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魔法戦争63

最終更新:2018年03月08日 03:23

jelly

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Chapter63「フリード遠征9:ファフニールてめえ、まじでふざけんな」



 王の間に到着した。

 部屋に入ってすぐに目に付いたのは三頭の竜だ。
 そのうちの二頭には見覚えがある。

 珊瑚によく似た形をした氷の結晶のツノを持つ氷竜。
 以前、一度だけニヴルの一件のあとで会ったことがある。
 たしかクエリアの姉のイシュタム。それがなぜトロウの元に?

 そして全身が黄金の鱗で輝いている少し悪趣味なあの地竜。
 あいつはよく知っている。クルスの友達のファフニールだ。
 スパイとしてトロウの元に潜入しているらしいので、ここにいるのは当然か。

 残る一頭はずいぶんちびっこい赤い竜だった。
 きっと子どもなんだろう。あんなのもトロウの手下にいるのか。
 まあ、あいつはそれほど危険性はないな。たぶん。

 奥には玉座があり、そこにこのユミル国の王だと思われる男が座っている。
 あれがフレイやフレイヤの父親か。たしか名はニョルズ王だっただろうか。
 ニョルズはうつむき加減に座ったまま微動だにしない。その顔色は極めて悪く、近寄り難いような威圧感を放っていて少し不気味だ。

 その隣には真っ黒なローブに身を包んだ、これまた不気味な男が立っている。
 フードを深く被っているのでその顔はよく見えないが、俺にはそれがトロウだとすぐにわかった。
 うまくは説明できないが、例えば目があっただけで背筋に悪寒が走るような、あるいはその姿を見ただけで気分が悪くなるような、そういう得体の知れない不気味さがその男にはあったからだ。
 とにかくその男はその場にいる他の誰よりも異質だった。

「おやおや、これはこれはフレイヤ王女。ずいぶん遅かったじゃないですか。遅刻するとはあまり感心できませんねぇ……くっくっく」

 最初に口を開いたのはトロウだ。
 口では笑ってみせているが、フードの陰からときどき見える血のように赤く鋭い眼は決して笑ってはいない。
 ここまで鋭い眼をした人間を俺は今まで見たことがない。

(トロウの正体は呪われし竜よ。アルヴの神竜様がそう言ってたわ)

 そういえばそうだったな。
 ということは、今この部屋にいるのは俺たち以外は全員竜なのか、ひええ。

(油断しないで。ここからが本当の闘いよ。この場でトロウの目を欺くために私たちはここへ来たんだから。ふざけないで私の言う台詞を繰り返して)

 フレイヤの助言に従い、フレイヤらしい返答をトロウへと返す。

「大変お待たせしました。でも私以外にも遅刻している人間がいるようだけど?」
「ああ、ヴィドフニルとエーギルのことですか。彼らには重要な任務がありましてねぇ……。手が離せないので今回は欠席させているんですよ」

 エーギル! そいつなら知ってる。ニヴルヘイムに現れたあの水の魔道士だ。
 もう一人のヴィドフニルは知らないが、おそらく似たような立場の奴だろう。

「それじゃあ、私で全員が揃ったということですね?」
「アリアスがまだ来ていませんが……まあいいでしょう。あいつはすでに次の作戦については知っている。改めて説明するまでもありませんね」

 トロウは玉座の隣から歩き出し、王の間の中央に立った。

「さあさあ、フレイヤ王女もそんな入口に立ってないで、もっと話しやすいよう近くに寄りなさい。あ、お付きの方はもう帰ってもらって結構」

 しっしとトロウは手でスキルニルを追い払うような仕草をした。
 スキルニルは何かを言いかけたが、目で俺に向かって何か合図を送りながら黙って王の間から出て行った。

(何かあったらすぐに駆けつけられるように待機してるって)

 どうやらフレイヤには伝わったらしい。
 スキルニルの姿が見えなくなると、オホンとひとつ咳払いをしてからおもむろにトロウが話し始めた。

「さて。ではさっそくですが、フレイの居場所が判明したのはもう伝えましたね。奴はアルヴにいます。しかし忌々しいアルバスの結界のせいで我々はアルヴには入れない。ファフニールの策略のおかげでフレイをアルヴの外へ出るように仕向けたまではいいのですが、ヴァルトめが裏切ってラタトスクの秘密をフレイに話してしまったので我々は――」

 ふむ。今のところは俺も知っている情報ばかりだ。
 ファフニールはスパイとして潜入するために自分をトロウに信用してもらう必要があった。そのためにファフニールはフレイがアルヴにいるという情報を売った。
 ヴァルトが裏切ったのも事実。今あいつは俺たちの側についている。
 どうやら以前ヴァルトが言っていた話はうそではなかったようだな。

 ちょうどいい。このまま敵の作戦について堂々と盗み聞きしてやろう。
 敵の手の内を熟知していれば、対策だって立てられるというものだ。

 そしてトロウの話は続く。

「――というわけでフレイがいつアルヴの外に出て、どこにいるのかが把握できないのが現状です。しかしフレイの居場所がわからないのであれば、逆にこちらが指定した場所におびき寄せてやればいいというもの。そこでまず我々は――」

 トロウがそこまで言いかけたとき、

「ちょっと待て」

 せっかくここから肝心なところだというのに、それを遮る無粋な声。
 一体誰だ。俺の盗み聞きを邪魔する奴は。

「なんです。何か問題でも?」
「ひとつ言わせてほしい」

 話を遮ったのはなんとファフニールだった。
 トロウは何事かと問う。しかしファフニールの視線はトロウのほうではなく、ずっと俺のほうへと向けられている……っておい。まさかとは思うがおまえ。

「フリード。どういうつもりだ貴様? なぜおまえがここにいる」
「…………おうふ」

 ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。一旦落ち着かせてくれ。
 どういうことだ? そういうおまえこそどういうつもりだ!?
 このタイミングで、しかもなぜおまえがそれをバラすんだよ!

「え? な、なんの話? 私、全然聞こえませんでしたわ~。おほほほ……」
「ふん、しらばっくれても無駄だ。地竜には幻術の類は一切効かんぞ。他に誰も気付いてないようなので教えてやる。このフレイヤ王女は偽者だ」
「わぁぁぁーっ! ば、馬鹿やめろ! だからなんでおまえがそれを言うんだよ!? わかるだろ、察しろよそれぐらい! これは潜入作戦で――――あっ」

 言ってから後悔してももう遅い。
 その場にいる全員の視線が俺の顔に集中している。
 これはやばい。さっきから変な汗があふれて止まらない。

「なるほど、自分から白状してくれましたねぇ。お手柄ですよ、ファフニール」
「褒められても嬉しくはない。オレが欲しいのは賛辞ではなく財宝だ。ネズミを見つけてやったんだから特別報酬を出せ」
「仕事が完了したら考えてやってもいいでしょう。私はちょろちょろとこざかしいネズミが大嫌いでねぇ……。ファフニール、あいつを抹殺しなさい」
「ふん。たっぷりと金貨を用意して待っていろ」

 そう言ってファフニールは足を踏み鳴らしてこちらへと近づいてくる。

(くっ……まさかこんな展開になるなんて予想外だわ。フリード、逃げて! ここには他の竜将もトロウもいる。勝ち目なんて絶対にないわよ)

 言われなくたって!

 俺はすぐに駆け出すと王の間の扉を蹴り飛ばした。
 王の間は広い空間だが、その入口は竜には小さい。だから竜は王の間に隣接しているバルコニーから一旦外に出なければ俺を追って来られないはずだ。
 つまり必ず一度は俺から目を離さなければならない。その隙を突いてやる。

 王の間を出てすぐに待機していたスキルニルと目が合った。俺の様子を見てすぐに状況を察したようで、スキルニルは手招きをして俺の行く先を走り出した。
 どうやら脱出経路を案内してくれるらしい。この城の構造は少しややこしいのでありがたい。俺一人なら確実に迷子になっていただろう。

 通路を抜け、螺旋階段を駆け下り、そして正面の扉を開く。
 ここさえ抜ければ中庭だ。外にさえ出られればあとは空から逃げられる。

 しかし扉を抜けると、その先に待っていたのはヴァルキュリアたちと戦うファフニールの姿だった。

「くそっ、先回りされてたか」
「やっと来たか。城の中から外へ出るには必ずここを通ることになるからな」
「ファフニールてめえ……。どういうつもりだ、この裏切り者め!」
「それはこっちの台詞だ。フリード、貴様ここへ何をしに来た。オレの邪魔をするつもりなら、黄金の腕輪の恩があるとはいえ容赦はせんぞ」

 ファフニールは輝くブレスを吐いた。
 ちょうどそのとき、俺の前を天馬で飛翔して横切ったレギンがそのまま地面に叩きつけられるようにして突っ込んだ。
 見るとレギンの天馬が黄金に変わっている。

「ちっ……。邪魔をするだって? 一体何の話をしてるんだ」
「オレの計画の話だ。オレはただおまえたちのためだけにここにいるのではない。すべては財宝のためだ。常にどうすればより沢山の財宝が手に入るかを考えて行動している。だから余計なことをしてもらっては困る。予定が狂うではないか」
「なんだと? この守銭奴め……」

 そのとき上空からトロウがゆっくりと降りてきた。あれも魔法によるものなのだろうか、トロウは黒い霧に包まれながら空中に浮かんでいる。

「あー退屈退屈。つまらないですねぇ。まだ終わらないんですか? 仕方がない。少し手を貸してやりましょうか」

 突き出されたトロウの右手は禍々しい漆黒のオーラを帯びている。
 しかしそれを見たファフニールは怒って言い返した。

「やめろ! オレは貸されるのが嫌いだ。借りたら返さなければならないからな。ここはオレだけで十分だ」
「ふん。そうですか……そこまで言うなら三分間だけ待ってやりますよ」
「十分だ」

 そして今度はこっちに向かって言い放つ。

「おまえにも言っておく。ここはオレだけで十分だ。わかったらさっさと消えろ」
「消えろと言われて素直に消えてやるつもりはないぜ。おい、フレイヤ。俺にかけた魔法を解け。こいつだけは絶対に許せん。ここで決着をつけてやる」
「チッ、物わかりの悪い奴め。無闇に首を突っ込むなとオレは言っているのだ!」

 姿勢を低くしてファフニールがこちらとの距離を詰め、斬り上げるように鉤爪を振り上げる。
 なんの、この程度の攻撃。傭兵としていくつもの死線をくぐってきた俺には止まって見える。見てから余裕の回避だぜ。

 と思っていたが、自分の想定よりも飛び退くのが一瞬遅れた。
 しまった! 今の俺はフレイヤの姿をしている。だから脚力も元の姿の俺より少し劣っている。それが一瞬の遅れに繋がってしまったのだ。

 避けきれないか!?

「フリード、危ないッ!!」

 すると咄嗟にヒルデが天馬ごと突撃してきて、ファフニールに体当たりした。
 その衝撃で鉤爪の狙いは逸れたが、ファフニールに直接触れたヒルデの天馬も、レギンのものと同様に黄金の天馬像へと変わってしまった。
 落馬したヒルデは投げ出されて地面を転がった。

「うぐっ、直接触れてもだめなのか」
「ヒルデ! 無事か」
「私は平気だが、天馬(グラーネ)が……」

 すでに二頭の天馬がやられた。
 いざというときは空から飛んで逃げる計画だったというのに、その飛ぶための手段を次々と潰されるとは。
 まさかあいつ、わざとそれを狙って?

 俺はフレイヤの魔法で竜化すれば自力で飛んで逃げることができる。
 しかし姿は変わっても体格までは変わらない。人間サイズの小さな竜の姿に変わるだけだ。
 だからせいぜい一人を抱えて飛ぶのが限界といったところだろう。助けられるのはどちらか一方だけだ。

 ヒルデを選ぶのか。レギンを選ぶのか。
 くそっ、まさか今になってまたこの選択に悩まされることになるとは!
 なんだこれ、露骨な伏線回収? というか言っちまったら伏線になんねーし!

 さあ、どうする俺。
 ヒルデか? レギンか?
 ……いや、悩むまでも無い。

「これでも俺は勇者と呼ばれているんだ。勇者が選ぶべき答えは決まっている!」

 剣を抜き放ち、欲深き金竜にその切っ先を突きつける。
 心が決まると急に力が湧いてきた。その決意を今、ここに宣言する。

「クルスの親友だとかもう知ったことか。おまえを倒してでも俺は生きて帰る!」

 救えるものは全部救う。それが勇者の使命だ。
 この剣に誓って、ヴァルキュリアのお姉さん方の笑顔を奪うような悪は、この蒼き勇者フリードが決して放っておいては…………ん?

 ちょっと待て。剣なんてもってきてたか。
 たしかフレイヤの身体では重過ぎるから、鎧とともに置いてきたはずでは。

 鋼鉄の重みを感じる右手を眺めると、そこには蒼き刀剣フロッティが。
 さらに腕に沿って視線を移すと見慣れた籠手、そして愛すべき上腕二等筋。さらにこの程よく負荷を与えてくれるこの重み。これは我が愛用の蒼き鎧では!?

(まさか! 私の魔法がかき消されるなんて。これフリードがやったの!?)

 フレイヤがひどく動揺している。
 よくわからないが、どうやら変身が解けて俺は元のナイスガイに戻ったようだ。おかえり筋肉、ただいま筋肉。

 なぜ服装まで元に戻っているのかは謎だが、たぶんフレイヤに変身する前の状態に戻ったということなんだろう。魔法とはそういうものだ、たぶん。
 とにかくこれで全力で戦える。

「この魂を黄金に売った守銭奴め。この俺が成敗してくれる」
「ほう、面白い。この前の続きといこうじゃないか。こんどは決着をつけてやる」

 ファフニールはさっそく先制攻撃を仕掛けてきた。輝くブレスがうねるように迫ってくる。
 だが動きは単調で火竜が吐く炎などと大差なし。回り込めば回避は容易い。
 これを避けて背後を取ると、こんどはファフニールは太く強靭な尾を鞭のように振り回した。
 しかしそんなもの、跳び上がってしまえば怖くもなんともない。

「おっと地竜のお兄さん、背中がガラ空きですよー」

 いくら固い鱗に守られていようと必ず装甲の薄い部分がある。腹部などの身体の内側ももちろんだが翼膜も同様だ。
 跳躍した勢いそのまま空中下突き。ファフニールの翼に剣を突き立てた。

「ぐううッ!?」

 まずは効果的な一撃を。これで空に逃げられることもないし、あとで撤退する際に追ってくることもできないはずだ。
 そのままファフニールの背中を蹴って剣を引き抜くと同時に距離を取る。

 貫かれた翼からは血が噴き出し飛び散った。
 ファフニールは苦悶の表情を浮かべながら痛みに耐えている。

「ふうっ、やっぱり自分の身体が一番だぜ」

 剣にこびり付いた血を払い、頬に飛んだ血を腕で拭う。

「フリード! わたしたちも助太刀させてもらおう」
「私もだ。天馬の仇、よくも私のグラーネを……。許さん」

 左右にレギンとヒルデが槍を構えて並ぶ。
 三対一とは少し卑怯な気もするが、そんなことを言っている場合でもない。生きて逃げ延びるか、やられて死ぬか。断然、俺は前者を選ぶね。

 ヒルデの雷槍が放つ雷(いかづち)はどんな離れた相手にも効果的。無論、竜にもだ。
 レギンの風槍は投げれば狙ったところに向かって飛ぶ。牽制にはもってこいだ。
 二人が作り出す隙を突き、俺が懐に潜り込み必殺の一撃をぶちかます。

 そういえばミストはどこへ行ったんだ? あとスキルニルも。
 まあいい。まずはあいつを倒すのが先だ。

「行くぞ!」

 二人に号令をかけて俺から先陣を切る。
 真正面から向かってくる俺に対して、ファフニールは輝くブレスで対抗しようと大きく息を吸い込んだ。

 だがそこにヒルデの雷が不意打ちを仕掛けた。痺れて動けなくなったところに続いてレギンの槍が飛んでくる。

 以前レギンが持っていたグングニルの槍は、その槍を用いた戦いで俺が勝利してしまったせいなのかその所有権が俺に移り、今のレギンには扱えなくなっている。
 今のレギンは付呪(エンチャント)された風の魔法によって軌道をコントロールできる槍を使っている。
 その命中精度はグングニルよりずっと劣るが、動きを止めた敵を外すほどのポンコツではない。

 レギンの槍はファフニールの右脚を貫いて地面に深々と突き刺さった。
 これで完全に敵の動きを封じた。あとは俺の出番だ。

 ファフニールの懐まで駆け寄ると、剣(フロッティ)を逆手に持ち替え跳躍。
 正面には柔らかい竜の喉元が見えている。あとは力一杯、この剣をそこに叩きつけてやるだけだ。それですべてが終わる。

 いつだったかクルスが言っていた。竜族には「殺し合うほど仲が良い」という格言があると。
 おまえとはそれぐらい仲良くなれればよかったが、どうやらそれは叶わないようだ。なぜなら俺がおまえに手をかける理由はそれではないからだ。

「……悪く思うな。俺にも俺の予定ってもんがあるんだよ」

 剣を持つ手に力を込める。
 そして振り上げた手を勢いよく力任せに振り下ろす。

「――時間切れだ。お遊びはここまでにしておきましょうか」

 刹那、漆黒の瘴気をまとった衝撃波が発生して俺たちを吹き飛ばした。
 まったく何が起こったのか、咄嗟には理解できなかった。ただその激しい風圧に襲われてもみくちゃにされながら、草花の覆い茂る王城の中庭を何度も何度も転がった。口の中には土の味が広がった。

 ふらつきながらも何とか立ち上がり、辛うじて剣を構える。
 しかし目がかすんで視界がはっきりとしない。

「今の突風は……くそっ、毒か何かか?」

 物の輪郭がぼやけて見える。そんな視界の中に黒い影がゆっくりと降りてくる。
 影はゆらゆらと左右に揺れながら、こちらに近づいてくるようだ。

「言いましたよね? 三分間だけ待ってやる、と」

 あれはトロウだ。

「それにしても情けない。こんなネズミ風情に何を手こずっているのやら。ファフニール、どうやら報酬は減額することになりそうですねぇ」
「ま、待ってくれ。オレはまだ……」
「黙りなさい。時間切れと言ったはずです。私はこんなネズミどもと遊んでいるほど暇ではありません」

 そう言って足音がこちらへと近づいてくる。
 まずい。なんとかして……たとえ這ってでも逃げなければ。
 それなのに膝が震えて一歩足を踏み出すことも、その場に倒れることさえできない。まるで金縛りに遭ったかのように身体が重く感じられる。

「違う。もう決着はついた」

 再びファフニールの声。

「ほう? あなたの無様な敗北でですか」
「いや、オレの勝利だ。フリードは俺に致命傷を与えたつもりでいるが、そのときにオレの血を浴びた。オレの身体に直接触れた者はやがて黄金化する」
「……ふん。どうやら偽りはないようですね」

 トロウが言うにはどうやら俺の身体は黄金化しつつあるらしい。
 目が霞んでまったく見えないが、身動きが取れないのも身体がどんどん重くなっているのも黄金化が原因のようだ。

「他のネズミは?」
「奴らもオレがすでに触れた。そこの女二人も、姿が見えない残りもやがて黄金像に変わるのは時間の問題だろう。初めからオレの勝利は確定していたのだ」
「……ああ、つまらないつまらない。死なない程度にいたぶり続けて、ひと思いに殺してくれと懇願するこいつらの苦悶に満ちた顔が見たかったのに」
「ふっ。オレの苦悶の表情じゃ不満だったか?」
「まあいいでしょう。おいネズミども、命拾いしたな。こうなっては私にもおまえたちを殺すことはできない。だが逆を言えばおまえたちはもう死ぬこともできない身体になったのだ。そのまま永遠に黄金像として生き続けるがいい! せめて城の隅にでも飾っておいてやりますよ……」

 そう吐き捨ててトロウの足音が遠ざかっていった。

 やがて視界が黄金に染まり始めた。
 どうやら俺の目も徐々に黄金に変わり始めたようだ。
 すでに身体の感覚はほとんど無くなってしまっている。このまま黄金化が進んだら俺はどうなるんだ。意識は残るのか? それとも脳も黄金に変わったらそこで俺の意識は途絶えるのだろうか。

 ああ、どうやら目が完全に黄金に変わったらしい。
 視界は完全な闇になった。いや、無といったほうがいいかもしれない。眩しいとか暗いといった概念がない。なにもない。完全なる、無。

 意識が残るのなら残るでそれはそれで恐ろしい。
 何も見えない、何も聞こえない、何もできない。そんな状態で死ぬこともできずに延々と存在し続ける。そんな地獄があるか。そんなの絶対に発狂する。

 意識が消滅するのならそれも恐ろしい。
 つまりそれって俺にとっては死ぬのと同じことじゃないか。
 何も見えない、助けも呼べない、叫び声さえ上げられない。そんな状態でこの意識が消滅するその瞬間がいつ訪れるのかと震えながら待つ。そんな真綿で首を絞められるような責め苦もまた地獄。いやまじで発狂するってそれ。

 嫌だ! 俺はまだ死にたくない!
 だからといって、この状態のまま生き続けるなんてのも嫌だ!

 頼む……頼むから誰か俺を助けに来てくれ……。
 そうだ、フレイヤ。フレイヤ?
 なあ、おい。フレイヤいないのか。俺の声が聞こえないのか。
 おまえは変性の魔法が得意なんだろう。おまえだったらこんな黄金化の魔法を打ち消すなんて朝飯前なんだろう?

 なあフレイヤ。おい、おいってば。
 返事をしろよぉぉぉーっ!!

 ……ああくそ、どうして俺がこんな目に。
 いつ意識が途切れるかもわからない。途切れないかもわからない。
 そんな恐怖に怯えながら永遠に存在し続けるなんて俺はごめんだ。

 考えろ。考えるんだ。
 どうすれば俺は助かる。どうすれば助けを呼べる。
 せめて俺にもテレパシーとかそういうのが使えたら……。

 そ、そうだ。念じ続ければ誰かテレパシーが使えるやつに届くかもしれない。俺はテレパシーを使えないけど、もしかし










Chapter63 END

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