一條記念みちのく大賞典

一條記念みちのく大賞典(いちじょうきねんみちのくだいしょうてん)は、岩手県競馬組合が主催する競馬地方全国交流レース(M1)。施行条件は水沢競馬場ダート2000メートル。レース名にある「一條」は、東北の馬産発展に貢献し旧盛岡競馬場を設計した一條友吉のことである。

概要

岩手の古馬ナンバーワン決定戦として1973年に創設された。創設以来、開催時期については多少ばらつきがある(「歴代優勝馬」の項を参照)ものの、盛岡競馬場の移転に伴い水沢競馬場で代替開催された1996年の第24回を除き、全て盛岡で施行されている。長らく岩手所属馬のみを対象に施行されてきたが、2001年に東日本地区所属馬に開放され、翌年にはさらに九州地区が加わり、2005年からはJRA所属馬を除く全国の地方所属馬に開放された。また、2004年には同じく盛岡で行われる統一重賞マーキュリーカップへのトライアルレースに指定され、上位2着までに同レースへの優先出走権が与えられるようになり、2006年からは1着馬のみ同レースへの優先出走権が与えられる。このように、全国的な位置付けとしては岩手のローカル重賞となっているが、歴代の優勝馬には岩手競馬を代表する名馬が名を連ね、現在でも岩手競馬が主催するレースの内で最も権威あるもののひとつである。また、本レースの勝ち馬は岩手競馬所有の馬運車にその名前が転用されることが慣習となっている。

当初はファン投票レースとして創設され、現在は桐花賞に継承されている。また、岩手競馬では1972年以前の重賞レースは農林大臣賞典や岩手県知事賞典等と呼ばれていた。この頃からレース番組の商品化・ソフト化を推進し始めたが、主導した中心人物が「岩手競馬中興の祖」と称される藤原正紀である。

創設当時は重賞レースと特別レースの位置付けが曖昧であり、文献によってみちのく大賞典が岩手競馬初の重賞レースという説と、レース名称がついた最初の重賞レースという2つの説が存在する。1971年と1972年で一部不明な記録があったりするため、正確にはわからないようである。

当時まだビデオテープが高額で、録画してもすぐに消去されて別の番組に使い回されることが普通だったことから、同レース最古の映像は1978年の第6回という説がある(それより以前の映像が放映されていないに等しいため)。但し、ビデオテープの映像が劣悪で放映できない状態だったり、ニュースフィルム等で現存している可能性はある。

2001年からは、岩手のみならず日本の馬産界に多大な功績を残した岩手出身の一條牧夫、友吉親子の名前を後世に残すため、レース名称を一條記念みちのく大賞典と変更された。しかし、一般的にはみちのく大賞典と呼ばれ親しまれている。

2009年からは施行場を水沢競馬場のダート2000mに変更された。

本レースへのトライアルレースは盛岡競馬場のダート1800mのサラブレッド系3歳以上の岩手所属馬限定の重賞レース「あすなろ賞」で、上位2着までに本レースへの優先出走権が与えられる。

本レースでは2008年からスタリオンシリーズレースに指定されており、2008年は「クロフネ賞」、2009年は「ダンスインザダーク賞」、2010年は「フジキセキ賞」、2011年は「ネオユニヴァース賞」、2012年は「ドリームジャーニー賞」、2013年は「ルーラーシップ賞」、2014年は「ハービンジャー賞」として、優勝馬の馬主に副賞として種牡馬の配合権利が贈られている。

負担重量は定量で、3歳は55kg、4歳以上は57kgで、牝馬は2kg減である。

2013年度の賞金総額は750万円で、1着賞金500万円、2着賞金115万円、3着賞金65万円、4着賞金45万円、5着賞金25万円と定められている。

歴史

  • 1973年 - 旧・盛岡競馬場のダート2000mのサラブレッド系4歳(現3歳)以上の岩手所属馬限定の重賞レース「みちのく大賞典」として創設。1着賞金150万円。
  • 1980年 - スリーパレードが史上初の連覇。1着賞金700万円。
  • 1984年 - 1着賞金1000万円。
  • 1991年
  • 1992年 - グレートホープが史上3頭目の連覇。
  • 1995年 - モリユウプリンスが史上4頭目の連覇。
  • 1996年 - 盛岡競馬場の移転新設に伴い、水沢競馬場のダート2000mに変更。
  • 1997年 - 新設の盛岡競馬場のダート2000mで初開催。
  • 2000年 - メイセイオペラが史上初の3連覇。
  • 2001年
    • 馬齢表示の国際基準への変更及び当年のみ東日本地区交流レースと施行。それらに伴い、出走条件を「サラブレッド系4歳以上の岩手所属馬」から「サラブレッド系3歳以上の北海道・岩手・北関東・南関東所属馬」に変更。
    • 名称を現在の「一條記念みちのく大賞典」に変更。
  • 2002年 - この年から東日本・九州地区交流レースとして施行、出走条件を「サラブレッド系3歳以上の北海道・岩手・北関東・南関東・九州所属馬」に変更。
  • 2003年 - 船橋マキバスナイパーが他地区所属馬として初制覇。
  • 2004年 - マーキュリーカップへのトライアルレースに指定、上位2着までにマーキュリーカップへの優先出走権が付与される。
  • 2005年
    • この年から地方競馬全国交流レースとして施行され、出走条件を「サラブレッド系3歳以上の地方所属馬」に変更。
    • トニージェントが史上5頭目の連覇。
  • 2006年 - マーキュリーカップへの優先出走権取得条件を1着の入賞馬のみに変更。
  • 2008年 - スタリオンシリーズレースに指定。
  • 2009年
    • 施行場を水沢競馬場のダート2000mに変更。
    • 1着賞金が500万円に減額。
  • 2010年
    • 笠松のマルヨフェニックスが水沢競馬場のダート2000mのコースレコード2:05.3で優勝。
    • 創設以来、初めて他地区所属馬が掲示板を独占した。
  • 2011年 - 東日本大震災の影響により盛岡競馬場のダート2000mで施行。

歴代優勝馬

回数施行日優勝馬性齢所属タイム優勝騎手管理調教師馬主
第1回1973年7月22日ヤマトハナ騸8水沢2:05.9千葉次男千葉忠一石田政子
第2回1974年6月30日スリービート牡7水沢2:07.8佐々木恒佐々木豊刈屋博
第3回1975年11月2日カネヒエイ牡4盛岡2:07.1平沢芳三小西善一郎金指利明
第4回1976年6月27日メジロスイセイ牡8水沢2:06.8千葉次男千葉忠一木村孝
第5回1977年6月12日シンコダイオー牡6水沢2:07.6村上実千葉博次泉清紀
第6回1978年6月25日ジムパーナ牡8水沢2:08.3村上昌幸村上初男菅原勝
第7回1979年6月24日スリーパレード牡7水沢2:09.1村上昌幸村上初男梅田光造
第8回1980年6月22日スリーパレード牡8水沢2:09.0伊藤和村上初男梅田光造
第9回1981年6月21日イチコンコルドオウ牡7水沢2:07.4伊藤和佐々木豊佐々木則夫
第10回1982年6月20日ダイドウスター牡6水沢2:09.1小竹清一佐々木豊下舘松男
第11回1983年6月19日テルノエイト牡7水沢2:07.0佐藤浩一志村文雄嶋田孝一
第12回1984年6月17日ハシクランツ牡8盛岡2:10.3村上昌幸大和正四郎谷川弘一郎
第13回1985年6月23日サクラハイデン牡7水沢2:09.5佐藤浩一志村文雄嶋田孝一
第14回1986年6月22日ボールドマツクス牡6水沢2:09.1小竹清一千葉忠一佐橋五十雄
第15回1987年6月21日マグマカザン牡6水沢2:06.3村上昌幸村上初男菅原勝
第16回1988年6月19日トウケイフリート牡5水沢2:07.2菅原勲村上実小野寺喜久男
第17回1989年6月18日エンゼルトーン牡5水沢2:07.2織笠光幸酒井清亀澤秋夫
第18回1990年6月17日スイフトセイダイ牡4盛岡2:08.9小竹清一城地藤男中村正子
第19回1991年5月12日スイフトセイダイ牡5盛岡2:10.6
(同着)
小竹清一城地藤男中村正子
グレートホープ牡5盛岡菅原勲小西重征小野寺喜久男
第20回1992年6月21日グレートホープ牡6盛岡2:09.1菅原勲小西重征小野寺喜久男
第21回1993年8月1日トウケイニセイ牡6盛岡2:03.9菅原勲小西重征小野寺喜久男
第22回1994年7月31日モリユウプリンス牡5水沢2:06.2小林俊彦千葉四美森山恭子
第23回1995年7月30日モリユウプリンス牡6水沢2:07.7小林俊彦千葉四美森山恭子
第24回1996年6月9日ヘイセイシルバー牡8水沢2:12.6三野宮通村上実菅原勝
第25回1997年8月31日シャマードシンボリ牡9盛岡2:08.5佐藤雅彦櫻田浩三西村正
第26回1998年8月30日メイセイオペラ牡4水沢2:03.5菅原勲佐々木修一(有)明正商事
第27回1999年8月29日メイセイオペラ牡5水沢2:05.1菅原勲佐々木修一(有)明正商事
第28回2000年8月27日メイセイオペラ牡6水沢2:06.7菅原勲佐々木修一(有)明正商事
第29回2001年8月19日グローバルゴッド牡7盛岡2:10.0小林俊彦櫻田浩三山石祐一
第30回2002年8月18日シネマパラダイス牡8盛岡2:07.2西康志晴山厚司工藤忠八
第31回2003年8月17日マキバスナイパー牡8船橋2:07.5左海誠二岡林光浩新田知也
第32回2004年6月13日トニージェント牡7水沢2:06.8村上忍村上実千葉浩
第33回2005年6月5日トニージェント牡8水沢2:05.9村上忍村上実千葉浩
第34回2006年6月4日コアレスハンター牡9大井2:08.2御神本訓史高橋三郎小林昌志
第35回2007年6月17日テンショウボス牡4水沢2:07.6小林俊彦佐々木修一高橋昇市
第36回2008年6月22日ブラーボウッズ牡10水沢2:09.2菅原勲村上昌幸大久保和夫
第37回2009年6月21日キングスゾーン牡7愛知2:08.4安部幸夫原口次夫杉本富士也
第38回2010年6月20日マルヨフェニックス牡6笠松2:05.3尾島徹柴田高志野村春行
第39回2011年6月19日コアレスレーサー牡7盛岡2:06.3関本淳熊谷昇長澤茂
第40回2012年6月24日トーホクキング牡5水沢2:10.2菊地康朗櫻田浩三(有)フォレブルー
第41回2013年6月23日コスモフィナンシェ牡4水沢2:11.1岡部誠板垣吉則玉田博志
第42回2014年6月22日ナムラタイタン牡8水沢2:08.9坂口裕一村上昌幸岩渕道良
第43回2015年6月21日コミュニティ牡5盛岡2:09.9山本政聡櫻田浩三西村專次
第44回2016年6月19日ミラクルフラワー牝4水沢2:05.4村上忍村上実簗詰幸子

本レースからのマーキュリーカップ優勝馬

2004年からマーキュリーカップのトライアルレースとして位置付けられているが、2005年の本レースで2位に入線したエアウィード、2006年の本レースで3位に入線したベルモントシーザー、2007年に本レースを制したテンショウボスの4着入賞が最高で、優勝馬はまだ1頭も出ていない。なお、1998年 - 2000年に本レースを3連覇したメイセイオペラは1998年の本レース前に地方所属馬として唯一マーキュリーカップを制しており、それ以外の開催年はいずれもJRA所属馬が制している。

関連項目

岩手県競馬組合グレードワンレース
M1シアンモア記念 | 岩手ダービーダイヤモンドカップ | 一條記念みちのく大賞典 | ひまわり賞 | ビューチフルドリーマーカップ | ジュニアグランプリ | OROカップ | 南部駒賞 | ダービーグランプリ | 桐花賞

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最終更新:2017年01月27日 13:31
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