、そう遠くない未来には別れる運命なのである。

 アマンダはベッドから起き上がると、その銃を片手に病室から出歩くことにした。
 彼女は患者たちの間ではちょっとした有名人になっていた。一般患者たちと軍関係者の病棟は分けられていたが、中庭は共通のものだ。彼女はその中庭を散歩するのが入院してから数日の日課になっていた。それは「ライフル構えた女将軍が中庭を行進している」とすぐに患者たちの間で噂になったものである。
 しかし今日の日課はいつものと様子が違った。裏の病棟から聞こえてきた悲鳴をアマンダは聞き逃さなかったのだ。
「今のは……。あの病棟は、今は使われていないはずでは?」
 表向きにはそこは廃病棟ということにされていた。本来なら、そこから声が聞こえてくるはずはない。
 それにも関わらず再び悲鳴が聞こえてきた。いや、悲鳴というよりはむしろ、それは何か獣の啼き声に近いのかもしれない。
「廃病棟に不可解な叫び声、か。まるで悪霊か何かの仕業だが…」
 また声が聞こえる。獣の啼き声に続いて別の叫びが聞こえる。今度こそ明らかに人の悲鳴だった。
「誰かいるのか!!」
 廃病棟の入口に駆け寄り中に呼びかけた。
 返事がない。しかし、ここがただの廃病棟だとは到底思えない。もしかすると事は急を要するかもしれない。
 見ると廃病棟の鉄の扉はただ南京錠で施錠されているのみだった。アマンダはその鍵を銃で叩き壊すと、重い扉を押し開けて廃病棟の中へと駆け込む。
 中は酷い有様だった。
 あちこちで白衣の男たちが血塗れで倒れている。倒れている者は皆すでに事切れていた。
 部屋は荒らされ、壁は抉られ、それらは赤黒いデコレーションがなされている。さらに、あちこちに何かの鋭い爪痕が残されている。
「なっ!? これはどういうことだ。熊でも出たのか、こんな海沿いの病院に?」
 場合によってはまた相棒の出番が来るかもしれない。
 アマンダはライフルをしっかり握りしめると、慎重に病棟内を進んでいった。 


 さっきまでの騒ぎは何だったのか。病棟内はいやに静かだった。
 まるでその瞬間を境に時間が止まってしまったのではないかという錯覚さえした。
 だが、それはゆっくりと、着実に迫ってきているのが目に見える。
(これまでか……!!)
 エレベータを背に、ジェームスはその化け物と対峙していた。いや、むしろ状況は非常に一方的だと言ったほうがいいだろうか。
 ジェームスの眼前には、限界まで開かれ切った人狼の大きな顎が。それは、もうこれ以上は何をどうやっても開かない。あとは一息に閉じられるのみだ。そしてそれは熟れたトマトを真上から叩き潰すかのように、ジェームスの頭をぐしゃぐしゃに噛み潰してしまうのだろう。
 かつては、一人の軍人として数々の戦場で窮地を脱してきたジェームス。
 敵軍に包囲され、弾は尽きて、仲間たちが次々に撃たれては倒れて行った。しかし次は自分の番かというときに援軍が駆けつけてくれた。
 戦車に危うく轢き殺されそうになったこともあった。だが偶然目の前でエンストを起こしてくれたので、お礼に隙間から中に手榴弾(パイナップル)をひとつくれてやった。
 捕虜として敵陣に囚われたこともあった。そのときはたしか、逆に敵の機密を奪って逃げてきてやったのだったか。
 そして、なんとか窮地を乗り越えたあとにはいつも仲間たちが自身を迎えてくれたものだった。
 共に戦った戦友たち、愛すべき部下たち、そして厳しくも憧れでもあった上官殿……。彼らの顔が次々と浮かんだ。ああ、これが走馬灯というやつなのかとジェームスは思った。
 また幸運の女神の加護を受けられるだろうか。いや、もはや一瞬後には深い闇の底だろう。
 ならば、焦らさずにせめて一瞬でやってくれ。そうやって恐怖を煽ってくれるな。
 死を覚悟したジェームスに既に死そのものへの恐怖はなかった。しかし、それを目の前でちらつかせておきながら、それがいつ来るかわからないその状況が怖かった。
 不意を突かれることほど驚くことはない。そして、それが今か今かと先を想像してしまって、何度も何度も身を震わせることになるのだ。そう、例えるならジェットコースターは上って行って落ちる寸前の、下向きに傾いて一瞬止まるその瞬間が一番怖い。あるいは病院らしい例えなら、注射の針が刺さるその瞬間か。
 人狼は大顎を開けたまま、目の前で一寸たりとも動かない。そして、自分も身動きが取れない。
 唯一動かせる目で上を見上げる。鋭い牙がぎらりと光る。
 下を見る。血のように赤い舌が、獲物はまだかと待ち構えている。
 そして奥を見る。人狼の喉の奥はどこまでも続く深淵の闇。その向こうに待っているのは地獄だろうか。
(わしは十分生きた。自分のやりたいように自由に生きてきた。だから、そこにはこれっぽっちも未練なんかねぇ。だが、せめて最期にこのイカれた研究をメチャクチャにしてやりたかったもんだぜ…)
 懐には戦略的撤退の最中に見つけて忍ばせた、この危険な研究の資料があった。せめて、これを公にして狂った研究者たちに仕返しをしてやりたかった。それは、犠牲になったあの若造のためにもだ。
 しかし、それももはや叶うまい。皮肉にもその若造は目の前にいたが、それは既にその若造ではない。そして、その目の前の存在によって、この仕返しが失敗に終わらせられそうとしているのだから。
「ああ……この、クソったれめがぁぁあああ!!」
 そして時は再び動き出す。
 ギロチンのようなその大顎がジェームス目がけて落ちる。
 心臓が激しく脈打つ。血が逆流する。それなのに血の気は引いて汗が止めどなく溢れ出す。
 息を飲む暇もない。目を瞑らせてもくれない。
 迫り、詰まり、落ちる!


――そのときジェームスは、黄金の一閃を見た。


 頭上を走る一筋のそれは、本来なら目で追える速度のものではなかったはずだった。
 だが、死の瞬間を体感したジェームスにとっては、それはとても遅すぎるぐらいに見えた。
 それは一発の銃弾。弾は回りうねりながら、しかし一直線に、まるで決められた道筋を辿るかのように、ゆっくりゆっくりとその軌跡を描く。そして、その後を追うように赤い液体がほとばしる。
 背後のエレベータの扉に火花を散らせてそれは喰い込んだ。それと同時に人狼はジェームスの肩にもたれかかるようにして倒れた。そこで初めて、病棟地下に響き渡る銃声に彼は気がついたのだった。

「片目でもなんとか狙えるものだな…」
 倒れる人狼の背後から姿を現したのは、それを見かけて迷わず発砲したアマンダだった。
 膝を折り、がくりと床に手をつくジェームス。
 ジェームスは目を見開いて、息も荒く、何かを繰り返し呟いていた。どうやら何が起こったのかを把握するのに少し時間が必要なように見える。
「……な!? 人がいたのか!!」
 それよりも先にアマンダが事態を把握する。
「こいつの陰に隠れてて気がつかなかったんだな…。咄嗟のことだったんだ、すまない! 怪我はないか…?」
 弾が貫通したときに飛び散ったのだろう、ジェームスの顔には少量の血がついていたが、どうやら他に血を流している様子はない。ひとまず胸を撫で下ろすアマンダ。そして、ここで何があったのかを確認しようとジェームスに話しかける。
「どうやら無事のようで良かった…。服装からすると、あなたもここの患者のようだな。私はアマンダだ。まずは落ち着いて、ここで一体何があったのか話してくれないか?」
 しかし、ジェームスはまるで心ここに非ずといった様子で、床に手をついたままの状態で床を見つめ続けている。
「…ケモノ。……バケモノ……」
 さっきから、こうしてずっと同じことばを繰り返してばかりだ。
「大丈夫か? 化け物はわかった。たしかにこいつは普通じゃない。一発で仕留められたのは幸運だった…。それで、何があったのか私に話してくれないか。いや、まずは落ち着こう。立てるか?」
「バケモノ……若造……あぁぁあああぁぁ…」
 ジェームスにはまるで聞こえていない。
「……まいったな。どういうことかわからないが、まずは早くここを出たほうが良さそうだ。他にもいるかもしれない。おい、本当に大丈夫か? ほら、立つんだ! 肩を貸そう、つかまれ」
 手を差し伸べると、アマンダの懐から勲章が落ちてジェームスの目の前に落ちた。それを見てジェームスは眼の色を変えた。
「これは……。あ、あんた、軍人なのか……!」 
「元、軍人だ。やっと正気に戻ってくれたんだな。勲章を一目見ただけで私が軍人とわかるということは、あなたも?」
「良かった! まだ、わしにも最期のツキは残ってた! おい、あんた! これを受け取れ! そして、それが本当なのか調べてくれ!! もし本当だったら……なんとかしろ!!」
 ジェームスは懐から例の資料を取り出すと、それをアマンダの手にねじ込んだ。
「な、なんだこれは? ここで何があった!? いや、それは後だ。手をとれ、脱出しよう!」
 資料を受け取ったアマンダは再び手を差し伸べるが、ジェームスはそれを払いのけて、また両手をついて床を眺め始めてしまった。
「わしは……もうだめだ。あんただけでも逃げろ。絶対に生きてここを出るんだ。これは上官命令だ! さぁ、早く行け!! ……くっくく、くははは……ぐっはっはっははははははァ!! エイドめ、ざまあみろ! 今に見てやがれ。おまえらの計画もこれで終わ…うぐッ!!」
 すると、急にジェームスは苦しみ始めた。見たところ目立った外傷はないはずだ。内部をやられているのだろうか。
「大丈夫か!! くそっ、部下たちを帰すんじゃなかったか…。だが、生存者を見捨てるわけにはいかない! 背負って行く、私におぶされ!」
 しかし、もうジェームスには聞こえない。
 床に手をついたままの体勢で、ジェームスは歯を食いしばりながら何かに耐えている。汗は滝のように溢れて、床に水溜まりができるほどだ。
「ぐ…ぁぁぁああああぁぁあああっ!! お、おのれ、エイド! おのれ、クソ医者ども! 貴様らの思い通りになってたまるものか……。ぐ、ううっ! わ、わしは……最期の最期まで抗ってやる。くそったれ…め……がぁッ……!!」
 アマンダは気がつかなかったが、ジェームスの両の手からは黒い剛毛が生え始めていた。彼が見ていたのは床ではなく、己の手だったのだ。
 あの若者とは違って年齢のせいもあるのだろうか、その変化は遅いものだったが逆にそれが仇となった。変化に時間がかかるほどに身体にかかる負担は大きくなる。しかもジェームスは高齢で、当然ながらあの若者より体力があるとも思えない。
 その負担が、じわりじわりとジェームスの首を絞めていく。到底、彼には獣化に耐えられるほどの体力などなかった。
 もちろん、そんなことをジェームスが知る由もない。ただ、あの若者に起こったのと同じことが遅れて自分にも起こり始めたのだろうということは理解していた。その苦痛が、かえってジェームスに束の間の正気を取り戻させた。
 このままでは目の前のこの人を自分が殺してしまうかもしれない。そうなる前に、早く手を打たなければならなかった。
「く…ッ。ま、待った。そこのあんた…。もうひとつ命令追加だ……!」
「あ、ああ! もちろんだ、私に任せろ! すぐに外へ……」
「わしを……殺していけ」
「えっ……!?」
 仮に身体が持ったところで、ジェームスにはあの若者のように暴れまわるほどの元気はないだろう。口でこそ、威勢のいいことばを飛ばしているが、身体の衰えはジェームス自身が一番よくわかっていた。
 暴れまわって研究をメチャクチャにして、エイドを八つ裂きにしてやるのもいいかと考えたが、どうもそれは叶わない相談のようだった。それに、あの若者の様子を見たところだと、おそらくは混乱するのか、意識が保てないのかで暴走してしまい、自由は利かないだろう。そして、逆に捕らえられて研究資料にされるのがオチだ。
「そうなるくらいなら……わしは、最大限の抵抗をしてやる……! 死ぬことで!! 撃て! 早く!! 手遅れになる前に!!」
 力を振り絞って叫ぶジェームス。
「それはできない! 諦めるな! 仕返しをしたいのか!? 生きていれば仕返しのチャンスだってまた来る!! だから生きろ!! 死んだらそれだってできないだろう!?」
 状況が理解できずに、とにかく生存者を救おうとするアマンダ。
「くそったれ! 上官命令だと言っている!! つ、つべこべ、言わ、ずに、さ、さっさと、や……や……りャぐ…ァぎがあぁぁぁあああぁぁっ!!」
 表面上に大きな変化は見られなかったが、若者の場合と同様にジェームスの筋肉も徐々に発達しつつあった。普段の彼を知る者なら、急に逞しくなった上半身にすぐに違和感を感じただろう。サイズが少し大きかった患者服も、いつの間にかきつそうになっている。
 しかし、アマンダとジェームスはついさっき初対面を交わしたばかり。残念ながら、そんなことに気付くわけがない。
 発達する筋肉はジェームスの内臓や骨を圧迫する。変化が現れるのが遅いせいで、それらの変化が筋肉の変化に全く追い付いていないのだ。メキメキと音を響かせながらジェームスの骨格が姿を変え始めるが、それは獣化によるものではない。
「がッ……くぁ……は、が……ぐがが…が………ハヤ……グ…あガ……ゴロ…シ………がカ……カはっ…………!!」
 発達する筋肉の圧迫に耐え切れずに、年老いて脆くなった骨は折れて、崩れて、ねじ曲がる。内臓を握り、捻り、押し潰す。
 自身の筋肉が内側から自身を絞め殺す。血の混じった赤い泡が口から溢れ出してくる。
 折れて異常な方向に押し出された骨が胴体を突き破って姿を見せる。そこからは、赤くて黒くて白くて黄色くてどろどろぐちゃぐちゃぶつぶつしたものが押し出されては次々とぶちまけられる。
 ぶちまけられたそれは、何とも言えない悪臭を放ちながら床に零れ、飛び散り、弾けながら不気味に流れてくる。肉片や骨欠、ああ、それからあれはなんだろう。潰れて千切れてばらばらになったハラワタの一部のようなものも浮かんでいる。
 さらに、その骨が突き破った腹の穴も異常発達した筋肉がすぐに覆い隠してしまうが、行き場をなくした筋肉は体外へはみ出してもなお成長を続けようとする。真っ赤な筋張った肉がぼこぼこと湧き出すように、まるでサボテンのような瘤を作り、血の噴水を上げながら突出する。
 腕が、脚がひしゃげて、奇妙な方向に何節にも折れ曲がる。手足が真っ赤に染まったかと思ったら、それは指を撒き散らしながら爆ぜてどす黒いミートボールのできあがり。腕から肘から、太腿から脛まで、折れ曲がった節ごとにミートボールはできて、節を境に千切れては汁を滴らせながらごろごろと床を転がった。
 そんなおぞましい光景を、アマンダはただ、何が起こっているのかも理解できずに震えあがりながら見ていることしかできない。
「ひッ……?! う、うう……ごほっ。おぇえぇえええぇっ」
 頭で理解できなくても、身体はそれに嫌悪感を示して危険を嘔吐という形でアマンダに知らせてくれる。
 喉が熱い。目頭も熱い。胸が抉られたかのように痛い。……しかし、ジェームスはそれを遥かに凌駕する痛みを感じている。
 ほら、内臓を押し潰された胴体は空気の抜けた風船のように萎んでしまっている。肋骨が見当たらないから、それもきっとすでに粉々か、あるいはあの突き出てる骨がそうなのかもしれない。それから、その萎んだ風船はまた再び膨らみ始めている。中身は空気じゃなくて、増殖する筋肉だろうけど。
 おっと、残念。耐え切れなくなった背骨がついに折れて、とうとう風船は煮崩れたぐずぐずの肉団子になってしまいましたとさ。
 そして、肉団子は溢れる筋肉に皮膚を弾けさせながらさらに成長を続け、とうとう彼の頭も肉の中に埋もれてしまった。
 厭な音を響かせながら、頭蓋骨が潰されていくのがよく聴こえてくる。肉団子の上部から火山の噴火のように噴出されてくる肉の赤とは違った白っぽいぐちゃぐちゃしたあれは、実物を見たことがないから断言はできないけどきっと脳味噌だろう。皮肉にも今初めて実物を目の当たりにすることになってしまった。いや、もう皮なんてなくて、ただの肉の塊に過ぎないのだけど。
 あたり一面は赤と黒と白と黄色と、それから様々な液体でメチャクチャで、もうどんな色をしているのかもわからない。
 最後の仕上げに何かが転がってきた、と思ったらジェームスの目玉としっかり目が合ってしまった。
 ああ、こんなにも恐ろしいのに、こんなにもおぞましいのに、それなのに目を離すことができない。
 身体が固まってしまって、腰が抜けてしまって、まぶたすらも全然言うことを聞いてくれない。
 これからアマンダは肉団子を見るたびに、目に焼き付けられてしまったこの光景を嫌でも思い出して苦しむに違いない。
 そして、そのたびにジェームスの亡霊が現れて、なぜあの時撃ってくれなかったのかと激しく責め立てるのだ。


 アマンダは後悔した。
 こんなことなら、せめて苦しむ前に頼みを聞いて撃っていれば良かった。
 ひと思いに延髄を撃ち抜いてやれば、こんな苦しい思いをせずに楽に逝けたのに。
 でも、それはできなかった。そのせいで彼は最悪の形で逝った。果たして、ジェームスの抵抗は上手くいったのだろうか。

 だが、そんな後悔をしたのも後のこと。
 なぜなら、今はこの信じられない光景にただただ放心することしかできなかったのだから。
 彼女の目の前には、ようやく変化が追い付いたらしく黒い剛毛を所々からうぞうぞと生やした血と肉と毛の塊が、血や内容物の混ざり合った池にぐちょりと転がっていた……。


To be continued...

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