▼トレーラー
▷学校の廊下に一枚の張り出しがある。
稀崎野乃!勝負だ!
〈詰将棋の棋譜が貼られている〉
出題者名:陸王高校・アフラ松田
『幽世学園生徒活動録』
第5話:『Wiping All Out』
▼ハンドアウト
【稀崎 野乃】
名指しで勝負を吹っ掛けられたので、校外学習として陸王高校まで行くことになりました。
至って普通の公立高校。周囲は大して栄えてもいない田舎町。歴史と伝統しか売りがないような、そんな寂れた高校と街だった。
今回の学校には当然寮などないので、幽世学園の手配で、付近にある何たら共済組合の合宿所みたいなところに宿泊することになっている。
滞在は5日間。彼らと交流し、共に学び、学を修めてくるのが今回の目的だ。
【荒上 光沙輝】
「あなたたちは良いよね、実在がある程度保証されててさー」
るる子がそんなことを言いながら、貼りだされた棋譜を眺めている。
曰く。松田という人物は野乃のことを直接か間接かは不明だが、知ってはいる。
曰く。この学園の半数は、現実での記憶があり、現実で彼らを知る人物がいる。野乃もそうだったのだ。
光沙輝、野乃、凜香、羽斗、詩織、いるか、かえる。彼らは、おそらく外から学園に来たのだ。一方で……
廻、辰、雄貴、るる子、レイ、アイ、バッタは、ここにいるということでしか存在を証明する手立てがない。
今回の「名指し」はそれだけ意味が重かったらしい。
だから……るる子はこう言った。
「帰りたいのなら、早いとこ探した方がいいよ。あなたを知る人を」
【三枝 辰】
君はそろそろ感づいていた。この学園の校外学習の仕組み、手法、そういったものに。
君がプレイヤーとなったあれが電子ゲームとするならば、今回はおそらく非電源ゲーム、将棋。
今度のプレイヤーはおそらく野乃になるのだろう。
雄貴は言った「俺たちの誰かの、失敗した姿を見せられているようだ」「校外学習の課題は、まるで立派な人間になるように仕向けられている」
つまり、己が問題点を突きつけ、それを乗り越えることが課題……という仕組みなのかもしれない。
児童書→舞台演劇→コンピューターRPG→テーマパーク→非電源ゲーム
海賊→魔女狩り→近未来SF→童話→???
信じること→自らを律すること→目的意識→役に立てること→???
そろそろここいらで、この法則を解き明かさねば、何もわからぬまま終わってしまうだろう。
【他の人】
校外学習だ!田舎の学校だ!たのしいね。
夜寝たら、絶望的な戦場に放り出されたよ。
死なないように頑張ろう。
最終更新:2020年05月23日 09:09