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  • 魔法戦争31

魔法戦争31

最終更新:2017年08月01日 00:01

jelly

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Chapter31「フリード遠征3:他人の恋路を邪魔するのは野暮ってもんだぜ」



 ああ、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
 捕虜にしたヴァルキュリアのお姉さんを連れて、あとはアルヴへ帰るだけのはずだった。それなのに俺ってやつは、なんて罪深いことをしてしまったんだ。

 目の前にはレギンレイヴとはまた別のヴァルキュリアが一人、苦悶の表情を浮かべて倒れていた。




 ――それは、遡ること数時間前。




 ファフニールを味方に雇い入れた俺たちは、捕虜にしたレギンレイヴと共に一度アルヴへ戻るため、グニタヘイズを発って南西の空へと向かっていた。
 俺はクルスの背中の上。その後ろには拘束されたレギンレイヴ。そして彼女の天馬グリームニルはクルスの腕の中だ。後方からはファフニールが続く。

 お姉さんに襲われたり、守銭奴の金ピカ竜に襲われたり、魔剣の呪いに襲われたりと散々な目に遭ってしまったので、正直言って俺はもう疲れていた。いや、まあお姉さんにはどんどん襲ってもらってかまわないんだがな。

 それはそれとして、今はできれば敵に遭遇したくないと俺は思っていた。
 だってそうだろう。連戦に継ぐ連戦だぜ? HPもMPもすっからかんってやつさ。まあ俺には魔力はないけど。今は早く拠点に戻って横になりたかった。

 けど、そうすんなりと進まないのが物語ってもんだ。というか、そういうことを俺が考えちまったせいである意味フラグを立ててしまったのかもしれない。
 まあ、メタい話はとりあえず置いといて、今起こったことをそのまま話そう。

 俺たちの目の前に大きな魔導船が現れた。

「ほう、なかなか豪華な装飾の施された船ではないか。気に入った。おい、あの船を襲うぞ。そしてオレのコレクションに加える」

 守銭奴が何かすごく自分勝手なことを言ってやがる。

「待てファフニール、迂闊に近づくな。戦争の気運高まるこのご時勢じゃぞ。船は滅多に飛ばないはず。もしかすると敵船かもしれん」

 それにあの船には見覚えがあるとクルスは付け加えた。あれはユミル王家の所有する船であると。
 実質トロウが支配しているユミルから来た、しかも王家の船だ。敵の息がかかっていると考えてほぼ間違いない。

「おいおい、勘弁してくれよな。おまえら竜と違って俺は人間だから、すぐに疲れちまうのさ。敵なんてごめんだぜ。今日はもうオフ!」
「なんじゃフリード。怖気づいたのか?」
「そうは言ってねえよ。別に遭遇した敵を全部けちらす必要はないって話さ」

 すべての敵を片っ端から倒していったのでは、いずれこちらも疲弊してしまう。そんなことをしなくても、敵の大将さえ討ち取れば敵は戦意を失う。無駄な血を流さなくても戦いは終わらせられるのだ。
 とかなんとかそれっぽいことを言って、俺はあの船に見つからないように迂回してアルヴに戻ることを提案した。俺は早く帰って寝たい。

 しかし地竜たちは首を横に振った。

「何を言っておるのじゃ。敵はまだこちらに気付いていない。これ以上の好機があるものか。少しでも敵の戦力を減らしておくほうが得策じゃろう」
「同感だ。それに敵を前にして尻尾を巻いて逃げるなど、臆病者のやることだぞ。貴様には竜の誇りというものがないのか」

 だめだ、こいつらとは根本的に考え方が違った。力があり余ってるのか、どうも竜族というのはゴリ押しが好みらしい。てゆーか俺は竜じゃねえし!

「そこまで言うなら、おまえたちでどうぞ好きに蹂躙してやってくれ。俺は休む」
「ふん、何を甘えたことを。せっかくオレの剣をひとつくれてやったのだぞ。それはただの飾りのつもりか?」

 たしかに今の俺はもう丸腰じゃない。ファフニールを説得したあと、あのグニタヘイズの財宝の山の中から正式に剣を一本もらったのだ。ファフニールと戦ったときにつかんだ二本のうちのひとつ。
 片方は魔剣だったので危ないということで置いてきたのだが、もう一本はそれなりの業物だった。蒼い刀身の俺好みの剣。銘はフロッティというそうな。

「使うわけでもなく、実際にただ飾ってただけのおまえに言われたくはないね」
「むっ……。痛いところを突かれたな。よかろう、貴様は黙って見ているがいい。地竜族の力というものを見せてやる」

 俺とレギンレイヴを乗せたまま、クルスとファフニールは大型魔導船へと近づいた。そしてどんな敵がでてくるのかと身構えていると、

「あれぇ~? フリードじゃないっすかぁ!」

 その船から聞こえてきたのは、聞き覚えのある気の抜けた声だった。




 魔導船に乗っていたのは敵でも何でもなく、別行動をしていたセッテたちとオットーたちのグループだった。新しく見る顔ぶれは彼らが勧誘してきた仲間だろう。

 合流した仲間たちは、これまでの経緯について情報を交換し合った。
 どうやらこの船はヒルディスヴィーニ号というらしい。ユミル国のお姫さまで、フレイの実のお姉さんでもあるフレイヤ王女の所有するものだそうだ。

 オットーはなんとトロウの支配からフレイヤ王女を取り戻していた。こいつはまた、いきなりずいぶんなお手柄を挙げてきたもんだな。

「そういや、オットーはフレイヤ王女のことが気になるって言ってたもんな。これも愛の力の為せる業ってやつか。おまえのこと見直したぜ」
「そう言ってもらえるとありがたい。たしかに愛の力というのはすごいものだな。おかげで俺は本当の自分になることができた」

 そう言うオットーは以前より少し頼もしそうに見えた。
 続いてフレイヤ王女があいさつをしてくれた。

「お話はうかがっております。あなたが弟を助けてくれている勇者のフリードさんですね。王女ではなくフレイの姉として、ここはお礼を言わせてください」
「これはどうもご丁寧に。いやぁ、照れるね」

 フレイヤ王女はこれまたなかなか美しいお姉さんだった。先約がなければ放っておかなかったぐらいだ。羨ましいぞ、オットーのやつめ。

 それから新たな仲間にはもうひとり、小さなお譲ちゃんがいた。
 そっちはクエリアが説明してくれた。幼く見えても魔女と呼ばれていて、名前はプラッシュちゃんと言うらしい。かわいい。

「よかったな、お譲ちゃん。年の近い友達ができたじゃないか」
「だからわたしをお譲ちゃんと呼ぶな! それに年も近くない!」
「ははは、わかってるって。『あんなニンゲンなんかよりわたしはずーっと長生きなんだぞ!』……だろ?」

 ああ、落ち着く。クエリアをからかっているときが俺は一番楽しい。
 しかし、いつもならさらに言い返してくるクエリアは、複雑そうな表情をしたままう~んとうなっていた。どうした、何かあるのか。
 するとクエリアはちょっと違うのだと答えた。

「その……わたしよりプラッシュのほうが年上なんだ。ニンゲンなのに……」
「どういうことだ?」
「魔女っていうのはそういうもんらしい。ほんとは四百年生きてて、魔法で姿を変えて若く見せているだけなんだって。つまりクルスみたいな感じだ」
「なんだ。じゃあ、中身はお婆――」

 その瞬間、俺は意識がぶっ飛んだ。

 いつの間にか俺は何もない無の空間にいて、意識だけがそこに浮かんでいるような感じだった。一体何が起こったのかよくわからないが、意識が飛ぶ寸前にちらりと視界の端でプラッシュちゃんの目が光るのを見た気がする。

『ニヒヒヒ! ハロー、愚かなぬいぐるみさん。ご主人サマの目の前で悪口を言うなんて、ユーは実に馬鹿だなぁ』

 ああ、なんか変な幻聴も聞こえてきた。俺は疲れてるのかもしれない。
 というか実際にへとへとだ。もうこのまま寝ちゃおうかな……。

 そして俺の意識はまどろみの中へと埋もれていった。おやすみなさい。




 しばらくして、周囲の騒がしさで俺は目を覚ました。

「うーん、よく寝たぜ。まるで身体が綿になったかのように軽い。ってこの騒ぎ、何かあったのか?」
「あ、起きたっすか。それが実は……」

 俺がいい夢を見ていた間に起こったことをセッテが説明してくれた。


 ――まずフレイヤ王女はヴァルキュリアのリーダー的な存在らしく、つい最近までトロウに洗脳されていたらしい。
 捕虜として俺たちが連れてきたレギンレイヴは、フレイヤ王女が正気に戻ったことを喜んでいた。するとそこに、同じくヴァルキュリアの一人であるブリュンヒルデがこの魔導船を見かけてやってきて、同様にリーダーの無事を喜んだ。

「ああ、フレイヤ様! まさかトロウの奴に洗脳されていたとは!」
「心配かけてごめんなさい、ヒルデ。私たちはトロウに騙されていたの。フレイはまだ生きているらしいわ。今からそこへ向かうの。だからヒルデ、あなたも私たちといっしょに来て。本当の敵はトロウよ! 力を合わせて一矢報いてやるの」
「フレイヤ様の命令とあればなんなりと。それにしても、強気なフレイヤ様もよかったけど……嗚呼、可憐なフレイヤ様もやはり清く正しく美しいなぁ……」
「ちょ、ちょっとヒルデ! みんなが見てるでしょ。恥ずかしいからやめてよ」

 ブリュンヒルデはひざまずきながら、フレイヤ王女の腰にひっしと抱きついたらしい。なんでもあのヴァルキュリアは、フレイヤ王女とはちょっと特殊な関係なのだとか。ううむ、ちょっと実際にその場で見てみたかった。

 その後、以前ブリュンヒルデと一戦交えたことのあったオットーとセッテが彼女に声をかけた。

「あのときは敵として戦ったが、今はフレイヤ様のもと、我々は味方同士だ。同じくユミル王家に仕える従者としてよろしく頼む」
「よろしく頼むっすよ~」

 するとブリュンヒルデはすぐに態度を改め、腕を組みながら二人の前に立った。

「なんだおまえらか。あのときはすまなかった……なんて私は言わんからな。フレイヤ様の命令だから協力してやるだけだ。私の足を引っ張るなよ」
「無論だ。フレイ様も仲間割れは望まないからな。俺たちも手は貸してやる」
「まあまあ。悪いのは全部トロウっす。だからイライラは全部トロウにぶつけてやるっすよ! 目的はいっしょなんだから、ケンカはナシっすよ」

 そこでセッテがなだめて、一時はオットーとブリュンヒルデの間に飛び散る火花は収まった……のだが、

「お、おまえというやつは……! 恐れ多くも私のフレイヤ様に手を出そうというのか。許さん! フレイヤ様が許しても、この私が許さんぞ!!」

 話しているうちにオットーとフレイヤ王女が恋仲であり、しかもお付き合いを始めたということを知って、このフレイヤ様が好きすぎるヴァルキュリアは怒り狂う結果になったのだという――


 とまぁ、そういうわけでブリュンヒルデがオットーに襲い掛かっているらしい。周囲の騒がしさはそのせいだ。
 怒り狂ったお姉さんは雷槍を振り回して恋敵を殺しにかかっている。

「フレイヤ様を汚す者はすべて滅びればいいッ!! 清く! 正しく! 美しく! うぉぉおおぉぉあぁああぁぁぁあぁっ! フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様ぁぁぁーっ!!」

 というかまじで殺しかねんぞ、あれは。
 やれやれ。ここは愛の戦士でもある俺がひと肌脱がねばならないようだ。

 さっそく俺は船の上を駆け回り死線をくぐる二人の間に割って入ると、左右から飛び交う風と雷を新たな剣フロッティの一振りのもとに打ち払って言った。

「おっとお姉さん。他人の恋路を邪魔するのは野暮ってもんだぜ」

 そこからはオットーに代わって、俺がブリュンヒルデの相手だ。
 このお姉さんとは俺も一度戦っている。すでに手の内を把握している相手なら、苦戦するような心配はない。それに人間相手なら動きを読むのも難しくない。

 雨のように降り注ぐ雷を左右のステップで最小限の動きでかわし、距離を詰めながら相手の懐に潜り込む。続いて不意に体勢を低くして虚を突いたら、下から斬り上げて相手の武器を弾き飛ばす。最後に剣先をお姉さんの胸元につきつけてチェックメイトだ。

「くッ……! き、貴様はあのときのナンパ男!?」
「よう、お姉さん元気してた? あまりにもあんたが恋しいんで、また会いに来てやったぜ。さあ、俺と愛について語り合おうか」
「ま、またおまえは……ッ! そ、そんなキザったらしいことを言って……!!」

 ブリュンヒルデは顔を赤らめながら後ずさった。
 あれ、もしかしてこのお姉さん。フレイヤ様フレイヤ様と言ってるわりには、愛だの恋だのというのが苦手なのかもしれない。

「前に会ったときも思ったんだが、お姉さんかなりの照れ屋さんだろ?」
「うぐっ……!」

 どうやら図星らしい。ブリュンヒルデは言葉を詰まらせて黙り込んだ。そしてそのまま顔を真っ赤にしながらうつむいてしまった。
 とりあえず戦意喪失、俺の勝ちってことだな。

 騒ぎが収まるとフレイヤ王女が近づいてきて、ブリュンヒルデに声をかけた。

「ヒルデ。私のことを心配してくれるのはうれしいけれど、私は自分の意思でオットーを愛することに決めたの。従者だからどうとか、そういうことを言うつもりはないけれど、せめて私の友人として私の恋を応援してくれるとうれしいのだけど」

 ブリュンヒルデはうつむきながらそれを聞いていたが、深いため息をつくと小さな声で反省したように話し始めた。

「そ、そうか……。私はただ自分の気持ちをフレイヤ様に押し付けていただけだったのか……。申し訳ありません、フレイヤ様。私は従者失格です」
「いいのよ、ヒルデ。私をそこまでして守ろうとしてくれたのは従者としては十分すぎるぐらいよ。失格ということはないわ」
「そうかもしれない……。しかし恋人としては失格のようだ……」
「えっ」

 唖然とするフレイヤ王女をよそに、ブリュンヒルデは顔を上げてオットーのほうをにらみつけると、目に涙を浮かべながら言った。

「おい、オットー! フレイヤ様にここまで言わせたんだぞ。だからおまえは、絶対にフレイヤ様を幸せにすると誓え! フレイヤ様の気持ちを裏切るようなことがあったら、こんどこそおまえを殺してやるからな!!」

 するとオットーは力強くうなづいてみせる。

「もちろんだ。俺はフレイ様をお守りする従者であると同時に、フレイヤ様を守る騎士になってみせる。フレイヤ様は絶対に泣かせないと誓おう」
「……ふん、言うじゃないか。すまなかったな、いきなり攻撃して」

 そしてフレイヤ王女を愛する者同士はかたい握手を交わしたのだった。
 うーん、青春ってやつだね。恋敵がなぜか異性って点は少し変わってるが、いわゆる恋の戦いを経て友情が芽生える場面ってやつか。
 そしてオットーとフレイヤ王女の関係は仲間たちにも認められ、二人は末永く幸せに暮らすのでしたっと。まったく俺も幸せが欲しいぜ。




 さて、これで一件落着か。と思っていたんだが、しかしまだこれでは終わらなかったんだ。まあ聞いてくれ。

 フレイヤ王女が俺たちの味方になったということは、その配下であるヴァルキュリアたちも当然そのまま俺たちの味方になったということになる。
 つまりブリュンヒルデはもちろんのこと、捕虜のつもりでここまで連れてきたレギンレイヴもこれで晴れて俺たちの味方になったということだ。

 オットーを認めたブリュンヒルデではあったが、それでも彼女はまだ複雑な気持ちだったのだろう。うつむき加減で元気がなさそうに立ち尽くしていた。
 そんな彼女にレギンレイヴは、同じくフレイヤ王女に仕える仲間として声をかけにいった。

「ヒルデ、元気を出すんだ。我々ヴァルキュリアがフレイヤ様をお守りすることに変わりはない。これからはオットーも我々と共に守ってくれるだけのことだ」
「ああ、レギンか。たしかに私たちのやることは変わらないさ。だけど気持ちが変わってしまった。私にはもうフレイヤ様を愛する資格がない」
「愛か……。わたしは恋愛の類には疎いのだが……ヒルデは女だろう。女同士で仲がいいのは別におかしなことはない。だからフレイヤ様に伴侶がいようが、ヒルデとフレイヤ様が仲良くしていけないってことはないのでは?」

 するとブリュンヒルデは、はっと顔を上げた。

「レギン!! おまえ天才か! そうだ、そうなんだよ。フレイヤ様に彼氏ができたからって、私は女なんだから遠慮する必要なんかないんだ。フレイヤ様と私がいっしょにいたってそれは浮気なんかじゃないよな」
「あ、ああ……。なあヒルデ。前から気になっていたんだが、おまえは本当にフレイヤ様が好きなんだな。だけど同姓じゃないか。なぜなんだ?」
「理由などない。ただ好きだから好きなんだ。愛ってそういうものだろう」
「ううむ……わたしには理解できないんだが……。それにこの前、あの男のことが気になるって話していたじゃないか。あれは恋愛とは違うのか」

 そう言ってレギンレイヴがこちらを指差したのだ。って俺ェ!?
 しかも、そう指摘されたブリュンヒルデは再び真っ赤になってしまった。

「ななななな! 何を言い出すんだレギン! 私にはフレイヤ様がいるんだぞ。私はフレイヤ様に絶対の忠誠を誓ったのだ。それを私が……あ、あんなキザったらしい男なんかに……ち、違う違う違う! そんなのフレイヤ様を裏切ることになる」
「しかしこれもオットーとフレイヤ様の件と状況は同じなのではないか? あの男とフレイヤ様は性別が異なるのだから、おまえがあの男の相手をしてもフレイヤ様を裏切ることにはならないのでは……」
「い、言うな言うな! これ以上言うなぁぁぁ~っ!!」

 裏返った声で叫びながらブリュンヒルデは顔から炎を吹き上げて倒れた。
 それは炎の魔道士もびっくりな盛大な炎だった――




 そして現在に至る。




 ブリュンヒルデは苦悶の表情を浮かべたまま、しきりに何かをつぶやいている。

「――いやしかし私にはフレイヤ様がいてだけどあの男を見ていると何かこうフレイヤ様とはまた違った込み上げるような想いが湧いていやいやしかしそれだとこれまで私がフレイヤ様に抱き続けてきた感情は偽りだったのか否そんなことは絶対にありえない信じない何かの間違いだ……」

 ああ、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
 きっと俺があまりにも魅力的なんで、このうぶなお姉さんは恋に狂ってしまったに違いない。俺ってやつは、なんて罪深いことをしてしまったんだ。

「おいフリードぉ。おまえのせいだぞ。責任とれよなぁ~」

 にやにやと笑いながらクエリアがこちらを見てくる。

「おまえのようなお譲ちゃんに言われたくないぜ」

 と言いつつも、こんなきれいなお姉さんに想ってもらえるならまんざらでもないと思う俺なのであった。
 とりあえずレギンレイヴを通して間接的に聞いただけなのもアレなので、直接本人から想いの丈を聞かせてもらおうかとブリュンヒルデに声をかけると、彼女は俺の顔を見るなり「ひゥっ!」と声を上げて気を失ってしまった。

「あーあ、きっと顔が怖かったんだな。もうフラれたんじゃないかぁ?」

 お譲ちゃんはそんなことを言っているが、その逆できっと俺がイケメンすぎて気絶したほうに俺は賭けるね。なんたって俺は勇者だからな。

「……ほれ。馬鹿なこと言っとらんで、落ち着いたならアルヴへ帰るぞ」

 そして、そのまま俺たちはフレイヤ王女の船に乗せてもらってアルヴへと帰ることになった。
 レギンレイヴに加えてブリュンヒルデ、そしてフレイヤ王女。こんなにも美しいお姉様方をお持ち帰りできるなんて、思った以上の収穫じゃないか。やはりクエリアみたいなお譲ちゃんとは違う。大人のお姉さんはいいものだ。

 あ、でも魔女のプラッシュちゃんもなかなかかわいいな。
 あれで中身がお婆ちゃんじゃなければ最高だったのに……。

 などと考えていると突然、俺の意識は無に呑み込まれた。

(あ、あれぇ? 心の中で思っただけでもアウトかよ!)

『ユーは本当に馬鹿だなぁ。他人の心を読むぐらいミーには朝飯前さ。ご主人サマの悪口は心の中でだって許さない。ですよね、ご主人サマっ』

 ああ、またあの幻聴が聞こえてきた。俺はまだ疲れが残っているのか。
 そして俺の意識はまたしても遠ざかっていくのだった。魔女、怖ぇ。


Chapter31 END

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