▼トレーラー/雷雲からの手紙
「前略。
この度はお世話になりました。あれから関西の情勢は落ち着いております。
主犯の雷鳴は、拘置所では模範的な態度を取っているようです。鏐くんと月斗くんも魔法少年院で穏やかに過ごしています。あの様子ですと、少年2人はそう遠くないうちに保護観察の元、一般社会に復帰出来るでしょう。
いずれにせよ、若く有望な2人が再起してくれることを願います。
さて。
話そびれてしまった昔話をさせてください。
私たちは、私が18歳の時に出会いました。
写真の右から……
とある闇の魔術師の消息を追っていた夜帳辰吾郎。
借金取りに追われて各地を放浪していた赤司烈光。
武者修行の旅をしていた私、氷乃出雷雲。
とある妖怪の退治依頼で旅をしていた傭兵の逢魔ヶ刻斬魔。
君のお父さん赤司烈光は、勇敢で、義に厚く、ちょっぴり乱暴な青年でした。
私たちは一緒に旅をし、各地で戦い、1人の女の子を助け、ついでに関東と関西の冷戦を終結させました。
私はその功を讃えられ今の地位に着きましたが……
……本当に英雄と呼ばれるべきなのは君のお父さんの方であったと、今でも思います。」
写真が同封されている。
見ればそれが自分の父親であるとわかる。
一緒に写っているのは、20歳頃の雷雲、辰吾郎、そして知らない男性が1人。
楽しそうな写真だ。
神我狩
『NR_Magic_Academy』
第3話:『これより令和2年度、認定魔導士試験を開催する!』
▼ハンドアウト
【一木_藍】
師匠であるビッグザちんすこうと共に訪れたアズカバン府中は、府中刑務所の地下にある薄暗い監獄であった。
その最深部。地下50階。多数のディメンター囲まれた分厚い魔法アクリル板の向こうに、その男はいた。
二、三言の会話の印象は、落ち着いた青年といった感じであった。看守は、外の情報を与えないようにを釘をさしていたが……
さて、ビッグザちんすこうは、彼から兄の治療法を聞いていた。聞くところによると、一種の司法取引のようでもあった。それならば多少は信用できるのかもしれない。
ちんすこうと共に、必要な素材や触媒を買い集めたらきっちり20000Gなくなってしまった。
後日。ビッグザちんすこうは孤児院を訪れ、君の兄に魔法をかけた。結果、兄はみるみる回復し、今までで見たこともないほど元気になった。
……君の替え玉学園生活は終わりを告げた。君はグリフィンドール寮を出て孤児院に帰り、休学届を投げっぱなしだった都立井草高校に通い始める。兄が課題とかをこなしておいてくれたおかげで、なんとか2年生にはなれるらしい。これで全部、元通り。
……の、はずだった。
【夜帳_標】
藍に代わり蒼が学校に通い始めて数日。もうぼちぼち年度も替わろうかというタイミングで、君はクラスメイトたちに詰め寄られていた。
内容は「藍ってどこいったの?」である。
……まあ、そりゃ、さすがにみんな気付く。
その場はなんとか収めた君だったが、次なる問題が2つ発生した。
年度が替わり、令和2年度の認定魔導士試験の受験者募集が始まった。練馬校では伝統的に炎のゴブレット状の応募箱に応募用紙を投げ込むしきたりになっているのだが……
募集が始まってすぐ。君は怪しげな男に声をかけられた。曰く「練馬校の隠された真実を探るため、認定魔道士試験に出て欲しい。そして私の手伝いをしてほしい。見返りに、君の知りたいことを何でも教えよう」とのことだ。
怪しい。
これが問題その1。
そして問題その2。
受験者発表の日、ゴブレットは、存在しない生徒の名前が書かれた紙を吐き出したのだ。
「一木_藍」と。
君はファンブルドアに呼び出され、このことを藍に伝えに行く役目を任されたのだった。
【鷺沢_花鶏】
雷雲は定期的に君と雲雀に手紙を送ってきている。今回は、認定魔導士試験が練馬で開催されることに関して、京都陰陽学院から受験生が行く、という旨の話だった。なんでも東西友好の証という意味合いもあるらしい。
そのメンバーには、月斗や砕刃という前回京都で世話になった面々が含まれているらしい。雷雲の手紙のよれば「あれから二人とも、とても反省して、勉学に励んでいます」とのことだ。
雷雲が言うのならきっと大丈夫だろう!
どのみち、君や雲雀は認定魔導士試験を受けるわけではない。よってあんまり関係はないかな、という感じだ。
というか、だった。
……ゴブレットが、藍の名前が書かれた紙を吐き出すまでは。
雲雀が「にへら」と笑う。
「いや、名前入れたのは私じゃないよ。誰が入れたかもわかんないし。でもさ。仮にだよ? 認定魔道士になるような人が、魔法学校に通う資格無しってのもおかしいじゃん?」
他のクラスメイトも概ね似たような反応だった。
藍が認定魔道士に受かれば、またクラスに戻ってくるだろう!なんで藍の名前が出てきたのかはこの際どうでもいい!どうにか藍を合格させる!!
……という方向でクラスは纏まっているようだった!
がんばろう。
【井立田_捺雪】
是鬼宗に加入した初日。君は禁断の森で寝泊まりすることを強要された。時計を持たされて。
翌日。森から出たあとで時計を見ると、なんかだいぶ時刻はズレていた。帝才坊の説明によれば、森の中は外とは時間の流れが違うらいし。浦島太郎のような感じ、との説明を受けた。
具体的には、森の第一層付近で1時間が経過すると、森の外では2時間が経っているらいし。
森の奥深くに行けば行くほど、この時間の停滞とも思える現象は強くなっていき、4倍、8倍と倍々で遅くなっていくらしい。
森がどこまで続いているのかは不明らしいが、是鬼宗の調査による推測では、禁断の森の最深部での経過時間は……
外で15年が経過しても、約5日しか経過していない。
……のではないかと言われているそうだ。
君は他の是鬼宗の面々と共に森を探索することとなる……
最終更新:2019年08月18日 22:35