これは王都の古い塔から見つかったF1時代の古書から抜粋したものである。
我が国の歴史を知るための重要な資料としてそれをここに記す。(※印は注釈)
F2/芽吹の月/某日――記フィーティン王立図書院
我が国の歴史を知るための重要な資料としてそれをここに記す。(※印は注釈)
F2/芽吹の月/某日――記フィーティン王立図書院
「森の民」
プランティアの大陸南西部にはエルフィンと呼ばれる深い森が覆い茂っている。そこは魔物が出没すると噂され、好んでそこに近づく者は誰もいなかったが、そんな場所にも人が暮らしていた。彼らは森の名からそのままエルフィン族と呼ばれ、独自の文化や思想を持っていたことがわかっている。
エルフィン族は金の髪にブルーの瞳、雪のように白い肌を持つ男女ともに美しい容姿の種族。彼らは森をとくに重要視しており、森から出ることを嫌う。森で生まれて、森に生き、そして森で死ぬ。基本的にエルフィン族は森から出ることなくその一生を終えることになるが、例外的に森の外へ出る者もいるらしく、そういうエルフィン族は吟遊詩人になることが多かったという。我が国フィーティンの酒場にも一人の吟遊詩人がいるが、彼もまた森を離れたエルフィン族の末裔だと考えられる。
調査によれば、エルフィン族はこの大陸に最も古くから暮らしていた一族のひとつであり、大陸中央にそびえ立つ大樹は(ハイリヒトゥム人は神が植えたものだと強く主張するが)彼らが植えたのではないか、という説も存在する。
エルフィンの森の北にあるハイリヒトゥム国では大樹を神聖視しており、この説を見れば二者はまさに対立する位置にあり、大樹のあり方を巡ってエルフィンたちとハイリヒトゥム人たちは争いを重ねてきたとこれまでは考えられていた。
そんなエルフィンたちとハイリヒトゥムの間で過去に意外な動きがあったことが最近わかった。それはエルフィンたちの間に伝わる歌から知ることができるが、それは現在考えられているエルフィンとハイリヒトゥムの関係を覆すことになるのではないかと我々は注目している。
以下に記すのは、そんな彼らに伝わる歌の歌詞をフィーティン語に翻訳したものである。既に滅んだ森のエルフィン族や、大樹についての研究を重ねている学者諸兄には是非とも参考にしていただきたい。――著フィーティン王立大陸史研究院※
(※現在の王立図書院の前身だと考えられる)
エルフィン族は金の髪にブルーの瞳、雪のように白い肌を持つ男女ともに美しい容姿の種族。彼らは森をとくに重要視しており、森から出ることを嫌う。森で生まれて、森に生き、そして森で死ぬ。基本的にエルフィン族は森から出ることなくその一生を終えることになるが、例外的に森の外へ出る者もいるらしく、そういうエルフィン族は吟遊詩人になることが多かったという。我が国フィーティンの酒場にも一人の吟遊詩人がいるが、彼もまた森を離れたエルフィン族の末裔だと考えられる。
調査によれば、エルフィン族はこの大陸に最も古くから暮らしていた一族のひとつであり、大陸中央にそびえ立つ大樹は(ハイリヒトゥム人は神が植えたものだと強く主張するが)彼らが植えたのではないか、という説も存在する。
エルフィンの森の北にあるハイリヒトゥム国では大樹を神聖視しており、この説を見れば二者はまさに対立する位置にあり、大樹のあり方を巡ってエルフィンたちとハイリヒトゥム人たちは争いを重ねてきたとこれまでは考えられていた。
そんなエルフィンたちとハイリヒトゥムの間で過去に意外な動きがあったことが最近わかった。それはエルフィンたちの間に伝わる歌から知ることができるが、それは現在考えられているエルフィンとハイリヒトゥムの関係を覆すことになるのではないかと我々は注目している。
以下に記すのは、そんな彼らに伝わる歌の歌詞をフィーティン語に翻訳したものである。既に滅んだ森のエルフィン族や、大樹についての研究を重ねている学者諸兄には是非とも参考にしていただきたい。――著フィーティン王立大陸史研究院※
(※現在の王立図書院の前身だと考えられる)
『アルヴェリッヒの嫁入り』
おお、美しきアルヴェリッヒよ。
彼女は我らの宝。誰もが彼女に好意を寄せる。
水の湧き出る泉、そのすぐ傍に暮らすアルヴェリッヒよ。
彼女は我らの憧れ。誰もが彼女に想いを寄せる。
彼女は我らの宝。誰もが彼女に好意を寄せる。
水の湧き出る泉、そのすぐ傍に暮らすアルヴェリッヒよ。
彼女は我らの憧れ。誰もが彼女に想いを寄せる。
けれども彼女は森を去った。
北からやってきた森の外の者が彼女を連れ去った。
けれども彼女は抵抗しなかった。
北からやってきた森の外の者は彼女を魅了した。
北からやってきた森の外の者が彼女を連れ去った。
けれども彼女は抵抗しなかった。
北からやってきた森の外の者は彼女を魅了した。
なぜならそれが彼女の望み。
誰も彼女の愛を引き裂けなかった。
なぜならそれが彼女の喜び。
誰も彼女の心を射止められなかった。
誰も彼女の愛を引き裂けなかった。
なぜならそれが彼女の喜び。
誰も彼女の心を射止められなかった。
アルヴェリッヒは北の男と結ばれて、北の国の女王になった。
我らの宝は北の国に奪われてしまった。しかし北の国を恨んではならない。
アルヴェリッヒは自ら北の国の男を選び、女王になることを選んだ。
我らの親戚北の国。それを憎むのはアルヴェリッヒを憎むこと。
我らの宝は北の国に奪われてしまった。しかし北の国を恨んではならない。
アルヴェリッヒは自ら北の国の男を選び、女王になることを選んだ。
我らの親戚北の国。それを憎むのはアルヴェリッヒを憎むこと。
称えよう、アルヴェリッヒ。
彼女は我らと北の国を結ぶ縁。
称えよう、????(未知の単語、翻訳不能。おそらくエルフィンたちにとってのハイリヒトゥムの呼び名)
彼らは我ら同様アルバス※を知る者。
共に歩もう、我らと彼らは。大樹と共に、森と共に…。
彼女は我らと北の国を結ぶ縁。
称えよう、????(未知の単語、翻訳不能。おそらくエルフィンたちにとってのハイリヒトゥムの呼び名)
彼らは我ら同様アルバス※を知る者。
共に歩もう、我らと彼らは。大樹と共に、森と共に…。
(※アルバス:フィーティンにはこのような言葉はないが、歌詞によると当時のハイリヒトゥムにはあったようだ。調査検討中)