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  • 神への冒涜5

神への冒涜5

最終更新:2017年04月26日 23:29

jelly

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『神への冒涜』五人目「Dr.八神 / the Lord gives them the Last judgment」


 まだアマンダが生きていてエイドと銃を奪い合っていた頃、一方で八神は三階の管理区画に呼び出されていた。
 責任者と思われる男が八神の前に座っている。男は八神に優しい口調で、しかし優しくないことばをかけた。
「八神。あなたは大変なことをしでかしてくれましたね。おかげでこの研究所は台無しです。主は私に安息を与えると仰せになりました。これがどういうことか、わかりますか?」
「……わかりません」
「憐れな。よろしい、無知なあなたでも理解できるように説明しましょう。主はもうこの研究所は不要だと仰いました。この私さえも。つまりはファイアです。わかりますか? クビですよ、クビ! 私がいらないと仰るのです! ああ、なんということか。ミスを犯したのは私ではないというのに! 主は勘違いをしておられる。もちろん、誰のせいかわかっていますね?」
 八神はなにも答えない。
 それを言うなら、八神のせいでもなかった。八神は実験班の主任だったというだけのことだ。
 直接の原因は被検体Yの暴走。その被検体に薬品を投与したのは彼女の部下だったし、そもそも被検体Yを連れてきたのは確保班なのであり、その責任を実験班の八神一人が問われるのもお門違いというものだった。
 しかし、この事故は確かに実験の最中に起こったことだ。たとえ原因が何であれ、上層部はその実験の主任である八神に責任があると判断するのだ。
 エイドも同じく実験班の主任だった。しかし、彼は責任を追及されない。なぜなら、不幸にも被検体Yを担当していたのが八神の部下だったからだ。
 部下の責任は上司の責任として、八神の肩にのしかかる。しかし、八神の上司にあたる目の前の男はそうはしない。男はこの研究所の所長の椅子を失いたくなかった。ゆえに、その責任を八神に押し付けようとしているのだ。
「……まぁ、いいでしょう。誰だって自分の失敗は認めたくないものです。そこで、あなたにひとつだけチャンスをあげましょう。これは私からの最後の審判だと思って、迅速に、確実にこれに応えなさい。主は我々に最後のチャンスを与えられました」
 その”主”から送られてきたのだろう、男は一枚の手紙を取り出すとそれを読み上げる。
『親愛なる我が子らよ。千年王国の扉はもうすぐそこまで近づいてきた。我々が永遠を手に入れられる日も近い。諸君らの努力に心より感謝する。しかし、そのためには我々の秘密は決して部外者に知られてはならない。なぜなら、部外者は決して我々の考えを理解することができないからだ。そして、部外者は我々に敵対し反抗者となることだろう。永遠を手に入れれば反抗者の攻撃など取るに足らないものになる。だが、永遠を手にしていない今はまだそれは危険視するべきものだ。悪しき者どもに我々の崇高なる目的を邪魔することを許してはならない。悪魔どもは焼き払え。そして選ばれし者たちに永遠を』
 八神はこの自らをまるで神であるかのように語る”主”が嫌いだった。八神は自ら望んでこの研究に携わっているのではない。この目の前の男も、そしてエイドのこともとても嫌っていた。
 上司の男は続ける。
『しかし、哀しいことではあるが、あろうことにもエデンが失敗を犯した。大切な子羊を鎖から解き放ってしまった。解き放たれた迷える子羊は怯え、暴れて、柵の外へと飛び出そうとしている。我々の大切な子羊を部外者の目に晒してはならない。なぜなら、部外者はその子羊を見るとそれを恐れ、憎み、反抗者となるからだ』
「わかりますか? エデン……つまりはこの研究所のことです。主はあなたの失敗を既に御存じなのです」
 ”主”は神のはずがないのだから、いくらなんでも事故をもう知っているのは早過ぎる。おおかた、この目の前の男が連絡したに違いない。おそらくは自分の椅子を守るために報告に都合のよい色を付けて。
『我はエデンに安息を与える。子羊が外部に晒されてしまうのが避けられないのなら、我はエデンに裁きを下そう。反抗者が生まれる前に羊たちを子羊諸とも土に還そう。しかし、エデンの羊とて、己が身は愛しいということを我はよく理解している。そこを最大限に汲み取り、我は哀れな羊たちに試練を与える。見事この試練を乗り越えられたのであれば、我はエデンの努力を認めて次の機会を与えよう。近くベウラよりエデンへ、第一の目的の試験的運用を兼ねて制圧部隊が到着する。哀れな羊たちよ、生き残りたければ制圧部隊の到着よりも先に事態を収拾してみせよ。我は制圧部隊の長からの報告のみを以ってその結果を判断する。以上』
「つまりはこういうことです。もうすぐ、制圧部隊が第一目的の試験を兼ねてここに送られてきます。それよりも先に事態を解決しなさい。そうすればクビは避けられる…。しかし、これは私じゃない、あなたの責任です。ですから、当然あなたがこの試練を受けるべきなのです」
 八神は目の前の男こそ哀れだと思った。責任を私に押し付けて、試練を私に押し付けて、それで自分はもう安全だと安心しきっている愚かな男だ、と。仮に八神がそれを拒んで何もしなければどうするつもりなのだろうか。今度は何か理由をつけてエイドにでも責任を押し付けるのかもしれない。
 こんな愚かな男のために働いてやる義理など八神にはなかった。しかし、そんな男の言いなりにならざるを得ない理由があった。それゆえに、八神はこの男の命令に逆らうことができない。そして、それはこの男もよく知っている。だからこそ、男は八神に責任を押し付けたのだ。
「八神、私に代わってこの試練を受けなさい。そして見事乗り越えて見せなさい。それが、私からの最後の審判です。もちろん失敗は許しません。これが果たせなかったとき、あなたはどうなるか……よくわかっていますね?」
「……はい」
 そう答えざるを得なかった。
 逆らえばどんな目に遭うかはよく分かっている。なぜなら、彼女はその手で数々の被検体たちをその目に遭わせてきたからだ。自分が助かるために多くの罪もない被検者たちを生贄に捧げてきたのだ。
 そんな状況が八神はとても心苦しかった。悔しかった。しかし、自分にはどうすることもできない。だからこそ、こんな研究所は潰れてしまえばいいと心の中でいつも思っていた。
 それが今、こうして現実になろうとしている。それでも状況は変わらなかった。
 ベウラ……。おそらくはこことは別の研究所の名前だろう。そう、この怪しげな研究を行っているのはこの研究所だけではなかったのだ。仮にこの研究所が潰れたとしても、他の研究所がまだある限り八神は運命を回避することができないのだ、目の前のこの男が存在している限りは。
 かつて潰れてしまえと何度も望んできた研究所が今まさにその瞬間を迎えようとしているというのに、八神はそれを享受することさえ許されない。
 こともあろうに、その瞬間を自らの手で回避させろと男は命令した。
 逆らえば自分が次の実験台。従えばこの男の奴隷として働かされる日々が続く。どちらを選んでも地獄しかなかった。まだこうしてまともな人間のままでいられる分には後者のほうがマシだろうか……。
 数々の被検体の末路を見てきた八神は当然、実験台行きの切符など選べるはずもない。
 この研究所の存在の危機はあの男の危機であり、それと同時に八神の危機にもなった。
 失敗すれば実験台……。八神は悔しい思いを押し殺してでも、この研究所の危機を回避させるしか選択肢はなかったのだ。


 八神は疲れた顔でエレベータに乗っていた。
 己の身を守るためにも、この事態を急いでなんとかしなければならない。ぼんやりしていると、すぐにでも制圧部隊がやってきて時間切れ。もれなく被検者たちの仲間入りになってしまう。
 八神は二階の研究班の元へと向かった。研究班なら、被検体Yに投与した薬品のことを熟知している。何か対抗策が得られるかもしれない。
(ああ…。まさか、こんなことになるなんて。あの子も可哀想に…)
 八神は被検体Yがまだ人間だったときの顔を思い出して心を痛める。
 あの男に呼び出されて三階へ向かうときに地下一階にいた八神は、結局は東側に向かうことになるのだが、まずは西側のエレベータに向かった。そして、エレベータの前に人狼と化したあの被検体Yと、銃を構えた見知らぬ女がいるのを見た。女はその銃で人狼を撃ち殺してしまった。
 もし八神も同じ立場に置かれていたら、間違いなく銃を撃っただろう。己の身を守るために。
 被検体Yに罪はなかった。彼はただ偶然、本件とはまた別のある不幸な”事故”に巻き込まれて実験台にされてしまっただけなのだ。むしろ、罪があるのは自分たちのほうだった。
 そして、その彼は撃たれて……死んだ。
 異形の姿のまま他人を傷つけてしまう恐怖に怯えながら生かされ続けるよりは死んだほうがまだ幸せだったのかもしれない。しかし、彼から平穏な人生を奪っておいて、それで死ねて幸せだったなんて言える権利が八神にあるはずもなかった。
 ああ、なんと身勝手なことだろうか。しかし、八神はあの責任者の男に逆らえない。従うほか仕方がない。
 同僚や、とくに被検体と接するときは敢えて心を殺して努めて冷徹に振る舞ってきた。そうでもしなければ、良心の呵責に耐えきれず、心が押し潰されてしまいそうだったから。しかし、それも気楽なものではなかった。一時は心が押し潰されそうな痛みに耐えることができても、それは少しずつ少しずつ八神の心を傷つけ蝕んでいく。限界が来るのも時間の問題だった。

 二階に到着し、エレベータの扉が開く。
 かつて被検体Yが軟禁されていた病室の前に差し掛かった。心が締め付けられる。
 同じような病室がいくつか並ぶ通路を通り過ぎてさらに行くと、そこに研究班の研究区画があった。
 ここにも被検体Yが現れたのだろう。ここも人狼の暴れた跡がありありと残されおり、数々の研究員がその歯牙にかかって無残な姿になっている痛ましい光景だった。
「生き残った者はいる!?」
 研究班の誰かがまだいないか確かめるために声をかける。
「その声は……八神さん…!」
 すると、隅にあるロッカーの中から一人の研究班員が出てきた。
「デテン! あなたは無事だったのね、良かった…」
 彼はデテン。八神がこの研究所内で心を許せる数少ない者のうちの一人だった。
「ああ、恐ろしかった…。急に獣人が現れたかと思ったら、そいつは僕たちに襲いかかってきたんだ! 僕はなんとか助かったけど、他の班員はおそらくみんなやられてしまった…。あれはどういうことなんだ!? 獣人たちはみんな地下の隔離フロアにいるはずじゃなかったのか!?」
 彼は被検体たちを敢えて、その姿如何を問わず”獣人”と呼んだ。多くの研究員は、それを被検体や失敗作などと呼んでいたが、それはあまりにも可哀想だとしてデテンは敢えてそう呼ぶようにしていた。
 八神もデテンの前では素直な自分の姿を見せる。
「いえ、違うのよ。あれは……逃げ出したの。実験の最中に。まさか、こんなことになるなんて思ってもいなかった…」
「そうか…。でも八神さんが無事で良かったよ。それで、ここに避難してきた……ってわけじゃなさそうだね。上に何か言われたのかい?」
「話が早くて助かるわね。急いでその逃げ出した被検体をなんとかしなくちゃならないの……制圧部隊がここに押し掛けて来る前に。そうしないと、私はあの男にどんな目に遭わされるか…」
「制圧部隊だって…! ということは、もうこの話が上に伝わってるのかい!? いくらなんでも早過ぎる!!」
「あの男が報告したに違いないわ…。自分の立場を守るために……最低なやつ」
「僕も所長は苦手だな…。生活のためだから仕方ないけど、できればもっと別のところで世間に胸が張れるような研究がしたかったね…。それじゃあ、その逃げた獣人たちを……処分しなくちゃならないのか」
「ええ…。今回ばかりはいつものようにこっそりと隔離フロアへ回してもらうわけにはいきそうもないわね…。きっと、あの男は被検体の死体を確認しない限りは納得してくれない。すべての研究資料の確保と、機密処理の完了を見届けるまでは認めようとしない」
「……じゃあ、殺すしかないんだね。可哀想だけど。わかった、手を貸すよ。八神さん一人じゃ大変だろう? まずはここを襲った暴走したやつをなんとかしないとね。そいつは僕がやろう。麻酔銃を用意してくるよ」
「待って」
 準備に取り掛かろうとするデテンを八神は引きとめた。
「その被検体は……死んだわ」
「なんだって! そ、そうか…。さすがに手が早いな」
「私じゃない…! 誰かは知らないけど、襲われている人がいたのよ。なぜか銃を携帯していて、自己防衛のために……撃ったわ。一撃で仕留めた……かなりの腕前よ」
「それは逞しいな…。誰かは知らないけど、一度銃を教えてもらいたいものだね。それじゃあ、あとは事後処理だけかい?」
「いいえ、被検体はもう一人いるのよ。脱走騒ぎのどさくさに紛れていつの間にかいなくなっちゃったんだけど…。そっちはエイドが捜しに行ったわ。外に逃げてないといいけど…」
「入口は鍵がかかってたはずだ。窓から出られたらお手上げだけど…。それじゃあ、まだ中にいる可能性もあるんだね。まぁ、そっちはエイドに任せるとしよう。あいつは手荒だから少し心配だけど…」
「それがそうも言ってられないのよ。さっきも言ったけど、私たちには時間がない。制圧部隊が来る前になんとかしなければならない。それに一応、これでも実験班の主任なのよ。私も捜しに行くわ」
「僕も行ったほうがいいかい?」
「大丈夫よ…。それより事後処理の手伝いをお願いできる? あなたの事後処理のついででいいから、私の端末内の情報の抹消をお願い。書類のほうは捜索の足で寄って自分でなんとかするつもり」
「わかった、任せてくれ。僕はもう少しここにいるから、困ったことがあったら頼ってほしい」
「ありがとう。これが私のIDとパスワードよ」
 八神は自分の端末のログイン方法をデテンに教えた。その代わりに、デテンは八神に数本の麻酔弾を手渡した。
「麻酔銃はいつものところにある。その弾には麻酔薬の代わりに非適応薬が入ってる。幸運を祈るよ…!」
「あなたもどうか無事で…!」  

 非適応薬――
 これは被検者の適性をなくさせるための薬品だ。
 被検体に投与された薬品を適性のない者に投与するとその者はショック死してしまう。
 この非適応薬を被検体に投与し適性を失効させることで、その被検体を直ちに死に至らしめることができる。
 非常事態マニュアルは被検体の脱走に際しても想定されており、その場合においては非適応薬の使用が許可されることになっている。暴走して手がつけられなくなった被検体の処分に対してやむなく使用されるものだ。
 麻酔銃にこの非適応薬を詰めた弾薬を装填し対象に向かって撃ち出すことで、離れた位置から安全に暴走する被検体を鎮めることができる。
 なお、この薬品は研究区画において厳重に管理、保管されている。
 これさえあれば、万が一にもう一人の脱走被検体が暴走し、襲われた場合にもそれを対処することができる。

 八神は麻酔銃を手に入れると、まずは書類のある自分の研究室に向かうことにした。
 研究区画から近い西側のエレベータを利用して、八神の研究室のある一階へと降りる。
 八神の研究室は、エイドの研究室の隣にあった。西側からなら、エイドの研究室の前を通り過ぎていくことになる。
 エイドの研究室に差し掛かったとき、八神はその異変にすぐに気がついた。
「ひ、ひッ…!?」
 そこはまるで血の池。おびただしい量の血が床一面にぶちまけられている。
 その血の池の中に誰かが倒れているようだ。通路の角の視界になっていて誰かはわからないが、たしかにそこに誰かの脚が見える。恐る恐る近づいてそれを確認する八神。
 倒れている者の正体は服装と、すぐ近くに落ちていたライフルですぐにわかった。それは、被検体Yを撃ち抜いたあの見知らぬ女……アマンダだった。
 どうしてこんなところに……?
 こんな状態で無事であるわけがない。しかし、まだ息があるのかどうかを確かめようと、八神はさらにそれに近付く。
「う…ううっ…………!! こ、これは……。な、なんて無残なの……」
 アマンダの上半身はズタズタに引き裂かれていて目も当てられない。切り裂かれた胸部からは骨が剥き出しになっていて、その傷の深さが窺える。さらにアマンダの首から上は跡形もなくなっていた。ついさっきまでまだ生きていたのだろう、首からはまだどくどくと大量の血が流れ出している。
 もちろんその正体は予想がついているが、この様子だと彼女を引き裂いた犯人はまだ近くにいる可能性が高い。
 思わず後ずさる八神。
 すると、八神は何かに足を取られて尻もちをついてしまった。
 何か丸いものを踏んだような。こんなところにボールが? それとも、フラスコか何かの瓶でも転がっていたのだろうか。何気なしにそれを八神は手で拾い上げる。
 ぐにゃりとした感触。表面はぬるぬるしている。
 そして生温かい……。
「ひ、ひゃぁぁああぁあっっ……!!?」
 思わず投げ捨ててしまった。
 それはごろりと床に転がると、憎々しげに八神を睨みつける。
 それはエイドの頭だった。アマンダとは対照的に首から下がどこにも見当たらない。
 目は見開かれ、表情は恐怖と苦悶に歪んでいる。もともと歪んだようなエイドの顔がさらに酷い有様になっていた。
「エ、エイドまで……! まさか、そんな…ッ」
 嫌いだったとはいえ、短くない間を共に過ごしてきた仲だ。その見慣れた顔が……顔だけが目の前に転がっている。
 ついさっきまではことばも交わしていた。しかし、その口はだらしなく開かれていて、もう何もことばを発することはない。
 この事態は只事ではなかった。
 以前にも被検体が脱走するようなことは稀にあった。しかし、そのときはここまで大きな被害は出なかった。
「ど、どうして……こんなことに……。被検体Y…あの子……一体何なの!?」
 ぴた、ぴた……。
 水の落ちる音が聴こえる。……水道から水が漏れている? 何をこんな時に。
 それとも、これは涙が落ちる音? たしかに、いつの間にか八神の目からは恐怖の涙が流れ落ちていた。
 しかし、これはその音じゃない。
 ぼた。ぼたぼた。
 八神の顔にぬるぬるした生温かい液体がかかる。
 思わず上を見上げた。
「グォォオオオォォォオオオォォォオオオォッッッ!!」
 呼んだかい、とでも言いたげな顔がそこにはあった。
「あ、あなた……し、死んだはずじゃ……!!」
 慌てて麻酔銃を手で探るが…………ない!
 尻もちをついたときに落としてしまったのだろうか。麻酔銃は離れた位置に転がっていた。
 直接、麻酔弾を突き刺そうと弾薬を取り出そうとするが、頭の中が真っ白になって指が言うことを聞いてくれない。
 必死に麻酔弾をつかもうとしても、それは手から零れて落ちて逃げ出してしまう。自分もできることなら、すぐに逃げ出してしまいたかった。しかし、腰が抜けてしまったのか、よりにもよってこんなときに身体に力が入らない。
「や…やめ……ッ!!!」
 再び、研究所内に人狼の咆哮が響き渡った……。


To be continued...

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