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  • 魔法戦争26

魔法戦争26

最終更新:2017年07月22日 00:27

jelly

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Chapter26「ちびっこ戦記3:おまえもぬいぐるみにしてやろうか」



 そのままわたしは心の中で泣き続けた。
 やがて泣き疲れて、頭がぼーっとしてきた。24時間経てばこの意識も消滅してしまい、わたしは完全にぬいぐるみに変わってしまう。でも今だけは悲しみも恐怖も薄れていた。

(ああ、本当にどうしよう。このままじゃいけない。でも今のわたしには何もできることがない。動けないから、こうやって悩むことしかできないんだ……)

 もしこの意識も消えてしまったら、わたしはどうなってしまうんだろう。
 今のわたしにはすべての感覚がないから、この意識だけがすべてだ。
 じゃあそれがなくなったら?































 無になるのかと思って、しばらく何も考えないでいてみた。
 でも何も考えずにずっといるというのは無理な話だ。

 身体の感覚がなくなったときはどうだった?
 最初は手足の感覚がなくなって、まるで自分が蛇になってしまったかのような感じがした。でも今は元からわたしには手足なんてなかったかのようにさえ感じている。手足という概念そのものがわたしの中から消えてしまった。

 同じように意識が消えたら、もともと意識なんてなかったかのように感じるんだろうか。わたしの中から意識という概念が消えて、でもそのときはそれを感じ取るはずの意識がどこにもないんだから、だったらそのときわたしはどうなってしまうんだろう。

 何も考えない。何も感じない。ただそこに存在するだけのモノとしてわたしは在り続けることになるんだろうか。それはまさしく、ぬいぐるみそのものだ。
 在るというよりは有るだけのモノ。いや、もはや物だ。それは果たしてわたしと言っていいんだろうか。少なくとも、今それを想像している「わたし」ではない。

(そんなの死んでるのと同じだ。早くなんとかしないと……)

 残り時間は多くない。黒猫は24時間経つとわたしは完全にぬいぐるみ化すると言っていたけど、あと何時間なのかは教えてくれなかった。
 この身体はお腹も空かないし、空気を感じることもできないので、時間の経過というものがさっぱりわからない。何も見えないから昼か夜かもわからない。

(うう……。いやだ。こわい。誰か助けて……)

 そのとき脳裏にセッテの顔が浮かんだ。
 そうだ、セッテだ。ここにはあいつといっしょに来たんだから、近くにあいつもいるはずだ。そしてたぶん、わたしと同じようにあいつもぬいぐるみの姿に変えられているはず。

(セッテ? 近くにいるのか? 聞こえたら返事しろ)

 さっき黒猫はわたしの心の中に直接話しかけてきた。もしそれと同じことができるなら、なんとかセッテと連絡を取ることができるかもしれない。二人で協力すればなんとかこのピンチを切り抜けられるかもしれない。

 そう願ったが、いくら呼びかけてもセッテの返事はなかった。

(ぬいぐるみだからできる特殊能力とかそういうんじゃなさそうだな。ってことはたぶん、あれも魔法の一種。猫のくせに魔法を使うなんて生意気な。でも魔法でできるなら、わたしでもやってみればできる可能性がある!)

 噂には聞いたことがある。あれはたぶん、てれぱしーとかいう魔法だ。
 遠く離れたところにいる相手に自分の考えたことを伝える魔法。転移魔法の一種で、その中でも初歩の部類だったはず。初歩ならきっと難しくない。

 転移魔法は精神魔法に分類される。つまり精霊の力を借りずに自分の魔力だけでできる魔法だ。だから精霊に力を借りるための呪文が必要な精霊魔法と違って、ややこしい呪文を唱えなくても精神魔法は使うことができる。

 わたしは心の中で必死に念じてみた。

(セッテに伝われセッテに伝われセッテに伝われ……)

 でもだめだった。
 やり方をちゃんと勉強したわけじゃないから、急にやろうとしてもできるわけがなかった。そもそもやり方がこれで合っているのかも怪しい。

(じゃあどうする? 何か他に魔法でできそうなことは?)

 そうだ。身体がなくても心があれば魔法は使える。
 口がないから呪文は唱えられないかもしれないけど、呪文がいらない精神魔法なら何も問題はない。

 まずは空中浮遊の魔法だ。
 空を飛べないニンゲンの魔道士が使っていると本で読んだ。
 動けなくても、その魔法で身体を浮かせれば動けるかもしれない。
 そう思ってそれを試してみた。けど、結果はわからなかった。
 だって身体の感覚がないんだもん! 浮かんだのかどうかさえ確かめられない!

 だったら次は魅了の魔法だ。
 あのぬいぐるみの魔女はまだ近くにいるかもしれない。
 もしそうなら、その精神を操ってこの魔法を解かさせられるかもしれない。
 ……そんな難しそうな魔法、わたしにできるわけがない。

 ワープして脱出する? 魔法の効果範囲外に出られるかも。
 そんなのもっと難しいのにできてたまるか。万が一できたとしても、この姿じゃ空も飛べないから、運悪く空の底に落ちたら一巻の終わりじゃないか。

 暗視の魔法。もしかしたら何か見えるようになるかも!
 同じ理由で透視の魔法、生命探知の魔法、音を視覚的に見えるようにする魔法、においが見える魔法、と思いつく限りいろいろ試してみた。
 でもどれもだめだった。五感を奪われたこの身体じゃ、その結果をどれも認識することができないのだから意味がない。

 でもまだあきらめない。わたしは水竜だから、水や氷の魔法に限っては無詠唱で発動できる。そっちも試してみよう。

 手当たりしだいに攻撃して、数撃ちゃあたるであの魔女を倒せればこの魔法が解けるだろうか。でもそれで解けないタイプの魔法だったら、もし魔女が死んでしまったらまずい。なんとか降参させて魔法を解いてもらわないと。

 部屋を水浸しにして魔女を溺れさせるのはどうだろう。わたしは水竜だから泳ぎには自信がある。そして思わず降参した魔女が魔法を解除して……。
 それはないか。魔女だから水浸しの魔法ぐらいきっと簡単に打ち消してしまう。
 そもそも今のわたしは悔しいけどぬいぐるみだ。泳ぐどころじゃない。肺がないから呼吸はしてないかもしれないけど、濡れて綿が腐ったりしたら嫌だ。元に戻ったときに変な影響が出ても困る。

 じゃあ部屋を酷寒の吹雪にして凍えさせるのは?
 北風と太陽の、北風作戦だ。……ってそれ、たしか失敗したほうじゃないか!
 太陽ができるのは火のセッテだけど、作戦会議ができないからこれも無理だ。

 あ、そうだ。自分を凍らせるのはどうだろう。凍っていれば意識の消滅を遅らせることができる? いやいや、遅らせるだけじゃ意味ないし。

 ううん、だめだ。やってみる前から否定してたらあきらめたのと同じ。とにかく何かやってみなければ。
 というわけで、わたしは適当に冷凍光線を乱射してみた。なんせ何も見えてないんだから乱射するしかやりようがない。別にヘタクソなわけじゃないんだからな。

 すると再び脳内に例の黒猫の声が響いてきた。

『ああもう。さっきから危ないなぁ。飛んでみたり転がってみたり、暖炉の中に突っ込んで焼身自殺しようとしてみたり。こんどは何? 冷凍ビーム?』

 ちょっと待って。焼身自殺? わたし、そんなことになってたの!?

 ……だがそんなことはどうでもいい。黒猫の声が聞こえた。ということは、この黒猫は近くにいるはずだ。魔法で話しかけているんだとしても、どこかわたしの姿が見える範囲にいるはずだ。そういうことなら――

 わたしは部屋いっぱいを凍りつかせるつもりで、全力で吹雪を放った。
 部屋の中は一瞬にして一面の銀世界に変わった。見えてないけど、たぶん。

『な、何をするんだ! ミーに八つ当たりしたところでユーが元に戻れるなんてことは絶対に……うう、ぶるぶる。さ、寒い……。こ、凍っちゃう……』

 この黒猫を人質……いや、猫質にしてやる。
 あの魔女が大事にしていた猫なら、きっと何かしらの反応を見せるはず。それにあの魔女はぬいぐるみが大好き。ぬいぐるみのわたしに攻撃はできないはずだ。

『し、死んじゃう……死んじゃうよぉ……。ご、ごしゅっ……ご主人サマぁ……。お、お願い……た、たひゅけて……』

 ふははは。そうだそうだ、もっと叫べ! 泣き喚け!
 そしておまえの大好きなご主人サマを呼ぶがいいッ!
 助けを請え。あの魔女を呼べ。もっと悲痛な声で鳴けぇぇぇっ!!

 ってこれ、なんかもうどっちが悪者がわからなくなってきたけど、とにかくあの魔女をおびき寄せるのが先だ。そしてこの黒猫を猫質にして交渉して……交渉して…………ええっと、それからどうしよう。考えてなかった。
 ええい、なるようになれだッ!!

 わたしはさらに力強く吹雪を放った。
 するとその瞬間、明るいも暗いもなかった視界に、久しぶりの眩しい光を見たような気がした――




 目を開けると、凍り付いた部屋の光景が視界に飛び込んできた。
 あれっ。見える! わたしにも見えるぞ!

 すぐそこには面白いポーズで固まった黒猫の氷像が。
 そしてその隣には、憎き魔女があお向けになって倒れている。
 なるほど、どうやら黒猫を助けにきたところで凍った床で滑って転んだのか。それでそのまま気絶した結果、わたしにかけられた魔法が解けたというわけだな。

 魔法が解けたということは……!
 さっそく自分の身体を見回してみると、美しいマリンブルーの鱗が雪風を受けてきらきら輝いている。振り返ると、嬉しそうに揺れる長いしっぽがわたしにあいさつした。よかった、元通りのわたしだ!

 わたしの隣にはセッテが尻餅をついた格好で転んでいる。
 凍った青い部屋に映える真っ赤なローブ。元通りのあいつだ。

「どうやらおまえも無事みたいだな。まったく肝心なときに役に立たないやつめ」
「いやぁ、助かったっすよ! しゃべれなくなったんで呪文も唱えられないし、動けないし何も見えないしで、さすがに今回はやばいと思ってたところっす」
「どうだ、このクエリア様といっしょに来ててよかっただろ。感謝しろ」
「あんたは命の恩人っすよ! ありがとう、アクエリアス姫様」
「むふーん。いいぞ、感謝されてやる」

 なかなかセッテは素直で忠誠心のある家来だ。フリードよりもかわいく見えてきたぞ。気分がいいから、あとでわたし特製のカキ氷をごちそうしてやろう。

 さて、それではあの憎たらしい魔女をどうしてやろうか。このわたしに泣くほど怖い思いをさせた罪は重いぞ。おまえを凍らせてカキ氷にしてやろうか。
 わたしは倒れた魔女の前に立ってとぐろを巻いた。

「なあセッテ。黒いのと赤いの、どっちのカキ氷が食べたい?」
「えっ、いきなり何の話っすか」
「あ、ごめん。どっちも赤になるかも。というか、猫の血って何色だっけ」
「なんか知らないけど、不穏なことを言うのはやめるっすよ……」

 この魔女の処遇についてセッテと話し合うと、あんな目に遭ったばかりだというのにセッテはこの魔女を仲間にしたいと言い出した。
 わたしはもちろん反対した。だって嫌だろ。こいつはわたしをぬいぐるみなんかに変えて、結果的に殺そうとしたんだから。そんなやつといっしょにいたくない。
 それにこの部屋にある大量のぬいぐるみたち。あれはきっと、以前にわたしたちのようにここへ来てぬいぐるみに変えられてしまった、かわいそうな誰かだ。このままこの魔女を許せば、その誰かが報われない。
 だからこんなやつ殺してしまったほうがいいんだ、とわたしは提案した。
 しかし、それでもセッテは首を横に振った。

「何も殺すことはないっす。ここでプラッシュを殺したら、おれたちのほうが悪者になっちゃうんじゃないっすか?」
「うっ。それは確かにその通りだ。でもわたしはこいつを許せないぞ!」
「まあ、反省させる必要はあるかもしれないっすね。いたずらっ子にはおしおきが必要だ。でもまだちびっこなんだし、きっと更生できるっすよ」
「ああ、セッテは知らないんだ。それなんだけど、こいつは本当は四百――」

 そう言いかけたとき、あの魔女めがふらふらと起き上がってこちらに手を向けるのが見えた。あいつめ、まだ懲りてなかったのか。おしおきしてやる!

 わたしはとっさに水のブレスを吐いた。そしてその水を操って空中に留めると、円形に広げて鏡のようにした。プラッシュの手から放たれた魔法の光は、水鏡に反射してプラッシュ本人が浴びることになった。
 すると魔女はわたしたちの見る目の前で、あっという間にぬいぐるみに変わってしまった。ふーん、外から見るとこんな感じなのか。体感としては、かなり時間をかけてじっくりと変化してたような気がしたけど、意外とあっけない。

 セッテは魔女のぬいぐるみを拾い上げると、言い聞かせるように言った。

「悪いけどしばらくそのまま反省しててもらうっすよ。あれはなかなか面白い体験だったけど、同時にけっこう不安だったんすからね」
「あ、セッテ。それ聞こえてないから。話すんなら黒猫のテレパシーで」
「じゃああとでいいっす。ちょっと厳しいかもしれないけど、数日ぐらいこのままにしとけば、さすがにプラッシュちゃんも反省するっすよ」
「あ、セッテ。それだめだから。プラッシュちゃん消滅するから」

 そうか、セッテは黒猫と話していないんだな。
 テレパシーを通さないと会話できないことも、24時間経つと意識が消滅してしまうことも、さらにはこの魔女がぬいぐるみに変えたやつの寿命を奪っていたことも何も知らない。だからあっさりこいつを許したのか。

 このまま黙っといてプラッシュに恐怖感を与えてやるのもいいし、そのまま永遠にぬいぐるみとして飾っておくのもいい仕返しなると思ったが、たぶんあとでセッテに怒られそうなのでやめておこう。

 とりあえずまずは、凍り付いた部屋を元に戻して、まだ寒さに震えている黒猫にたっぷりと仕返しをしてやった。
 おまえなんか、ヒゲをつまんでこうしてこうしてこうだ! そしてトドメにおでこにでこピン! どうだっ、水竜のでこピンは効いただろう。
 黒猫は弾き飛ばされてごろごろ転がると、壁にぶつかって止まった。

『や、やめてくれぇ。ミーが悪かったよ、マドモアゼル……』
「どーだ、これで上下関係がはっきりしただろ。これに懲りたらもう悪さはやめることだな。さもないともう一回……」
『わわ、本当に反省してるってば! だからヒゲを引っ張るのはやめて』

 黒猫はしょげたような声で鳴いている。それと同時にテレパシーでわたしたちに言葉を伝えてきている。
 セッテは黒猫がその魔法を使えることを知らなかったようで、

「うわっ! なんか声がする。幻聴? 幽霊? 気味悪いっす!」

 大げさに驚いてみせていたので、黒猫の能力を教えてやった。

「まじっすか。この猫しゃべれるってこと? それはそれで気味悪いっす」
『失敬な。人も竜もしゃべるんだ。猫がしゃべって何が悪い』
「それもそうか。じゃあよろしくっす、黒猫さん」

 うわ、あっさりと受け入れた。切り替えの早いやつめ。
 その後セッテに黒猫の名前はなんだと聞かれたが、忘れたので答えなかった。

「それよりも黒猫! まだわたしはおまえを許したわけじゃないんだからな。誰かの命を奪って自分は長生きするなんて最悪だ。それって禁断魔法なんだぞ!」
「えっ? それ何の話っすか」
「こいつがわたしに言ったんだ。実はあのぬいぐるみ化の魔法には……」

 わたしはセッテが知らない魔女っ子の裏の顔を話してやった。
 ぬいぐるみになって24時間経ったらもう元には戻れないし、意識は消滅してしまうし、さらにはその命を奪ってあの魔女は四百年も生きているのだと。
 ああ、なんど思い出しても恐ろしい。きっとトラウマになってる。今後わたしはぬいぐるみを見るたびにそれを思い出して震えるに違いない。

 すると突然、黒猫が言った。

『あ、あれ嘘です』

 ……はぁ? アレウソデス?

『だってマドモアゼルがあまりにもご主人サマやミーを侮辱するから。それでミーもちょっとムキになっちゃった。演出だよ、演出。なかなか怖かったでしょ?』

 なにそれふざけんな。
 つまり24時間がどうとか意識が消えるとか命を奪うとか、あれって全部ウソ?

「じゃあ、プラッシュが四百年も生きてるっていうのは!?」
『あれはご主人サマの実力さ。魔女は誰でも長生きの方法を知ってるんだ』
「許さん。このわたしを泣かせた罪は重いんだからな! おまえなんかシャミセンにして食ってやるぅぅぅ~~~っ!!」
『マドモアゼル。シャミセンは食べ物じゃないよ』

 こいつッ! さらにわたしに恥までかかせやがった。絶対に許さない。
 おかげでセッテに「泣いてたの?」とか聞かれてしまった。
 な、泣いてない。たしかにちょっと泣いたかもしれないけど、あれは心の中で泣いただけだからセーフだ。だからわたしは泣いてない。泣いてないんだからなっ!

「さて、もういい頃かしら」

 そのときセッテが持っていた魔女のぬいぐるみが突然震え出すと、煙とともにそれはぬいぐるみの魔女に戻った。
 魔女のぬいぐるみがぬいぐるみの魔女に。ややこしいな。

「うわっ、びっくりした。自分で元に戻れるんすか!」
「あたしが自分で開発した魔法だもの。そんなの当然よ」
「あの……なんか、最初に会ったときと雰囲気違いません?」
「あら。あっちのほうが良かった? じゃあ……セッテちゃんがそうしてほしいなら、こっちのあたしでおはなししてあげるの。こっちのあたしのほうにする?」
「け、結構っす。えっと、ホントは四百歳? なんすよね。なんかもう、おれ純粋な目でプラッシュちゃんを見られない……」
「うふふ。人は年齢よりもずっと若々しくて美しい女性を『魔女』と呼ぶのよ」
「つまり、見た目はお譲ちゃんだけど中身は大人で、クルスと似たような感じで、えーっと。あ、アメちゃん、やるっす、よ? あれっ、逆か?」

 セッテは混乱している。とりあえずこいつは置いといて、わたしはまだ魔女に聞くことがある。黒猫の言ったことが嘘だとして、まだ納得できないことがある。

「なぜわたしたちを襲った? もしかしてトロウの手下か」

 しかし魔女は首を横に振った。

「トロウのことは本当に知らないわ。あたしはこの島から滅多に出ないから」
「ちゃんと質問に答えろ! わたしたちを襲った理由を聞いてるんだ!」
「あなたたちが可愛かったからよ」
「ええっ……そんな理由で!?」

 ぬいぐるみが大好きだという気持ちに嘘はない。だから可愛いものを見つけるとついぬいぐるみにしてしまいたくなる。そう魔女は語った。
 まるで理解できない。その言葉にわたしはただただ困惑するしかなかった。
 やっぱり魔女というのは変なやつばかりなのか。変態だ。

「じゃ、じゃあこの部屋いっぱいにあるぬいぐるみは何だ! 全部おまえの被害者なんだろ? そういえば同じ竜の子もいるから、とか言ってたし」
「言ったわね。あるでしょ? 竜のぬいぐるみも」

 魔女の部屋にところ狭しと並べられたぬいぐるみの中には、たしかに竜のぬいぐるみもあった。他にも色んな動物や、メーや、架空の生物まで……。

「だけどここにあるのは、ほとんどは本物のぬいぐるみよ。可愛いでしょ?」
「そ、そんなぁ……。わたしがどんなに怖い思いをしたと思って……」
「まあ、一部は本当に生きてるぬいぐるみなんだけど」
「……ッ!! ほら! ほら!! やっぱりこいつ悪の魔女だ! 変態魔女だ!」
「あら、ひどいわね。そうじゃないのよ。だって……」

 プラッシュが言うには、その一部とは本人の同意の上で、望んでぬいぐるみになっている者たちなのだという。

 魔女にぬいぐるみに変えられた者には、まずあの黒猫が声をかける。そしてうまく言い包めて、ぬいぐるみとして生きることを認めさせれば、魔女のコレクションが増えることになる。
 しかし、どうしても同意が得られなかった場合はちゃんと解放しているらしい。

 中にはこの魔女同様にぬいぐるみが好きすぎて、とうとう自分がぬいぐるみになる夢を持ってしまい、それを叶えるために自ら頼みに来た者もいるとかなんとか。

「魔法を調節すれば視覚や聴覚を残したままぬいぐるみにしてあげられるわよ。綿の身体だから、しゃべったり動いたりはさすがに無理だけど」
「いらんいらん。そんな情報求めてない」
「それにあたしの魔法を使えば、どんな姿のぬいぐるみにだって変えてあげられるのよ。この前来たのは、風竜の姿になりたいっていう人間で……」
「うぁーっ!! わたしには理解できない! 変態の知り合いは変態ばかりだ!」

 それからしばらくして、ようやく落ち着いたセッテが最後に話をまとめた。結局プラッシュは面白そうだという理由だけで、わたしたちの仲間としていっしょに来てくれることになった。
 あとおまけに黒猫もついてくるらしい。くそっ、あいつは嫌いだ。

「それから、生きてるぬいぐるみたちを放置していくわけにはいかないわ。彼らも連れて行くわね。えっと、オリバーとウェイドとジョセフィーヌと……」

 うわっ、生きてるぬいぐるみ何人いるんだ。
 プラッシュは家の中に戻ると、両手いっぱいにぬいぐるみを抱えて帰ってきた。
 そしてお花畑の上にそれらを並べると、魔法で小さくして服の中にしまった。

「あたしってきっと本当は一人で寂しかったのね。だから、こういうぬいぐるみたちのぬくもりがどうしても忘れられなくって」

 わからない。わたしにはその気持ちはわからない。
 寂しいなら、こんな無人島なんかに引きこもっていなければいいのに。

「そうそう。お近づきの印にこれをあげるわね。クエリアちゃん、これをとっても気に入っていたでしょう?」

 そう言ってプラッシュはポケットから何かを取り出した。
 小さな豆粒のようなそれは、地面に置かれるとむくむくと元の大きさに戻って、それはあのふかふかもふもふな人類最高の発明品に変わった。
 ソファだ!!

「このぬくもりが忘れられない気持ち。クエリアちゃんならわかるわよね」

 わかる! わたしにもその気持ちならわかるぞ!
 おのれ魔女め。わたしの心をこうも簡単につかんでしまうとは侮れない。

 わたしはさっそくソファの上に転がり込んだ。
 ふわぁぁぁっと身体が沈みこんでいくこの快感。寝返りを打つたびに優しく全身をなでるこのもふもふ感の心地よさ。ああ、やっぱりこれ……しあわせ。

「ふっ、よかろう。このクエリア様が同行を許可してやる……! ひゃぅぅぅん。ごろごろごろごろごろごろごろごろ。きゅるるるるぅ」
「変な声出てるっすよ、クエリア」

 変な声出てもいいも~ん。気持ちいいからいいんだも~ん。
 今ならどんなことが起きても許しちゃう。もふもふソファ、最高っ!




 こうしてわたしは、世界最高の宝物を手に入れた。
 魔女と黒猫がおまけについてきたけど、そんなのはもう誤差みたいなもんだ。
 アルヴに帰ったら、さっそくソファを広げて存分に満喫してやる。楽しみだ。

 そしてわたしはソファとセッテと魔女と黒猫を背中に乗せてアルヴへ帰った。
 その後、アルヴでは集団失踪事件が起こることになる。もちろん、事件現場には大量のぬいぐるみが落ちていたのは言うまでもない。


Chapter26 END

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