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魔法戦争4

最終更新:2017年06月03日 23:36

jelly

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Chapter04「地竜族の少女」



 火竜の国ムスペルスへ向かうため、フレイたちは王都の港に来ていた。
 港地区ヘイムダル。ここは王都バルハラの空の玄関口であり、国内外問わず多くの人間がここを利用する活気のある場所だった。
 だが輸送船や旅客船の行き交い賑わいをみせているはずのここも、最近では例の戦争の噂が原因なのか、賑わいを失っているようにみえる。

「どうだった、オットー?」

 船の確認から戻ってきたオットーは首を横に振った。

「駄目ですね。緊張が高まっている今、ムスペルスには船は出せないと言われました。それに王命で入国制限もかけられているようで、ムスペルスから来ている船もないそうです」
「それは困ったな。トロウが僕たちの生存を知れば追手を仕向ける危険がある。できれば気付かれる前に国を抜け出したいんだけど…」
「それじゃあ個人所有の船をあたってみるのはどうっすか? おれたちだけなら小型船でも大丈夫だし、戦争が近いともなれば商売も上がったりっすから、船を手放そうと考える人もきっといるはずっすよ」
「ふむ。船を買い取る、か。たしかに僕たちが自由に使える船があったほうが色々と便利ではあるけど……今は懐事情があまり良くないのが痛手だなぁ」

 そう言ってフレイは何も入っていない懐を叩く。
 城を抜け出すときに十分な資金や食料を持ってきていたはずだった。しかし、せっかくの備えもトロウの洪水に襲われた際に流されてしまい、ほとんど手元に残っていなかった。
 僅かに残ったのは、荷物とは別にポケットに入れていた小銭が少しと地図一枚だけ。防水魔法がかかっているので地図は無事だったが、紙幣は水に濡れて使い物にならなくなったので、資金としては僅かばかりの金貨だけが手元に残った。そこにオットーやセッテの所持金を加えたとしても大した金額にはならない。そしてそれも港の市場でこれからの食料などを用立てした結果、あとは往復の船賃が人数分程度しか残らなかった。

「うぅ~。フレイ様は王子なのに、なんでお金に困らなくっちゃならないんすか」
「トロウの目がある以上、城には戻れない。ないものは仕方ないな」
「全部トロウのせいっす! あいつのせいで、おれも荷物を無くしちまったんすから。お守り代わりに持ってきた炎の剣も無くしちまった。あれはセッちゃんからもらった大事なものだったのに!!」

 いきなり出てきたセッちゃんに首を傾げるフレイ。
 そこにオットーが補足説明する。

「セッテがムスペで修行していたときの知り合いです。しかし炎の剣レーヴァテインか……惜しいものを無くしてしまったな。貴重な品だと聞くし、武器としても強力なものだと聞いていたが」
「そっすよ。おれは剣術はできないけど、あの剣を持っているだけで、剣に込められた魔力の影響でおれの火の魔法がパワーアップしてたんだ。それなのに……トロウめ! 絶対に許せないっす!!」
「まったくだな。売ればいい資金にもなったのに」
「ちょ、兄貴! そりゃひどいっすよ」

 ともかく船がないお金もないではどこへ行くこともできない。いきなり出端をくじかれてしまい途方に暮れていると、港の中心街のほうから何やら騒がしい声が聞こえてきた。何事かと様子を見に来た人だかりができている。フレイたちも人陰に紛れて様子を窺うと、どうやら兵士たちが市民に呼びかけているらしい。

「このあたりに『カペレイオン』という店があるはずだ。知っている者がいれば我々に教えてほしい!」

 声を張り上げているのは治安維持部隊エインヘリアルの面々。
 王都の秩序を守るために組織された兵士たちで、言わば警察のようなものだ。
 どうやらそのカペレイオンとかいう店に用があるようだが、どうも穏やかな様子ではない。というのは彼らが武器を手にしていたからだ。

「かぺれいおん? 聞いたことない名前っすね。やつら、何しに行くつもりなんでしょう」
「王子、エインヘリアルは城からの命令を受けて動くのでトロウの息がかかっている可能性もあります。できれば今は関わらないほうが良いかと」
「ああ。それはわかってる……。わかってる、けど……」

 エインヘリアルは市民から情報を得ると、隊列を揃えてカペレイオンがあると思われるほうへと駆けていった。
 あんなに急いで一体何事なのか。それにあの武装もただごとではなさそうだ。たしかに彼らは、平時の見回りでも最低限の武装はしているのだが、それでもせいぜい護身用および牽制用の槍を一本持っている程度だ。
 しかし先ほどの彼らの武装は、重鎧を身にまとい、斧剣に銃まで携えているなんて、まるで戦いにでも行くような様相ではないか。
 その違和感をフレイはどうしても見逃すことができなかった。

「やはり気になる。何か事件があったのかもしれない。行ってみよう」
「フレイ様、危ないっすよ。兄貴の言うように近づかないほうが……」

 しかし言って聞くような王子ではない。様子を見るだけだからと押し切って一人飛び出していってしまった。仕方なしに従者二人はフレイに続き、付かず離れずの距離を保ちながら兵士たちのあとを追うことになった。
 裏路地を抜けて進んでいくと、兵士たちはある店の前で立ち止まった。

「おっと。あそこがカペレイオンみたいっすね」
「しっ、静かに」

 兵士たちは恐る恐る店の中の様子を窺っている。そして同様に、少し離れた場所の建物の陰から、フレイたちはそんな兵士たちの様子を窺う。
 店のほうを見ると、屋号を表す看板も出ていないし、明かりも消えているのか遠巻きからは中の様子はさっぱりわからない。そこそこ大きな建物のようだが古びていて、言われなければ空き家かと思うかもしれない。一体何の店なのだろうか。

 するとついに兵士たちは意を決して、次々と店の中に飛び込んでいった。まるで強盗が立て篭もるところにでも突入していくのかといった勢いだ。
 そして中で何が起こっているのか、続いて大きな声が聞こえてきた。

「貴様がジオクルスだな。王命により貴様を連行する!」
「ほう? 私には何も心当たりはないのだが。もし断ると言ったらどうなる」
「武力行使もやむを得ない。さあ、我々とともに来るんだ」
「それはできぬ相談じゃのう。なんじゃ、その剣は? まさか非道にも、こんな私に切りかかろうと言うわけじゃあるまいな」
「くっ……ためらうな! 見た目に騙されてはいけない。トロウ様からの話ではこの者の正体は――」

 そこで一旦会話が途切れた。
 そして少しの後に、店の中からは怒号と悲鳴が聞こえ始める。
 店の外で聞き耳を立てていたフレイは、従者の二人が止める間もなくすでに飛び出していた。
 ここで出ていけば結果的にトロウに見つかることになるかもしれない。
 しかし止められるかもしれない争いを無視して逃げるような真似は、フレイにはできなかった。
 その正義感があるからこそ、彼は城を飛び出すことを決意したのだから。
 そして力強く正面の扉を開け放って叫ぶ。

「武器を収めろ! これは一体何の騒ぎだ!!」

 そして真っ先に目の飛び込んできた光景にフレイは息を呑む。

「なっ……これは!?」

 悲鳴を上げていたのは、ジオクルスと呼ばれていた店の者ではなく兵士たちのほう。しかもその兵士たちは倒れてうずくまっており、何より目を引いたのは店の中央に大きな竜がたたずんでいることだ。
 なぜこんな街中に竜が。それも店の中に。
 目を疑い、思わず後ずさる。と、そのとき、

「王子!」「フレイ様!」

 身を案じたオットーとセッテが店に飛び込んでくる。
 その声に一瞬振り返り、再び視線を正面に向けると、

「……えっ」

 そこに竜の姿はすでになかった。

「い、今のは。目の錯覚か?」

 しかし店内のどこを捜しても竜の姿はない。
 何よりあの大きさだ。背丈は天井にまで届くほどのもの。どこかに隠れようなんてあるはずもなく、まさしく突然消えてしまったとしかいいようがない。

「王子、大丈夫ですか」
「あ、ああ。僕はなんともない。だがこれは一体……」
「兵士が倒れていますね。ということは戦闘行為があったということ。何者かはわかりませんが、これをやった者がまだ近くにいるはず。王子、ここは危険です。どうか下がっていてください。ここは私が」
「竜……」
「え? 王子、今なんと?」
「竜だ。竜を見たんだ」

 言われてオットーとセッテも店内を見回すが、やはりそんな姿はどこにもない。

「フレイ様。夢でも見たんじゃないっすか? こんなところに竜だなんて。もしそうだとして、こんな狭い入口からどうやって入るんすかね。ほら、どこにも竜なんて…………あっ」

 セッテが小さな叫び声を上げる。

「子どもがいるっすよ! どうしてこんなところに」

 店のカウンターの後ろを覗き込むと、小さな少女が身体を丸くしてその隙間に隠れている。少女は驚いて目を丸くするが、構わずセッテは手を差し伸ばした。

「お譲ちゃん、こんなところにいたら危ないっすよ。ほら、おれが外に連れてってやるっすから」
「ま、待て! そいつに近づくな……そいつは、その少女は…!」

 すぐ近くでうずくまっていた兵士がセッテを呼び止めた。
 慌てて伸ばしかけた手を止めると、なんと少女は牙を剥いて噛み付いてきた。
 口は大きく裂けて、まるで竜の顎のようだ。そのまま手を伸ばしていたら手首から先を食い千切られていただろう。

 いや竜のようではない。まさに竜そのものだった。
 少女の影が見る見るうちに大きくなると、小さな少女は大きな竜に姿を変えた。

「なっ……こ、こいつ。化け物!?」

 咄嗟に飛び退き、攻撃態勢を取るセッテ。
 オットーも前に出てそれに加勢しようとする。

「待て、二人とも」

 しかし、フレイがそれを制止する。

「なぜ止めるのですか! 危険ですから下がっていてください。ここは我々が!」
「そうっすよ! きっと兵士たちもこいつの存在を知って討伐に来てたんすよ!」

 なおも竜に立ち向かおうとする二人にフレイは今度は語調を強めて言った。

「やめろ、二人とも! 命令だ。一旦下がれ」
「王子? どういうことですか」
「あれを見るんだ」

 周囲には数人の兵士が倒れていたが、その誰もが怪我をしているわけではないようで、ふらつきながらもすでに起き上がろうとしている。
 竜は強大な力を持つ存在だ。その気になれば人間など簡単に殺してしまうことさえできる。だがここにいる誰一人として怪我をしていない。

「だから確信した。あの竜に敵意はない」
「……あの~。危うくおれの手が食べられちゃうとこだったんすけど」
「聞かせてくれ。君は何者だ。どうしてここに?」

 フレイは竜に問いかける。
 すると竜の身体が光に包まれて、再びさっき見た少女の姿に変わった。

「どうやらお主は話がわかるようじゃの」

 少女はジオクルスと名乗った。
 ジオクルスは地竜の一族であり、ここでひっそりと魔具と呼ばれる魔法に使う道具を扱う店を営んでいるという。

「店主? こんなお譲ちゃんが? 一体何の冗談っすか」
「黙れ小僧。これでも私はおまえなんかより遥かに長く生きておるのじゃぞ」
「でもどう見たって、見た目はちびっこじゃないっすか。ほら、アメちゃんあげるっすよ」
「貴様……愚弄する気か。よかろう。その飴はいただく。ただし、貴様の腕ごと食ってやる」

「待て待て!」

 勝手ににらみ合いを始めた二人をフレイが慌てて止めに入る。子どもが地竜で、地竜が店主で、なにがなんだか訳がわからない。

「そうじゃのう。どうやらお主らは何も知らんようじゃし、イチから説明してやらねばならんようじゃな。時にお主ら、地竜族に会ったことはあるか? まあ、その反応から見るにないのだろうが…」
「ふん。全然見ないからただの伝説か、とっくに滅んだのかと思ってたっすよ!」

 頭から湯気を昇らせながら、まだ気が治まらないセッテが言った。
 ジオクルスはセッテを再びにらみつけたが、オットーがセッテの耳をつかんで端へと引っ張っていったのを見届けると、静かに話を続けた。

「不思議に思っていたことじゃろう。皆が地竜を知っているのに、誰も地竜に会ったことがない。まあ、それも当然じゃな。なぜなら地竜族は普段はこうして人間に化けておるのでな。気付いていないだけで、我らはすぐ近くにおるのだ」
「それも魔法の一種なのですか。しかしなぜ?」
「うむ。我ら地竜の一族はお主らの祖先にこの地を譲った。その時から我らは共存を望んでおった。そのためには人間というものを理解する必要がある。ではどうすれば理解できるのか。それは共に生活してみるのが手っ取り早い。だが人間の家はどうも狭くていかん。だから人間に化けることを覚えたのじゃ」
「なるほど。では地竜は実はすぐ身近なところにいると」
「他のやつらのことは知らんが、おそらくそうじゃろうの。それにこの姿のほうが身体が小さい分、食費がかからなくて済む」
「は、はぁ……」

 フレイは少し複雑な感覚だった。
 地竜族が人間に姿を変えて、市民たちと共に生活を送っている。しかも今まで誰もそれに気付かなかったのだから驚きだ。それほどまでに地竜族は人々の生活にうまくとけ込んでいるのだろう。他の竜に比べて人間に友好的だと言われているとはいえ、これほどまでとはフレイも思ってはいなかった。

「こ、これは大変なことを聞いてしまった。おい皆、動けるか。これは忌々しき事態だぞ。すぐに城に報告せねば」

 これまでの話を聞いていた兵士たちが色めき立ち、今にも店を飛び出していこうとしている。

「おっと。こいつらの事を忘れておったのう……それ」

 と、ジオクルス落ち着いた様子で指をパチンと鳴らした。
 すると兵士たちは一瞬気が遠くなったようになってハッと我に還ると、その誰もがジオクルスに関する記憶を失っていた。

「ここは……我々は一体何をしていたんだ?」

 混乱する兵士にジオクルスが答える。

「すごいね、おじちゃんたち! おっきな竜をおいはらっちゃった」
「えっ、あれ? そ、そうか。我々はジオクルスを撃退し……しまった! トロウ様は生け捕りにしろと仰っていたのに」
「まずいな。トロウ様の機嫌を損ねるとどんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。お譲ちゃん、竜はどっちへ行ったか見なかったかい? 知ってたらおじさんたちに教えてほしいんだが」
「あっちへとんでいったの。おしろをとびこえてむこうのほう」
「そうか、ありがとう。……東側。ということはシレスティアルか!? 皆の者、すぐに出発だ。遅れるな!」

 兵士たちは足並みをそろえて慌しく飛び出していた。
 それを笑顔で見送った少女は、もうすでにあどけない表情をしていない。

「とまぁ、ざっとこんなもんじゃのう」
「記憶を操ったのか!? さすがは竜、なんて高度な魔法を使うんだ。今まで存在に気付かなかったのも納得がいく」
「ふふん、どうじゃ。こんな魔法が自分たちにも使えれば……そう思わんか?」

 言われて思わずドキリとしたところで、フレイは初めて気がついた。
 ジオクルスと兵士とのやりとりを見ながら、トロウの追手のことが頭をよぎったのは確かだ。今はジオクルスのことで頭がいっぱいの様子ではあったが、エインヘリアルたちに関わってしまった以上、いずれトロウのところに自分たちのことも報告が行くだろう。
 そうなれば追手を差し向けられるのは時間の問題。船もないのに、どうやって切り抜けるかを心のどこかで気にしていたのだ。

「ジオクルス殿。どうしてそれを?」
「私のことはクルスで良い。王城の兵士の中にも地竜がおってのう。ある程度の情報は入ってくるのじゃ。フレイ王子がトロウに歯向かい、その翌日姿を消したということもな。さっき王子と呼ばれていたから、お主がフレイなんじゃろう。そして消えたはずの王子が港にいるということは……あとは考えるまでもない」
「まるで密偵だな。疑うわけじゃないが、どうして城にまで地竜が? そしてなぜそれを僕には話した。兵士たちの記憶は消したのに、僕にはそれをしないのも気になる」
「私は以前よりあのトロウという男を危険視しておった。ここはお主らの国であると同時に我らの地でもある。それを守りたいと思うのは同じこと。そういう意味ではお主とは気が合いそうだと踏んだ」

 にやりと笑いながら、クルスはフレイの目をじっと見つめて言った。

「そこでどうじゃろうか。お主、私と手を組まぬか」

 トロウを探っていたクルスもまた、トロウに追われているのだという。今回の竜狩りはその一環だ。
 さらにクルスは自分に協力してくれるなら魔導船まで提供してくれるという。
 フレイたちのことはどうやらどこまでもお見通しらしい。恐るべし、地竜の情報ネットワークは侮れない。

「代金はいらぬ。私と同行する、それだけが条件じゃ。それで船はくれてやる。どうじゃろう、悪い話ではないと思うが」

 たしかに願ったり叶ったりの条件だ。しかし、さすがに話がうますぎる。
 代わってオットーが尋ねた。

「貴殿がトロウの刺客でないという確証は? 船で釣っておいて、背後から襲われてはかなわん」

 するとクルスは驚いた表情に変わった。

「なに? ここまで良い条件を出してやっておるのじゃぞ。それなのにお主らは、まだ信じられぬと言うのか」
「信じるも何も、我々はまだ会ったばかりだ。信用などできるわけがないだろう」

 反論されるとこんどはクルスの顔が悔しそうな、あるいは焦ったような色に染まる。

「な、な、な……なんて頭の堅いやつらじゃ! おかしい……こんな筈では……。人間っていうものは、甘い言葉をちらつかせてやれば、簡単に乗っかるようなイキモノなんじゃろう。そうじゃろう、なあ?」
「それが地竜たちが人間の生活にとけ込んでつかんだ答えか? だとしたら、おまえたちは全然人間を理解できていないな。我々の動向を見抜いた観察眼には感服するが、内面までは見抜けないと見える」

 指摘されてこんどはクルスの顔が赤くなる。

「へぇ。表情がころころ変わって面白いやつっすね」
「う、うるさいうるさいッ! わ、私にも竜族としてのプライドがある! それをお主らは……ええい、くそう。し、仕方ない。私がトロウと繋がっていない証拠があればよいのじゃな。ならばこれを見よ」

 クルスは背中を向ける。と、そこからバサッと二対の翼が飛び出した。少女の身体には似合わぬ大きな竜の翼だ。よく見ると、その翼の片方は負傷しているようで少し痛々しい。

「トロウにやられた傷だ。このせいで私は空が飛べない。ふん、これで満足じゃろう? お主らも私もトロウには借りがある。そして奴に追われているというのも同じ。と、飛べないのも……同じじゃ。ほれ、利害は一致したぞ。その上で私は言っておるのじゃ。今なら特別に私に協力させてやってもよいぞ、と」

 背中から翼を生やした少女は、精一杯胸を張ってみせる。竜の姿ならあるいは違ったかもしれないが、少女の姿ではただ強がっているように見えるだけで、さっきからまるで威厳がない。いや、それは姿のせいだけでなく、顔を赤く染めているせいもあるだろう。

「協力させてやる? こちらにおわすお方とどなたと心得る。恐れ多くも時期国王になられるフレイ王子であらせられるぞ。竜だろうが人だろうが、この国に暮らす者なら変わりない。その点、おまえは頼み方がなってない。やりなおし!」
「お、オットー。何もそこまで…」
「なりません、王子! あなたはいずれこの国を継ぐお方。たとえ竜だろうと、なめられるわけにはいきません」

 しばらくクルスは悔しそうな顔をしていたが、いや、なおも悔しそうな顔をしながら、それでも身体を震わせながら頭を下げた。

「ぐぎぎ……わ、私に協力してください。お願い……します……」

 その顔が赤かったのは悔しさからなのか、それとも人間相手に頭を下げることを恥ずべきことと感じたからか。
 ともあれ、オットーはようやく納得した様子でクルスの提案を受け入れる気になったのだった。

「さあ、王子。こう言ってくれてることですし、ここはご好意に甘えさせてもらいましょう。船も手に入ったわけですから」
「ご、ご好意……? ま、まあ。そういうことなら……よろしくね。クルス」
「ね、フレイ様。兄貴って馬鹿真面目っすけど、ちょっとSっ気あるっすよねぇ。んじゃよろしくっす、お譲ちゃん。ほら、アメちゃんやるから泣かない泣かない」

 涙目のクルスを旅の仲間に迎えた一行は、彼女より船を譲り受けて、ようやくムスペルスへの一歩を踏み出すことになる。

(くそぅ~。赤いやつも緑のやつもきらいじゃ)


Chapter04 END

魔法戦争5
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