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  • 大いなる意志1D

大いなる意志1D

最終更新:2013年07月06日 01:55

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第一章D「二人の旅立ち、再び(Dルート)」


 白髭を蓄えた老人は言った。
「我がヴェルスタンドは今回の一件には一切関与していない。どうか私を信じてくれ」
 そしてそれ以降はただ沈黙を守り、誰が何を言おうとも決してそれ以上に何も言うことはなかった。
 ここは大樹大陸の中央にそびえ立つ大樹のふもと。そこに設けられた公会議場、その名をアルバール。この大陸に存在するマキナ、フィーティン、ヴェルスタンドの三国のどこにも属さない協議の場所だ。
 今ここに三国の代表たちが集まっていた。
 すなわち、マキナ首相ガソイール。フィーティン王ウォーレン。そしてこの白髭の老人……ヴェルスタンド大統領ヘルツ。
 大臣たちを引き連れて、彼らは今この公会議場でひとつのある問題について議論していた。
「グメーシス! あれはかつてヴェルスタンドで生み出された精神兵器だろう!? 無関係のわけがない!」
「貴国は弁明すらもできないのか? 関係ない、やってない、でも信じろ。そんな話が本当に通用するとお思いかね」
「何か言ったらどうなんだ、ヘルツ!!」
 マキナやフィーティン二国の大臣たちは次々に野次を飛ばす。それでもヘルツやヴェルスタンドの者たちは何も言わなかった。
 グメーシスとは、かつてこの大陸で起こった戦争で生み出された兵器のひとつとされている。
 機械技術に優れるマキナ、軍事力に長けるフィーティン。それに対してヴェルスタンドが誇るのは科学力。その中でもとくにガイスト博士の精神体理論といえば、科学に携わらない者でも、子どもでさえもそれを知っている程のものだ。
 精神体とは、生物の生命力すなわち精神をエネルギーとして抽出したものであり、それは以前の常識を覆すほどの莫大なエネルギーを秘めている。それは電気に取って代わる新時代のエネルギーとして期待されていたが、当時のヴェルスタンド大統領はこれを秘密裏に兵器転用、それを用いて隣国マキナへと侵攻した。この戦争が原因で、マキナの国土の半分近くが海底に沈んだという。そのときに生み出された兵器のひとつとして考えられているのがグメーシスだった。
 銀色の身体に鰭状の手。足はなく、流線型の身体からはすらりと尾が伸びる不思議な存在、グメーシス。それぞれの個体の胴体にはなぜか文字の刻印があり、そこには「罪」と刻まれている。グメーシスには触れたものをなんでも塩に変えてしまう恐ろしい能力がある。
 こういった過去の事例があるからこそ、人々はヴェルスタンドを疑っていた。
 彼らの議論する問題とは、そのグメーシスに関わることだ。
 ヴェルスタンドがマキナに侵攻してから数年後、精神体が暴走してヴェルスタンド本国は壊滅的な被害を受けた。暴走した精神体の特徴から後に「HiveMind」と呼ばれるようになったこの事件に、精神体の発明者ガイスト博士は立ち上がった。彼は三国を説得して協力を取り付けると、苦闘の末についに精神体の暴走を食い止めて見せた。それ以来、グメーシスが姿を見せることもなくなった。
 それから20数年の時が流れた現在。姿を消したはずのグメーシスが突然現れ、各地で被害を出し始めた。
 「HiveMind」の一件以降、大陸の問題を三国でともに解決していこうという理念の下にこの公会議場アルバールは設立された。今回もこのアルバールで三国の代表たちが顔を揃えて議論を開始、そして今に至っている。
 精神体といえばヴェルスタンド。会議が始まってすぐにヴェルスタンドには疑いの目が向けられた。あとの様子は見ての通りだ。
 マキナやフィーティンの要人たちがひたすらに声を荒げてヴェルスタンドを責めている。対するヴェルスタンドは沈黙するのみだ。
 しばらくそんな状態が続いて議論はまるで進展する気配を見せなかったが、痺れを切らしたか、それまで押し黙って様子を窺っていたフィーティンのウォーレン王が言った。
「これではキリがないな。責任争いなど後でもできよう。まずは対策を打ち出し問題を解決するのが先決だ。
 そこでウォーレンはある男を召喚することにした。
「精神体のことは専門家に聞くのが一番だろう。あの男を呼び出すのだ。精神体の権威ガイスト博士を!」


 かつての精神体の暴走「HiveMind」で立ち上がったガイストは現在、救国の英雄としてよく知られている。だが、それ以来ガイストが歴史の表舞台に顔を出すことはほとんどなく、ここにその行方を知る者はいなかった。
 ヴェルスタンドで精神体を研究していたガイストだったが、その故郷はマキナ国だ。それならば彼はマキナにいるのではないか、そう考えてマキナ首相ガソイールは自国内に彼を招致する連絡を送らせた。
 しばらくして、アルバールの衛兵たちがマキナからの使者が到着したことを知らせる。誰もがガイストが顔を見せることを期待した。が、そこに現れたのは彼ではなかった。
『お待たせして申し訳ありません。ただ今到着しました』
「オレたちの助けが必要なんダって?」
 救国の英雄は全部で四人いる。一人は精神体の第一人者ガイスト。一人は現ヴェルスタンド大統領としてここにいる白髭の老人ヘルツ。
 そして残りの二人は……
「ゲンダー殿!?」
「それにあなたはもしや……メイヴ殿!!」
 そう、ガイストの代わりに姿を見せたのは残る英雄の二人、ゲンダーとメイヴだった。
 我らの勇気ゲンダー。「HiveMind」では先陣を切って暴走する精神兵器たちと戦い活躍した。
 我らの希望メイヴ。「HiveMind」では技術的なサポートでガイストを助けた。
 二人は英雄であるが、人間ではない。どちらも機械だった。
 ゲンダーはサボテンの姿をした機械、メイヴは筒状の柱のような姿の機械。どちらも機械ではあったが、まるで人と同じように自我と意識を持っていた。発展を極めた現代の科学でもそれがどうしてなのかは説明がつかず、そのメカニズムは彼らを発明したと言われているヘイヴ博士にしかわからない。
 彼らは機械であるが、人間と同じように心があり、そして英雄だった。
「何を驚いているんダ。オレたちを呼んだのはおまえたちダろう?」
 到着した二人を見て固まってしまった一同に向かってゲンダーが言った。
『正確にはガイストが呼ばれたんですけどね。まずは私たちが来た理由を説明しないと』
 それに対してメイヴは表示した。
 メイヴはゲンダーと違って直接音声を発してしゃべることはできない。が、空中にホログラムでできた画面を表示させて、そこに文字を映し出すことでコミュニケーションを取ることができる。この画面のことをメイヴは通称、遠隔モニタと呼んでいた。
 遠隔モニタを確認してゲンダーが答える。
「ああ、そうダった。実はガイストはちょっと訳あって来れないんダ。そこで代わりにオレたちが来たってわけダ」
『そういうことなんです。ガイストには劣るかもしれませんが、私たちも精神体に関してはよく知っているつもりです。現れたのが彼でなくてがっかりされていることでしょう。ですがご安心ください。私たちはあなたたちの期待に添う働きをするとここにお約束します』
 予期しない別の英雄の来訪に一同は驚いていた。その中で落ち着いた様子で声をかけたのはヘルツだった。
「まさかおまえたちが来てるれるとは…! 久しいじゃないか。元気にしていたか」
「もしかしてヘルツか!? なんダかずいぶん老けたな。大統領になったとは聞いてたが、どうやら仕事は大変そうダ」
『その立派なヒゲ、いいですね。最近アタマが薄くなってきたと嘆いている私の知人に分けてあげたいぐらいです。それで……今回はなんです? グメーシスがまた現れたんですって?』
「そうなんだ。だからこそガイストを呼んだのだが……そうか、あいつは来れないのか」
『いろいろありましてね…。なので今回は私たちが力になりますよ』
「こっちは準備万端ダ。しっかりとメンテナンスしてもらってきた。それで、オレたちはどうすれば? また精神体と闘うのか」
 そこでマキナ首相ガソイールが二人に声をかけた。
「なるほど、事情はわかりました。では早速ですが、ガイスト殿に代わってあなたたちにお願いしましょう。実は…」
 ガソイールが言うには、現在各地に出没しているグメーシスはかつて姿を見せていたグメーシスと酷似しているが、ひとつだけ違う点があるのだという。グメーシスは「罪」の刻印を身体に持っていたが、最近確認されるようになったグメーシスたちはそれとは異なる刻印をその身に宿しているらしい。彼らはこれをグメーシス亜種と定義し、その対策に当たろうとしているところだった。
 彼らは現在、大陸全土に出没しているグメーシス亜種の調査を予定している。グメーシスは触れたものを塩に変えてしまう能力を持っていたが、現在出没しているグメーシスたちは、それとは違う性質を示すのだという。そこでまずはそれぞれの対策を考えるために、亜種たちのデータを収集する必要があった。
 当初、彼らはそのデータをもとに専門家であるガイストの意見を聞こうとしていた。だが彼は事情があって来れないということがわかったので、その役目はメイヴに任せることにした。メイヴのデータベースにはこれまでの精神体との戦いから、それらに関する様々なデータが揃っている。ガイストの頭の中だけにしかない情報を除けば、精神体に関してのあらゆる情報がそこにあると言っても過言ではない。
「オレは?」
「ゲンダー殿は精神体との戦いの経験があると聞きます。そこで今回もそれを活かしていただきたいのです」
 データ収集のため、彼らは方々に調査団を派遣するつもりだ。しかし、それはただの安全なフィールドワークではない。人々を襲っている危険なグメーシス亜種と直接対峙してそのデータを取る必要があるため、調査団のメンバーは各国の兵士たちから構成されている。それは亜種たちに襲われる可能性があったからだ。
 そこでゲンダーはその調査団のひとつ、デルタチームに同行して調査をサポートすることになった。
「向かってもらいたいのは我が国マキナです」
「マキナ? なんダ。せっかく来たと思ったら、またマキナへ戻るのか」
「はい。二度手間になって申し訳ないのですが、先程マキナで新たな亜種が確認されたという情報が入ったのです。すぐに対応に移りたいのですが、私は今ここを離れることができません。それにグメーシス亜種は手強い。そこで君には調査団の一員を護ってもらいたいのです」
「なるほど。合点承知ダ」
 ゲンダーはこれを快く引き受けた。
『その間、私は何をすればよろしいでしょうか?』
「ええと、メイヴ殿は調査団が情報を持って帰ってくるまで待機してもらうことになっておりますな」
『ふむ…。でしたら、私もゲンダーに同行しますよ』
「なんですって?」
『あまり知られてないのかもしれませんが、私だって戦えるんですよ。むしろ、ゲンダーより強い自信があります』
 精神体の暴走の際にメイヴは技術サポートのみを行ったが、その理由はそのときはそれしかできなかったからだ。それ以前のヴェルスタンドがマキナに侵攻した戦争が原因でメイヴの胴体は破損し、当時のメイヴはデータ上だけの存在となっていたのだ。
 だが今のメイヴは破損した身体も修復されて完全な状態だ。こうであってこそ、初めてメイヴは全力を発揮できる。
「たしかに一人よりも二人のほうが安全性は増しますが……大丈夫なのですかな?」
『ガソイール、私を信じてください』
 メイヴがいなくなってしまうと今後の予定に支障をきたしてしまう。そこでガソイールはメイヴが無事に戻ることを絶対の条件に、メイヴの同行を認めることにした。
『心配はいりませんよ。たとえゲンダーがぶっ壊れて木端微塵になろうとも私だけはちゃんと帰ってきますから』
「勝手にオレを殺すなよ。まぁ、大丈夫ダ。自爆したことはあっても、メイヴが敵にやられたことは一度もないしな」
「わかりました。ですが、くれぐれも気をつけて…」
 こうして二人は調査団デルタチームに同行してマキナへと向かうことになった。
 その日は調査団の編成と準備に充てられ、翌日メンバーは出発に際して初めて顔を揃えることになる。


 地平線の向こうから太陽が昇り、大樹の陰を明るく照らす。空は快晴、絶好の調査日和だ。
 アルバール公会議場を背景に、ゲンダーとメイヴは地平線の向こうを見つめて感傷にふけっていた。
『大樹のふもと……なるほど、懐かしいですねぇ。ここはたしかシャトルミサイルで墜落したあたりでしたか』
「ダな。あのときはまだメイヴと会ったばかりダった。まさかあんなに無茶するやつダなんてまだ思ってなかった頃ダ」
『それは褒め言葉として受け取っておきますね』
 二人は大樹大陸では英雄として知られており、マキナの国旗にも描かれているほどの存在だが、実はどちらも大樹大陸の出身ではない。別の島でヘイヴ博士に作られた機械たちなのだ。彼らはヘイヴの遺言に従ってシャトルミサイルで大樹大陸にやってきた。それが彼らの「はじまり」であり、最初の旅立ちだった。そこからヴェルスタンドを経由してマキナへ到着。同じく英雄のガイストやヘルツと知り合ったり、精神体との戦いに巻き込まれていくことになったのだ。
『今回は久々に私も同行しますからね。再び私の雄姿が見られますよ。これは乞うご期待ですね!』
「まぁ、ほどほどに頼む。それでデルタチームの仲間っていうのはどこにいるんダ?」
『私の見たところでは、どうやらまだ来ていないようですよ』
 周囲にはいくつかの装甲車が並べられており、そのそれぞれに兵士たちが集まっている。おそらく、別の調査団チームだろう。隣にいるのがチャーリーチーム。今出発していったのはアルファチームか。ブラボーチームはまだメンバーが集まり切っていない様子だ。
『ふむ、陸路ですか。なんだか時間がかかりそうですねぇ。私たちが乗って来た小型飛行艇のほうがずっと早く着きますよ』
「でも『鮫』はそんなに大勢乗れないダろ。見たところ、三国の兵士たちがそれぞれ集まってる感じダが」
『そのようですね。どうやら各軍から小隊がひとつずつ合流して調査団を構成しているようです。こんなことなら、もっと大型の飛行艇で来るべきでしたね。例えば『鯨』とか…』
 そんなことを言いながら仲間の到着を待つ。
 隣では装甲車が大樹に激突したり、怒ったり笑ったりと、チャーリーチームは賑やかにやっている様子だ。自分たちのチームメイトはどんなやつだろう。うまくやっていけるだろうか、などと期待と不安を頭の中で混ぜ合わせていると、少しずつ周囲に人が集まり始めた。彼らがデルタチームの仲間のようだ。

 最初に現れたのフィーティン小隊だ。
 フィーティンは力を以って良しとする。軍事力に優れるこの国の兵士たちは誰もが屈強そうに見えた。……ただその一人を除いては。
「やあ、君たちが噂の英雄だね。僕はイザール。フィーティン小隊を率いている」
 他の兵士たちとはまるで違う、華奢でいかにも繊細そうな男が挨拶した。
『あなたが隊長さんですか。私がメイヴ、こっちがゲンダーです。どうぞよろしく』
「なんダか弱っちそうダ。最近じゃこんなのでも隊長になれるのか」
『しィっ、聴こえますよ! でもたしかに強そうには見えませんね』
「おまえこそ”見える”ぞ! オレと違って遠隔モニタじゃ小声にしたりできないダろ」
『じゃあ次から小文字にしましょう。それともモールス信号でいきます?』
 オホン――とひとつ咳払いをして、イザールが続けた。
「君たち、何か勘違いしているようだね。強さというのは何も力の強さだけがすべてじゃないんだよ」
『ほう…。なるほど正論です。チームとは一員が互いに協力してこそ真の力を発揮できるもの。前衛ばかりじゃ背中がガラ空きですからね』
「そうか。じゃあおまえは何衛なんダ?」
 よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりにブロンドの髪をかき上げながらイザールが言った。
「ふふん。僕は、そうだねぇ。まぁ美衛ってところかな」
「ビエイ? なんダそりゃ」
『なんということでしょう…。この私のデータベースに載っていない単語があったとは!』
「当然さ。だって僕が作った言葉だからね。ここに宣言しようじゃないか。フィーティンで最も美しい男は僕であると!」
 言ってイザールは懐から楽器を取り出した。それは片手で持てる程の大きさで、よく磨きこまれた銀の竪琴。その表面にはゲンダーやメイヴの姿、そしてイザールの顔が映り込んでいる。それを見つめて満足そうな笑みを浮かべると、イザールは竪琴を演奏し始めた。そして歌う。自分は美しいだの、輝いているだの、そんな感じの歌詞で。
「なんなんダ、こいつは。まったくもってヘンなやつじゃないか」
『まあまあ。こんなのでもいないよりマシです。それに「音」が精神体に有効だということはゲンダーもよく知っているでしょう? 何かの役に立つ可能性はあります』
 そのままイザールは自分の世界に陶酔してしまったので、敢えて触れずにそっとしておくことにした。

 続いて現れたのはヴェルスタンド小隊。声をかけてきたのは女性兵士だ。
「ごきげんよう。あなた方が噂の英雄様ですわね。わたしはシルマ、ヴェルスタンド小隊をまとめています。以後お見知りおきを」
「へぇ。さすがはヴェルスタンド人、さっきのやつとは違って真面目そうダ」
『おやまぁ、お嬢さんが隊長を? 時代は変わったんですねぇ』
「ええ、祖国を大切に想う気持ちに男女はありませんわ。さぁ、わたしたちで力を合わせてこの大陸を護りましょう!」
『熱心で大変よろしいです。それに容姿もなかなかよろしいです。これは調査団の士気も上がることでしょうねぇ、ええ! ところで失礼ながら、あなたはあまり兵士らしくはありませんね。あなたのようなお嬢さんがどうして小隊長に?』
 さっきのイザールも兵士にしては華奢だったが、目の前のシルマはさらに小柄で線が細い。まるでどこかのお嬢様が兵士に扮しているようにしか見えない。
「そ、それは……もちろん祖国を護りたいからですわ! それ以外に理由なんて必要ないでしょう?」
 問われてシルマは少し言い淀む様子を見せた。
 正式に調査団の一員として派遣されている以上は確かに兵士ではあるのだろうが、シルマのような令嬢がなぜ兵士をやっているのかは二人にはわからなかった。彼女の言い分はあるが、それだけで兵士の道を選んだとはどうにも納得がいかない。
(何か他に事情がありそうダな…)
 それ以上シルマは何も言わない。とりあえず沈黙を避けようとゲンダーは話題を変えることにした。
「ふぅん…。それでシルマは何ができるんダ。銃はちゃんと撃てるのか?」
『ゲンダー、今回の目的はあくまでグメーシス亜種の調査です。蹴散らしに行くわけではありません』
「わかってる。それに前衛として同行を依頼されたのはオレたちのほうダ。何も戦力に期待したわけじゃない。でも悪い意味で訊いたんじゃないんダ。なんというか……仲間である以上は把握しておこうと思って。その、何衛なのかをな」
 そして再びシルマに問いかけた。おまえの役割は何なのか、と。
 すると彼女は笑みを見せながらこう答えた。
「そうね……わたしはヒロイン担当と言ったところかしら」
「はぁ? 何を言ってんダ、おまえは」
「わたしの隊の仲間たちはいつも率先してわたしを護ってくれますの。ゲンダー様はどうしてだと思います?」
「……わからん。なんでダ」
「この美貌のおかげよ。だってほら……例えばわたしが敵に襲われていたら、護りたくなっちゃうでしょう?」
『ええ、もちろんわかりますとも。レディーを救うことはジェントルマンの義務ですからね』
「さすがですわ、メイヴ様」
 ゲンダーはため息を吐いた。
「やれやれ。こいつもイザールと同類か」
 ヴェルスタンドの小隊員たちは手を振ってみせるシルマに嬉しそうに応えている。なるほど、小隊の構成員はヴェルスタンド人の男ばかりだった。彼女が小隊長である理由が少しだけわかったような気がしないでもない。実力というよりは人望があるとでも言えばいいのか。
「つまり同じことですわ。わたしは祖国を愛してる。だから護りたくて戦ってる! ……これで納得していただけたかしら」
「……まぁいいダ。あくまでオレたちはゲスト、調査団の主役はおまえたちダからな。仲間を選り好みする権限はない」
『大丈夫ですよ、お嬢さん。危なくなったら私やこのゲンダーが必ずあなたをお守りしますからね!』
 言うように、前衛にはゲンダーとメイヴがいる。メイヴなら情報処理もやってくれるだろう。過去にもメイヴの能力は幾度となく活躍してきた。
 グメーシスすなわち精神体の弱点は過去の事件「HiveMind」からすでに判明している。それは音だ。精神体は物理的な干渉をほとんど受け付けないが、精神的干渉とくにパルス波のような衝撃に弱い。これに関しては、あるいはイザールの音楽が役立つのかもしれない。
 ゲンダーは過去の戦いを振り返ってみた。
 あの頃は……そう、他に仲間にはガイストやスヴェン博士、ヘルツがいた。ガイストは精神体について詳しかったし、多少は機械も操作できる。スヴェンはマキナの飛行艇技師、操縦にも優れている。ヘルツは機械には疎いがもとはヴェルスタンドの医者であり、その知識は精神体との戦いでガイストを救った。
「そうダなぁ。今このチームには機械を扱える者がいない。シルマ、おまえ機械はわかるか?」
「ごめんなさいね。わたし、箸より重いものを持ったことがありませんの」
 本当にこいつは兵士なのか。そんなことを思いながらゲンダーは再びため息を吐く。
 だが技術者についての心配は次に現れた男が色々な意味で吹き飛ばしてくれた。

「Hey, the Heroes! どんなやつらかと思ったらストレンジなマシンどもだな。Wanna meet you」
 最後に現れたのはマキナ小隊。そのほとんどはマキナ人だったが、その中にただ一人、大柄なフィーティン人の姿があった。彼はゲンダーたちを見つけると兵士たちを代表して声をかけてきた。どうやらこの男がマキナの小隊長らしい。
「なんダって……わなみーちゅう? こいつヘンな言葉を話すぞ」
『私のデータベースによると、どうやらフィーティンの旧語のようですねぇ…。ふむ、なるほど。フィーティンの一部地域では今でも方言としてその旧語が使われることがあるようです。どれ、あまり自信はありませんが、私が翻訳してみせましょう』
 フィーティン人の男はエラキスと名乗り、他の二人に同じく自己紹介を始めた。
「俺はマキナじゃちょっと名の知れた飛行艇パイロットなんだぜ。聞くところによると、おまえらもマキナから来たそうじゃねーか。だったらガーネットスターの名を聞いたことはねーか?」
『ガーネットスター…。うーむ、私のデータベースにはありません。申し訳ありませんね、ちょっと最近のことには疎くて…』
「メイヴ、おまえのデータベースの情報はもう古いんじゃないか? それ昔のままダろ。どこかで新しいのをインストールしたほうがいいぞ」
『私、辞書は自分で書き加えていくのがポリシーですから。で、ガーネットスターとは? 追記しておきますので』
 エラキスが答える。
「So pleased to be asked! ガーネットスターはマキナでの俺の異名だが、もともとはフィーティンの走り屋のことさ」
「おっ、メイヴ。またわからない言葉ダ。翻訳頼む」
『えー……「とても喜んで尋ねられます」ですかね』
「なんか不自然な訳ダな。それ、合ってんのか?」
『まぁ、機械翻訳なんて所詮そんなもんですよ。なんなら言語エンジンを切り替えて私がフィーティン旧言語を話すこともできますが?』
「それダとオレはもっとわからんぞ」
『そうですか。それはかわいそうに』
 気にせずエラキスは続けた。
 曰く、走り屋ガーネットスターの一員だった彼は、ある時マキナのとある博士にその操縦技術を見込まれて飛行艇パイロットにスカウトされたらしい。それでフィーティン人でありながら、彼はマキナに在籍しているのだ。
「That's so epic, huh?」
 エラキスは胸を張ってそう言ってみせた。
『えー、「それはとても叙事詩ですね」って言ってます。たぶんさっきの話を自伝にでも書くつもりなんでしょう』
「メイヴ、もういいダ。意味はわからんが、あいつの態度からたぶん自慢してるってことはわかった。……こいつも自惚れ屋か。ああ、どいつもこいつも」
 呆れた顔でゲンダーはまたしてもため息を吐いた。それとは対照的にエラキスはメイヴを見て笑っている。
「Ha-ha! さっきから面白いやつだぜ、メイヴ。それにホログラムメッセンジャーなんて珍しいもの使いやがって」
 彼の言うホログラムメッセンジャーとはどうやらメイヴの遠隔モニタのことらしい。聞くとエラキスは走り屋時代、よく自分のマシンを自ら改造して楽しんでいたので機械には造詣が深いのだという。懐に余裕があったわけではないので、ジャンクパーツだらけのつぎはぎマシンだったが、そんなマシンがちゃんと動いてくれる瞬間が最も面白かったのだそうだ。
 20数年前の当時には最新技術だったメイヴの遠隔モニタも、今となっては旧世代の技術となっている。それほどまでにマキナの機械技術は進歩していたが、そんなものよりもエラキスは古いものが活き活きと動いているのを見るほうが好きだった。いわゆる浪漫というやつだろう。ゆえにメイヴの遠隔モニタも彼にとっては興味深く思えるらしい。
「気に入ったぜ、メイヴ! So cool, ya!」
『それはなにより。ゲンダー、こんどは「すごく冷たいや」ですって。きっとゲンダーになかなか解ってもらえなくて寂しいんでしょうね』
「……待て。さすがにクールぐらいはオレでもわかるぞ。もしかしてオレが何も知らないと思って適当に言ってないか」
 するとメイヴはすかさずこう返した。
『Just your imagination(気のせいですよ)』
「Nasty!(そりゃ仕方ねーや)」
 それを見たエラキスは、さも面白そうに笑った。
 どうやらメイヴは初めからエラキスの”方言”を理解していたらしい。ただ何も知らないゲンダーをからかっていただけなのだ。そしてそのままメイヴとエラキスは、二人で会話に花を咲かせ始めた。もちろん、フィーティンの旧言語で。
「はぁ……もういいダ。オレはもう疲れた」
 二人はゲンダーを指差しながら何やら言っていたが、理解できなかったのでゲンダーは耳を塞いだ。


 さて、ようやくデルタチームの一員がここに揃った。
 目的地はマキナ、新たに出没したグメーシスの亜種の調査が任務だ。移動は複数台の装甲車に分かれて行う。すなわちマキナ兵たちが、フィーティン兵たちが、ヴェルスタンド兵たちが、それからゲンダーとメイヴと小隊長の三人が乗り込んだ車。リーダーとして、ゲンダーたちの車が後続の隊員たちをマキナまで先導する。
「これから俺たちはマキナへ向かうんだろ? だったら俺に任せときな! あくびしてる間に到着させてやるぜ!」
 エラキスが言った。さすがは元走り屋か、頼んでもいないのにもうハンドルを握ってエンジンを吹かしている。
『ではよろしくお願いしますよ、ブラザー。私のデータベースの「ガーネットスター」の項目はまだまだ空欄が多いですからね。まずはあなたの腕前を見せていただくことにしましょうか』
「ブラザー? おまえらいつの間にそんな仲になったんダ」
『言語の垣根を取り払った瞬間からです』
 親指を立ててエラキスは応えた。と、同時に車は急発進。彼らを乗せた装甲車は一路北東へ。爆音と振動と共に草原の路を走り出した。
 マキナのエラキス、フィーティンのイザール、ヴェルスタンドのシルマ。他、各国小隊の隊員一同。
 新たな仲間を引き連れて、ゲンダーとメイヴは再び旅立った。再びこの大地を、再びこの場所から。


第一章D 了

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